自然観察大学ブログ

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ツユクサ-6 二輪咲きと自家受粉

いきなりクイズ。
この写真で、おかしいところにお気づきだろうか。
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気づいた方は、ふだんからよくツユクサを観ている方だろう。
苞を開いてみると…
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主軸には花ではなくて、葉のような、あるいは苞のようなものがついていた。
普通に観られる主軸の途切れたタイプのものは、朝の早いうちはこんなふうになっていて、その後落ちるものなのだろうか?
それとも先祖がえりのような突然変異なのだろうか。

もう一つ、側枝の花はこれから開こうとしているのだろうか。それとも開くことなく過ごすのだろうか?
この写真を撮ったのは朝の5時6分。まだあたりは暗い。

ところで、花序のつけ根にはアブラムシがいる。少し色が淡いがツユクサアブラムシだろうか。

同じ群落にあった別の頭花。
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写真左の主軸は途切れていて、側枝には3つ目の花が開こうとしているところ。
ツユクサは開花の時点で自家受粉をしているという〝なかなか〟さんの観察記録 (⇒) があったので、この日それを確認しようと早起きしたのだ。

苞を開いてみよう。
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左の二つはすでに実になっている。
花を無理やり開いてみたが受粉しているかどうかは分からない。
反対側から観てみよう。
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雌しべの柱頭(紫色の部分)はまわり込んで人字形の雄しべの葯に接近しているが、花粉は着いてないようだ。
花粉が付いているか否かをルーペで観ただけでは、受粉の有無を確認することはできないが…


少し移動して、別のツユクサの群落を観た。
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こちらでも開きかけの花をこじ開けてみたが、受粉は確認できない。
なお、このころようやく日が昇ってきて、背景が少し明るくなった。

この群落では、二輪咲きのツユクサがたくさんあった。
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例によって、苞を開いてみよう。
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予想通り、通常は花のつかない主軸に立派な花がついている。
ここで注目したいのは主軸の花(画面上の花)に雌しべがあること。
主軸の花は雌しべのないことが多いが、まれには雌しべを持つものもあるということだ。
ちなみに、この二輪咲きの同じ株の下では、普通に主軸の途切れた花序であった。

なお、上の写真で二輪とも柱頭に花粉がついていることにも注目。

こちらはまた違ったタイプ。
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主軸の花は、つぼみの状態。
このつぼみはこの後、開くことなくポロリと落ちるのか、それとも立ち上がって花を開くのか?

うーむ。続けて観察したいが、出勤前の観察ではそうしてもいられない。残念。

次はすでに開花済みのツユクサ。
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この状態で、雌しべの柱頭には花粉はついていない。

この写真で注目したいのは仮雄しべ。
一般に、ツユクサの雄しべは長い2個(上の画面の左)が本当の雄しべで、花の奥にあるΠ字形の3個(右側の花弁に隠れたもの)と、その間にある人字形の1個(画面中央)は仮雄しべであるとされているが、人字形の雄しべはたっぷりと花粉を持っているように観える。

〝なかなか〟さんの詳しい観察では、人字形の雄しべ(なかなかさんはY字形と呼んでいる)は授粉能力があり、Π字形の雄しべ(同X字形)は少量の花粉はあるものの授粉能力はないことが確認されている。 (⇒)
〝なかなか〟さんは前述のように、ツユクサの8-9割が自家受粉であることも観察している。 (⇒)


今回の観察では自家受粉が多いことを確認することはできなかったが、自家受粉が多いのであれば、二輪咲きのなどの性質は群落ごとにその傾向が強くなるのも納得できる。
そういえば、今回もそうだが、昨年の自然観察大学での岡発戸の観察会でも二輪咲きのツユクサが群生していた。
群落ごとに性質が違うのであれば、自家受粉かどうかも群落ごとに違ってくることになるので、そう簡単なものではない。

参考までにこれまでのツユクサの観察記録は次の4件。

1花を観る⇒ 2芽生え⇒ 3マルバツユクサ⇒ 4マルバツユクサの地中の花 5二輪の花のこと


ツユクサの開花はまだまだシーズン真っ盛りだ。
みなさんも観察してみては?

2014年8月24日、報告:自然観察大学 事務局O

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by sizenkansatu | 2014-08-24 23:09 | 植物 | Comments(2)

ツユクサ-5 二輪の花のこと

おととし以来のツユクサの観察である。
二輪の花をつけたツユクサを観た。
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ツユクサの花は一つずつ咲くのがふつうなのだが、ときどきこんなふうに二つ同時に開花するものに出会う。

もともとツユクサは貝殻のような苞の中に複数の花がある花序で、一日に一つずつ花を咲かせるとされている。

通常のツユクサの花序はこのようになっている。(苞をめくったところ)
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左に見える棒状のものが主軸で、ふつうこちらには花をつけない。
右の太い側枝には今咲いている花と、その下に見えるつぼみがある。さらにその下にごく小さなつぼみも見えるが、こちらはたぶん咲かずに終えると思われる。

詳しい花のつくりは一昨年(2012年)の記事をご覧いただきたい。
※「ツユクサ-1 花を観る」 ⇒ http://sizenkan.exblog.jp/16416456/

上の写真では、雌しべの柱頭に黄色い葯がついていて、受粉完了していることに注目。撮影は朝6時過ぎ。自家受粉(後述)か?

二輪の花をつけたツユクサに話をもどそう。
はじめの写真のツユクサの苞をめくってみた。
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予想どおり、主軸と側枝のそれぞれに花をつけている。
主軸も普通のツユクサよりも太くて立派な感じだ。

主軸の花(上の花)をよく観てみよう。
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雌しべがない。
主軸の花はふつう開かないが、開いたとしても雌しべがないのが普通なようだ。

側枝の花(下の花)のほうはどうか。
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くるりと巻いているのが雌しべ。
こちらはまっとうな両性花(雌しべも雄しべもある花)である。

以前も紹介したが、次のサイトでとても詳しい観察がなされている。ぜひご覧いただきたい。
※ 「なかなかの植物ルーム/ツユクサ」 ⇒ http://www.juno.dti.ne.jp/~skknari/tuyu-kusa-top.htm


もう少し続けて観察したが、以下続報へ

2014年8月20日、報告:自然観察大学 事務局O

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by sizenkansatu | 2014-08-20 21:41 | 植物 | Comments(0)

ツユクサ-4 マルバツユクサの地中の花

9月のマルバツユクサである。前回の観察からは、およそ2か月後になる。
秋には地下に閉鎖花を作るだろうというので、ずっと気になっていたのである。

参考:『ツユクサ-3 マルバツユクサ』 ⇒ http://sizenkan.exblog.jp/16430263/

生え際を少し掘ってみたら、期待通りのものが…
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上の拡大。
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話に聞いた閉鎖花だ。

もう少しほかの閉鎖花を観させてもらおう。
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画面中央の閉鎖花は膨らんで実になっている。苞(ほう)に包まれているところは地上の花と同じだ。そしてその先にあるのは次の花芽。

苞をはがしてみると、中に果実があった。
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丸々と充実した果実だ。
自分で種蒔きをしているわけだから、さぞかし出芽率も高いだろう。
繁殖力が強いというのも納得できる。

念のため9月の地上部も紹介しておこう。
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8月には枯れかかっていたので、暑さのためかあるいは除草剤を撒かれたのではないかと心配したのだが、元気に復活していた。

せっかくなので、花のアップも…
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マルバツユクサはひとつの苞から同時に二つの花をつける場合がほとんどなのだが、どうやらどちらも両性花らしい。
ツユクサでは花柄の長い方の花は雄花であることが多いのだが…

参考:『ツユクサ-1 花を観る』 ⇒ http://sizenkan.exblog.jp/16416456/

もうひとつ、ツユクサとマルバツユクサの違いに気がついた。
マルバツユクサは苞に細い毛があるではないか。
ツユクサは無毛で光沢があったから、これも大きな違いだ。

二つ折りになった苞を開くとハート形…
マルバツユクサはハートに毛が生えていることになる。
このところ関東に進出してきているし、ずうずうしい性格なのかも。

2012年9月20日、報告:自然観察大学 事務局O
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by sizenkansatu | 2012-09-20 20:43 | 植物 | Comments(0)

ツユクサ-3 マルバツユクサ

マルバツユクサは関東ではあまり見られないが、中部以西の地域ではどこにでもある雑草だ。
繁殖力が強く、ミカン園などの雑草として問題となっていると聞く。

このマルバツユクサを、近所で発見した。
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葉は幅広く縁が波打つようになる。全体はツユクサよりも低く広がる形。
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花はツユクサよりかなり小さく、測ったわけではないが半分くらいの大きさだろう。
マルバツユクサは一つの苞から2個の花が同時に開いている場合が多い。(7月19日のツユクサの項参照)

6、7年前に、近所(千葉県市川市)の家庭菜園のまわりでマルバツユクサを観たのだが、このときは一株だけで、そのあといつの間にか消えてなくなってしまった。
八王子あたりで増えているという情報があり、その一方では安定して増えることなないようだという情報もある。
今回観たマルバツユクサは道路わきの法面に群落が広がっていたが、これが今後どうなるか、注目していきたい。
マルバツユクサは地上の普通の花のほかに、閉鎖花(へいさか)を地下に潜らせ、果実を着けるという。これもぜひ観てみたい。
また、たのしい課題ができた。


斑入りのツユクサ

話は変わるが、秋葉原の事務所の近くの植えマスに、斑入りのツユクサを見た。
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斑入りのツユクサというのははじめて見たが、ウイルスなどの感染で斑入りになることがあるのかもしれない。ギンスジツユクサという名前もあるようだが…

2012年7月21日、報告:自然観察大学 事務局O
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by sizenkansatu | 2012-07-21 13:47 | 植物 | Comments(2)

ツユクサ-2 芽生え

ツユクサの芽生えは5月はじめの観察だったが、ここで報告させていただく。

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ツユクサの芽生えは特徴があるのでわかりやすい。
傾斜地の芽生えなので、すこしへんだがおゆるいしいただきたい。
ちょっと見にはどうということのない芽生えだが、実は地下部に驚きの事実がある。

d0163696_1331919.jpg上の芽生えを掘り出し、洗ったものがこれ。

画面右に役割を終えてしぼんだ種子が残っている。
この種子からどう芽生え、どのように成長してきたのか…

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拡大してもよくわからないのだが、種子から細い柄が出ていて、それが付く箇所の上下に葉鞘のような部分があってわずかに段差が付いているのがお分かりだろうか。
実はこの柄と葉鞘のような部分が “ツユクサの子葉” なのだそうだ。
驚きの子葉だ。

このことは、この春に開催された千葉県立中央博物館の『芽生え』展で知ったことだ。

※ 博物館の案内 ⇒ http://www2.chiba-muse.or.jp/?page_id=233
企画展は2012年5月末日で終了していますが、7月20日現在でも上記サイトが見られます。この案内だけでも一見の価値ありです。


専門家とはいえ、これが子葉であるとはよくぞ解明したものだ。
実際の展示でも上の写真の状態の芽生えが紹介されていて、ツユクサの芽生えの時期を待って追体験したのだ。事前の基礎知識がなければこの子葉に気づくなんてことは、あり得なかっただろう。
ありがとうございました。

※ 当時、このブログでも「芽生え」展を紹介させていただきました。
『芽生えに注目!』    『「芽生え」展はパラダイス』 
 

ツユクサの発芽と子葉の状態を想像してみると…
①種子から子葉が出る(発芽したばかりの子葉はどんな形なのか?)
②子葉から本葉と根が出てくる(どんなふうに出るのか?)
③子葉が鞘状になる
④やがて成長し子葉は消える

といったことなのだろうか。
これを確認するには栽培する必要がありそうだ。また課題ができてしまった。

2012年7月20日、報告:自然観察大学 事務局O
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by sizenkansatu | 2012-07-20 13:28 | 植物 | Comments(2)

ツユクサ-1 花を観る

d0163696_1241452.jpgツユクサは漢字で書くと梅雨草ではなく、露草だという。
あるいはツキクサが由来(着色染料として利用された)だとも言われている。

ツユクサは夏の雑草の代表格だろう。もちろん私はツユクサの大ファンである。

ツユクサの花は一見して複雑な形をしているが、これをゆっくり観てみよう。
(文字が多くなりますがご容赦ください)

末尾のほうで一部を追記しました
(2012年7月21日)




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まず目立つのは、画面中央のπ(パイ)字型” と言われる3つの葯と、その下にある “人字型” と言われる葯、計4つある。これらは仮雄しべと言われ、実は受粉の役には立ってないという。
画面下に伸びる3本のうち、両側2本が本当の雄しべで、その間に雌しべがある。
雄しべは、全部で6本だ。

仮雄しべの役割は、派手な姿から花粉媒介昆虫を誘引するためとされている。しかし一方でツユクサはほとんどは自家受粉なのではないかとも言われている。
そういえばツユクサを訪花する昆虫はあまりいないような気がする。仮雄しべのアピール度は高いと思うのだが… うーむ。矛盾する。

角度を変えてみよう。
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本当の雄しべと雌しべがよくわかる。
その下の半透明の舌状に突き出ているのは花弁で、青紫の大きな2枚とあわせて合計3枚の花弁となる。

花を包む半月型の葉のようなものは “(ほう)”。
ちょっと失礼して、この苞をめくってみよう。
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開花中の花の右側に見えるのは、すでに終わった花で、俵形の果実ができている。
左端には未熟な蕾があるが、これは蕾のまま終わるのかもしれない。
ひとつの苞に3個の花があった。これらが順番に開花するのだが、3つと決まっているわけではなく通常1個から3個ということらしい。

さらにややこしいことに、右端にもう一本、細めの花柄が立っている。この直立する花柄にはほとんど花がつかないらしい。この日、多数の苞をめくって確認したが、すべてこの状態だった。

ずいぶん前になるが、一つの苞から二つ同時に開花するツユクサを観たことがある。
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このときは何も考えずに撮ったのだが、苞の中を想像すると、どうやらこれは直立の花柄の花と横向きの花柄の花が同時に開花したものだろうと推測される。

……………………………………………………
追記(2012年7月21日)
ツユクサに関して調べる中で、両性花と雄花があることを知った。
なかなかの植物ルーム/ツユクサ』にはツユクサに関してのたいへん詳しい観察記録がある。ぜひゆっくりご覧いただきたい。
 ⇒ http://www.juno.dti.ne.jp/~skknari/tuyu-kusa-top.htm 

たしかに上の写真の右の花には雌しべがないように見える。
今後の課題として観察を続けたい。
※ みなさんのご意見、観察報告をぜひお聞かせください。
……………………………………………………



参考: 『形とくらしの雑草図鑑』(岩瀬徹、全農教) にツユクサの花の分解が掲載されている。
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次回はツユクサの芽生えの話。

2012年7月19日、報告:自然観察大学 事務局O
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by sizenkansatu | 2012-07-19 12:55 | 植物 | Comments(0)

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