ヤブガラシの観察-1 成長と巻きひげ
なお、標準和名はヤブカラシと濁らないのだが、Yahooの検索結果の数はヤブカラシが3万件余だったのに対し、ヤブガラシは615,000件であった。ここでは、なじみのあるヤブガラシと表記した。
ヤブガラシの成長
多年草のヤブガラシは地上部が枯れても地下茎が残り、そこから芽を出す。
こうしてみると、ほかの植物よりも遅れて出てくるのは正解なのだろう。
早く出てしまって絡みつく相手がないとなると、途方に暮れてしまう。
ヤブガラシはその後もどんどん成長を続け、遅いものでは晩秋まで残ることがある。
11月17日に観た、カヤの木に絡むヤブガラシ。(↓)
高さ10m以上はあろうかという民家の庭のカヤで、これだけ大きい木だとさすがに覆い尽くすことはないが、樹冠付近までつるを伸ばしていた。
目の高さのところのつるは太さ2.5cmほどもあった。



ほとんど木のような、がっしりしたつるだ。
つる植物はほとんど茎を太らせずに伸びることに専念するのだが、長い間成長を続けるとさすがに太くなるようだ。
はたしてこの茎は、木質化するのか? 冬になったらどうなるか?
密かに注目していたのだが、残念ながらこのあと根もとからばっさりと刈り取られてしまった。残念。
巻きひげで絡む
考えてみればこれは当たり前のことで、両端を固定してねじると、その中心付近で巻く方向を変えなければならないのである。
この巻き方を“飴玉巻き”と呼びたい。飴玉をシートで包んで巻く方法で、包装紙の両端をつまんで引っ張るとほどけて飴玉が出てくる。
残念ながら、そんな呼び方は誰もしていないし、今どきの飴は個包装でフィルムに封入されているので、飴玉巻きはあまり見かけない。“飴玉巻き”の呼称は普及しにくいかもしれない。
空振りした巻きひげは?
ヤブガラシは、他物を覆い尽くした後もつるを伸ばし続ける。
上の2つの写真では、少しもとのほうにある、つまり少し古い巻きひげは空回りして巻き上がっている。
長くなるので今回はここまでとしよう。
つる植物は成長が早いので継続観察は難しいが、次回はたまたま観察できた一例を報告したい。
2025年7月8日、報告:自然観察大学 事務局 大野透
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by sizenkansatu
| 2025-07-08 22:30
| 植物
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チュウゴクアミガサハゴロモの観察






本体の幼虫も大きくなっている。黒っぽいのは翅芽(しが)という翅のもとだ。
幼虫は歩くのはゆっくりだが、危険を察知すると、ぴんっと跳ねて逃げる。
跳ねたときにはおそらく蝋物質が落ちるので、この幼虫はこれまで平穏無事に過ごしてきたということなのかもしれない。
茶褐色の粉が落ちて黒くなったのかと思っていたが、そうではないようだ。
ところで、私がこの虫をはじめて観たのは2022年の9月であった。たぶん初夏に発生したのが産卵し、その次の世代を観たのだろう。
当時ネットで調べると、和名はなく、Pochazia shantungensis の学名で検索できた。
そのときの記事では
“日本では2017年に発見され、その後何度も確認されているが、毎年飛来しているものの越冬できないという可能性もあり、帰化昆虫かどうかは不明”
といったことが記されていた。
(毎年飛来して増殖するものの、越冬できずに死に絶える昆虫というのはけっこうたくさんいる)
いまのネットの記事では、和名はチュウゴクアミガサハゴロモ、学名Ricania shantungensis と記されている。
中国原産で日本に定着していることが確認され、分類も見直されたようだ。
アミガサハゴロモ
白い斑紋が前翅の同じような位置にあるが、よく観ると斑紋の形が違っている。
よく似ているので、チュウゴクアミガサハゴロモの命名のもとになったのだろう。
なにより、尻につく毛の束は直線的できれいな扇形。
ハゴロモ類はほかにもいくつもあるが、扇が縮れているのは外国原産の種で、日本在来のハゴロモ類はどれも縮れることはないようだ。
2025年7月2日、報告:自然観察大学 事務局 大野透
追記/2025年7月9日
記事をアップしたあとで、チュウゴクアミガサハゴロモの産卵痕と思われるものが観察できたので追加しておきたい。
ネットで見られる産卵痕の写真にそっくり。今の時季に見られるアオバハゴロモの幼虫のコロニーに似ているが、幼虫は近くにはいない。

たぶんチュウゴクアミガサハゴロモの産卵痕と思われるが、産卵しているところを見たわけではないので、確証はない。
植物はクロモジの当年枝。枝を切って中に卵があるかどうかを確認したいところだが、ここは厳しく管理された植物園なのでそれはできない。
再度の訂正(2025年7月21日)
先日、チュウゴクアミガサハゴロモの産卵シーンを観察しました。
上の写真は産卵痕ではないようです。
お詫びして、正真正銘の産卵シーンを下記に報告させていただきます。
さらに追加情報(2025年8月10日)
● チュウゴクアミガサハゴロモの孵化など ⇒
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by sizenkansatu
| 2025-07-02 19:28
| 昆虫など
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イヌコリヤナギの観察
先にネコヤナギについて報告した。( ⇒ )
そのときに、よく似たイヌコリヤナギの観察記録を紹介すると予告したが、
すっかり遅くなってしまった m(_ _)m
イヌコリヤナギは水辺のやや湿ったところで野生のものをよく見かける。





拡大して観よう。


ところで、ネコヤナギはネコの尻尾が名前の由来だそうだが、イヌコリヤナギは犬の尻尾ということではないようだ。
もともと柳行李の材料にするために栽培されたコリヤナギ(行李柳)があり、それに似ているが行李の材料にはならず、役に立たないので“イヌ”なのだそうだ。
イヌコリヤナギの雄花

注目したいのは花序の基部にある葉だ。
別のイヌコリヤナギの花序でも同じように葉がある。(↓)

さて、
これがイヌコリヤナギの1個の雄花。(↓ 前回載せた写真)

基部には苞があり、先の方は黒っぽい。
この苞につく長毛が、つぼみのときのふわふわになる。
花のつけ根には棒状で黄緑色の腺体がある。
1個の花を取り出すのが難しく、上の写真はわかりにくいが、次はどうだろう。

イヌコリヤナギの雌花から果実



4月の後半になると果実が熟してくる。

この綿毛は、つぼみのときに目立った苞の毛とはまったくの別物だ。

参考:柳絮の観察 ⇒
いまの時期のイヌコリヤナギ

イヌコリヤナギもネコヤナギも株立ちする落葉低木だが、葉の出る時期は区別しやすい。
ネコヤナギのときの写真を再掲しておこう。

イヌコリヤナギ(左)は互生だが、ずれがわずかなので対生に見える。葉の縁が波打つ感じ。托葉はない。
ネコヤナギ(右)ははっきりした互生。托葉がある。
迫から初夏にかけて観察会が続いて、ブログの更新ができなかった。
一段落したので、更新の頻度を上げていきたい。
今後ともよろしくお願いします。
2025年6月24日、報告:自然観察大学 事務局 大野透
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by sizenkansatu
| 2025-06-24 19:05
| 植物
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虫の日の虫図鑑
6月4日は “虫の日”
そこで、予定変更してこの半月ほどの間に観た虫(昆虫など)をまとめてみた。
ハグロトンボ トンボ目カワトンボ科
参考:ハグロトンボと昆虫の脚 ⇒
メダカナガカメムシ カメムシ目メダカナガカメムシ科
クワキジラミ カメムシ目キジラミ科
エノキワタアブラムシ カメムシ目アブラムシ科
右の写真は、ワックスが剥げて本体の一部が現れた。
モモコフキアブラムシ カメムシ目アブラムシ科
ヒゲナガクロハバチ ハチ目ハバチ科
この時期は粉を吹いたような白色で、兄弟が行儀よく並んで食べる。
成長した幼虫は分散し、右のように全身が黒くなる。
イチモンジカメノコハムシ コウチュウ目ハムシ科
幼虫は自分の排出した糞を尻の先につけてカムフラージュしている(つもり)。
参考:ムラサキシキブとカメノコハムシ ⇒
ヨツモンカメノコハムシ コウチュウ目ハムシ科
写真は甲羅の陰からほんのすこし眼が見えている。
クズクビボソハムシ コウチュウ目ハムシ科
10年ほど前に中国から侵入したとされる。
今年、初めて江戸川べりで確認した。
クロウリハムシ コウチュウ目ハムシ科
まだ葉がほとんどないので茎を食べたのだろうか。
参考:クロウリハムシのトレンチ行動 ⇒
ヒゲナガハナノミ コウチュウ目ナガハナノミ科
幼虫は水中生活なので、この時期の谷津でよく見かける。
個体数はかなり多く、ムシヒキアブ類の格好の餌になっているようだ。
参考:ムシヒキアブ -最強伝説を解く- ⇒
ホシベニカミキリ コウチュウ目カミキリムシ科
このホシベニカミキリは、地表でアリたちに攻撃されているのを救出し、スダジイの幹で撮影。
ほんとうはクスノキ科につく。
ラミーカミキリ コウチュウ目カミキリムシ科
カラムシの栽培品種“ラミー”とともに侵入したといわれる。
写真はヤブガラシの葉に飛来したところ。この虫は活発に飛ぶ。
コフキゾウムシ コウチュウ目ゾウムシ科
名前は“コフキ”だが、表面にあるのは鱗片。鱗片がはがれると本体は黒色。
甲虫類はあまり飛ばないので撮りやすく、偏りが出てしまった。
かっこいい(個人的な趣味)ということもあるのでつい…
ホリカワクシヒゲガガンボ ハエ目ガガンボ科
名前の由来は不明のようだ。
写真は触覚のりっぱな雄。
ヒトスジシマカ ハエ目カ科
口針を深く刺すときに、口器の鞘が “く” の字に曲がる。
動かないので撮りやすいが、痒みは我慢するしかない。
ルリタテハ チョウ目タテハチョウ科
こわもてだが毒はないので安心して触ることができる。
オオシロカネグモがミカドガガンボを捕らえた
獲物のガガンボは、おそらくミカドガガンボで、ひ弱い感じに見えるが、じつはガガンボ類では最大の種。
オオシロカネグモは網を破られたが獲物は放さない。
クモ目アシナガグモ科。
ジョロウグモのまどい
このときに刺激を与えると “クモの仔を散らす” 状況になる。
クモ目ジョロウグモ科。
2025年6月4日、報告:自然観察大学 事務局 大野透
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by sizenkansatu
| 2025-06-04 23:04
| 昆虫など
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ネコヤナギの観察
ちょっと長くなるが、秋の冬芽からの観察記録にお付き合いいただきたい。
冬芽から猫の尻尾へ
2月になると、いよいよ萌芽。
芽鱗がはがれて、いよいよふさふさの毛が顔を出す。
同じ株でも、枝ごと、芽ごとに開く時間差がある。
芽鱗のはがれ方にもいろいろなパターンがあるようだ。
帽子を乗せたようなものも多い。




どれもが、この世に現れた、ほやほやの白銀の毛がある。
さて、この毛の正体は何なのだろうか。
冬芽を守るためなら、毛の外側にある芽鱗があれば十分で、この毛は要らないように思える。
謎ときは少し先になる。続きを観てみよう。
紅色から黄色へ/開花
開花といっても、雄しべが伸びてくるだけ。ネコヤナギに限らず、ヤナギのなかまは花弁もがくもない。
開花の順序、パターンもいろいろあるようだ。
つぼみの雄しべは短くて、毛に埋もれている。
写真の中央付近では雄しべが伸び、密生した毛の間から葯を突き出している。閉じた葯は紅色。
左側は、さらに雄しべが伸びて、葯が開いて黄色い花粉が現われている。この状態が開花だ。
上の写真の、雄しべのつけ根には苞が観える。苞は淡緑色で、先端は黒い。
まさに開きかけの葯は、4個のうち2個だけが開いている。
葯が紅色で、花粉が黄色。これが雄花の色が変化する仕組みだ。
ふわふわの毛の正体
このときに雄しべの間にある長い毛は、はたして何なのか?
分解して確認したいところだが、このネコヤナギは植物園でたいせつに育てられているものだ。
採集したり切ったりすることはできない。
細かいことを言うと、基部にある緑色のものは腺体。
以上、一式がイヌコリヤナギの雄花だ。
毛の正体は苞の毛であった。
イヌコリヤナギも長い毛があるが、ネコヤナギはさらに長い。このなかま(ヤナギ科ヤナギ属)でもとりわけ長いとされる。
ネコヤナギの雌花
雄花序に似ているが、雌花の先端は2裂した柱頭であることがわかる。
ところで、ネコヤナギは雌雄異株だが、私のまわりでは雌株は見かけない。
ネコヤナギは本来渓流沿いに生育するのだそうだが、私が観るのはどれも植物園などに植栽されたもの。もしかすると雄株を選んで植えているのだろうか。
野生のネコヤナギではどのような雌雄比なのだろう? ご存じの方はご教示いただきたい。
ネコヤナギとイヌコリヤナギ
ネコヤナギは互生で托葉がある。
イヌコリヤナギは互生だが、ずれが少ないので互生に見える。托葉はない。葉身は波打つ。
次回はイヌコリヤナギの予定。
2025年5月31日、報告:自然観察大学 事務局 大野透
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by sizenkansatu
| 2025-05-31 21:06
| 植物
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