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自然観察大学ブログ

ヤブガラシの観察-1 成長と巻きひげ

ここ数年の間、改めてヤブガラシに注目している。
ヤブガラシの観察-1 成長と巻きひげ_d0163696_22035804.jpg
これ(↑)は真夏のヤブガラシ。
ヤブガラシは藪や立木、生け垣などを覆って枯らしてしまうというのが名前の由来だとか…
ヤブガラシの観察-1 成長と巻きひげ_d0163696_22040671.jpg
身近にあって、いろいろとおもしろい観察ができるが、まずは基本となる、成長のようすを観ていこう。

なお、標準和名はヤブカラシと濁らないのだが、Yahooの検索結果の数はヤブカラシが3万件余だったのに対し、ヤブガラシは615,000件であった。ここでは、なじみのあるヤブガラシと表記した。


ヤブガラシの成長
ヤブガラシの観察-1 成長と巻きひげ_d0163696_22041467.jpg
初夏の芽出し。
多年草のヤブガラシは地上部が枯れても地下茎が残り、そこから芽を出す。
ほかの植物よりも少し遅れて出て、急速に成長する。(つる植物はおおむね同じパターンだ)
ヤブガラシの観察-1 成長と巻きひげ_d0163696_22042290.jpg
巻きひげでまわりの植物などに絡みつく。巻きひげは葉に向かい合わせでつく。

こうしてみると、ほかの植物よりも遅れて出てくるのは正解なのだろう。
早く出てしまって絡みつく相手がないとなると、途方に暮れてしまう。

ヤブガラシはその後もどんどん成長を続け、遅いものでは晩秋まで残ることがある。
11月17日に観た、カヤの木に絡むヤブガラシ。(↓)
ヤブガラシの観察-1 成長と巻きひげ_d0163696_22043290.jpg
高さ10m以上はあろうかという民家の庭のカヤで、これだけ大きい木だとさすがに覆い尽くすことはないが、樹冠付近までつるを伸ばしていた。
ヤブガラシの観察-1 成長と巻きひげ_d0163696_22043934.jpg
目の高さのところのつるは太さ2.5cmほどもあった。
ヤブガラシの観察-1 成長と巻きひげ_d0163696_22045338.jpg
ほとんど木のような、がっしりしたつるだ。
つる植物はほとんど茎を太らせずに伸びることに専念するのだが、長い間成長を続けるとさすがに太くなるようだ。
はたしてこの茎は、木質化するのか? 冬になったらどうなるか?
密かに注目していたのだが、残念ながらこのあと根もとからばっさりと刈り取られてしまった。残念。


巻きひげで絡む
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写真の赤味がかったつるがヤブガラシで、先端を巻き付けてから、ねじって締め上げる。
ヤブガラシの観察-1 成長と巻きひげ_d0163696_22051397.jpg
ばねのように巻いて縮むのだが、よく観ると途中で巻く方向が変わる。

考えてみればこれは当たり前のことで、両端を固定してねじると、その中心付近で巻く方向を変えなければならないのである。
この巻き方を“飴玉巻き”と呼びたい。飴玉をシートで包んで巻く方法で、包装紙の両端をつまんで引っ張るとほどけて飴玉が出てくる。
残念ながら、そんな呼び方は誰もしていないし、今どきの飴は個包装でフィルムに封入されているので、飴玉巻きはあまり見かけない。“飴玉巻き”の呼称は普及しにくいかもしれない。

ところで、ヤブガラシの巻きひげは二又になっている。
ヤブガラシの観察-1 成長と巻きひげ_d0163696_22052070.jpg
ヤブガラシの観察-1 成長と巻きひげ_d0163696_22052900.jpg
飴玉巻きのようすがわかりにくくなっているが、そんなことよりもしっかりと絡みつくことの方が重要なのだろう。


空振りした巻きひげは?
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ヤブガラシは、他物を覆い尽くした後もつるを伸ばし続ける。
だが、その先には絡むものがない。
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空振りした巻きひげは、どうするのか?
上の2つの写真では、少しもとのほうにある、つまり少し古い巻きひげは空回りして巻き上がっている。
こちら(↓)の巻きひげも、無念の空振り…
ヤブガラシの観察-1 成長と巻きひげ_d0163696_22054997.jpg
一人でねじれるほかはない。


長くなるので今回はここまでとしよう。
つる植物は成長が早いので継続観察は難しいが、次回はたまたま観察できた一例を報告したい。

2025年7月8日、報告:自然観察大学 事務局 大野透




# by sizenkansatu | 2025-07-08 22:30 | 植物 | Comments(13)

チュウゴクアミガサハゴロモの観察

文末に追記があります。(2025年7月9日)
再度の訂正(2025年7月21日)

チュウゴクアミガサハゴロモの観察_d0163696_19230178.jpg
ここ数年、たいへんに目立っているチュウゴクアミガサハゴロモの幼虫。
チュウゴクアミガサハゴロモの観察_d0163696_19230835.jpg
ハゴロモ類の幼虫は腹部の末端に分泌腺があって、白い毛の束(蝋物質)をつけて扇のように広げる。
チュウゴクアミガサハゴロモの観察_d0163696_19231405.jpg
チュウゴクアミガサハゴロモはそれが縮れたようになっているのが特徴だ。
チュウゴクアミガサハゴロモの観察_d0163696_19232016.jpg
ときどきは白い毛が直線的なもの(↑)もいるが、これから縮れていくのだろうか。
チュウゴクアミガサハゴロモの観察_d0163696_19232551.jpg
こんなふうに(↑)固まって帯状になっているのもいる。
チュウゴクアミガサハゴロモの観察_d0163696_19233003.jpg
前にまわりこんで観ると(↑)、少し前の大みそかの小林幸子さんの衣装のようだ。
本体の幼虫も大きくなっている。黒っぽいのは翅芽(しが)という翅のもとだ。

幼虫は歩くのはゆっくりだが、危険を察知すると、ぴんっと跳ねて逃げる。
跳ねたときにはおそらく蝋物質が落ちるので、この幼虫はこれまで平穏無事に過ごしてきたということなのかもしれない。

さて、成虫はこちら、今年の6月末に観ている。
チュウゴクアミガサハゴロモの観察_d0163696_19233652.jpg
茶褐色の粉が吹いたようになっていて、翅の端にある白い斑紋が特徴だ。

こちらは真っ黒の成虫。(↓)
チュウゴクアミガサハゴロモの観察_d0163696_19234269.jpg
ネットで調べると、羽化直後は真っ黒で、そのあと茶褐色になるらしい。
茶褐色の粉が落ちて黒くなったのかと思っていたが、そうではないようだ。


幼虫は植物の茎に口針を刺して吸汁するので、農業場面でも警戒されている。
チュウゴクアミガサハゴロモの観察_d0163696_19234813.jpg
チュウゴクアミガサハゴロモの観察_d0163696_19235556.jpg
食草は各種の草本、木本。植物の種類を選ばず、ほとんど何でもよいようだ。


ところで、私がこの虫をはじめて観たのは2022年の9月であった。たぶん初夏に発生したのが産卵し、その次の世代を観たのだろう。
当時ネットで調べると、和名はなく、Pochazia shantungensis の学名で検索できた。
そのときの記事では
“日本では2017年に発見され、その後何度も確認されているが、毎年飛来しているものの越冬できないという可能性もあり、帰化昆虫かどうかは不明”
といったことが記されていた。
(毎年飛来して増殖するものの、越冬できずに死に絶える昆虫というのはけっこうたくさんいる)

いまのネットの記事では、和名はチュウゴクアミガサハゴロモ、学名Ricania shantungensis と記されている。
中国原産で日本に定着していることが確認され、分類も見直されたようだ。


アミガサハゴロモ
よく似たアミガサハゴロモも載せておこう。
チュウゴクアミガサハゴロモの観察_d0163696_19240293.jpg
成虫は同様に粉が吹いたようになっているが、こちらの粉は緑がかっている。
白い斑紋が前翅の同じような位置にあるが、よく観ると斑紋の形が違っている。
よく似ているので、チュウゴクアミガサハゴロモの命名のもとになったのだろう。

幼虫はこちら。(↓)
チュウゴクアミガサハゴロモの観察_d0163696_19241352.jpg
体色は白が基調だが、茶褐色の部分がある。
なにより、尻につく毛の束は直線的できれいな扇形。
ハゴロモ類はほかにもいくつもあるが、扇が縮れているのは外国原産の種で、日本在来のハゴロモ類はどれも縮れることはないようだ。

2025年7月2日、報告:自然観察大学 事務局 大野透

追記/2025年7月9日

記事をアップしたあとで、チュウゴクアミガサハゴロモの産卵痕と思われるものが観察できたので追加しておきたい。
チュウゴクアミガサハゴロモの観察_d0163696_05522726.jpg
ネットで見られる産卵痕の写真にそっくり。今の時季に見られるアオバハゴロモの幼虫のコロニーに似ているが、幼虫は近くにはいない。
たぶんチュウゴクアミガサハゴロモの産卵痕と思われるが、産卵しているところを見たわけではないので、確証はない。

別の枝で、こんどは白いワックスを取り除いて撮った。
チュウゴクアミガサハゴロモの観察_d0163696_05523584.jpg
茶褐色のすじが、成虫が産卵管を刺し込んだ痕と思われる。
植物はクロモジの当年枝。枝を切って中に卵があるかどうかを確認したいところだが、ここは厳しく管理された植物園なのでそれはできない。

再度の訂正(2025年7月21日)
先日、チュウゴクアミガサハゴロモの産卵シーンを観察しました。
上の写真は産卵痕ではないようです。
お詫びして、正真正銘の産卵シーンを下記に報告させていただきます。
チュウゴクアミガサハゴロモの産卵  

さらに追加情報(2025年8月10日)
● チュウゴクアミガサハゴロモの孵化など  




# by sizenkansatu | 2025-07-02 19:28 | 昆虫など | Comments(16)

イヌコリヤナギの観察

先にネコヤナギについて報告した。(

そのときに、よく似たイヌコリヤナギの観察記録を紹介すると予告したが、

すっかり遅くなってしまった m(_ _)m


イヌコリヤナギは水辺のやや湿ったところで野生のものをよく見かける。


花を観たのは2月末から3月半ばごろ。(今ごろすみません)
イヌコリヤナギの観察_d0163696_18390061.jpg
花はネコヤナギによく似ている。(写真はイヌコリヤナギの雄花序)
イヌコリヤナギの観察_d0163696_18390727.jpg
紅色の雄しべの葯が開いて黄色に変わるのは、ネコヤナギと同じだ。


イヌコリヤナギの観察_d0163696_18391761.jpg
花が咲く前、つぼみのころには花序がふさふさの白銀の毛でおおわれるのもネコヤナギと同じ。
イヌコリヤナギの観察_d0163696_18392477.jpg
イヌコリヤナギ(↑)に対して、ネコヤナギ(↓)は花序が大きめで毛が長い。
イヌコリヤナギの観察_d0163696_18393209.jpg


拡大して観よう。

イヌコリヤナギの観察_d0163696_18394143.jpg
イヌコリヤナギ(↑)とネコヤナギ(↓)。
イヌコリヤナギの観察_d0163696_18394979.jpg
毛の長さはずいぶん違う。


ところで、ネコヤナギはネコの尻尾が名前の由来だそうだが、イヌコリヤナギは犬の尻尾ということではないようだ。

もともと柳行李の材料にするために栽培されたコリヤナギ(行李柳)があり、それに似ているが行李の材料にはならず、役に立たないので“イヌ”なのだそうだ。



イヌコリヤナギの雄花

イヌコリヤナギの観察_d0163696_18395839.jpg
紅色から黄色に変わる雄花(雄しべの葯)はネコヤナギと同じだが、毛が短い分だけネコヤナギよりも美しいと思う。

注目したいのは花序の基部にある葉だ。

別のイヌコリヤナギの花序でも同じように葉がある。(↓)

イヌコリヤナギの観察_d0163696_18400521.jpg
この葉はネコヤナギにはないので、両種を見分けるポイントになる。


さて、

これがイヌコリヤナギの1個の雄花。(↓ 前回載せた写真)

イヌコリヤナギの観察_d0163696_18401231.jpg
雄しべは1本に見えるが2本が合着したもので、葯は4個ある。

基部には苞があり、先の方は黒っぽい。

この苞につく長毛が、つぼみのときのふわふわになる。

花のつけ根には棒状で黄緑色の腺体がある。

1個の花を取り出すのが難しく、上の写真はわかりにくいが、次はどうだろう。

イヌコリヤナギの観察_d0163696_18402265.jpg
苞と長毛、腺体、こちらのほうがよくわかるかも…



イヌコリヤナギの雌花から果実

イヌコリヤナギの観察_d0163696_18402961.jpg
イヌコリヤナギはネコヤナギと違って雌株がたくさん見られる。
イヌコリヤナギの観察_d0163696_18403925.jpg
雌しべの先(柱頭)は2つに分かれる。
イヌコリヤナギの観察_d0163696_18404943.jpg
柱頭が淡緑黄色のものと淡紅色のものとがあるが、開花後に時間とともに赤味を帯びるのかもしれない。


4月の後半になると果実が熟してくる。

イヌコリヤナギの観察_d0163696_18410942.jpg
種子には多量の綿毛がつく。

この綿毛は、つぼみのときに目立った苞の毛とはまったくの別物だ。

イヌコリヤナギの観察_d0163696_18412789.jpg
綿毛をまとった種子は、ヤナギのなかまに特有の“柳絮”となって空を舞う。

参考:柳絮の観察  


いまの時期のイヌコリヤナギ

イヌコリヤナギの観察_d0163696_18413636.jpg
6月のいま、イヌコリヤナギはこんな感じ。


イヌコリヤナギもネコヤナギも株立ちする落葉低木だが、葉の出る時期は区別しやすい。

ネコヤナギのときの写真を再掲しておこう。

イヌコリヤナギの観察_d0163696_18414388.jpg

イヌコリヤナギ(左)は互生だが、ずれがわずかなので対生に見える。葉の縁が波打つ感じ。托葉はない。

ネコヤナギ(右)ははっきりした互生。托葉がある。


迫から初夏にかけて観察会が続いて、ブログの更新ができなかった。

一段落したので、更新の頻度を上げていきたい。

今後ともよろしくお願いします。


2025年6月24日、報告:自然観察大学 事務局 大野透





# by sizenkansatu | 2025-06-24 19:05 | 植物 | Comments(0)

虫の日の虫図鑑

6月4日は “虫の日”
そこで、予定変更してこの半月ほどの間に観た虫(昆虫など)をまとめてみた。

ハグロトンボ トンボ目カワトンボ科
虫の日の虫図鑑_d0163696_22400487.jpg
金緑色のボディー(雄)が美しく、そのうえ光の加減で翅脈が金色に輝く。
参考:ハグロトンボと昆虫の脚  


メダカナガカメムシ カメムシ目メダカナガカメムシ科
虫の日の虫図鑑_d0163696_22401241.jpg
複眼が飛び出しているので “眼高”
写真からは大きさがわからないが、体長は2~3mmとごく小さい。
虫の日の虫図鑑_d0163696_22402083.jpg
クズの葉の裏で集団で吸汁し、吸われたところは色が抜けてしまう。


クワキジラミ カメムシ目キジラミ科
虫の日の虫図鑑_d0163696_22403324.jpg
今の季節に、クワ類の葉の裏に集団で見られる。
白い糸状のものは幼虫が分泌したワックスで、触れると溶けてなくなる。
虫の日の虫図鑑_d0163696_22404138.jpg
成虫はごく小さなセミといった感じで、薄緑色から淡褐色になる。


エノキワタアブラムシ カメムシ目アブラムシ科
虫の日の虫図鑑_d0163696_22404998.jpg
全身に白いワックスをまとい、初夏の雪虫のように舞う。
右の写真は、ワックスが剥げて本体の一部が現れた。


モモコフキアブラムシ カメムシ目アブラムシ科
虫の日の虫図鑑_d0163696_22405641.jpg
今の季節はヨシなどのイネ科植物につく(二次寄主)が、このあとモモなどに戻る(一次寄主)


ヒゲナガクロハバチ ハチ目ハバチ科
虫の日の虫図鑑_d0163696_22410516.jpg
左はサルトリイバラの葉を食べる若齢幼虫。
この時期は粉を吹いたような白色で、兄弟が行儀よく並んで食べる。
成長した幼虫は分散し、右のように全身が黒くなる。


イチモンジカメノコハムシ コウチュウ目ハムシ科
虫の日の虫図鑑_d0163696_22411845.jpg
ムラサキシキブの葉で成虫と幼虫が見られた。
幼虫は自分の排出した糞を尻の先につけてカムフラージュしている(つもり)。
参考:ムラサキシキブとカメノコハムシ  


ヨツモンカメノコハムシ コウチュウ目ハムシ科
虫の日の虫図鑑_d0163696_22412486.jpg
もとは暖地に分布していたが、近年は関東でも見られ、サツマイモなどヒルガオ科の害虫とされる。
写真は甲羅の陰からほんのすこし眼が見えている。


クズクビボソハムシ コウチュウ目ハムシ科
虫の日の虫図鑑_d0163696_22413152.jpg
クズの葉を食べ、穴だらけにする。
10年ほど前に中国から侵入したとされる。
今年、初めて江戸川べりで確認した。


クロウリハムシ コウチュウ目ハムシ科
虫の日の虫図鑑_d0163696_22413864.jpg
つるを伸ばしはじめたカラスウリの先端を食べていた。
まだ葉がほとんどないので茎を食べたのだろうか。
参考:クロウリハムシのトレンチ行動  


ヒゲナガハナノミ コウチュウ目ナガハナノミ科
虫の日の虫図鑑_d0163696_22414529.jpg
雄は褐色で雌は黒色。
幼虫は水中生活なので、この時期の谷津でよく見かける。
個体数はかなり多く、ムシヒキアブ類の格好の餌になっているようだ。
参考:ムシヒキアブ -最強伝説を解く-  


ホシベニカミキリ コウチュウ目カミキリムシ科
虫の日の虫図鑑_d0163696_22415334.jpg
左右非対称の小粋な斑紋。長年あこがれてきた虫にはじめてご対面。
このホシベニカミキリは、地表でアリたちに攻撃されているのを救出し、スダジイの幹で撮影。
ほんとうはクスノキ科につく。


ラミーカミキリ コウチュウ目カミキリムシ科
虫の日の虫図鑑_d0163696_22415900.jpg
タキシードを着たようなおしゃれな装い。
カラムシの栽培品種“ラミー”とともに侵入したといわれる。
写真はヤブガラシの葉に飛来したところ。この虫は活発に飛ぶ。


コフキゾウムシ コウチュウ目ゾウムシ科
虫の日の虫図鑑_d0163696_22420660.jpg
クズの葉の縁をかじる。
名前は“コフキ”だが、表面にあるのは鱗片。鱗片がはがれると本体は黒色。


甲虫類はあまり飛ばないので撮りやすく、偏りが出てしまった。
かっこいい(個人的な趣味)ということもあるのでつい…


ホリカワクシヒゲガガンボ ハエ目ガガンボ科
虫の日の虫図鑑_d0163696_22421487.jpg
ちょっと見にはスズメバチと勘違いするほどごっつい。
名前の由来は不明のようだ。
写真は触覚のりっぱな雄。


ヒトスジシマカ ハエ目カ科
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言わずと知れた藪蚊。写真は私の左手甲を吸血しているところ。
口針を深く刺すときに、口器の鞘が “く” の字に曲がる。
動かないので撮りやすいが、痒みは我慢するしかない。


ルリタテハ チョウ目タテハチョウ科
虫の日の虫図鑑_d0163696_22423080.jpg
タテハチョウ類の幼虫はつわもの揃いだが、ルリタテハは最強かも。
こわもてだが毒はないので安心して触ることができる。
いまの時季はサルトリイバラで見かける。
虫の日の虫図鑑_d0163696_22423769.jpg
成虫は小粋な縞模様。よく見ると濃色ぶぶんも瑠璃色に輝く。


オオシロカネグモがミカドガガンボを捕らえた
虫の日の虫図鑑_d0163696_22424543.jpg
オオシロカネグモは名前のとおり白銀色のクモ。
獲物のガガンボは、おそらくミカドガガンボで、ひ弱い感じに見えるが、じつはガガンボ類では最大の種。
オオシロカネグモは網を破られたが獲物は放さない。
クモ目アシナガグモ科。


ジョロウグモのまどい
虫の日の虫図鑑_d0163696_22425214.jpg
2齢のジョロウグモはいつも団子状にまとまっているが、その理由は知られてないようだ。
このときに刺激を与えると “クモの仔を散らす” 状況になる。
クモ目ジョロウグモ科。

2025年6月4日、報告:自然観察大学 事務局 大野透




# by sizenkansatu | 2025-06-04 23:04 | 昆虫など | Comments(2)

ネコヤナギの観察

2月末から3月はじめのネコヤナギ。(今ごろすみません)
ネコヤナギの観察_d0163696_20483931.jpg
つぼみのときにふさふさの毛でおおわれ、名前の由来とされるネコの尻尾のようになる。
ネコヤナギの観察_d0163696_20484719.jpg
この毛の正体は何なのか?
ちょっと長くなるが、秋の冬芽からの観察記録にお付き合いいただきたい。


冬芽から猫の尻尾へ
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11月末のネコヤナギ。葉腋にはりっぱな冬芽。

やがて葉が落ちて越年して…
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冬芽が膨らんでくる。

2月になると、いよいよ萌芽。
ネコヤナギの観察_d0163696_20491303.jpg
芽鱗がはがれて、いよいよふさふさの毛が顔を出す。
ネコヤナギの観察_d0163696_20492427.jpg
同じ株でも、枝ごと、芽ごとに開く時間差がある。
ネコヤナギの観察_d0163696_20493175.jpg
芽鱗のはがれ方にもいろいろなパターンがあるようだ。
ネコヤナギの観察_d0163696_20494052.jpg
帽子を乗せたようなものも多い。
どれもが、この世に現れた、ほやほやの白銀の毛がある。

さて、この毛の正体は何なのだろうか。
冬芽を守るためなら、毛の外側にある芽鱗があれば十分で、この毛は要らないように思える。
謎ときは少し先になる。続きを観てみよう。


紅色から黄色へ/開花
ネコヤナギの観察_d0163696_20541513.jpg
2月の後半になると、いよいよ開花がはじまる。
開花といっても、雄しべが伸びてくるだけ。ネコヤナギに限らず、ヤナギのなかまは花弁もがくもない。

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一つの花序の中でも一斉に開花するのではなく、少しずつ開く。
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この花序(↑)では、もとのほう半分ほどの花が咲いていて、先の半分はまだつぼみだ。
開花の順序、パターンもいろいろあるようだ。

ネコヤナギのつぼみ~開花を詳しく観てみよう。
ネコヤナギの観察_d0163696_20544131.jpg
この写真(↑)では、右側がつぼみで左側が開花した花。
つぼみの雄しべは短くて、毛に埋もれている。
写真の中央付近では雄しべが伸び、密生した毛の間から葯を突き出している。閉じた葯は紅色。
左側は、さらに雄しべが伸びて、葯が開いて黄色い花粉が現われている。この状態が開花だ。

上の写真の、雄しべのつけ根には苞が観える。苞は淡緑色で、先端は黒い。
これとは別に、全体が赤味の強い花序を見かける。
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赤味の強いのは、苞が紅色になっているためらしい。

さて、葯が開く、ちょうどその瞬間の花があった。(↓)
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雄しべは1本に見えるが、これは2個が合着したものだそうで、先端の葯は4個ある。
まさに開きかけの葯は、4個のうち2個だけが開いている。
葯が紅色で、花粉が黄色。これが雄花の色が変化する仕組みだ。


ふわふわの毛の正体
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これ(↑)はまだ雄しべが短いつぼみの状態。
このときに雄しべの間にある長い毛は、はたして何なのか?

分解して確認したいところだが、このネコヤナギは植物園でたいせつに育てられているものだ。
採集したり切ったりすることはできない。
そこで、別の場所でネコヤナギによく似たイヌコリヤナギを採集し、1個の雄花を取り出してみた。
ネコヤナギの観察_d0163696_20550848.jpg
雄しべの根元のところに苞があり、苞には長い毛がある。
細かいことを言うと、基部にある緑色のものは腺体。
以上、一式がイヌコリヤナギの雄花だ。

毛の正体は苞の毛であった。
イヌコリヤナギも長い毛があるが、ネコヤナギはさらに長い。このなかま(ヤナギ科ヤナギ属)でもとりわけ長いとされる。


ネコヤナギの雌花
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これ(↑)はずいぶん前に撮った雌花序。
雄花序に似ているが、雌花の先端は2裂した柱頭であることがわかる。

ところで、ネコヤナギは雌雄異株だが、私のまわりでは雌株は見かけない。
ネコヤナギは本来渓流沿いに生育するのだそうだが、私が観るのはどれも植物園などに植栽されたもの。もしかすると雄株を選んで植えているのだろうか。
野生のネコヤナギではどのような雌雄比なのだろう? ご存じの方はご教示いただきたい。


ネコヤナギとイヌコリヤナギ
ネコヤナギの観察_d0163696_20561189.jpg
ネコヤナギ(↑)とイヌコリヤナギ(↓)
ネコヤナギの観察_d0163696_20561857.jpg
この2種の花は似ているが、葉のある時期は違いがはっきりする。
ネコヤナギは互生で托葉がある。
イヌコリヤナギは互生だが、ずれが少ないので互生に見える。托葉はない。葉身は波打つ。

次回はイヌコリヤナギの予定。

2025年5月31日、報告:自然観察大学 事務局 大野透




# by sizenkansatu | 2025-05-31 21:06 | 植物 | Comments(4)

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