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自然観察大学ブログ

イヌコリヤナギの観察

先にネコヤナギについて報告した。(

そのときに、よく似たイヌコリヤナギの観察記録を紹介すると予告したが、

すっかり遅くなってしまった m(_ _)m


イヌコリヤナギは水辺のやや湿ったところで野生のものをよく見かける。


花を観たのは2月末から3月半ばごろ。(今ごろすみません)
イヌコリヤナギの観察_d0163696_18390061.jpg
花はネコヤナギによく似ている。(写真はイヌコリヤナギの雄花序)
イヌコリヤナギの観察_d0163696_18390727.jpg
紅色の雄しべの葯が開いて黄色に変わるのは、ネコヤナギと同じだ。


イヌコリヤナギの観察_d0163696_18391761.jpg
花が咲く前、つぼみのころには花序がふさふさの白銀の毛でおおわれるのもネコヤナギと同じ。
イヌコリヤナギの観察_d0163696_18392477.jpg
イヌコリヤナギ(↑)に対して、ネコヤナギ(↓)は花序が大きめで毛が長い。
イヌコリヤナギの観察_d0163696_18393209.jpg


拡大して観よう。

イヌコリヤナギの観察_d0163696_18394143.jpg
イヌコリヤナギ(↑)とネコヤナギ(↓)。
イヌコリヤナギの観察_d0163696_18394979.jpg
毛の長さはずいぶん違う。


ところで、ネコヤナギはネコの尻尾が名前の由来だそうだが、イヌコリヤナギは犬の尻尾ということではないようだ。

もともと柳行李の材料にするために栽培されたコリヤナギ(行李柳)があり、それに似ているが行李の材料にはならず、役に立たないので“イヌ”なのだそうだ。



イヌコリヤナギの雄花

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紅色から黄色に変わる雄花(雄しべの葯)はネコヤナギと同じだが、毛が短い分だけネコヤナギよりも美しいと思う。

注目したいのは花序の基部にある葉だ。

別のイヌコリヤナギの花序でも同じように葉がある。(↓)

イヌコリヤナギの観察_d0163696_18400521.jpg
この葉はネコヤナギにはないので、両種を見分けるポイントになる。


さて、

これがイヌコリヤナギの1個の雄花。(↓ 前回載せた写真)

イヌコリヤナギの観察_d0163696_18401231.jpg
雄しべは1本に見えるが2本が合着したもので、葯は4個ある。

基部には苞があり、先の方は黒っぽい。

この苞につく長毛が、つぼみのときのふわふわになる。

花のつけ根には棒状で黄緑色の腺体がある。

1個の花を取り出すのが難しく、上の写真はわかりにくいが、次はどうだろう。

イヌコリヤナギの観察_d0163696_18402265.jpg
苞と長毛、腺体、こちらのほうがよくわかるかも…



イヌコリヤナギの雌花から果実

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イヌコリヤナギはネコヤナギと違って雌株がたくさん見られる。
イヌコリヤナギの観察_d0163696_18403925.jpg
雌しべの先(柱頭)は2つに分かれる。
イヌコリヤナギの観察_d0163696_18404943.jpg
柱頭が淡緑黄色のものと淡紅色のものとがあるが、開花後に時間とともに赤味を帯びるのかもしれない。


4月の後半になると果実が熟してくる。

イヌコリヤナギの観察_d0163696_18410942.jpg
種子には多量の綿毛がつく。

この綿毛は、つぼみのときに目立った苞の毛とはまったくの別物だ。

イヌコリヤナギの観察_d0163696_18412789.jpg
綿毛をまとった種子は、ヤナギのなかまに特有の“柳絮”となって空を舞う。

参考:柳絮の観察  


いまの時期のイヌコリヤナギ

イヌコリヤナギの観察_d0163696_18413636.jpg
6月のいま、イヌコリヤナギはこんな感じ。


イヌコリヤナギもネコヤナギも株立ちする落葉低木だが、葉の出る時期は区別しやすい。

ネコヤナギのときの写真を再掲しておこう。

イヌコリヤナギの観察_d0163696_18414388.jpg

イヌコリヤナギ(左)は互生だが、ずれがわずかなので対生に見える。葉の縁が波打つ感じ。托葉はない。

ネコヤナギ(右)ははっきりした互生。托葉がある。


迫から初夏にかけて観察会が続いて、ブログの更新ができなかった。

一段落したので、更新の頻度を上げていきたい。

今後ともよろしくお願いします。


2025年6月24日、報告:自然観察大学 事務局 大野透





# by sizenkansatu | 2025-06-24 19:05 | 植物 | Comments(0)

虫の日の虫図鑑

6月4日は “虫の日”
そこで、予定変更してこの半月ほどの間に観た虫(昆虫など)をまとめてみた。

ハグロトンボ トンボ目カワトンボ科
虫の日の虫図鑑_d0163696_22400487.jpg
金緑色のボディー(雄)が美しく、そのうえ光の加減で翅脈が金色に輝く。
参考:ハグロトンボと昆虫の脚  


メダカナガカメムシ カメムシ目メダカナガカメムシ科
虫の日の虫図鑑_d0163696_22401241.jpg
複眼が飛び出しているので “眼高”
写真からは大きさがわからないが、体長は2~3mmとごく小さい。
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クズの葉の裏で集団で吸汁し、吸われたところは色が抜けてしまう。


クワキジラミ カメムシ目キジラミ科
虫の日の虫図鑑_d0163696_22403324.jpg
今の季節に、クワ類の葉の裏に集団で見られる。
白い糸状のものは幼虫が分泌したワックスで、触れると溶けてなくなる。
虫の日の虫図鑑_d0163696_22404138.jpg
成虫はごく小さなセミといった感じで、薄緑色から淡褐色になる。


エノキワタアブラムシ カメムシ目アブラムシ科
虫の日の虫図鑑_d0163696_22404998.jpg
全身に白いワックスをまとい、初夏の雪虫のように舞う。
右の写真は、ワックスが剥げて本体の一部が現れた。


モモコフキアブラムシ カメムシ目アブラムシ科
虫の日の虫図鑑_d0163696_22405641.jpg
今の季節はヨシなどのイネ科植物につく(二次寄主)が、このあとモモなどに戻る(一次寄主)


ヒゲナガクロハバチ ハチ目ハバチ科
虫の日の虫図鑑_d0163696_22410516.jpg
左はサルトリイバラの葉を食べる若齢幼虫。
この時期は粉を吹いたような白色で、兄弟が行儀よく並んで食べる。
成長した幼虫は分散し、右のように全身が黒くなる。


イチモンジカメノコハムシ コウチュウ目ハムシ科
虫の日の虫図鑑_d0163696_22411845.jpg
ムラサキシキブの葉で成虫と幼虫が見られた。
幼虫は自分の排出した糞を尻の先につけてカムフラージュしている(つもり)。
参考:ムラサキシキブとカメノコハムシ  


ヨツモンカメノコハムシ コウチュウ目ハムシ科
虫の日の虫図鑑_d0163696_22412486.jpg
もとは暖地に分布していたが、近年は関東でも見られ、サツマイモなどヒルガオ科の害虫とされる。
写真は甲羅の陰からほんのすこし眼が見えている。


クズクビボソハムシ コウチュウ目ハムシ科
虫の日の虫図鑑_d0163696_22413152.jpg
クズの葉を食べ、穴だらけにする。
10年ほど前に中国から侵入したとされる。
今年、初めて江戸川べりで確認した。


クロウリハムシ コウチュウ目ハムシ科
虫の日の虫図鑑_d0163696_22413864.jpg
つるを伸ばしはじめたカラスウリの先端を食べていた。
まだ葉がほとんどないので茎を食べたのだろうか。
参考:クロウリハムシのトレンチ行動  


ヒゲナガハナノミ コウチュウ目ナガハナノミ科
虫の日の虫図鑑_d0163696_22414529.jpg
雄は褐色で雌は黒色。
幼虫は水中生活なので、この時期の谷津でよく見かける。
個体数はかなり多く、ムシヒキアブ類の格好の餌になっているようだ。
参考:ムシヒキアブ -最強伝説を解く-  


ホシベニカミキリ コウチュウ目カミキリムシ科
虫の日の虫図鑑_d0163696_22415334.jpg
左右非対称の小粋な斑紋。長年あこがれてきた虫にはじめてご対面。
このホシベニカミキリは、地表でアリたちに攻撃されているのを救出し、スダジイの幹で撮影。
ほんとうはクスノキ科につく。


ラミーカミキリ コウチュウ目カミキリムシ科
虫の日の虫図鑑_d0163696_22415900.jpg
タキシードを着たようなおしゃれな装い。
カラムシの栽培品種“ラミー”とともに侵入したといわれる。
写真はヤブガラシの葉に飛来したところ。この虫は活発に飛ぶ。


コフキゾウムシ コウチュウ目ゾウムシ科
虫の日の虫図鑑_d0163696_22420660.jpg
クズの葉の縁をかじる。
名前は“コフキ”だが、表面にあるのは鱗片。鱗片がはがれると本体は黒色。


甲虫類はあまり飛ばないので撮りやすく、偏りが出てしまった。
かっこいい(個人的な趣味)ということもあるのでつい…


ホリカワクシヒゲガガンボ ハエ目ガガンボ科
虫の日の虫図鑑_d0163696_22421487.jpg
ちょっと見にはスズメバチと勘違いするほどごっつい。
名前の由来は不明のようだ。
写真は触覚のりっぱな雄。


ヒトスジシマカ ハエ目カ科
虫の日の虫図鑑_d0163696_22422188.jpg
言わずと知れた藪蚊。写真は私の左手甲を吸血しているところ。
口針を深く刺すときに、口器の鞘が “く” の字に曲がる。
動かないので撮りやすいが、痒みは我慢するしかない。


ルリタテハ チョウ目タテハチョウ科
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タテハチョウ類の幼虫はつわもの揃いだが、ルリタテハは最強かも。
こわもてだが毒はないので安心して触ることができる。
いまの時季はサルトリイバラで見かける。
虫の日の虫図鑑_d0163696_22423769.jpg
成虫は小粋な縞模様。よく見ると濃色ぶぶんも瑠璃色に輝く。


オオシロカネグモがミカドガガンボを捕らえた
虫の日の虫図鑑_d0163696_22424543.jpg
オオシロカネグモは名前のとおり白銀色のクモ。
獲物のガガンボは、おそらくミカドガガンボで、ひ弱い感じに見えるが、じつはガガンボ類では最大の種。
オオシロカネグモは網を破られたが獲物は放さない。
クモ目アシナガグモ科。


ジョロウグモのまどい
虫の日の虫図鑑_d0163696_22425214.jpg
2齢のジョロウグモはいつも団子状にまとまっているが、その理由は知られてないようだ。
このときに刺激を与えると “クモの仔を散らす” 状況になる。
クモ目ジョロウグモ科。

2025年6月4日、報告:自然観察大学 事務局 大野透




# by sizenkansatu | 2025-06-04 23:04 | 昆虫など | Comments(2)

ネコヤナギの観察

2月末から3月はじめのネコヤナギ。(今ごろすみません)
ネコヤナギの観察_d0163696_20483931.jpg
つぼみのときにふさふさの毛でおおわれ、名前の由来とされるネコの尻尾のようになる。
ネコヤナギの観察_d0163696_20484719.jpg
この毛の正体は何なのか?
ちょっと長くなるが、秋の冬芽からの観察記録にお付き合いいただきたい。


冬芽から猫の尻尾へ
ネコヤナギの観察_d0163696_20485305.jpg
11月末のネコヤナギ。葉腋にはりっぱな冬芽。

やがて葉が落ちて越年して…
ネコヤナギの観察_d0163696_20490193.jpg
冬芽が膨らんでくる。

2月になると、いよいよ萌芽。
ネコヤナギの観察_d0163696_20491303.jpg
芽鱗がはがれて、いよいよふさふさの毛が顔を出す。
ネコヤナギの観察_d0163696_20492427.jpg
同じ株でも、枝ごと、芽ごとに開く時間差がある。
ネコヤナギの観察_d0163696_20493175.jpg
芽鱗のはがれ方にもいろいろなパターンがあるようだ。
ネコヤナギの観察_d0163696_20494052.jpg
帽子を乗せたようなものも多い。
どれもが、この世に現れた、ほやほやの白銀の毛がある。

さて、この毛の正体は何なのだろうか。
冬芽を守るためなら、毛の外側にある芽鱗があれば十分で、この毛は要らないように思える。
謎ときは少し先になる。続きを観てみよう。


紅色から黄色へ/開花
ネコヤナギの観察_d0163696_20541513.jpg
2月の後半になると、いよいよ開花がはじまる。
開花といっても、雄しべが伸びてくるだけ。ネコヤナギに限らず、ヤナギのなかまは花弁もがくもない。

ネコヤナギの観察_d0163696_20542562.jpg
一つの花序の中でも一斉に開花するのではなく、少しずつ開く。
ネコヤナギの観察_d0163696_20543212.jpg
この花序(↑)では、もとのほう半分ほどの花が咲いていて、先の半分はまだつぼみだ。
開花の順序、パターンもいろいろあるようだ。

ネコヤナギのつぼみ~開花を詳しく観てみよう。
ネコヤナギの観察_d0163696_20544131.jpg
この写真(↑)では、右側がつぼみで左側が開花した花。
つぼみの雄しべは短くて、毛に埋もれている。
写真の中央付近では雄しべが伸び、密生した毛の間から葯を突き出している。閉じた葯は紅色。
左側は、さらに雄しべが伸びて、葯が開いて黄色い花粉が現われている。この状態が開花だ。

上の写真の、雄しべのつけ根には苞が観える。苞は淡緑色で、先端は黒い。
これとは別に、全体が赤味の強い花序を見かける。
ネコヤナギの観察_d0163696_20544950.jpg
赤味の強いのは、苞が紅色になっているためらしい。

さて、葯が開く、ちょうどその瞬間の花があった。(↓)
ネコヤナギの観察_d0163696_20545647.jpg
雄しべは1本に見えるが、これは2個が合着したものだそうで、先端の葯は4個ある。
まさに開きかけの葯は、4個のうち2個だけが開いている。
葯が紅色で、花粉が黄色。これが雄花の色が変化する仕組みだ。


ふわふわの毛の正体
ネコヤナギの観察_d0163696_20550224.jpg
これ(↑)はまだ雄しべが短いつぼみの状態。
このときに雄しべの間にある長い毛は、はたして何なのか?

分解して確認したいところだが、このネコヤナギは植物園でたいせつに育てられているものだ。
採集したり切ったりすることはできない。
そこで、別の場所でネコヤナギによく似たイヌコリヤナギを採集し、1個の雄花を取り出してみた。
ネコヤナギの観察_d0163696_20550848.jpg
雄しべの根元のところに苞があり、苞には長い毛がある。
細かいことを言うと、基部にある緑色のものは腺体。
以上、一式がイヌコリヤナギの雄花だ。

毛の正体は苞の毛であった。
イヌコリヤナギも長い毛があるが、ネコヤナギはさらに長い。このなかま(ヤナギ科ヤナギ属)でもとりわけ長いとされる。


ネコヤナギの雌花
ネコヤナギの観察_d0163696_20555707.jpg
これ(↑)はずいぶん前に撮った雌花序。
雄花序に似ているが、雌花の先端は2裂した柱頭であることがわかる。

ところで、ネコヤナギは雌雄異株だが、私のまわりでは雌株は見かけない。
ネコヤナギは本来渓流沿いに生育するのだそうだが、私が観るのはどれも植物園などに植栽されたもの。もしかすると雄株を選んで植えているのだろうか。
野生のネコヤナギではどのような雌雄比なのだろう? ご存じの方はご教示いただきたい。


ネコヤナギとイヌコリヤナギ
ネコヤナギの観察_d0163696_20561189.jpg
ネコヤナギ(↑)とイヌコリヤナギ(↓)
ネコヤナギの観察_d0163696_20561857.jpg
この2種の花は似ているが、葉のある時期は違いがはっきりする。
ネコヤナギは互生で托葉がある。
イヌコリヤナギは互生だが、ずれが少ないので互生に見える。托葉はない。葉身は波打つ。

次回はイヌコリヤナギの予定。

2025年5月31日、報告:自然観察大学 事務局 大野透




# by sizenkansatu | 2025-05-31 21:06 | 植物 | Comments(4)

マルバヤナギの花から実

マルバヤナギは、江戸川べりなど私のまわりでは一番よく見かけるヤナギだ。
マルバヤナギの花から実_d0163696_15061114.jpg
こんもりと、整った、いわゆる大径木になる。

別名のアカメヤナギは、新葉が赤味がかっているからだという。
マルバヤナギの花から実_d0163696_15062495.jpg
ただ、赤いのは新葉で、芽ではない。かといって葉が丸いわけでもないので、マルバヤナギの名前もしっくりこない。

冬芽はこちら。(赤芽ではない)
マルバヤナギの花から実_d0163696_15063490.jpg

丸い襟巻状の托葉とその縁に腺体が並ぶのが特徴。
マルバヤナギの花から実_d0163696_15064140.jpg
さらに、葉柄の葉身寄りに腺体があり、写真の右下のように托葉のようなものがつくこともある。
ただ、私の観るところでは、托葉も托葉のようなものもないことが多く、同じ個体にある枝とない枝が混在するようだ。

4月になると、花と葉が同時に出てくる。ヤナギ類ではもっとも遅いという。
マルバヤナギの花から実_d0163696_15064804.jpg
雌雄異株で、これは雄株の雄花序。
マルバヤナギの花から実_d0163696_15071297.jpg
花序には雄花がびっしりと並ぶ。
マルバヤナギの花から実_d0163696_15072391.jpg
雄花は花弁もがくもなく雄しべのみ。雄しべの数は3~6という。
基部には苞があり、苞には毛がある。

ヤナギ類の花は小さくてわかりにくいが、雌株も観てみよう。
マルバヤナギの花から実_d0163696_15073120.jpg
マルバヤナギの雌花序。
マルバヤナギの花から実_d0163696_15074309.jpg
1個の雌花を観てみる。
マルバヤナギの花から実_d0163696_15075397.jpg
こちらも雌しべのみで、花弁もがくもない。
膨らんだ部分が子房で、先端の柱頭は4個に分かれる。
基部には苞があり、苞には毛がある。

マルバヤナギの子房は1か月ほどで熟し、2つに割れて柳絮を飛ばす。(前回の記事を参照
マルバヤナギの花から実_d0163696_15075916.jpg
ところどころに種子がある。
これがばらけて、柳絮として空を舞うのだ。

なお、ネコヤナギが猫の尻尾のようにふわふわなのは柳絮の毛ではない。
ネコヤナギは苞の毛がヤナギ類の中でとりわけ長い。
冬芽が開くとき、つまり開花の前に、長い苞の毛が目立ち、それが猫の尻尾のように見える。
次回はネコヤナギの話の予定。

2025年5月24日、報告:自然観察大学 事務局 大野透




# by sizenkansatu | 2025-05-24 15:13 | 植物 | Comments(0)

柳絮の観察

“柳絮(りゅうじょ)”というと、どこか文学的でかっこいい。
ヤナギ類の種子が風に乗って飛ぶようす、または種子そのものをさす。

5月の半ばの江戸川べりで、マルバヤナギ(アカメヤナギ)の柳絮が観られた。
マルバヤナギの開花・結実はヤナギ類のなかではいちばん遅く、柳絮といえば春の季語なのだが初夏に舞う。
柳絮の観察_d0163696_17355815.jpg
なんという情けない写真。(すみません)
実際はもっとたくさん舞っていたのだが、下手な撮影で、こんな写真しか撮れなかった。

種子は小さく軽いので、舞う柳絮をつかもうとしても、するりと逃げてまず不可能。

わかりやすいのはクモの網にかかった柳絮。(↓)
柳絮の観察_d0163696_17360781.jpg
こちらは風の吹き溜まりに集まった柳絮。(↓)
柳絮の観察_d0163696_17361409.jpg

マルバヤナギの果実と柳絮を観てみよう。
柳絮の観察_d0163696_17362143.jpg
果実が熟すと割れて、もりもりと中から綿毛があふれ出てくる。
柳絮の観察_d0163696_17362743.jpg
こちら(↑)はほとんどが飛ばしたあとの果実で、開いたところがよくわかる。
ただ、緑色の未熟な果実もまだ残っている。

さて、綿毛には小さな種子がついている。
柳絮の観察_d0163696_17363566.jpg
種子を拡大して観よう。
柳絮の観察_d0163696_17365414.jpg
これが柳絮の正体だ。

柳絮はたくさん舞うが、種子がなく綿毛だけが飛んでいることも多い。
綿毛は種子を飛散させるためのものだろうが、必要以上に大量の綿毛を持っているようだ。

マルバヤナギの種子がどれだけ小さいか、写真ではわかりにくい。
比較のために上の種子の拡大写真と同じ倍率で、タンポポの果実(そう果)を撮ってみた。
柳絮の観察_d0163696_17370097.jpg
長径で3倍ほどだろう。

タンポポの果実は冠毛があって風に乗って飛ぶことで知られる。
柳絮の観察_d0163696_17371015.jpg
しかしながら、タンポポにくらべてマルバヤナギの種子がはるかに小さい。
飛ばされやすく、舞いやすいことがよくわかる。

次回はマルバヤナギの花から果実の予定。

2025年5月23日、報告:自然観察大学 事務局 大野透




# by sizenkansatu | 2025-05-23 17:44 | 植物 | Comments(2)

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