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自然観察大学ブログ

公園の紅葉図鑑②

“公園の紅葉図鑑”のつづき。 ( ① ⇒

……… イチョウ ………
公園の紅葉図鑑②_d0163696_16294142.jpg
黄葉といえばイチョウ。
公園の紅葉図鑑②_d0163696_16295013.jpg
下から見上げると、独特の葉の形とつき方がよくわかる。

……… セイヨウハコヤナギ(ポプラ) ………
公園の紅葉図鑑②_d0163696_16300399.jpg
これもきれいに黄葉になる。
公園の紅葉図鑑②_d0163696_16302222.jpg
水元公園にはポプラ並木があるが、枯れてしまうのも多いようだ。
公園の紅葉図鑑②_d0163696_16301432.jpg
もしかすると木の寿命なのだろうか。

……… クヌギ ………
公園の紅葉図鑑②_d0163696_16303479.jpg
これも美しい黄葉。
このあと葉は褐色に枯れて、長く樹上に残る。
クヌギとコナラは似ているが、クヌギは葉が細長い感じ。
公園の紅葉図鑑②_d0163696_16311171.jpg
ちょっとずるいかもしれないが、上の写真(↑)の上方にどんぐりの殻斗を確認したので、クヌギで間違いない。

もう一つの見分けるポイントは、若い果実(どんぐり)。
公園の紅葉図鑑②_d0163696_16311879.jpg
写真(↑)の左側に2個、擬宝珠(ぎぼし)の形のものが並んでいる。
これは今年の春に開花した、若い、ごく小さなどんぐりだ。
クヌギは開花の翌年の秋に成熟するので、この時季(冬季)に1年目(開花の約半年後)の小さなどんぐりがある。
それに対して、コナラは開花したその年の秋にどんぐりが熟すので、冬季には小さなどんぐりはない。

……… コナラ ………
公園の紅葉図鑑②_d0163696_16313247.jpg
コナラは遠目にはクヌギと区別できない。
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近寄ると、葉がクヌギよりも幅広なのがわかる。
公園の紅葉図鑑②_d0163696_16315135.jpg

クヌギとコナラは樹皮でも見分けることができる。
公園の紅葉図鑑②_d0163696_16320248.jpg
クヌギの樹皮は凹凸が深く切り立っていて、凸部分に平らなところがない。
コナラの凹凸はクヌギよりも浅めで、凸部分に平らなところがある。

……… イヌシデ ………
公園の紅葉図鑑②_d0163696_16321151.jpg
イヌシデもクヌギ、コナラと並んで雑木林の代表的な木だが、紅葉で識別するのは難しい。
…でもご安心。
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果実を落とした後も、その抜け殻(果苞)が残っている。
名前のもとになった、しめ縄に挟む紙垂(しで)に似た、果実の抜け殻だ。

……… ハゼノキ ………
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美しい紅葉。
ウルシ科だが、触れただけでかぶれることはない。ただし樹液には要注意という。
公園の紅葉図鑑②_d0163696_16323998.jpg
果実はろうそくなどの原料として利用されたという。(雌雄異株)

……… アキニレ ………
公園の紅葉図鑑②_d0163696_16324768.jpg
黄色になることが多い。
公園の紅葉図鑑②_d0163696_16325607.jpg
小さい果実をたくさんつけるが、これは秋に花が咲いたもので、あっという間に果実が熟す。
公園の紅葉図鑑②_d0163696_16330602.jpg
赤く色づいた枝があった。

<<続く>>

2024年12月7日、報告:自然観察大学 事務局 大野透




# by sizenkansatu | 2024-12-07 16:46 | 植物 | Comments(6)

公園の紅葉図鑑①

公園の紅葉図鑑①_d0163696_08574443.jpg
手前から黄色がエノキ、褐色がケヤキ。
緑のクスノキをはさんで、赤褐色のラクウショウ、奥の黄褐色がメタセコイア。

公園の紅葉図鑑①_d0163696_08575572.jpg
これ(↑)はみさと公園の紅葉。
陽光がうまいぐあいにあたっている。
ちなみに三郷市のみさと公園は、小合溜(こあいだめ)をはさんで水元公園の対岸にある。

今年の紅葉は遅れているようだが、11月末から12月初めにかけて水元公園で見た紅葉(黄葉などを含む)をいくつか並べてみた。
“公園の紅葉図鑑”として見てやっていただきたい。

……… メタセコイア ………
公園の紅葉図鑑①_d0163696_08580608.jpg
メタセコイアの樹形は整った円錐形。
公園の紅葉図鑑①_d0163696_08581429.jpg
水元公園にはメタセコイアの並木や “メタセコイアの森”と名付けられたエリアがある。
公園の紅葉図鑑①_d0163696_08582378.jpg
よく見ると枝先のほうに粒々が垂れているが、これは雄花のつぼみ。来年の2月ごろに一斉に開花する。
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葉や枝は対生で、互生のラクウショウと区別できる。

……… ラクウショウ ………
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樹形はちょっとばらけた感じで、メタセコイアにくらべると鮮やかな紅葉になる。(色にばらつきがある)
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樹形も枝ぶりもメタセコイアにくらべるとばらばらな感じ。
公園の紅葉図鑑①_d0163696_08590459.jpg
ラクウショウのつぼみ。(↑)
来年の2月なかばころに開花するはずだが、直前までつぼみが見えないこともあり、生育にばらつきがあるようだ。

メタセコイアとラクウショウについては、これまで何度も記事にしている。
よろしければ末尾にあるそれぞれのタグからご覧いただきたい。

……… イロハモミジ ………
公園の紅葉図鑑①_d0163696_08591428.jpg
いわずと知れた紅葉の代表。
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青空に映える。
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黄葉するイロハモミジもある。
公園の紅葉図鑑①_d0163696_08594052.jpg
色の違いは個体差なのか、それとも環境によるのか? あるいはこのあと赤くなるのだろうか?

……… ケヤキ ………
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扇形に広がる堂々とした樹形。
公園の紅葉図鑑①_d0163696_08595812.jpg
黄色から褐色に変わる。
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葉のつけ根(葉腋)に果実がつき、熟すと小枝ごと離れて種子散布をする。
風で飛ぶというのではなく、地表を転がるのだと思う。

……… エノキ ………
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黄葉になるのは枝ごとあるいは株によってばらつきがあるようで、そこがまた好ましい。
公園の紅葉図鑑①_d0163696_09002290.jpg
果実は緑から橙色になり、葉が色づくころには黒く熟す。

……… ナンキンハゼ ………
公園の紅葉図鑑①_d0163696_09003255.jpg
今年の紅葉は遅くて、このとき色づいていたナンキンハゼは、わずかにこの枝だけだった。
調べてみると、一昨年(2022年)は11月16日にこのように鮮やかに紅葉していた(↓)。
公園の紅葉図鑑①_d0163696_09004509.jpg
もともと種子をろうそくの原料にするために導入されたのだそうだが、紅葉が美しい。
公園の紅葉図鑑①_d0163696_09005594.jpg

……… ユリノキ ………
公園の紅葉図鑑①_d0163696_09010332.jpg
黄色~褐色となるが、葉の形がはんてん(半纏)に似ているのでユリノキとわかる。(別名ハンテンボク)
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今年は11月末になって、ようやく黄葉が見られた。
例年だとこの時期のユリノキはこのとおり(↓)。
公園の紅葉図鑑①_d0163696_09011973.jpg
すっかり落葉して、独特な形の果実が目立っているはずなのだ。

今年の紅葉はかなり遅れている。

<<続く>>

2024年12月5日、報告:自然観察大学 事務局 大野透




# by sizenkansatu | 2024-12-05 09:11 | 植物 | Comments(4)

ヨメナの観察(続報)

前回、『ヨメナとカントウヨメナ』( )の記事をアップしたが、そのあとで奈良県を訪れ、本場(?)のヨメナを観察することができた。

前回の記事のヨメナはいただいた標本で、ある方が採集したヨメナを自宅で育てている、というものであった。
今回奈良県で観た本場の新鮮なヨメナは、ちょっとようすが違っていたので、再度記事にさせていただくしだいである。(何度もすみません)

これが本場のヨメナ。(↓)
ヨメナの観察(続報)_d0163696_14294187.jpg
おそらく草刈後に再生したヨメナだろう。
わずかに残っていたヨメナは、更新のためか丸坊主に剪定されたカキノキの株もとにあった。
ヨメナの観察(続報)_d0163696_14300768.jpg
同じ株の果実を観た。
ヨメナの観察(続報)_d0163696_14301461.jpg
前回の標本のヨメナよりも冠毛が短いようだ。
別の株も観てみると…
ヨメナの観察(続報)_d0163696_14354477.jpg
こちらの冠毛はもっと短い。
まるでカントウヨメナのような短さだ。

念のため前回掲載したヨメナ標本をもう一度。
ヨメナの観察(続報)_d0163696_16354147.jpg

こうしてみると、ヨメナの冠毛の長さにはずいぶんと違いがある。
個体の差なのか、それとも果実の成熟の度合いなのかわからないが、少なくとも識別はかなり難しいことがわかった。カントウヨメナとは分布が違うので、迷うことはないと思うが…


余談ですが…

奈良では“山の辺の道”をたどった。(南側の半分だけ)
ヨメナの観察(続報)_d0163696_14302231.jpg
こんなのどかな風景のなかで、ひたすら歩く。
ヨメナの観察(続報)_d0163696_14303105.jpg
山の辺の道は、日本最古の道と言われている。
奈良盆地のへり、三輪山の裾野をたどる道で、たくさんの古墳や社寺が点在する。

これは紅葉の名所とされる長岳寺。
ヨメナの観察(続報)_d0163696_14303734.jpg
ほんとうは紅葉を期待したのだが、まだ少し早かった。
残念だったが、その代わりに本場のヨメナに会えたので、よいことにしよう。

おまけといっては申し訳ないが、愛すべき石仏もたくさん見られた。
ヨメナの観察(続報)_d0163696_14304471.jpg
ヨメナの観察(続報)_d0163696_14305375.jpg
ついでにもう一つ…
ヨメナの観察(続報)_d0163696_14310059.jpg

2024年11月30日、報告:自然観察大学 事務局 大野透




# by sizenkansatu | 2024-11-30 14:39 | 植物 | Comments(3)

ヨメナとカントウヨメナ

前回の記事( )の補足。
ヨメナとカントウヨメナ_d0163696_16074718.jpg
前回はヨメナの果実を載せたが、身近で観られる、かんじんのカントウヨメナの果実はどうなのか?
アオイスミレさんの記事( )にカントウヨメナの果実が載っていたので、近くの江戸川べりで探してみた。

しかし、実際に果実を見つけるのは意外に難しい。
花がないとカントウヨメナであることがわからないし、果実になるときは花が終わっているからだ。
花の終わりかけたカントウヨメナを見つければ、同じ株に果実があるはず、と考えた。
ヨメナとカントウヨメナ_d0163696_16075637.jpg
それらしいカントウヨメナを発見。
よく見ると果実になった花序があった。
ヨメナとカントウヨメナ_d0163696_16080510.jpg
拡大すると、たしかにヨメナとはかなり感じが違う。
ヨメナとカントウヨメナ_d0163696_16081562.jpg
カントウヨメナ(↑)とヨメナ(↓、前回の記事と同じ写真)。
ヨメナとカントウヨメナ_d0163696_16354147.jpg
環状にとげのように並ぶのが冠毛で、明らかに両種の長さの違いがわかる。

図鑑の記載では冠毛の長さをカントウヨメナが0.25mm、ヨメナが0.5mmと記されている。
そんなわずかな違いを計測することはできないし、観てわかるはずがないと考えていたのだが、これならルーペで拡大するだけではっきりわかるではないか。
一人静かに納得したのであった。

<<追記あり 2024.11.30>>

ヨメナの観察(続報) ⇒ 

とはいえ、両種の分布域は分かれているので、関東で見るならカントウヨメナであり、悩むことはない。
もっというと、前回の記事に記したように、野菊には多数の似た種があり、ヨメナとカントウヨメナの違いがわかっただけでは、フィールドではほとんど役に立たない。
あまり細かいことを気にせず、野菊としてたのしむのがよいのかもしれない。

2024年11月22日、報告:自然観察大学 事務局 大野透




# by sizenkansatu | 2024-11-22 16:13 | 植物 | Comments(2)

ヨメナとノコンギク

一般に“野菊”と呼ばれるものはたくさん種類があり、その識別は難しい。
そのうえ栽培品も多数あってそれが逃げ出していることもあるだろう。
野菊の識別は、私にはとうてい不可能で、はなからあきらめている。
だが、野菊の代表とも言うべきヨメナ(カントウヨメナ)とノコンギクくらいは見分けたいと考え、あえてまとめてみた。


カントウヨメナ
ヨメナとノコンギク_d0163696_16335932.jpg
カントウヨメナは関東以北に分布し、中部以西に分布するヨメナとユウガギクが交雑して生まれた種とされている。
ヨメナとノコンギク_d0163696_16340797.jpg
舌状花の花弁は淡紫色(↑)や白色(↓)。
ヨメナとノコンギク_d0163696_16341461.jpg
変化が多いので、色で見分けることはできない。

余談だが、舌状花が開花する過程がおもしろい。
ヨメナとノコンギク_d0163696_16342308.jpg
舌状弁はまず上方に伸び、そのあと横方向にひろがるようだ。

なお、葉の形は茎の上部と下部で違っていたり、変化もあってかなりややこしい。


ノコンギク

ヨメナとノコンギク_d0163696_16343017.jpg
ヨメナとノコンギク_d0163696_16343848.jpg
頭状花ではヨメナと区別できない。
何となくではあるが、遠目に見るとヨメナ(カントウヨメナ)よりも頭状花が密につく感じ。
これは数が多いというよりも、花序の柄が短いからそのように見えるのではないかと思う。


カントウヨメナとノコンギクを見分ける

見分けるポイントの一つめは、総苞の形。
ヨメナとノコンギク_d0163696_16344617.jpg
カントウヨメナ(↑)とノコンギク(↓)。
ヨメナとノコンギク_d0163696_16345536.jpg
カントウヨメナは総苞が平べったいお猪口形なのに対し、ノコンギクの総苞は細身のワイングラス形だ。
この総苞の形の識別ポイントはわかりやすい。

二つめのポイントは冠毛の長さ。
ヨメナとノコンギク_d0163696_16350289.jpg
カントウヨメナ(↑)とノコンギク(↓)。
ヨメナとノコンギク_d0163696_16351150.jpg
カントウヨメナの冠毛は肉眼では見えないくらい短いのに対し、ノコンギクの冠毛は圧倒的に長い。
ノコンギクでは、花序を分解しなくても外見から冠毛が見えるほど長い。

カントウヨメナの冠毛のがどのくらい短いのか。部分拡大してみよう。
ヨメナとノコンギク_d0163696_16351919.jpg
短い冠毛が並んでいるのがわかる。

ちなみに、冠毛はがくの変化したものであり、がくよりも上が花弁、がくよりも下が子房である。

花が終わったカントウヨメナは冠毛が見やすい。
ヨメナとノコンギク_d0163696_16352742.jpg
花冠が落ちたところは子房(若い果実)があって、てっぺんに短い冠毛が環状に並んでいる。

こちらは果実になったノコンギク。
ヨメナとノコンギク_d0163696_16353302.jpg
ちょっと生育不良のようだが、長い冠毛があるのはよくわかる。


おことわり

以上のようにカントウヨメナとノコンギクの花と果実をくらべて観た。
ほかに葉で見分けることもできるようだが、私にはまったくわからない。
さらに、この2種を見分けたとしても、冒頭に記したようによく似た野菊がほかにたくさんある。
今回の見分け方だけでは現場ではあまり役に立たないだろう。
今回の記事は個人的な覚書のようなものであると考えていただきたい。

※ 本記事ではあやしいところや間違ったところがあるかもしれません。お気づきのことがあれば指摘していただけるとありがたいです。


ヨメナ

ところで、ここまで記したカントウヨメナに対して、ヨメナはどうなのか。
ヨメナは本州の中部以西に分布するとされている。
ある方から正真正銘のヨメナであると、花後の果実をいただいたのがこれ。
ヨメナとノコンギク_d0163696_16354147.jpg
ヨメナとノコンギク_d0163696_16354826.jpg
上は2カットともヨメナで、冠毛の長さは約0.5mmとされる。
これに対しカントウヨメナの冠毛の長さは約0.25㎜だという。
こうしてみると確かにカントウヨメナよりもやや長いようだが…

最後に、長野県で撮ったものを載せておこう。
ヨメナとノコンギク_d0163696_16355414.jpg
ヨメナとノコンギク_d0163696_16360241.jpg
鵜の2カットは別々の個体だが、これがヨメナなのか、それともカントウヨメナなのか、はたまた別の野菊なのか?


<<追記>>
カントウヨメナとノコンギクに加えてユウガギクの3種について、アオイスミレさんが詳しい記事をアップしている。
同じ日に同じような話題をアップするとは、おどろきました。以心伝心でしょうか。


ヤブマメの記事で追加あり
前々回のヤブマメの記事でご指摘をいただき、文末に追加させていただきました。  



2024年11月15日、報告:自然観察大学 事務局 大野透




# by sizenkansatu | 2024-11-15 16:46 | 植物 | Comments(4)

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