アカメガシワの観察 ②花から果実
雌と雄が個体ごとに別にある植物を雌雄異株(しゆういしゅ)という。雌雄異株か雌雄同株かは植物の種類によってほぼ決まっている。雌雄異株の草本は少ないが、木本ではかなり多くの種が雌雄異株である。
なお、上の写真では雌の木が明るい緑で雄の木が濃い緑だが、一般的にそのような色の違いということではない。
アカメガシワの雄花
多数の雄しべと、そのつけ根にあるのは反り返ったがく片だと思う。
じつに潔い雄花だ。
雄花は6月はじめから咲きはじめる。
雌花は雄花とほぼ同じ時期だが、少し遅れて咲くように思える。
アカメガシワの雌花
柱頭は3裂。
子房にはとげ状の突起があるが、一つ前の写真のように突起が見られないこともあった。
アカメガシワの果実
しぼんだ柱頭と、とげ状の突起はほぼそのまま残っている。
種子は鳥に好まれるが、栄養に乏しく、喰われてもそのまま排出される。
黒い種子は栄養豊富な果実に似ているので、鳥が勘違いして食べて運ぶ、ということらしい。
参考:自然観察大学/まるごと観察会(2024年第4回)レポート/黒い実のいろいろ ⇒
さて、雌株は花から果実へと育てる、たいせつな仕事がある。
この間、雄株は何をしているのか?
次回はその観察記録の予定。
2025年9月17日、報告:自然観察大学 事務局 大野透
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by sizenkansatu
| 2025-09-17 22:10
| 植物
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アカメガシワの観察 ①冬芽~葉の展開
アカメガシワは新葉が展開するときに赤味を帯びるので“赤芽”。
典型的なパイオニアプランツ(先駆的植物)だ。
① 冬芽~葉の展開② 花から果実③ 雄株のからまわり
今回は全3回の予定でご報告したい。
冬芽は裸芽
これらのような状態で冬を過ごす。
なお、芽鱗(がりん)に包まれた鱗芽(りんが)に対し、芽鱗がないものを裸芽(らが)という。
赤い新葉の正体
毛は葉の展開とともに疎らになり、落ちる。
花外蜜腺
アカメガシワは蜜腺で蟻を呼び、葉を喰う外敵からガードさせている、とされている。
なお、ウィキペディアには “葉の裏に腺点がある” とあるが、表面の誤り。
2025年9月15日、報告:自然観察大学 事務局 大野透
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by sizenkansatu
| 2025-09-15 12:30
| 植物
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観察録2025長野・夏-④
八ヶ岳の山麓と諏訪湖周辺で観たものを記録したい。
<ナンバンハコベ>
ハコベのなかま(ナデシコ科)だが、ナンバンという名前と違って在来種だという。
昔の人が花の形に驚いて“南蛮から来たハコベ”と勘違いしてしまったのかもしれない。
釣鐘のような半球形の大きながくに包まれて、花はうつむきがちに開く。
花弁は5枚で、それぞれ先の方が2裂するのはハコベと同じだが、中ほどで外に曲がる。
よく観ると花弁には長さ半分ほどの大きな鱗片がついて二重になっている。



雄しべは葯を落としている。もしかすると雄性先熟なのかもしれない。
子房は大きい。
写真の果実はまだ若いものだが、このあと黒く熟す。
長野では林縁や農道わきなどでナンバンハコベを見かけるが、ふだんの私の立ち回り先(関東の街中や公園など)では見たことはない。
<クサフジ>
ナヨクサフジは花の色が濃いめで赤味がかっていることが多い。
またナヨクサフジは花柄のつく位置が違っていて、花の尻が突き出すようになる。
参考:ナヨクサフジ
<ミズタマソウ>
長野のミズタマソウはきれいに見えるのは気のせいか?
<フキバッタの一種>
フキバッタは翅が小さいために移動距離が短いようで、地域によって種が細かく分かれているという。
<イヌゴマ>
<キツネノカミソリとカラスアゲハ>
薄暗い社寺の林床で、こんな写真しか撮れないがご容赦いただきたい。
以上で長野での観察記録は終了。
お付き合いいただきありがとうございました。
2025年9月9日、報告:自然観察大学 事務局 大野透
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by sizenkansatu
| 2025-09-09 18:15
| 植物と虫
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観察録2025長野・夏-③
入笠山へ登った次の日、北八ヶ岳の白駒池を目指したのだが、残念ながら人出が多くて断念。
黄色がアキノキリンソウ、白っぽいのはゴマナ、小さなピンク色はハクサンフウロだ。
<アキノキリンソウ>



アキノキリンソウは別名アワダチソウとも呼ばれるという。果実が泡立つようだという呼び名だが、おそらくこれがセイタカアワダチソウの名前の由来なのだろうか。
参考:続・セイタカアワダチソウの花を観る ‐開花の順序‐ ⇒
<ゴマナ>
それにしても、どうして名前がゴマナなのだろう。ネットで調べると、葉がゴマに似ているというのが由来らしいが、いまひとつピンとこない。(そもそもゴマの葉をしっかり観たことがない)
花は昆虫に人気があるようで、いろいろな訪花昆虫が観られた。

※ 種名が違っていたら申し訳ありません。ご指摘・ご教示いただけるとありがたいです
<ツヤケシハナカミキリ>
<ヤツボシハナカミキリ>
<マルガタハナカミキリ>
<カラカネハナカミキリ>
写真のような渋い金銅色から鮮やかな金緑色まで変化に富むという。
<ハクサンフウロ>
参考:ゲンノショウコとフウロソウのなかま ⇒
<シュロソウ>
撮った写真を注目してみると、葉はほとんど見えない。
<マルバダケブキ>
<クジャクチョウ>
ただ、クジャクチョウは吸蜜中に翅を開いていることが多く、ときどき閉じる程度なので、脅しの効果は疑問だ。
<ギンボシヒョウモン?>
(間違っていたらすみません)
<ハナイカリ>
花の後方から距の間を伸び出している緑色の部分はがく。
花弁はあまり開かないこのままの状態らしい。
奥まった距に蜜を溜めているとすると、昆虫にとってはたいへんに扱いづらい花だ。
花を切って内部を確認したいところだが、この場所に2株しかないようなので、観たい欲望をこらえた。
<ネバリノギラン>
全体、触るとねばつく。
切って観たい欲望がもりもりと湧いてくるが、一株しかないので必死にこらえた。(無念じゃ)
次回は麓と諏訪湖周辺の観察記録の予定。
長野編は、あと一回お付き合いいただきたい。
2025年9月6日、報告:自然観察大学 事務局 大野透
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by sizenkansatu
| 2025-09-06 22:47
| 植物と虫
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観察録2025長野・夏-②
入笠山の花畑
景観を損なうが、これは致し方ないだろう。むしろ適切な対応に感謝したい。
(花畑の全景を撮るのを失念していた。反省。)
<コバギボウシ>
<シモツケソウ>
シモツケソウの名前の由来は、下野の国(栃木県)に多いためというものと、木本のシモツケに似ているからというものがあった。本当のところはどうなのだろうか。
<ヤナギラン>
花は花序の下から上に向けて順に咲く。
その上の花は後輩、雄しべの時期で、まだ雌しべは見えていない。
こちら(↑)の写真では、下の花は雌しべが長く伸び出しているが、上の花では雄しべの奥の方に短い雌しべらしきものが観えている。
こちら(↑)は上の花は雌しべの柱頭が開いた時期。右下の花はそれより少し先輩で、開いた柱頭が反り返っている。


悩ましい問題がある。
花序の下にあるのが雌しべ期で、上方の花が雄しべ期とすると、上から落ちた花粉で下の花が受粉することにな巣。雌雄異熟は自家受粉を避けるためのしくみとされるが、ヤナギランの場合は自家受粉しやすいことになってしまう。
<キキョウ>
つぼみにとまったアキアカネ(?)と並んで記念写真。
栽培物よりも色鮮やかなように思えるのは、やはり気のせいだろうか。
なお、キキョウも雌雄異熟の典型として知られる。
参考:植物の雌と雄を観る-1 ⇒
<マツムシソウ>
マツムシソウはスイカズラ科とされるが、頭状花は周囲に唇形花のような舌状花、中心部は管状花という構造で、まるでキク科のようだ。
こうしてみると、山の植物には雌雄異熟のものが多いような気がする。
厳しい自然の中で生き抜くために身につけた性質なのだろうか。
…などと勝手なことを想像している。誰か、そんな集計をしていただけなものだろうか。
<ワレモコウ>
ゆっくり観察して写真を撮っていたので、同行者からはずいぶん遅れてしまった。
スピードアップしなければ!
<ウラギンヒョウモン(?)>
撮った写真をあとでネットで調べてウラギンヒョウモンとしたが、どうだろうか。
花はノハラアザミと見たが、これも識別は難しい。
<オオウラギンスジヒョウモン>
翅を広げてくれるのはありがたいが、表面では種名がわからないと思っていたら…
タテハチョウ類の識別には翅裏の紋様が重要だ。
<ヒメキマダラヒカゲ>
山地性で幼虫は笹類の葉を食べて育つという。
山頂へ
花畑を抜けると、樹林を進むコースになる。山頂まではあと一息。
この一帯が、霧に包まれて湿りがちであるということだ。
じつはこの日も、ほとんど霧というか雲の中で、視界はほぼゼロという状態であった。
それが、ゴンドラを降りて湿原に出て花畑までのわずかな間だけ青空が見えるという神がかりの天候であった。(私の日ごろの行いのおかげか?)
入笠山は南アルプスの最北端に当たるが、アルプスの山々とはかなり様相が異なり、生物にも人にも優しい山である。
山頂付近こそ陽射しがあったものの、残念ながら周りの景色はほとんど見えない。
天気が良ければ八ヶ岳やアルプスの山々、富士山まで360度のパノラマが広がるはずであった。
<ミヤマハンミョウ>
半分干からびた死骸のようなクモだが、くわえて放さない。じっと止まって咀嚼している。
山頂のこの場所は、餌が少ないだろう。こんなところで暮らしているとは驚きである。
さらにハンミョウ類の幼虫は地面に穴を掘って暮らし、付近を通りがかった虫を捕らえて喰う。山頂付近は、冬の間はずっと氷と雪の世界に閉ざされるはずなのに…
それともこのハンミョウはどこか別の場所から移動してきたのだろうか。
さて、下山はほぼ同じ道。
通常は往復2時間ほどの行程を、5時間近くかかってしまった。
また来てみたい、たのしい観察であった。
おまけ
用を済ませてでてくると、キタテハは同じ場所でまだじっとしていた。
ちょうど一年前にも長野県の山のトイレでキベリタテハを観ている。
● 観察録2024長野・夏-① ⇒
シックな装いは喪服の貴婦人などに例えられるが、やはりトイレがお好きなようだ。
2025年8月30日、報告:自然観察大学 事務局 大野透
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by sizenkansatu
| 2025-08-30 21:47
| 植物と虫
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