人気ブログランキング | 話題のタグを見る

自然観察大学ブログ

寄生植物 アメリカネナシカズラの観察

寄生植物 アメリカネナシカズラの観察_d0163696_22420745.jpg
アメリカネナシカズラはつるを伸ばしてほかの植物に絡みつき、寄生して栄養を得る。
寄生植物 アメリカネナシカズラの観察_d0163696_22421660.jpg
葉緑体はほとんどないので、全身が黄色っぽい。
ヒルガオ科ネナシカズラ属(Cuscuta属)で、北米原産の帰化植物という。
上の写真は何年か前に我孫子市で観たもので、セイタカアワダチソウやイネ科植物に絡んで寄生していた。


今年(2025年)7月末に江戸川べりでアメリカネナシカズラを見つけた。
寄生植物 アメリカネナシカズラの観察_d0163696_22422512.jpg
コンクリートのすき間に生えたコセンダングサに絡む。
寄生植物 アメリカネナシカズラの観察_d0163696_22423448.jpg
つるは、となりのヨモギにも伸びていた。

詳しく観察しよう。


寄生根を観る
寄生植物 アメリカネナシカズラの観察_d0163696_22424449.jpg
コセンダングサの茎に巻きついて食い込んだアメリカネナシカズラのつる(茎)。
寄生植物 アメリカネナシカズラの観察_d0163696_22425239.jpg
表面には多数のいぼがある。
このいぼは寄生根とは別物のようだが、単に絡んだ相手にがっちり食い込むためのものなのだろうか。

寄生根について図鑑類には“吸盤状”や“こぶ状の突起で先端は楔(くさび)形”などと記されているが、実物はどうだろうか。
寄生植物 アメリカネナシカズラの観察_d0163696_22425998.jpg
寄生植物 アメリカネナシカズラの観察_d0163696_22430661.jpg
半透明の寄生根はこぶ状の突起で先端は楔形だ。
ところが、寄生根が張り付くとき…
寄生植物 アメリカネナシカズラの観察_d0163696_22431339.jpg
吸盤状になる。

寄生根は張り付くときに形を変えるようだ。
以前に観察したツタ(ナツヅタ)の付着根と同じような動きだ。
図鑑の記載はどちらも正しかったようだ。
参考:秋葉原で “ツタ” を観察  

寄生根が吸盤状になって張り付いたあと(と思う)、寄主植物(ここではコセンダングサ)の内部に侵入する。
寄生植物 アメリカネナシカズラの観察_d0163696_22433449.jpg
完全に癒着している。

アメリカネナシカズラは、芽生えたときには根があり、そのあと寄生するようになると根は枯れてなくなるという。つまり、宿主に絡んだつるが宙に浮くような状態ということ。


葉 ?

葉は退化して、小さな鱗片状という。
寄生植物 アメリカネナシカズラの観察_d0163696_22434462.jpg
これ(↑)が葉だと思われる。
おそらく何の役にも立っていないだろう。


花と果実を観る
寄生植物 アメリカネナシカズラの観察_d0163696_22435758.jpg
直径3mmほどの小さな花がびっしりとかたまってつく。
花冠が5裂して反り返るくらい開くのが特徴という。
寄生植物 アメリカネナシカズラの観察_d0163696_22440419.jpg
拡大するとなかなか美しい。宝石のようにきらきら光る。

雄しべが5個で、花冠から突き出る。
中心部に2個の花柱があるが、アメリカネナシカズラは、この花柱が離れてつく。
よく観ると、雄しべのつけ根のところに房状に細裂した鱗片がある。これがネナシカズラとの識別ポイントだという。

在来種のネナシカズラを、私は見たことがないのだが、記載によるネナシカズラとの識別点をまとめてみる。
ネナシカズラは、花序は総状になる。花冠が閉じぎみ。雄しべが花冠より突き出ることはない。2個の花柱は合着する。


アメリカネナシカズラの果実はこれ。(↓)
寄生植物 アメリカネナシカズラの観察_d0163696_22441957.jpg
果実はすでに熟しているが、花時の花冠、雄しべ、雌しべは、干からびた状態で残っている。
中に種子が2~4個ずつ。長径1.5-2mm。
寄生植物 アメリカネナシカズラの観察_d0163696_22442721.jpg


寄生植物に寄生するゾウムシ
寄生植物 アメリカネナシカズラの観察_d0163696_22443405.jpg
球形またはラグビーボールのようなものは虫えい(虫こぶ)。
ネナシカズラツルコブフシという。
寄生植物 アメリカネナシカズラの観察_d0163696_22444137.jpg
かなりの頻度で虫えいができている。
寄生植物 アメリカネナシカズラの観察_d0163696_22444940.jpg
虫えいを切って、中を観てみよう。
寄生植物 アメリカネナシカズラの観察_d0163696_22445624.jpg
虫えいの主であるマダラケシツブゾウムシの幼虫だろう。
別の虫えいを切ってみた。
寄生植物 アメリカネナシカズラの観察_d0163696_22450634.jpg
マダラケシツブゾウムシの蛹と思われる。
さらにもう一つ別の虫えいを切る。
寄生植物 アメリカネナシカズラの観察_d0163696_22451447.jpg
こちらもマダラケシツブゾウムシの蛹。


寄主植物をゾウムシが操る?

ところで、上の虫えいの断面の写真で、本来黄色のはずのアメリカネナシカズラが一部緑色になっている。
原因は、マダラケシツブゾウムシの寄生・虫えいの形成によって、葉緑体をほとんど喪失していたアメリカネナシカズラに葉緑体が増えているのだという。
それによって光合成をするようになり、栄養価が高くなっているというのだ。

マダラケシツブゾウムシがアメリカネナシカズラを操って、より良い食糧に改造している。
おどろくべき事実だ。

参考:News Release/働かない寄生植物が、働き者へと変化!?/富山大学・京都工芸繊維大学(PDF)  


マダラケシツブゾウムシはどこから来たのか?

マダラケシツブゾウムシはアメリカネナシカズラとともに海を渡ってきたのかと思って調べてみたら、じつは在来のゾウムシだった。
体長2.2~2.4mmとごく小さなゾウムシで、もともとは同じなかまのマメダオシに虫えいを作って寄生していたのが、帰化種であるアメリカネナシカズラにも寄生するようになったという。

マメダオシは絶滅危惧種だそうである。もしもそのままマメダオシだけに寄生していたら、このゾウムシも絶滅の危機にさらされていただろう。
マダラケシツブゾウムシにとって、アメリカネナシカズラの帰化は、まさしく天の恵みのような存在だったのではないだろうか。

外来の寄生植物を迎え撃つ、まるでウルトラ警備隊のようなゾウムシ。得意技は寄生植物の改造!
みんなで応援しよう。

参考:SAYABANE N.S.No.30/マダラケシツブゾウムシの寄主植物の再検討(PDF)  


余談ですが…

こうなると、マダラケシツブゾウムシの成虫が観たくなる。
虫えいを持ち帰り、ケースに入れてゾウムシが出てくるのを何日か待った。

すると、あろうことか…
寄生植物 アメリカネナシカズラの観察_d0163696_22452109.jpg
寄生蜂が出てきた。(ケース越しの写真で申し訳ない)

おそらくマダラケシツブゾウムシに寄生していたのだろう。
もしかすると、“風が吹くと桶屋が儲かる”のように、アメリカネナシカズラとともにこの寄生蜂も増えているのかも。

マダラケシツブゾウムシの成虫を観るために再度虫えいを採取してこようと思ったら、寄主植物(コセンダングサ、ヨモギ)とともに枯れてしまっていた。コンクリートのすき間なので、晴天が続いて乾燥してしまったのだろう。残念。
種子は落ちていると思うので、来シーズンにもう一度チャレンジしたい。


コンクリートのすき間に生える雑草と、それに寄生する外来のつる植物、その寄生植物に寄生して操るゾウムシ、さらにはそのゾウムシに寄生する蜂…
生きものの世界は奥深く、おもしろい。そして何より困難に満ちている。


2025年10月3日、報告:自然観察大学 事務局 大野透

……… 自然観察大学からのお知らせ ………
フェイスブックをはじめました。
Facebook/NPO法人自然観察大学  




# by sizenkansatu | 2025-10-03 22:59 | 植物と虫 | Comments(8)

アカメガシワの観察 ③雄株のからまわり

開花からおよそ1か月後、7月10日のアカメガシワの雌株。
アカメガシワの観察 ③雄株のからまわり_d0163696_18263692.jpg
若い果実がびっしりとついている。
実を結ぶための、繁殖のための一番だいじな時期なのだろう。
元気な姿を観るとうれしくなる。

一方の雄株はどうだろうか。
雌株の隣にあった雄株を観た。
アカメガシワの観察 ③雄株のからまわり_d0163696_18264345.jpg
花を終えた雄花序の柄が残っている。そしてその脇からは新しい葉が展開している。枝先の明るい緑の葉が新しい葉だ。
ほかの枝ではおそらく花序の柄を落としていると思われるが、こちらも先端付近から次々に新しい葉が出ている。

雄株は、開花して花粉を作ったあとは取り立ててやるべきことはないはずだ。
それで新葉を展開し、自身の成長にあてているのだろう。

1か月半ほど経った8月下旬。
アカメガシワの観察 ③雄株のからまわり_d0163696_18265392.jpg
雄花が再び咲いているのを観た。
雌株はすでに果実が熟して裂開しているので、この雄花はまったくのからまわりだ。

同じ株の別の枝先…
アカメガシワの観察 ③雄株のからまわり_d0163696_18270393.jpg
こちらは赤いい新葉の間から花序を伸ばしたところ。

さらに別の枝先。
アカメガシワの観察 ③雄株のからまわり_d0163696_18271430.jpg
花序を伸ばしはじめたところで、まだつぼみの状態。(↑)
アカメガシワの観察 ③雄株のからまわり_d0163696_18272214.jpg
こちらの雄花(↑)は焦っていたのか、顔を出す途中でもう開花している。
いまさら焦ってもしょうがないだろうに…

さて、同じ日の雌株がどうなっているのか観てみよう。
アカメガシワの観察 ③雄株のからまわり_d0163696_18273374.jpg
果実をつけた柄の脇に、芽ができている。
拡大してみよう。
アカメガシワの観察 ③雄株のからまわり_d0163696_18274059.jpg
この芽は展開する気配はない、おそらくこのまま冬を越すものと思われる。

こちら果実がついてない枝の先端。
アカメガシワの観察 ③雄株のからまわり_d0163696_18275517.jpg
なにかの原因で果実ができなかったのか、それとも途中で落ちたのか。いずれにしても主軸が消えてその脇に複数の芽ができている。


アカメガシワは、冬季以外は次々に新葉を展開するとされる。新緑のころに一斉に開葉するのに対し、順次開葉と言う。
私の観たところでは、雄株はそのとおり盛んに新葉展開を続けるが、雌株はそれほどのことはないようだ。
とくに、果実をつけた枝では早い時期に越冬芽をつくると思われる。

ところで、雄株はそのあともしぶとく雄花を咲かせていた。
アカメガシワの観察 ③雄株のからまわり_d0163696_18280358.jpg
写真は9月12日のもの。
雄株のからまわりはいつまで続くのだろうか。

さて、ほかの雌雄異株はどうなのだろうか。
雄株がからまわりする例を2つ観察できた。

アオツヅラフジ
アカメガシワの観察 ③雄株のからまわり_d0163696_18281082.jpg
9月12日。雌株の果実は、早いものは色づきはじめている。(↑)
同じ日。雄株はまだ花を咲かせている。(↓)
アカメガシワの観察 ③雄株のからまわり_d0163696_18282065.jpg
アオツヅラフジについては以前にも報告させていただいている。
この年の観察では、雄花は11月8日まで開花していた。

● アオツヅラフジ -青春の葛藤-  


エビヅル
アカメガシワの観察 ③雄株のからまわり_d0163696_18282909.jpg
エビヅルの果実も、早いものはすでに色づいていた。(9月17日)

同じ日の雄株。
アカメガシワの観察 ③雄株のからまわり_d0163696_18284459.jpg
この時点でも、まだたくさんの雄花序をつけ、開花している。つぼみも多数ある。

アオツヅラフジもエビヅルもつる性の木本で、つるを伸ばしながら次々に花をつけるので、花期は長い。
とはいえ、雌株は適当なところで花をつけるのをやめて果実を充実させることに向かう。
だが、雄株はそのあとも休むことなく花序をつけ、雄花を開かせる。
働き者の雄株ではあるが、もう少し要領よく立ち回ればいいのに … と思う次第である。

2025年9月20日、報告:自然観察大学 事務局 大野透




# by sizenkansatu | 2025-09-20 18:36 | 植物 | Comments(0)

アカメガシワの観察 ②花から果実

アカメガシワの観察 ②花から果実_d0163696_21571208.jpg
写真は花期のアカメガシワで、ちょっとわかりにくいが、手前が雌花の咲く雌の木、奥は雄花の咲く雄の木。(6月半ばに撮影)

雌と雄が個体ごとに別にある植物を雌雄異株(しゆういしゅ)という。雌雄異株か雌雄同株かは植物の種類によってほぼ決まっている。雌雄異株の草本は少ないが、木本ではかなり多くの種が雌雄異株である。
なお、上の写真では雌の木が明るい緑で雄の木が濃い緑だが、一般的にそのような色の違いということではない。


アカメガシワの雄花
アカメガシワの観察 ②花から果実_d0163696_21572324.jpg
雄花の花序は大きくて遠目にもわかりやすい。
アカメガシワの観察 ②花から果実_d0163696_21573183.jpg
球状のポンポンのようなのが雄花。
アカメガシワの観察 ②花から果実_d0163696_21573935.jpg
ほとんど雄しべだけのシンプルな花だが、ちゃんと虫が来る。
アカメガシワの観察 ②花から果実_d0163696_21574803.jpg
これが一つの雄花。
多数の雄しべと、そのつけ根にあるのは反り返ったがく片だと思う。
じつに潔い雄花だ。


雄花は6月はじめから咲きはじめる。
雌花は雄花とほぼ同じ時期だが、少し遅れて咲くように思える。


アカメガシワの雌花
アカメガシワの観察 ②花から果実_d0163696_21575698.jpg
雌花序は雄花序よりも小さめ。
アカメガシワの観察 ②花から果実_d0163696_21580440.jpg
こちらも、ほとんど雌しべだけの潔い花。
アカメガシワの観察 ②花から果実_d0163696_21581292.jpg
雌花は黄色っぽいのがふつうだが、赤味を帯びるものもある。
アカメガシワの観察 ②花から果実_d0163696_21582418.jpg
これが一つの雌花。
柱頭は3裂。
子房にはとげ状の突起があるが、一つ前の写真のように突起が見られないこともあった。


アカメガシワの果実
アカメガシワの観察 ②花から果実_d0163696_21583474.jpg
1か月ほど経った若い果実。(7月半ば)
アカメガシワの観察 ②花から果実_d0163696_21584017.jpg
子房がぷっくりと膨れている。
しぼんだ柱頭と、とげ状の突起はほぼそのまま残っている。

果実が熟すのは8月末ごろ。
アカメガシワの観察 ②花から果実_d0163696_21585311.jpg
真っ黒な種子が目立つ。
アカメガシワの観察 ②花から果実_d0163696_21590178.jpg
果実はふつう3つに裂開し、中に3個の種子がある。

種子は鳥に好まれるが、栄養に乏しく、喰われてもそのまま排出される。
黒い種子は栄養豊富な果実に似ているので、鳥が勘違いして食べて運ぶ、ということらしい。
参考:自然観察大学/まるごと観察会(2024年第4回)レポート/黒い実のいろいろ  

さて、雌株は花から果実へと育てる、たいせつな仕事がある。
この間、雄株は何をしているのか?
次回はその観察記録の予定。

2025年9月17日、報告:自然観察大学 事務局 大野透




# by sizenkansatu | 2025-09-17 22:10 | 植物 | Comments(0)

アカメガシワの観察 ①冬芽~葉の展開

アカメガシワは新葉が展開するときに赤味を帯びるので“赤芽”。
葉はカシワ(柏)の葉と同様に炊事に利用するので“炊(かし)ぐ葉”が名前の由来だという。
アカメガシワの観察 ①冬芽~葉の展開_d0163696_12162237.jpg
種子が鳥に好まれ、運ばれて、芽を出し、あちこちで目立つ。
典型的なパイオニアプランツ(先駆的植物)だ。

① 冬芽~葉の展開
② 花から果実
③ 雄株のからまわり

今回は全3回の予定でご報告したい。


冬芽は裸芽
アカメガシワの観察 ①冬芽~葉の展開_d0163696_12163066.jpg
葉を小さくした形のものが折り重なっていて、よく観ると葉脈まである。
アカメガシワの観察 ①冬芽~葉の展開_d0163696_12163711.jpg
少し伸びて、葉らしくなってきたものもある。
これらのような状態で冬を過ごす。

アカメガシワの観察 ①冬芽~葉の展開_d0163696_12164496.jpg
春には大きくなってそのまま葉になる。(葉にならずに落ちるものもある)

なお、芽鱗(がりん)に包まれた鱗芽(りんが)に対し、芽鱗がないものを裸芽(らが)という。


赤い新葉の正体
アカメガシワの観察 ①冬芽~葉の展開_d0163696_12165194.jpg
展開途中の葉が赤い植物は多数あるが、アカメガシワの鮮やかな赤は他とはちょっと違う。
アカメガシワの観察 ①冬芽~葉の展開_d0163696_12165913.jpg
赤い葉をこするとはがれて緑が出てくる。
赤いのは、葉面にびっしり並ぶ毛であった。
アカメガシワの観察 ①冬芽~葉の展開_d0163696_12170653.jpg
放射状の毛は星状毛と呼ぶ。
毛は葉の展開とともに疎らになり、落ちる。

新緑のころ。
アカメガシワの観察 ①冬芽~葉の展開_d0163696_12171284.jpg
逆光気味に観ると、鮮やかな赤と緑が美しい。
アカメガシワの観察 ①冬芽~葉の展開_d0163696_12274964.jpg

展開しきった葉はこんな感じ。
アカメガシワの観察 ①冬芽~葉の展開_d0163696_12172671.jpg
葉の形は変化があって、ばらばら。そこがまた好い。


花外蜜腺
アカメガシワの観察 ①冬芽~葉の展開_d0163696_12231017.jpg
葉身のつけ根に2個の蜜腺がある。
アカメガシワの観察 ①冬芽~葉の展開_d0163696_12232085.jpg
蟻が来ているのをよく見かける。(写真はアミメアリ)

アカメガシワは蜜腺で蟻を呼び、葉を喰う外敵からガードさせている、とされている。

なお、ウィキペディアには “葉の裏に腺点がある” とあるが、表面の誤り。

2025年9月15日、報告:自然観察大学 事務局 大野透




# by sizenkansatu | 2025-09-15 12:30 | 植物 | Comments(4)

観察録2025長野・夏-④

八ヶ岳の山麓と諏訪湖周辺で観たものを記録したい。

<ナンバンハコベ>
観察録2025長野・夏-④_d0163696_18033400.jpg
はじめて観るとぎょっとするような花の形。
ハコベのなかま(ナデシコ科)だが、ナンバンという名前と違って在来種だという。
昔の人が花の形に驚いて“南蛮から来たハコベ”と勘違いしてしまったのかもしれない。
観察録2025長野・夏-④_d0163696_18034728.jpg
釣鐘のような半球形の大きながくに包まれて、花はうつむきがちに開く。
観察録2025長野・夏-④_d0163696_18035481.jpg
花弁は5枚で、それぞれ先の方が2裂するのはハコベと同じだが、中ほどで外に曲がる。
観察録2025長野・夏-④_d0163696_18040429.jpg
よく観ると花弁には長さ半分ほどの大きな鱗片がついて二重になっている。
雄しべは、花弁の間につく5本と、その鱗片につく5本の計10本だ。
観察録2025長野・夏-④_d0163696_18041336.jpg
雌しべの柱頭は3本。
雄しべは葯を落としている。もしかすると雄性先熟なのかもしれない。
子房は大きい。

その子房が膨らんで果実になる。
観察録2025長野・夏-④_d0163696_18042279.jpg
果実のとき、がくは反り返って丸くなる。
写真の果実はまだ若いものだが、このあと黒く熟す。

長野では林縁や農道わきなどでナンバンハコベを見かけるが、ふだんの私の立ち回り先(関東の街中や公園など)では見たことはない。

<クサフジ>
観察録2025長野・夏-④_d0163696_18042928.jpg
名前はフジに似た草ということで草藤だろう。
観察録2025長野・夏-④_d0163696_18043687.jpg
花期は長く、初夏から夏の終わりごろまで続くという。

都市部で見られるナヨクサフジと似ているが、クサフジの花の色は淡い青紫系が多い。
観察録2025長野・夏-④_d0163696_18044294.jpg
見分けるポイントは花のつき方で、クサフジの花は柄が花の後端につく。

ナヨクサフジは花の色が濃いめで赤味がかっていることが多い。
またナヨクサフジは花柄のつく位置が違っていて、花の尻が突き出すようになる。

参考:ナヨクサフジ
観察録2025長野・夏-④_d0163696_18045329.jpg

<ミズタマソウ>
観察録2025長野・夏-④_d0163696_18045985.jpg
見かけると、つい撮りたくなる好きな植物。
長野のミズタマソウはきれいに見えるのは気のせいか?

<フキバッタの一種>
観察録2025長野・夏-④_d0163696_18050880.jpg
種名は不明。
フキバッタは翅が小さいために移動距離が短いようで、地域によって種が細かく分かれているという。

<イヌゴマ>
観察録2025長野・夏-④_d0163696_18051670.jpg
これも観ると撮りたくなる植物。
観察録2025長野・夏-④_d0163696_18052383.jpg
陽なたのものは暑さあるいは乾燥のためか萎れ気味だった。
観察録2025長野・夏-④_d0163696_18052975.jpg
イヌゴマはシソ科で茎が四角形。稜に沿って下向きの刺毛が並ぶ。

<キツネノカミソリとカラスアゲハ>
観察録2025長野・夏-④_d0163696_18053650.jpg
キツネノカミソリを撮っていたら、カラスアゲハがやってきた。
カラスアゲハか、それともミヤマカラスアゲハか。悩ましいが前者とした。
観察録2025長野・夏-④_d0163696_18054357.jpg
花の奥の蜜を吸うためだろう、花に頭を突っ込んでいた。さしものアゲハの長い口吻も届きにくいのだろう。
薄暗い社寺の林床で、こんな写真しか撮れないがご容赦いただきたい。

以上で長野での観察記録は終了。
お付き合いいただきありがとうございました。

2025年9月9日、報告:自然観察大学 事務局 大野透




# by sizenkansatu | 2025-09-09 18:15 | 植物と虫 | Comments(2)

植物、虫、鳥など自然を楽しむ  ★写真の無断転載はお断りいたします★
by sizenkansatu
S M T W T F S
1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31

最新の記事

サルトリイバラの観察 ②
at 2026-01-10 21:41
サルトリイバラの観察 ①
at 2026-01-07 18:12
新年のごあいさつ
at 2026-01-01 06:00
ウバメガシの観察
at 2025-12-21 15:40
シロザの観察
at 2025-12-11 19:15

最新のコメント

> miyabiflow..
by sizenkansatu at 18:44
> cflcflさん ..
by sizenkansatu at 18:36
生け花やフラワーアレンジ..
by miyabiflower at 15:12
サルトリイバラ: 私なら..
by cflcfl at 14:18
> wabisuke-m..
by sizenkansatu at 22:20

検索

ブログジャンル