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自然観察大学ブログ

冬芽の展開(4) ウワミズザクラとイヌザクラ

だらだら続いて申し訳ないが、あと少し冬芽の展開の話にお付き合いいただきたい。


ウワミズザクラ
冬芽の展開(4) ウワミズザクラとイヌザクラ_d0163696_22165799.jpg
3月半ばのこのときはまだつぼみ。
ウワミズザクラは花序の柄に葉をつけるのが特徴で、イヌザクラと見分けるポイントとなる。
つけ根のところを見ると落枝の痕があり、これが2年目の枝であることがわかる。
冬芽の展開(4) ウワミズザクラとイヌザクラ_d0163696_22170628.jpg
どうやら2年枝に花序をつけるものと思われる。
ここで見た限りでは、太い枝には花をつけないようであった。
冬芽の展開(4) ウワミズザクラとイヌザクラ_d0163696_22172004.jpg
冬芽の展開(4) ウワミズザクラとイヌザクラ_d0163696_22173162.jpg
落枝をしたところに冬芽をつけるのは以前書かせていただいたので、よろしければそちらをご覧いただきたい。(  こちらの「N」)


イヌザクラ
冬芽の展開(4) ウワミズザクラとイヌザクラ_d0163696_22174159.jpg
こちらは3月下旬だが、やはりまだつぼみ。

ウワミズザクラと違って花序の柄に葉がつかないのがよくわかる。
冬芽の展開(4) ウワミズザクラとイヌザクラ_d0163696_22175337.jpg
花は若い枝につくが、こちらは花芽と葉芽が入り混じる。
(先端は新しいシュートになるらしい)

イヌザクラもウワミズザクラ同様に花芽と葉芽がはっきりと分かれるのがわかったが、冬芽の時点では区別がつかなかった。来年以降の課題としよう。

今ごろはもう花が咲いているかもしれないので、撮れたら追加で掲載させていただくことにしよう。

追記:4月半ばに花を観察しました。
(4/26の記事「ウワミズザクラとイヌザクラ」

2021年4月7日、報告:自然観察大学 事務局O





# by sizenkansatu | 2021-04-07 22:24 | 植物 | Comments(0)

冬芽の展開(3) ニワトコ

3月下旬の二ワトコ。
冬芽の展開(3) ニワトコ_d0163696_17524898.jpg
ニワトコの芽吹きは早い。他に先駆けて大きな花序をつける。
節ごとに冬芽が対生するが、そのうちの片方だけが展開していることに注目。

一つに寄ってみよう。
冬芽の展開(3) ニワトコ_d0163696_17525629.jpg
花芽(花と葉が出てくるので混芽)のほうは元気に成長しているが、葉芽(上の写真の下側)は止まっている。

別のニワトコも観てみよう。
冬芽の展開(3) ニワトコ_d0163696_17530435.jpg
こちらはすでに花が咲いているが…
冬芽の展開(3) ニワトコ_d0163696_17531313.jpg
ここでもやはり葉芽は成長を止めている。

冬芽の展開(3) ニワトコ_d0163696_17175666.jpg
2月初めの冬芽の時は、上の写真の状態だった。
このときは2個とも展開するものと思っていたが、展開したのはどれも混芽だけで、葉芽は成長を止めていた。

どうして混芽のほうだけを成長させるのか、理由を考えてみた。
ニワトコは株元で枝分かれしてから、細長く鞭のようにしなやかな枝を伸ばす。途中で多数の枝を広げる形ではない。それが林縁などで効率よく成長する形なのだろう。すべての冬芽を成長させることをやめて、その分のエネルギーを枝を伸ばすことに向け、他に先駆けて伸びるという作戦なのではないか。
…そんなことを考えていた。もちろん勝手な想像である。
このあと葉芽が少し遅れて展開することもありうるので、継続観察を心がけたい。

さらにほかのニワトコを観ると…
冬芽の展開(3) ニワトコ_d0163696_17532062.jpg
写真がごちゃごちゃしてしまってちょっとわかりにくいが、対生する芽が二つとも成長している。
葉芽だけの場合は両方とも展開するようだ。

また別の株では…
冬芽の展開(3) ニワトコ_d0163696_17532795.jpg
対生する混芽が、二つとも展開し、成長している。
いろんなパターンがあるようだ。やはり自然界、生物界では、型にはめることは難しい。

2021年4月5日、報告:自然観察大学 事務局O




# by sizenkansatu | 2021-04-05 17:58 | 植物 | Comments(0)

冬芽の展開(2) ユリノキ

青空のもとで満開の桜が注目を集める3月下旬。
そのかたわらでユリノキが静かに芽吹いていた。
冬芽の展開(2) ユリノキ_d0163696_18445895.jpg
出てきた葉を見るとちょっと変な感じがする。
近くで観てみよう。
冬芽の展開(2) ユリノキ_d0163696_18450798.jpg
旗を振っているようなポーズ。
冬芽の展開(2) ユリノキ_d0163696_18451363.jpg
別の冬芽もやはり旗を振っている。
応援してもらっているような気がしてうれしくなったのだが、冷静に考えると異様であることに気づく。
ユリノキの別名のハンテンボク(半纏木)のとおり、葉は半纏の形をしているはずなのだが、この葉はちょうど半分しかない。
これでは半半纏木ではないか。
これはすごい発見かも! とワクワクしてきた。

念のため、いくつかほかの木を観たが、やはり半半纏である。
冬芽の展開(2) ユリノキ_d0163696_18451830.jpg
こちらは2葉めが開いていて、手旗信号のようだ。

さらに別の、もう少し芽吹きの進んだユリノキを観てみよう。
冬芽の展開(2) ユリノキ_d0163696_18452622.jpg
この木では、すでにほとんど3葉めを出している。
多くは半纏形で、半半纏の葉が少数。
これはもしかすると、1,2葉は半半纏で、3葉めから完全な半纏形になるということなのかも…
そんなことを考えながら、念のためアップの写真を撮っておくことにした。
冬芽の展開(2) ユリノキ_d0163696_18453228.jpg
右側の半半纏が変な角度なので修正してから撮り直そうとしたところ…
冬芽の展開(2) ユリノキ_d0163696_18453884.jpg
半半纏の葉があっというまに半纏形になった。
まるで手品のよう… ということではなくて、理由は単純であった。
半纏がきっちりと半分にたたまれていたのが、私がふれたことで広がった、というだけのことであった。

新発見の興奮が一瞬で冷めてしまった。
几帳面に折りたたむユリノキがちょっと恨めしい。

気を取り直してもう一つだけ…
冬芽の展開(2) ユリノキ_d0163696_18454664.jpg
画面右の第1の葉はすでに立派な半纏形になっていて、左の第2の葉は開きかけである。
さらに中央では芽鱗の間から第3の葉が頭をもたげてきている。

ここで冬芽の構造を考えてみよう。
冬芽の展開(2) ユリノキ_d0163696_18455003.jpg
ユリノキの芽鱗はコブシと同様に托葉由来のものだという(托葉芽鱗)。
冬芽の中がどうなっているのか、以前、芽鱗をはがしたところを撮っていたのがこれ。
冬芽の展開(2) ユリノキ_d0163696_18460048.jpg
芽鱗の中には1枚の葉と、もう一つの次の芽があるのがわかる。
葉が出るごとに、次々に芽が出てくるのは、コブシのマトリョーシカのような構造と同じということだ。
『樹木博士入門』(小幡和男ら、全農教   )をお持ちの方はp38-39「コブシの冬芽の展開」をご覧いただきたい。

ユリノキはユリノキ属(Liriodendoron)で、モクレン属(Magnolia)ではないのだが、同じモクレン科どうしの共通の特徴ということだろう。

なお、最後の写真の分解した冬芽は、切り株からの萌芽(ひこばえ)のためか、通常の2倍ほどもある大きな冬芽だった。冬芽の中に副芽のようなものがあるのはそのためかもしれない。

2021年4月1日、報告:自然観察大学 事務局O



# by sizenkansatu | 2021-04-01 18:51 | 植物 | Comments(0)

冬芽の展開(1) コブシ

3月半ばのコブシ。
冬芽の展開(1) コブシ_d0163696_17231047.jpg
花の盛りは過ぎているが、この後が観察に絶好の季節である。

花のつけ根に注目しよう。
冬芽の展開(1) コブシ_d0163696_17231761.jpg
花のつけ根に1枚の葉があるのがコブシのなかまの第1の特徴だ。
そして花柄のつけ根の両側に新たな芽が伸び出している。これが第2の特徴である。

2週間後の3月末。
冬芽の展開(1) コブシ_d0163696_17232520.jpg
花弁は落ち、両側の芽から葉が出て、同時に新たな芽が出てくる。
これはコブシの第2の特徴で、これらの芽はやがて果実の両側に伸びるシュートとなる。
この過程はかなりややこしい。
さらに写真のように剥がれた鱗片が残っているので、なおさらわかりにくくなっている。

なお、写真はないがモクレンでも同じように2つの芽が出ることを観察した。


コブシでは葉芽にも注目したい。
冬芽の展開(1) コブシ_d0163696_17184771.jpg
葉芽は花芽から少し遅れて展開する。
冬芽の展開(1) コブシ_d0163696_17233380.jpg
春になると芽鱗は茶褐色になり、開くと中から1枚の葉と第2の芽が出てくる。

第2の芽が開くと、2枚目の葉と第3の芽が出てきて、これがさらに繰り返される。
まるでマトリョーシカ人形のようで、かなりややこしい話である。
『樹木博士入門』(小幡和男ら、全農教  )では、花芽と葉芽の開く過程の観察記録を写真で分かりやすく解説しているので、そちらをご覧いただきたい。


【お詫びと訂正】
冬芽の名前当てクイズ A to Z(2)のコブシのヒントに誤りがありました。(該当する誤記載は削除しました  )
冬芽の展開(1) コブシ_d0163696_17182702.jpg
写真の左端、花芽のつけ根にあるのは副芽で、通常は伸びてシュートになることはありません。
申し訳ありませんでした m(_ _)m

2021年3月31日、報告:自然観察大学 事務局O




# by sizenkansatu | 2021-03-31 17:33 | 植物 | Comments(0)

江戸川べりの観察-43 早春の雑草観察2021

暖かい日が続く3月半ば。
江戸川べりの雑草たちも元気に鮮やかな姿を見せてくれる。
待ちかねた季節だ。
江戸川べりの観察-43 早春の雑草観察2021_d0163696_15545737.jpg
ホトケノザの絨毯と、背景はキャベツの花。

江戸川べりの観察-43 早春の雑草観察2021_d0163696_15550650.jpg
手前はオオイヌノフグリ。私の一番のお気に入り。
その奥にホトケノザ。
草丈の高いナズナは強風であおられている。
厳しい冬をすごしてきた雑草にとっては、このくらいの風は何でもないのだろう。

江戸川べりの観察-43 早春の雑草観察2021_d0163696_15551356.jpg
オオイヌノフグリには、テントウムシが来ていた。
成虫もいたのだが、素早い動きで写真を撮らせてくれない。
今の時期のテントウムシは立ち止まることなく、いつも忙しそうにしている。

江戸川べりの観察-43 早春の雑草観察2021_d0163696_15552010.jpg
ホトケノザも今の時期がベスト。見るたびについ撮ってしまう。

江戸川べりの観察-43 早春の雑草観察2021_d0163696_15552711.jpg
ヒメオドリコソウも私のお気に入りだ。

オオイヌノフグリ、ホトケノザとあわせて早春の雑草御三家とも言うべき鮮やかさだ。


フラサバソウか、それともイヌノフグリか?

よい気分で歩いていると、見慣れない雑草の群落を見つけた。
江戸川べりの観察-43 早春の雑草観察2021_d0163696_15553654.jpg
オオイヌノフグリのなかまだと思うが、花は小さめで全体はがっちりした感じ。
江戸川べりの観察-43 早春の雑草観察2021_d0163696_15554421.jpg
花の色はオオイヌノフグリによく似て淡い青紫色。全体に毛が密生している。
フラサバソウだとすると、花は白くて全体が弱々しいはずだと思う。
江戸川べりの観察-43 早春の雑草観察2021_d0163696_15555069.jpg
群落に混じって、画面上部の左右に一つずつ見える大きい花はオオイヌノフグリ。
大きさにはかなり違いがある。

もしかすると、これは希少種のイヌノフグリかも?
各部の詳細を記録しておかなければ…

江戸川べりの観察-43 早春の雑草観察2021_d0163696_15555640.jpg
葉は縁に毛があるが葉面には目立たない。
葉柄は葉と同じくらいの長さ。
江戸川べりの観察-43 早春の雑草観察2021_d0163696_15560455.jpg
果実は平たい球形で毛がないが、がくには毛が目立つ。
これを見るとやはりフラサバソウかも…

フラサバソウは半日陰のようなところで、ひょろひょろ、なよなよした感じだと思うのだが、はたしてこの植物の正体は何か。

色々調べてみたが判断できず、自然観察大学のメーリングリストで聞いてみたところ、次のようなご意見をいただいたので、紹介させていただく。(一部改変)

●TBさんより(先日の冬芽クイズで全問正解した尊敬すべき方です)
イヌノフグリは、花が小さく桃色で花弁に紫の筋があります。また、生息地が減っており出会う機会が少ないので、イヌノフグリではなくフラサバソウと思います。
決め手は、果実がほぼ球形で先端が少し凹んでいること、がく縁に長い毛があること、花弁の基が繋がっているように見えることです。

●OB先生より
写真の件ですがフラサバソウと思われます。
花の色がちょっと濃いようですが許容が範囲でしょう。
イヌノフグリとフラサバソウの区別のポイントは、まず葉の鋸歯の数です。
フラサバソウは片側1か2、イヌノフグリは2~3です。
葉やがくの毛は、フラサバソウはまばらで長い毛、イヌノフグリは短い腺点のような毛です。
花の色は、イヌノフグリは青紫よりもピンクのイメージと思います。

●IW先生より
私もきれいなフラサバソウと思います。
今月発行の「自然保護」580号にイヌノフグリ類の見分け方という記事が載っています。

●MM先生より
勤務先の学校に勢いのよいフラサバソウ群落があります。
わりと日が当たるのでしっかりとした草になっています。
少ない粗めの鋸歯と全身に生えるもさもさした毛が、近くに生えているオオイヌノフグリと違った雰囲気を出しています。
江戸川べりの観察-43 早春の雑草観察2021_d0163696_15561013.jpg
校庭の日の当たる場所のフラサバソウ群落(MM先生撮影)

●NY先生より

イヌノフグリの花を見たことがなかったころ、私もフラサバソウの花を「もしかしてイヌノフグリ!?」と勘違いして、ぬか喜びしたことがありました。
実は昨日、千葉市内の某所で私の方は本物のイヌノフグリを見てきました。花はすでに終わり、果実になっていました。
オオイヌノフグリの果実は扁平で、名の由来を聞かされてもイマイチしっくりこないところがありますが、本家のイヌノフグリの果実の方は近縁種群の中でも、最もそれらしい外観。まさに言い得て妙。「これなら確かに!」と納得できます。
花の特徴としては、色の違いのほかに、フラサバソウの花では(4枚の花弁のように見える)花冠裂片の間に隙間ができます。一方、イヌノフグリの花では裂片が重なります。
また、私が見たことのあるイヌノフグリの株はどれも、茎を高く立ち上げることなく、地表にべったりと広がっていました。
花や果実はあまりにも小さいので、このような草の姿の特徴もイヌノフグリを見つけるときの手掛かりになるかと思います。
江戸川べりの観察-43 早春の雑草観察2021_d0163696_15561780.jpg
イヌノフグリの果実(NY先生撮影)
江戸川べりの観察-43 早春の雑草観察2021_d0163696_15562431.jpg
イヌノフグリの花.平開していない場合が多い(NY先生撮影)
江戸川べりの観察-43 早春の雑草観察2021_d0163696_15563197.jpg
地表に広がるイヌノフグリの株(NY先生撮影)


MLでご意見、ご教示いただいたみなさん、ありがとうございました。

イヌノフグリではなくて残念だったが、元気なフラサバソウを観ることができたので満足であった。


余談ですが…


雑草の目線で撮影するときは、這いつくばるようにして視線を合わせる。
1カットめのホトケノザの群落を撮っているときに、自然観察大学の唐沢学長が近くにおられ、地面に伏せたまま動かない私を遠目に見て、すわ、行き倒れかと驚いた由である。
その時のことはカラサワールドの掲示板に記されているので、よろしければご覧いただきたい。
● Karasawa Koichi 人と自然と野鳥のコーナー  (ちょっと旧い3/10の投稿です)
(アブラナ科の黄色い花をつけたのはナバナではなくキャベツであると、この記事で知りました)


自然観察大学メーリングリスト(ML)とは…

NPO法人自然観察大学の会員どうしの情報交換などを目的としたものです。
NPO会員の入会時にMLに参加いただきます。
詳しくは「入会案内」をご覧ください。 

2021年3月23日、報告:自然観察大学 事務局O



# by sizenkansatu | 2021-03-23 16:04 | 植物 | Comments(0)

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