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自然観察大学ブログ

冬芽の展開(9) ヌルデ

まずは2月の冬芽。(クイズで掲載した写真)
冬芽の展開(9) ヌルデ_d0163696_17191243.jpg
ヌルデは鱗芽だそうだが、フェルト状の厚い毛におおわれていて、どれが芽鱗なのか見た目ではよくわからない。
冬芽が展開していくとともに判明するのではないかと注目していたところ、待望の芽吹きは3月下旬だった。
冬芽の展開(9) ヌルデ_d0163696_17110311.jpg
残念ながら膨らんできた芽を見てもどこが芽鱗なのかわからない。相変わらず裸芽のように見える。
冬芽の展開(9) ヌルデ_d0163696_17112164.jpg
この写真のように耳を出したようなものも多く見られた。
この耳の部分が芽鱗なのだろうか。

別の冬芽はもう少し成長が進んでいた。
冬芽の展開(9) ヌルデ_d0163696_17113820.jpg
これではまるで裸芽のように見える。

もやもやした気分のまま時が過ぎて、4月半ば過ぎに再チャレンジ。
冬芽の展開(9) ヌルデ_d0163696_17115140.jpg
冬芽からは立派なシュートが伸びている。
冬芽の展開(9) ヌルデ_d0163696_17115979.jpg
シュートのつけ根には芽鱗だったと思われるものが残っている。
やはりヌルデは鱗芽だということだ。

しかし、別のヌルデを見て驚いた。
冬芽の展開(9) ヌルデ_d0163696_17121320.jpg
芽鱗と思われる部分が小さな葉のようになっている。
これは裸芽と同じではないか!

この一角は江戸川の河川敷で、たくさんの実生のヌルデがある。(さすがパイオニア植物の代表格)
別の木を観ると、同じような状態のものが複数、それもかなりの確率で確認できた。
冬芽の展開(9) ヌルデ_d0163696_17122250.jpg
これなどは立派に複葉になりかかっている。

う~む。
もしかするとヌルデは鱗芽と裸芽の中間的なものなのだろうか。
そういえば、ヌルデのなかま(ウルシ科)には鱗芽と裸芽の両方があるではないか。
たとえば裸芽のところで報告したヤマハゼもウルシ科だが、多くの場合は前年の葉柄のつけ根の部分が残ってガードしているように思える。
鱗芽か裸芽かは人間によって定義づけされたものに過ぎず、きっちりと当てはまらないものがあってもおかしくはない。

…そんなことを考えながら、成長の遅めの冬芽を持ち帰り、断面を拡大して観ることにした。
冬芽の展開(9) ヌルデ_d0163696_17123457.jpg
冬芽の展開(9) ヌルデ_d0163696_17124304.jpg
中心部にはシュートのもとになる部分があって、伸長・展開に備えて万端整えた、というところだろう。
一方、芽鱗と思われる部分は新鮮な、生きた状態で、このまま伸長・展開してもおかしくはない。
これを鱗芽とするか、裸芽とするか、やはり定義に当てはめるのは難しそうだ。
まぁ、ヌルデにとっては、鱗芽でも裸芽でもどっちでもよいことなのだろう。


以上で2021年春の冬芽の展開の報告は終わり(のつもり)。
コロナ禍で在宅勤務の気分転換に散歩を兼ねて冬芽の展開を観察したが、とても面白く充実したものであった。
読んでいただいたみなさん、長い間お付き合いいただき、ありがとうございました。

2021年4月23日、報告:自然観察大学 事務局O






# by sizenkansatu | 2021-04-23 17:20 | 植物 | Comments(0)

冬芽の展開(8) コナラ

冬芽の展開は終了したつもりだったが、あと少しお付き合いいただきたい。
私なりの新発見があって、ぜひともご報告しなければと思ったしだいである。

コナラの冬芽が膨らんできたのは3月24日だった。
冬芽の展開(8) コナラ_d0163696_16244518.jpg
頂芽と頂生側芽そして側芽と複数の冬芽はふくらみ、雄花序をのぞかせたものもある。
程度の差はあるもののどれも順調なようすである。

次の観察までの間が少し空いてしまって(反省)、4月9日のコナラ。
冬芽の展開(8) コナラ_d0163696_16250006.jpg
すでに冬芽は展開しきっていて、雄花が終わった状態だった。
冬芽の展開(8) コナラ_d0163696_16251143.jpg
別の冬芽も同じ状態だ。
まず気づいたのは、コナラでは複数の頂生側芽があるが、成長せずに枯れるものも多いことである。
これは副芽のような位置づけで、頂芽に異常があった場合に備えているということなのだろう。

もう一つ気づいたことがある。
コナラの冬芽は鱗芽だが、重なり合う芽鱗の中心から新しいシュートが出ている。
そして芽鱗はもとの位置にそのままの形で残っている。
撮った写真を整理しながら、これを見て違和感を持ったのである。
こ、これは少し前に観たケヤキの冬芽とは全く違うではないか!!

前に掲載したケヤキの展開とくらべてみよう。
参考:ケヤキの冬芽( ⇒ 江戸川べりの観察‐42 ケヤキの冬芽の展開
冬芽の展開(8) コナラ_d0163696_16252024.jpg
ケヤキの方は、ひとつの芽鱗ごとに葉や花がつき、重なり合う芽鱗の間から伸び出す。
冬芽の展開(8) コナラ_d0163696_16253006.jpg
画面で、つけ根のところに1個ずつ芽鱗が残っているのがわかる。(褐色で先端が尖ったもの)
つまり、冬芽全体が成長して新しいシュートになるわけである。

コナラもケヤキはどちらも鱗芽ではあるが、重なる芽鱗の中心からシュートが伸びるコナラと、多数の芽鱗の一つずつに葉や花がつき全体がシュートになるケヤキ。まったく異なるパターンであることに気づいた。
「そんなことは当たり前で、前から知っていた」という方も多いと思うが、私にとっての新発見である。
うれしくなって思わずビシバシと思わず膝をたたいてしまった。
そんなことで、しつこく報告させていただいたというわけである。

あともう一つ、ヌルデの冬芽の展開で私なりの発見があった。次回それで最終回とさせていただく。

2021年4月22日、報告:自然観察大学 事務局O




# by sizenkansatu | 2021-04-22 16:32 | 植物 | Comments(0)

冬芽の展開(7) 裸芽

冬芽の展開は今回で最終回のつもり。
裸芽をまとめて記させていただく。

冬芽は鱗芽と裸芽に分けられる。
鱗芽は芽鱗におおわれているのに対し、裸芽は一番外側の幼い葉のようなものが冬芽をおおう。
この幼い葉が成長して葉になるのか、それとも展開とともに役割を果たして落ちてしまうのか、観察ではそれに注目した。


アカメガシワ
冬芽の展開(7) 裸芽_d0163696_09235157.jpg
まずは裸芽の代表格のアカメガシワ。
展開したての葉が赤いのでこの名があるという。
冬芽の展開(7) 裸芽_d0163696_09240098.jpg
なかなか美しい。
赤いのは緑の葉に赤い星状毛が密生しているためで、こすると毛がとれて緑色の葉が出てくる。

アカメガシワの冬芽は「冬芽の名前当てクイズ」の「」を参照  
次のムラサキシキブの冬芽は「


ムラサキシキブ
冬芽の展開(7) 裸芽_d0163696_09240766.jpg
こちらも裸芽の代表格、ムラサキシキブ。
ざらざらしているのは細毛で、これは寒さに耐えるためのものなのだろう。

ところで、外側にあった葉はそのまま成長するのか、それとも役目を終えると落葉するのか…
冬芽の展開(7) 裸芽_d0163696_09241345.jpg
4月はじめ、葉を広げたムラサキシキブ。
そのつけ根を観ると…
冬芽の展開(7) 裸芽_d0163696_09242069.jpg
葉が落ちた痕はなく、裸芽を覆っていた葉がそのまま成長したことがわかる。
はじめに載せたアカメガシワでも、外側の葉は落ちずに成長するようだ。


クサギ
冬芽の展開(7) 裸芽_d0163696_09242760.jpg
3月半ばのクサギの冬芽。これも裸芽。
冬芽の展開(7) 裸芽_d0163696_09243305.jpg
冬芽の展開を観察したのは3月末。
クサギでも葉を落とした痕はない。
上の写真で注目したいのは、頂芽のすぐ下にある副芽だ。
副芽は頂芽(主芽)に異常があったときの交代要員であり、通常は開くことはないという。


エゴノキ
冬芽の展開(7) 裸芽_d0163696_09244246.jpg
2月のエゴノキの冬芽(クイズに掲載した写真)。
裸芽で細かな星状毛が密にあって、フェルトのようだ。
主芽と副芽をもつ代表格でもある。
この冬芽が膨らむと…
冬芽の展開(7) 裸芽_d0163696_09244958.jpg
主芽が膨らみ、それに伴って星状毛はまばらになる。
外側の葉を落とさずに成長するのも、ほかの裸芽と同じだ。
冬芽の展開(7) 裸芽_d0163696_09245728.jpg
主芽はさらに成長するが、副芽は予想どおり動かない。


ここまでの例では外側を覆っていた幼い葉がそのまま成長することを観察してきたが、そうではない例もあったのでご報告しておこう。


オニグルミ
冬芽の展開(7) 裸芽_d0163696_09250481.jpg
オニグルミの裸芽では、冬芽を覆っていた外側の葉の予備軍(?)は、落ちてしまうらしい。
上の写真は2月半ばで、すでにつけ根の部分が離れかかっている。
冬芽の展開(7) 裸芽_d0163696_09251673.jpg
こちらは3月上旬(別の冬芽)。
頂芽の葉の予備軍ははっきり剥がれてきて、側芽でも切れ目が見えてきた。
帽子を脱ぐような感じで、鱗芽のリョウブやマンサクの冬芽に似ている。
冬芽の展開(7) 裸芽_d0163696_09252529.jpg
3月下旬。いっせいに芽吹く元気な姿。
その陰で、役目を終えた外側の葉の予備軍の落ちた痕が見える。
このようすだと、いま外側にある予備軍の中にも、葉になることなく落ちてしまうものがありそうだ。
それにしても盛大な芽吹きだ。


ヤマハゼ(?)

最後はヤマハゼと思われる冬芽。
冬芽の展開(7) 裸芽_d0163696_09253111.jpg
3月上旬に頂芽が芽吹きを始めたところである。
頂芽のまわりには前年の葉柄のつけ根のようなものがあって、冬芽をガードしているように見える。
冬芽の展開(7) 裸芽_d0163696_09253709.jpg
5日後、頂芽に続いて側芽も開きはじめた。

それにしても、この芽吹きはなかなかカワイイ。
動物の赤ん坊は生まれながらにしてカワイイというが、なかなかどうして植物も負けていない。
新芽を食べられないための戦略だったりして…

2021年4月19日、報告:自然観察大学 事務局O





# by sizenkansatu | 2021-04-19 09:35 | 植物 | Comments(2)

冬芽の展開(6) ホオノキ

マトリョーシカ構造と托葉芽鱗

ホオノキはモクレン科モクレン属(Magnolia属)で、コブシのなかまとされる。
ホオノキは高木で、その冬芽はなかなか近くで観られないが、幼木で間近に展開のようすを観ることができた。
以下はちょっとややこしい話なので、『樹木博士入門』( )をお持ちの方は、p38-39「コブシの冬芽の展開」を合わせてごらんいただきたい。

冬芽の展開(6) ホオノキ_d0163696_21403541.jpg
ホオノキの冬芽の展開。
朱色がかったのが芽鱗で、もちろん緑色のは葉である。
色分けされていて、とても分かりやすい。

冬芽の展開(6) ホオノキ_d0163696_21404668.jpg
こちらは展開がはじまったところ。
ホオノキは冬芽のときも大きかったが(冬芽のクイズの「L」を参照  )、展開時には長さが3倍ほどになるだろうか。盛大に膨らんでいるので、肉眼でも観察しやすい。

冬芽の展開(6) ホオノキ_d0163696_21405557.jpg
朱色の芽鱗の下に緑の葉があって、その中にはまた朱色の芽鱗があって、そのまた中には…
というマトリョーシカ構造がよくわかる。

マグノリアとマトリョーシカとは何となく語感が似ている。
マグノリアの由来をネットで調べると、フランスの植物学者の名前だそうだ。
これはもしかするとマグノリアのロシア語読みがマトリョーシカでは? と期待して検索したら、残念ながら違った。マトリョーシカはロシアの女性の名前だという。両者のつながりはまったくないようだ。
(マトリョーシカは箱根細工の入れ子人形が伝わったという説もあるようだ。)

話をもとに戻して、前出の写真の葉のつけ根のところを拡大してみよう。
冬芽の展開(6) ホオノキ_d0163696_21410375.jpg
葉柄の下部で次の芽鱗とつながっていて、芽鱗がこの葉の托葉の位置にあることがわかる。
それで“托葉芽鱗”というのだそうだ。
托葉芽鱗はモクレンのなかまに共通した特徴とされる。


冬芽の展開(6) ホオノキ_d0163696_21411792.jpg
こちらはまた別の冬芽。
つけ根のところを拡大すると…
冬芽の展開(6) ホオノキ_d0163696_21412734.jpg
やはり同じように葉柄と托葉の関係になっている。
もう一つ注目したいのは画面右の剥がれた芽鱗だ。つけ根の中心部にある緑色の部分は葉柄で、この芽鱗を托葉とする葉身が落ちた痕、ということになる。

ホオノキの花は大きくて華やかでそのうえ香りも素晴らしいが、冬芽の展開も興味深いものであった。

2021年4月14日、報告:自然観察大学 事務局O




# by sizenkansatu | 2021-04-14 21:48 | 植物 | Comments(0)

冬芽の展開(5) カツラ

カツラは冬芽の展開と同時に花が咲く。
冬芽の展開(5) カツラ_d0163696_17574272.jpg
雌雄異株でこれは雄花。
雄花と言っても雄しべがあるだけで花弁もがくもない。
画面下の雄花では一部の雄しべは黒っぽくなっているが、これが葯を出している状態。これが本当の開花ということだ。

カツラはこのように先に花を咲かせ、そのあとで葉が出てくるのが普通とされる。

しかしながら、そうではないと思われるカツラもある。
冬芽の展開(5) カツラ_d0163696_17575266.jpg
これは雄花と葉の出た状態。
雄花はまさしく最盛期で、花粉を出した雄しべとこれから花粉を散らす雄しべとが混在している。
その一方で、すでに立派な葉も出ている。

さらに別のカツラ。
冬芽の展開(5) カツラ_d0163696_17580136.jpg
こちらはまさしく雄花と葉を同時に出したという感じだ。

さらに別のカツラ。
冬芽の展開(5) カツラ_d0163696_17581132.jpg
葉が出ているだけなのかと思ったが…
よく見ると、中心部から雄しべが顔を出している。
先に葉が出て、そのあとに花が咲く、というパターンだ。

ネットで調べると「葉が出る前に開花する」と記したものがほとんどだが、「葉の展開と同時に開花する」と記されたものもあった。

実際に私の観たところでは多くは葉が出る前に開花するが、いろいろなパターンがあって、あまり順序にはこだわらない、というところのようだ。


次に雌花を観よう。
冬芽の展開(5) カツラ_d0163696_17583034.jpg
雌花も雄花同様に花弁もがくもなく雌しべがあるだけ。
つけ根の子房は法に包まれ、渋めの紅色のひも状の柱頭だけが見える。
雌花も普通は葉が出る前に咲くとされる。

雌株にも例外があった。
冬芽の展開(5) カツラ_d0163696_17584328.jpg
このカツラはどう見ても葉を出した後に開花している。
どうやら、カツラは雌雄ともにアバウトな性質をもつらしい。

雄花も雌花も小さくてあまり目立たないが、じっくり見ると品のよい紅色で独特の形をしている。
ほかの何物にも似ていない孤高の姿である。


冬芽の展開(5) カツラ_d0163696_17591582.jpg
最後はシュートを出した芽。
カツラはほとんどが短枝で、あまりこのように枝分かれしない。

雄花の冬芽、雌花の冬芽、シュートの芽、そして葉芽と、4パターンの異なる冬芽があるはずだが、展開前の冬芽は見た目では区別できない。それらを見分けるポイントがあるのだろうか。
またまた今後の課題ができてしまった。

2021年4月12日、報告:自然観察大学 事務局O





# by sizenkansatu | 2021-04-12 18:01 | 植物 | Comments(0)

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美味しそうなのに 残念..
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> wabisuke-m..
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どれもこれも美しいですね..
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> 濵崎 功さん ご回..
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