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自然観察大学ブログ

オオイヌノフグリ ファンクラブ通信 vol.17

雪のあとのオオイヌノフグリ

Vol.16で、オオイヌノフグリが三寒四温をどのようにすごしているのかを推測した。(

土日に積雪があったので、その翌日にオオイヌノフグリを観に出かけた。
オオイヌノフグリ ファンクラブ通信 vol.17_d0163696_22423395.jpg
雪の残る傍らで、なんとか頑張ってつぼみをつけている。
先端付近の緑色のところは、短期間に新たに伸びたとは考えにくいので、寒さに耐えたのだと思う。
このあたりの気温を調べると、深夜は―2℃だった。
植物体内の水分はたぶん凍っていたと思うが、短期間であれば凍結にも耐えるのだろう。

こちら(↓)は少し離れたところのオオイヌノフグリ。
オオイヌノフグリ ファンクラブ通信 vol.17_d0163696_22423903.jpg
ここも雪に埋もれていたはずだが、縮こまるようにしてなんとか耐えている。

こちら(↓)はたくさんの花を持っている。
オオイヌノフグリ ファンクラブ通信 vol.17_d0163696_22424859.jpg
とはいえ、気温が低いためか、花はつぼみか、あるいは半開き状態。
オオイヌノフグリ ファンクラブ通信 vol.17_d0163696_22425871.jpg
ここから、気温の上昇とともに少しずつ花を開くはず。

時間をおいて、午後にもう一度観に行くと…
オオイヌノフグリ ファンクラブ通信 vol.17_d0163696_22430548.jpg
枯れ葉の間に、美しい開花が観られた。
このとき、このあたりの気温は8℃。
積雪のあった翌日、早くもたくましく開花していたのだ。

オオイヌノフグリは春の暖かい日は午前中に開花して午後には終わるが、寒い季節には気温の上がった午後に開花するようだ。


おまけ➀ 雪解け後のセイヨウタンポポ
オオイヌノフグリ ファンクラブ通信 vol.17_d0163696_22431272.jpg
すぐ近くでセイヨウタンポポが開花していた。
ぜんぶの葉が枯れているが、花は元気いっぱい。雌しべを伸ばしているのも確認できる。
セイヨウタンポポは厳冬期でも花茎を伸ばさずに地表近くで花を咲かせるが、このようにすべての葉が枯れている状態の花を観たのははじめて。まさに“雑草の中の雑草”ともいうべきたくましさだ。


おまけ② コゴメイヌノフグリ
オオイヌノフグリ ファンクラブ通信 vol.17_d0163696_22432055.jpg
2月6日に今シーズンはじめてコゴメイヌノフグリの花を観た。
草丈はまだ低く、混み合った葉の間に遠慮がちに咲いていた。

このなかまの3種の開花時期はどうだろうか。直近4年間で私が初めて花を確認した日をくらべてみよう。
コゴメイヌノフグリ:2/7、2/10、2/14、2/6
フラサバソウ   :12/18、2/11、1/23、1/14
オオイヌノフグリ :12/18、11/8、1/22、11/17

オオイヌノフグリ>フラサバソウ>コゴメイヌノフグリの順で開花している。

参考:オオイヌノフグリのなかまのまとめ  

………………………………………………………………
オオイヌノフグリ ファンクラブ通信 vol.14_d0163696_18234596.jpg
オオイヌノフグリ ファンクラブ(略称:OFC)とは…

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2026年2月10日、報告:自然観察大学 事務局 大野透

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# by sizenkansatu | 2026-02-10 22:55 | 植物 | Comments(0)

オオイヌノフグリ ファンクラブ通信 vol.16

三寒四温とオオイヌノフグリ

オオイヌノフグリは、秋に芽生えて晩秋から初冬に咲きはじめる。
花の盛りは2月の後半から3月だが、その間の厳冬期を、オオイヌノフグリはどうすごしているのか?

1月の半ばの暖かい日。
オオイヌノフグリ ファンクラブ通信 vol.16_d0163696_18281923.jpg
元気に咲いている花があった。

一方では、全面が枯れている場所もある。
オオイヌノフグリ ファンクラブ通信 vol.16_d0163696_18282590.jpg

こちら(↓)は枯れた中から花を咲かせている。
オオイヌノフグリ ファンクラブ通信 vol.16_d0163696_18291663.jpg
どれも同じ畑のまわりで、陽当たりも水分も、風当りも同じはずだが、このような違いが起こるのはどうしてだろうか。
わずかに環境が違っているのか、それともDNAの違いがあるのだろうか。

花をつけたオオイヌノフグリをくわしく観てみよう。
オオイヌノフグリ ファンクラブ通信 vol.16_d0163696_18292562.jpg
ほぼ全身が褐変しているが、先端に花が咲いている。
よく観ると、花のつけ根のあたりだけ、緑色の葉が出ている。
オオイヌノフグリ ファンクラブ通信 vol.16_d0163696_18293378.jpg
重なった葉の間にはつぼみもあり、これは翌日に開花するのだろう。


私が観察した範囲での推測だが、
オオイヌノフグリは寒いときには葉を枯らして耐え、陽射しのある暖かい日に新しい葉を出して花を咲かせるのだと思われる。
霜柱のできるようなときには、植物体内の水分が凍ってしまうこともあるのかもしれない。そのときはさすがに葉が枯れるだろう。
ただし、この時期、私は陽射しのあるときにだけ野外に出る。寒い日は観察していないので推測である。(反省)


フラサバソウ
オオイヌノフグリ ファンクラブ通信 vol.16_d0163696_18295293.jpg
1月9日のフラサバソウ。(↑)
花芽らしいものがうかがえるが、まだ咲いていなかった。

開花を確認したのは1月15日。(↓)
オオイヌノフグリ ファンクラブ通信 vol.16_d0163696_18301028.jpg
オオイヌノフグリ ファンクラブ通信 vol.16_d0163696_18301817.jpg

オオイヌノフグリは晩秋から咲きはじめるが、フラサバソウの開花は少し遅いようだ。
過去のフラサバソウの開花観察日を記しておこう。
2021年12/18、2023年2/11、2024年1/14、2025年1/23

ホトケノザ
オオイヌノフグリ ファンクラブ通信 vol.16_d0163696_18302703.jpg
ホトケノザは真っ赤になって寒さに耐える。
オオイヌノフグリ ファンクラブ通信 vol.16_d0163696_18303464.jpg
全身が赤くなったままで花を咲かせている。
オオイヌノフグリよりも寒さには強そうだ。


OFC会員の観察活動紹介

● 会員No.006 miyabiflowerさん
銅葉(ブロンズリーフ)に青い花 オオイヌノフグリ夏から秋 そして冬 14 : 風と花を紡いで  
茶色くなって折れた茎二本 オオイヌノフグリ夏から秋そして冬 15 : 風と花を紡いで  
※ 昨年からの栽培中の記録。夏の間も開花を続け、さらに冬を越しそうです。

● 会員No.013 cflcflさん
オオイヌノフグリ栽培記 : 写真  
※ 亜熱帯(?)で種子からの栽培にチャレンジ中。

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オオイヌノフグリ ファンクラブ通信 vol.14_d0163696_18234596.jpg
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# by sizenkansatu | 2026-02-05 18:42 | 植物 | Comments(2)

チュウゴクアミガサハゴロモの越冬卵

チュウゴクアミガサハゴロモの越冬卵_d0163696_10362952.jpg
ヒュウガミズキの枝に白い綿屑のようなものがついている。
チュウゴクアミガサハゴロモの越冬卵_d0163696_10363527.jpg
これはチュウゴクアミガサハゴロモの卵だ。

私の通う植物園では、昨年(2025年)にはじめてチュウゴクアミガサハゴロモを観た。
初夏に幼虫を見つけたのが最初で、それが7月に成虫になって産卵する。
その卵は間もなく孵化し、秋に成虫になってまた産卵した。
あっという間にすごい勢いで増えている。

この冬、この植物園ではいろいろな木の新梢で卵が目立っている。

これはヤブツバキ。(↓)
チュウゴクアミガサハゴロモの越冬卵_d0163696_10364199.jpg
白いワックスは火であぶるとあっという間になくなる。
チュウゴクアミガサハゴロモの越冬卵_d0163696_10365658.jpg
でこぼこしているのは産卵管を刺し込んだ痕だ。
同じ枝の下の面を観る。
チュウゴクアミガサハゴロモの越冬卵_d0163696_10370565.jpg
産卵管をねじ込まれた痕が痛々しい。
この枝を割ってみた。
チュウゴクアミガサハゴロモの越冬卵_d0163696_10371299.jpg
産卵管を刺し込む位置をずらしながら、一つの枝に数十個の卵を産んだことがわかる。

比較的大きな卵であり、また枝の中ということもあるので、無事に成長する確率は高いのだろう。
しかも、樹種を選ばずいろいろな木に産卵している。
この先どれだけ増えるのか、考えると恐ろしくなる。

こちらはナツツバキ。(↓)
チュウゴクアミガサハゴロモの越冬卵_d0163696_10371869.jpg

ウツギ。(↓)
チュウゴクアミガサハゴロモの越冬卵_d0163696_10372578.jpg

クロモジ。(↓)
チュウゴクアミガサハゴロモの越冬卵_d0163696_10373282.jpg

今年は、ほかにカナメモチ、クサギ、サネカズラ、ニシキギ、ハクウンボクなどいろいろな木でチュウゴクアミガサハゴロモの卵を確認している。
草本では卵を観たことがないが、幼虫は各種の草本にもとりついている。


チュウゴクアミガサハゴロモが急激に増えている

チュウゴクアミガサハゴロモは1977年に中国山東省で新種として記載され、日本では2017年、大阪で初めて確認されたという。
私がこの虫をはじめて観たのは2022年さいたま市であった。2025年になって、千葉県や東京都内の各地で多数確認している。すごい勢いだ。
昨年3度にわたって記事にしているので、よろしければご覧いただきたい。

● チュウゴクアミガサハゴロモの観察  
● チュウゴクアミガサハゴロモの産卵  
● チュウゴクアミガサハゴロモの孵化など  

このまま増え続けるとどんなことになってしまうのか。
植物園の管理業務をしておられる方に注意を促し、産卵された新梢を剪定するように何度もお願いした。この植物園は熱心なスタッフがていねいに管理してくれているのだが、とても追いつかない。
そこで及ばずながら、駆除のお手伝いをしている。産卵された枝を炙るのだ。
チュウゴクアミガサハゴロモの越冬卵_d0163696_10373886.jpg
これは前掲のクロモジの新梢。(↑)
ライターでごく簡単に処理できる。
これで卵が死んで、しかも枝が生きていてくれるとよいのだが、どうなることか。
引き続き注目したい。

2026年1月18日、報告:自然観察大学 事務局 大野透

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# by sizenkansatu | 2026-01-18 10:45 | 昆虫など | Comments(20)

サルトリイバラの観察 ②


サルトリイバラの葉
サルトリイバラの観察 ②_d0163696_21231920.jpg
葉は饅頭や餅を包むのに利用されるという。
サルトリイバラの観察 ②_d0163696_21232818.jpg
葉身は美しい緑色で、表面にやや光沢があって、軟らかくておいしそう。
幅広で中央の主脈のところから折れ気味なので、餅を包むのには都合がよさそうだ。
なお、この写真の葉は中央に斑紋があるが、ときどきこのように斑紋のあるサルトリイバラを見かける。

西日本では柏餅にサルトリイバラの葉を利用する地域があるという。関東でも“ばらっぱ餅”や“ばらっぱ饅頭”として使うという話も聞くし、名古屋の銘菓“餡麩三喜羅”というのもある。(サンキライはサルトリイバラの別名)

葉柄に注目したい。
サルトリイバラの観察 ②_d0163696_21233725.jpg
葉柄は途中で屈曲し、曲がったところに巻きひげがある。
サルトリイバラの観察 ②_d0163696_21234610.jpg
一部は膜状、ひれ状になっている。

切って横断面を観てみよう。
サルトリイバラの観察 ②_d0163696_21235641.jpg
巻きひげのつけ根のところの断面。
上下に突き出ているのがひれ状に見えた部分。
中央の白いのは維管束が集まっているところ。

次はもう少し茎寄りのところの断面。
サルトリイバラの観察 ②_d0163696_21240957.jpg
巻きひげのついていたところが左右に膨らんでいる。

次はもう少し茎寄りを切る。
サルトリイバラの観察 ②_d0163696_21241805.jpg
ひれは上下に突き出ているが、とくに上方が目立つ。そして一か所穴が開いている。

さらに茎寄りを切る。
サルトリイバラの観察 ②_d0163696_21242882.jpg
穴の中に何かが現れた。
ひれ状の部分は上方に口を開けている。

別の葉柄で、こんどは縦断面。
サルトリイバラの観察 ②_d0163696_21244134.jpg
これを縦に切ってみた。すると中には…
サルトリイバラの観察 ②_d0163696_21245502.jpg
空洞部分があって、その奥にはもう大きな冬芽ができている。
これを観たのは4月26日だったが、翌年開く冬芽はこの時点、すなわち1年前に用意できていたことになる。

これはいわゆる“葉柄内芽(ようへいないが)”としてよいと思う。
葉柄内芽は葉柄で冬芽を守るとされ、その例としてスズカケノキ(プラタナス)類やハクウンボクが知られる。
スズカケノキは落葉のとき、ハクウンボクは翌年の萌芽の前までに葉柄を落とす。冬芽を守るのは半年から1年間だ。
それに対してサルトリイバラの場合は、萌芽のときはもちろん、長いものではまる2年間以上もずっと守り続ける。面倒見がよいというか、子離れできない葉柄内芽である。


果実と種子
サルトリイバラの観察 ②_d0163696_21250380.jpg
夏の果実は緑色。
サルトリイバラの観察 ②_d0163696_21251096.jpg
赤く色づいたのは10月末だった。
サルトリイバラの観察 ②_d0163696_21251819.jpg
12月には黄葉と赤い果実がたのしめた。
サルトリイバラの観察 ②_d0163696_21252471.jpg
1月。果実だけを残して落葉。
(1年前の2025年の1月の撮影。葉柄が残っている)

さて、種子を観てみよう。
サルトリイバラの観察 ②_d0163696_21253219.jpg
この果実には大きな種子が1個入っていた。

別の果実を切ってみる。
サルトリイバラの観察 ②_d0163696_21254166.jpg
こちらは1個だけが見えているが、1個は落ちて、奥にもう一個あったので計3個。

ネットで見ると、種子は1個という記事と3個という記事があった。
1個の果実に種子は1~3個ということになる。

なお、果実は赤くなったあとさらに熟して褐色になり、破れて種子を出すという記事をネットで見た。
そういえば赤い実を鳥が食べるところは見たことがない。
1月現在の果実はしわしわになっているが、まだ赤い。熟して種子を出すかどうかを確かめてみたい。


サルトリイバラの地下部

サルトリイバラの地上部は数年で枯れて、太く短い地下茎が残るという。
実物を観たくなった。

サルトリイバラは深い藪の中から出てくるので探すのがたいへんだが、おあつらえ向きの場所を見つけた。
サルトリイバラの観察 ②_d0163696_21255076.jpg
落ち葉の間から出ている緑色の茎がサルトリイバラ。
ここは大きなヒノキの生け垣で、夏にはサルトリイバラがおおいつくすような勢いだったところで、暗い樹冠下には下草がない。
サルトリイバラの観察 ②_d0163696_21255710.jpg
節のところにこぶのようなのがあるのは、これから枝分かれするのだろうか。

別の株の生え際を10cmほど掘ってみた。
サルトリイバラの観察 ②_d0163696_21260586.jpg
こぶ状の地下茎がある。
もっと深く地下茎が張り巡らされているようなのだが、これ以上は掘り進めなかった。
ヒノキの生け垣の下で、低い姿勢で掘るので、もう限界だ。
地下茎はまだ続いていたが、掘り出したところまでを切り取って、明るいところに出してみた。
サルトリイバラの観察 ②_d0163696_21261363.jpg
サルトリイバラの観察 ②_d0163696_21261928.jpg
地下茎の先端から新たな芽を出すような雰囲気がある。

この株元から1m以内の場所で、石垣のようなブロックの間からサルトリイバラが芽を出していた。
サルトリイバラの観察 ②_d0163696_21262720.jpg
もしかすると地下でつながっているのだろうか。
深いところに大きな地下茎があって、四方八方に茎(つる)を伸ばしているのかもしれない。
大がかりに掘り返してみたいが、さすがにそれは難しい。


サルトリイバラは木か草か?

サルトリイバラは木本とされる。地下茎は木化して太くなり、地上茎も木化するが緑色のままのものも多く、太くなることはない。

一般に木の定義は次のようにまとめられている。(『樹木博士入門』より)
➀ 茎や根が木化する
② 木化した茎や根は肥大成長する
③ 休眠芽(冬芽)が地上にある

サルトリイバラは③は該当するが、地上茎はなかなか木化せず太ることはないので➀と②に関しては疑問が残る。
クズ、アオツヅラフジ(カミエビ)など、つる植物には木本か草本か悩ましい植物が多い。
もっとも、木と草とを分けているのは人間の勝手な考えである。
本人たちにとってはどうでもよいことなのだろう。


おまけ サルトリイバラで見た虫

2025年にサルトリイバラで見た虫を2種紹介しよう。
まずはルリタテハの幼虫。
サルトリイバラの観察 ②_d0163696_21263789.jpg
サルトリイバラでよく見かけるが、ホトトギスでも見る。
おどろおどろしい姿だが、毒はないので安心。

次はヒゲナガクロハバチの幼虫。
サルトリイバラの観察 ②_d0163696_21264466.jpg
幼虫は若いときには横一線に並んで葉をかじる。体色は白。
成長すると散らばって単独行動になり、体色は黒。
サルトリイバラの観察 ②_d0163696_21265214.jpg
この幼虫はホトトギスを食べている。

ホトトギスを喰われるととんでもなくかわいそうな気になるが、サルトリイバラなら少しぐらい喰われてもよさそうな気がする。

2026年1月10日、報告:自然観察大学 事務局 大野透




# by sizenkansatu | 2026-01-10 21:41 | 植物 | Comments(12)

サルトリイバラの観察 ①

サルトリイバラの観察 ①_d0163696_18032535.jpg
サルトリイバラの果実。
写真は12月10日のもので、赤く熟した果実と黄葉が美しい。

サルトリイバラはサルトリイバラ科サルトリイバラ属(Smilax属、シオデ属、)とされるつる性の木本。
独立した科になっているくらいなので、いろいろとユニークな性質を持っている。

サルトリイバラを一年間観てきたので、まとめてご報告したい。


冬芽とその展開
サルトリイバラの観察 ①_d0163696_18033287.jpg
1月、ほとんど落葉していたが、写真は少しだけ残っていた葉。
注目したいのは葉柄のところだ。

サルトリイバラの観察 ①_d0163696_18034037.jpg
多くはこのように(↑)葉身だけが落葉し、葉柄が残った状態。
葉柄の先には、巻きひげも残っている。
よく観ると、葉柄は上半分が開いていて、そこには冬芽ができている。
冬芽は1個の芽鱗があるが、それを下から支えている葉柄はかなり頑丈で、容易にはがれることはない。

なお、ここでは葉柄としたが、托葉とする記載もあるようだ。
葉身と茎をつなぐ部分なので葉柄であり、托葉が変形したものが巻きひげなのだと思う。
まぁ、サルトリイバラ本人にとってはどちらでもよいことだろう。

一つだけ冬芽を切らせていただいた。
サルトリイバラの観察 ①_d0163696_18034984.jpg
中には葉や花になるべきものが詰まって、春に向けて準備万端整っている。
神秘の世界である。

4月1日、冬芽が展開してきた。
サルトリイバラの観察 ①_d0163696_18035751.jpg
上向きに伸びた枝は前年の春に展開した一年枝だ。
その枝には冬芽が8個あって、それがいま、開きはじめている。
なお、画面下の横に伸びる枝はその前の年の枝(2年枝)だが、まだ葉柄は残っていて、巻きひげもついている。
まる2年間も残っているとは、なんと頑丈な葉柄なのだろう。

さて、かんじんの冬芽の展開。
サルトリイバラの観察 ①_d0163696_18041033.jpg
芽鱗がめくれあがって、花序(つぼみ)と複数の葉が出てきたところ。
これがこれから伸びて、新しいシュート(葉や花をつけた枝)になるのだ。


サルトリイバラの花
サルトリイバラの観察 ①_d0163696_18041798.jpg
4月9日、花が開いた。(前のカットとは別の枝)
近くに寄ってみよう。
サルトリイバラの観察 ①_d0163696_18042536.jpg
新しいシュートのつけ根のあたりに花序がつき、その先に葉をつけた枝が伸びはじめている。
これだけのものが小さな冬芽に詰まっていたことになる。

花序を拡大して観る。
サルトリイバラの観察 ①_d0163696_18043316.jpg
なかなか美しい。花には雄しべがよく目立つ。
サルトリイバラは雌雄異株で、これは雄株ということになる。

雌花はこちら。(↓)
サルトリイバラの観察 ①_d0163696_18045212.jpg
花序全体は小ぢんまりとまとまっている。
雌しべの柱頭は3個、子房は膨らんでいて、これが丸い果実になる。
なお、私の身近では、雄株が多く雌株は少ない。


巻きひげが名前の由来では?
サルトリイバラの観察 ①_d0163696_18050004.jpg
巻きひげの先端が巻きつく相手を探しているように見える。
サルトリイバラの観察 ①_d0163696_18050767.jpg
葉柄と葉身は屈曲しているので、巻きひげが突出するような形になるのだろう。上手くできている。
私はこの巻きひげがサルを捕らえる形と見立てた名前なのではないかと思った。
サルトリイバラの観察 ①_d0163696_18110349.jpg
立ち木をおおったサルトリイバラが、巻きひげを差し出してサルの群れが来るのを待ち構えているように見えるではないか。

ところが、ネットで調べてみると“巻きひげでサルを捕らえる”というような記事は見当たらない。
Wikipediaなど、“茎(つる)にとげがあってこれが猿捕茨の名前の由来である”という記載ばかりであった。
これは本当だろうか。サルトリイバラにはとげのほとんどないタイプ(トゲナシサルトリイバラ)もあって、私の身近ではそのようなサルトリイバラばかりなのだ。
まぁ、名前の由来は、ほとんどの場合は後世の憶測なので、正解というものはない。いろいろ想像するたのしみがあってよい。

②につづく。(

2026年1月7日、報告:自然観察大学 事務局 大野透




# by sizenkansatu | 2026-01-07 18:12 | 植物 | Comments(2)

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