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自然観察大学ブログ

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ホンコンヤマボウシとヤマボウシ

今年の2月の八田洋章先生の講演でホンコンヤマボウシのことを知った。
ヤマボウシが落葉樹でホンコンヤマボウシは常緑というのが決定的な違いだが、細かいところを観察して確認してみた。

参考:『ヤマボウシの自然誌とその自生地探訪』自然観察大学室内講習会レポート2019 ⇒ 


ホンコンヤマボウシは日本のヤマボウシと同属で、東南アジアあたりに生育する常緑の木で、最近の新築住宅で庭木に植栽されるということであった。
講演をうかがったあとでは、都内の新築のマンションや郊外の一戸建ての庭など、ほんとうに頻繁に見かける。
ホンコンヤマボウシとヤマボウシ_d0163696_12420451.jpg
これは台東区の事務所近くで今年の6月11日に撮ったホンコンヤマボウシ。植えて間もないだけに、落ち着きのない変な樹形となっている。
ホンコンヤマボウシとヤマボウシ_d0163696_12421542.jpg
白い大きな総苞片の中心にたくさんの花がある。
なるほど、日本のヤマボウシとよく似ている。
なお、上の写真はまだ開花していないつぼみの状態である。

ヤマボウシの花を見てみよう。
ホンコンヤマボウシとヤマボウシ_d0163696_12422344.jpg
ヤマボウシも同じように4枚の総苞片があって、その中心にたくさんの花がある。
ホンコンヤマボウシとヤマボウシ_d0163696_12424045.jpg
これが本当の開花で、この時点で半分以上はまだつぼみのようだ。


果実の比較

10月末になって、ホンコンヤマボウシの果実が色づいた。
ホンコンヤマボウシとヤマボウシ_d0163696_12424915.jpg
なんとなく個々の花の痕跡がうかがえる。

次の写真はヤマボウシの果実。
ホンコンヤマボウシとヤマボウシ_d0163696_12425680.jpg
より強く融合し表面が滑らかで一体感があるように見える。

なお、これは多数の花が一つの果実になったもので、“複合果”とされるが、こうしてみると花の数にも違いがあり、ヤマボウシの方が数は少ないようだ。
※ 八田先生によると、ホンコンヤマボウシとヤマボウシは花と果実で見分けるのは困難のということでした。上の比較写真の差異は栄養などの条件の違いのよるものなのかもしれません。

ホンコンヤマボウシの花芽

ところで、一つ前の写真のホンコンヤマボウシの果実の写真をもう一度ご覧いただきたい。果実のすぐ右にある、緑色の丸いものは花芽である。
この花芽に注目したい。

これがホンコンヤマボウシの花芽。(果実と同じ10月末に撮影)
ホンコンヤマボウシとヤマボウシ_d0163696_12430684.jpg
多数の粒状に見えるのがつぼみで、つけ根付近にあるのは4つの総苞片と思われる。
ホンコンヤマボウシの花は、このような裸の状態で越冬し、来年6月に総苞片を伸ばすのだろう。

別のホンコンヤマボウシでは、すでに総苞片を伸ばしていた。
ホンコンヤマボウシとヤマボウシ_d0163696_12431351.jpg
花はまだつぼみで、この後どうなるのかと注目していたのだが、1か月過ぎてもつぼみのままである。
南方系なだけに、冬の寒さを知らずにうっかり伸び出してしまったのだろうか。
そしてこの後はどうなるのか…


ヤマボウシの冬芽

一方、ヤマボウシの花芽はこちら。(今年の1月に撮影)
ホンコンヤマボウシとヤマボウシ_d0163696_12432114.jpg
芽鱗に包まれた冬芽で越冬し、当然、総苞片も芽鱗に包まれている。
日本のヤマボウシは冬の厳しさを知っているからだろうか、そのガードは堅い。

この冬芽は春に展開するのだが、昨年(2018)の4月、そのシーンを見て驚いた。
ホンコンヤマボウシとヤマボウシ_d0163696_12432806.jpg
なんと、外側の芽鱗が横に裂けているではないか。
先端には裂片を帽子のようにかぶせている!

念のためほかの芽鱗を見ると、ほとんどみな同じような裂け方をしていた。
(一つ前の写真の右側の花芽も同じように避けている)

ひとりで興奮して、
「もしかするとヤマボウシの名前の由来はここからきた“山帽子”なのではないか。だとしたら命名者はよく観察しているなぁ”」などと考え、ひとりで感心していた。
(ネットで調べても、そんな説はどこにも見当たらなかったが…)

さて、写真を見ると開きかけの芽鱗の中に毛深い緑色のものが潜んでいる。
これは葉か、総苞片か、はたまた…
冬芽から何が出てくるか、ここで紹介することができないのが残念なのだが、2020年2月に完成予定の『樹木博士入門』という本に掲載される予定なので、そちらでご覧いただければありがたい。
後日、ヤマボウシの芽鱗が横に裂けることについて八田先生におうかがいしたところ、次のようにご回答いただいている。
「ヤマボウシの芽鱗が横に裂ける例は普通ではありません。その木の多くの花芽がこのようになったとすると、個体の持つ性質なのかもしれません」

お詫び
前回の記事が3月11日だったので、なんと8か月のご無沙汰でした。申し訳ありません。
ご報告したいことはたくさんあったのに、新しい自然観察大学ホームページの開設とか、前述の書籍のことなどがあって、つい怠けてしまいました。
心を入れ替えて、ぼちぼち続けさせていただきます。
今後ともよろしくお願いいたします。

2019年11月22日、報告:自然観察大学 事務局O





by sizenkansatu | 2019-11-22 12:54 | 植物 | Comments(2)

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