自然観察大学ブログ

タケウチトゲアワフキ

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タケウチトゲアワフキ。なんともかっこいい。
背中の長大なとげは絶妙なカーブを描き、付け根の斑紋も粋でいなせな装い。
丸い頭とつぶらな瞳もGood。
体長5mm程度と小さめだが、ネットでもひそかに話題になっている人気の虫のようである。

ちょっと近づくと、ピンッ、と跳ねる。
上の写真で後脚をたたんでいるが、この脚で跳ねるのだろう。
ネットでは “あまり動かない虫”と記されていたが、このときは気温が高かったためか、かなり活発な虫であった。

地域によっては絶滅危惧種になっているようだが、ここでは多数の個体が観られた。
観察しているときに、上空からポツッポツッと雨粒のようなのが降ってきたのだが、それは彼らが跳ぶとき放つオシッコらしい。
トゲアワフキムシ科は半翅目だから、セミのオシッコと同じなのだろう。
私の顔は樹冠下でシッコまみれになっていた。(ちょっと大げさ)

この虫を見つけた経過をご報告しよう。
はじめて観たのは、いつもの公園のシナノキの樹上である。
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シナノキは花序のつけ根に抱葉があり、面白い形をしている。(2017年6月撮影)
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抱葉は果実のときまで残る。風に乗って種子散布をするのだろうか。(2017年7月撮影)

そんなシナノキの観察の中で、この虫に出会ったのであった。
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冬芽のそばに鳥の糞のようなものが付着していた。
どの芽も同じような状態なので、糞を取り除こうとしたら、中から虫が出てきた。
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アワフキムシの仲間の幼虫らしく、裸にされて驚いた彼らは、すぐに泡の製造を開始した。
尻を高く掲げるのはそのための体制なのであろう。

※ アワフキムシについては「アワフキムシと人間観察」をご覧いただきたい。
 ⇒ https://sizenkan.exblog.jp/13694948/ 


タケウチトゲアワフキの場合は、泡が固化して、堅牢な巣になる。
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このような筒の中にいて、枝から樹液を吸い続けるのだ。
下向きの先端はふたがなく、ここから排泄物を落とすのだろう。

帰宅して調べてみると、この巣はタケウチトゲアワフキであることがわかった。
成虫は図鑑などで見て知っていたが、実物は観たことがなく、あこがれの虫であった。

昨年秋に幼虫を見つけて以来、成虫の出現を待っていた、というわけである。
そのかいあって、彼らの雄姿を観ることができたのである。
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それにしても、この角はどんな役割があるのだろう。
小楯板が変化したものということだが、何かの擬態なのだろうか…

2017年5月8日、報告:自然観察大学 事務局O


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# by sizenkansatu | 2018-05-08 13:02 | 植物と虫 | Comments(0)

スギの花

いつも遅い報告で申し訳ないが、3月はじめのスギの花である。
スギの雄花が花粉を出していた。
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風媒花で、鱗片のすき間から、ごく小さな、大量の花粉を散らす。
これが花粉症のもとになるという。

苦しんでいる方には気の毒なことであるが、しかたがない。
スギには罪はないのだ。

遠目に観たスギの花は、お世辞にも綺麗とは言い難い。
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冬の間は赤く、それも枯れたような褐色になる。
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拡大して観よう。
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こちらの雄花は、まだ花粉を出してはいない。

切ってみると、中の袋に多量の花粉が準備されていた。
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花粉症の方々には悪魔のように見えるのだろうか。

さて、次は雌花だ。
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ちょっと見ただけではわかりにくいが、下向きの枝先に雌花がある。
下から覗きこむようにしながら拡大して観ても…
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やっぱり花らしく見えないのだが、よく観ると鱗片の間に水滴のようなものがあった。
この滴は受粉のためのものだという。(画像のクリックでさらに拡大)

雌花も切ってみた。
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胚珠から液体が出ているのがわかる。(画像のクリックでさらに拡大)
これが受粉滴と言うものだろう。

ところで、スギの葉の一枚は、どこにあたるのか。
長さ1cmほどの針のような部分、これが一枚の葉だ。
あらためて本稿の一枚目の写真を観ると、枝先に向けて葉がだんだん短くなって、そのまま鱗片へと連続している。

こうしてみると、
“花はシュートが変化したもの” まさにそのことが観てとれる。
なお、スギの葉序はらせん状で、この鱗片もらせんに並ぶという。
(確かめてはいないが…)

裸子植物は原始的とされるが、飾りのない機能に徹した姿だ。
これをすがすがしいと観るか、それともしたたかと観るか…

2018年3月29日、報告:自然観察大学 事務局O
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# by sizenkansatu | 2018-03-29 16:50 | 植物 | Comments(0)

立春のロウバイ

2月4日は久しぶりに暖かい日で、立春らしい日であった。
この日、水元公園ではロウバイが満開だった。
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大勢の人が通りがかりに足を止め、においをかいだり、写真を撮ったりしていた。

昨年「季節の生きもの観察手帖」が発刊されてから、二十四節気・七十二候を気にしながら観察している。
新しい年の始まりに、満開のロウバイを観られるとは、なんとうれしく、ありがたいことだろう。

別の場所ではあるが、今年の1月7日にロウバイの花を観ていた。
それからおよそ一か月である。ずいぶん長い間咲いているものだ。

ところで、
ロウバイは花の中心部が赤く見えるというが、この花はどうだろうか。
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何となくソシンロウバイ(花の中心部も黄色い)っぽい気がする。
庭園樹でもあるロウバイは、いろいろなタイプがあるのだろう。
ややこしいことだ。
※ ロウバイとソシンロウバイは次で紹介しています。 
  ⇒ http://sizenkan.exblog.jp/23789102/ 

植物生態学部S子さんへ(事務連絡/再)
以前このブログに投稿いただいていたS子さんの連絡先がわからなくなりました。
事務局OのPC故障によりアドレス帳が紛失したためです。
S子さんにお願いしたいことがあります。一度事務局へご連絡いただければありがたいです。
急ぎませんので、いつでもお待ちしております。

2018年2月6日、報告:自然観察大学 事務局O


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# by sizenkansatu | 2018-02-06 17:58 | 植物 | Comments(0)

「季節の生きもの観察手帖」トップに返り咲き!

節分の日に、「季節の生きもの観察手帖」が、Amazonランキングのベストセラー1位に返り咲いた。(自然観察カテゴリ)
おそらく、立春で新しい年を迎えるにあたって、気持ちも新たに自然観察をしてみよう、記録してみよう、という方々が購入してくださったのだと思う。
ありがたいことである。

次は、2018年2月3日11時54分の記録。
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私のスマートフォンからのスクリーンショットである。
いまでも折にふれてランキングをチェックしているのだが、2017年6月を最後に陥落して以来、およそ8か月ぶりの復活である。
※ 参考
「季節の生きもの観察手帖」がアマゾンで1位に! (2017年4月26日の記事)
⇒ http://sizenkan.exblog.jp/24123868/ 


余談ですが


トップに返り咲いたことに小躍りする一方で、これはほんの一瞬であり、記録しておく必要があると考えた。
(予想は的中し、残念ながら1時間後にはトップを陥落してしまったのであった。)

上の画像を得るために、スマホでのスクリーンショットというのを初体験した。
恥ずかしながら私はスマホが苦手で、その機能のほとんどを生かしていない。(というよりも知らない)
「スマホ スクリーンショット」で検索して、あわてて画像を得たというしだいである。

2018年2月5日、報告:自然観察大学 事務局O
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# by sizenkansatu | 2018-02-05 18:39 | その他 | Comments(0)

ハクウンボクの冬芽

寒い。
今日(1月25日)は日本列島が寒気におおわれた。
都心でも-4℃と記録的な寒さだそうである。
さすが“大寒”まっただなか、“水沢腹堅”である。
『季節の生きもの観察手帖』( )を見ると、1月25日の欄に次のように記されている。

● 気温-41℃を記録 1902年 北海道旭川市 気象庁 ★観測史上国内最低気温

… 100年前も、やはり今日という日は寒かったのだ。
さすが、二十四節気・七十二候、先人の慧眼にはおそれいるばかりである。


さて本題。
昨年の暮れの観察である。(いつも月おくれですみません)
ハクウンボクの木に、落ちずに頑張っている葉が散見された。
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一見すると、どうということのない枯葉だが、葉のつけ根の部分が少し膨らんでいるのが見て取れるだろうか。
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葉柄のつけ根を拡大してみよう。
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冬芽である。

ハクウンボクは葉柄の中に冬芽を作る。
いわゆる“葉柄内芽(ようへいないが)”で、プラタナスと同じやり方だ。
夏にはすでに葉柄の中に冬芽を用意しているのを確認している。

葉柄で包むことで冬芽を守るのだと思うが、冬に向かうころに落ちてしまうのだから、寒さ除けではないのだろう。

こちらはすでに落葉した冬芽。
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フリースのような綿毛にくるまって、寒さ対策は万全、といったところなのだろう。
葉が落ちた痕(葉痕)が、冬芽のつけ根の部分にぐるりと取り巻いて見える。
この日の観察では、ほとんどが落葉してこのような状態であった。

ちなみに、花の時期のハクウンボクも紹介しておこう。
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こちらは昨年5月5日の撮影。
ちなみに、冬芽を見たのと同じ木で、場所は千葉県柏市の柏の葉公園である。
多数の花をつけたようすが白雲のように見えるのでハクウンボクだそうだが、いかがだろうか。

ハクウンボクはエゴノキのなかまで、果実もエゴノキによく似ている。
昨年のこの木の観察では、果実に虫がかじったあとが散見された。
もしかしてエゴヒゲナガゾウムシ()の産卵痕か、と考えたのだが確認できていない。
今後の課題である。

2018年1月25日、報告:自然観察大学 事務局O


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# by sizenkansatu | 2018-01-25 18:40 | 植物 | Comments(0)

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