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自然観察大学ブログ

セツブンソウの自生地を観てきた

3月8日(日)、セツブンソウを観てきた。(いまごろすみません)
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一度は観てみたいと願っていた、セツブンソウの群生。
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新聞やネットの情報を見て知った、栃木市星野の“四季の森星野”というところ。
三峯山の麓の、北西向きの緩やかな斜面に自生地が広がる。
セツブンソウの三大群生地の一つで、自生地としては北限ということであった。
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ここは園主の熊倉さんの所有地で、ご厚意により一般に開放されている。
この日も多数の来訪者があった。
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下草はきれいに管理され、園路も整備されて快適な環境だ。

これ(↓)は手作りの案内板。
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セツブンソウの群生は広い園内に点々とある。
残念ながらこの日はもう花の盛りは過ぎていて、わずかに日陰がちな一画だけが見ごろ、といった状況だった。
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一週間前の週末が最盛期だったと、熊倉さんに教えていただいた。
熊倉さんらは園内の案内もしてくれて、温かい甘茶をふるまってくれていた。寒い日だったのでたいへんにありがたかった。
なお、整備の費用として協力金一人300円以上を募っているが、感謝の意を込めて少しだけ多めに納めさせていただいた。

この日、園内ではサンシュユが満開だった。
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画面の手前のソシンロウバイと、右の紅梅は花が終わるところ。

フクジュソウはちょうど見ごろ。
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背景の緑はキツネノカミソリで、園内を広くおおっていた。
花の季節にはまたみごとな森になることだろう。


さて、話をセツブンソウに戻そう。
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セツブンソウは2月の節分のころから花が咲くのが名前の由来という。
キンポウゲ科セツブンソウ属の多年草で、地下には球状の塊根があるという(さすがに掘って確認することはできない)。
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花茎のつけ根を苞葉がとりまく。
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この姿は森の妖精のようだ。
白いのは花弁ではなくがく片で、普通は5個だが、6個以上のものもある。上の写真では7個だ。

はて?
白いのががく片だとすると、花弁はどこにあるのか?
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中心の雄しべ・雌しべをとりまくように環状に並ぶものが、じつは花弁なのだという。
花弁はごく小さく、先が2裂し、先端はオレンジ色の球状の腺体になっている。
これが花弁とは驚く。
2裂した花弁の数は一般に5~10対という。ということは、腺体は10~20個ということになる。
しかし上の写真で数えてみると腺体が15個だ。よく観ると写真の9時の位置の花弁は2裂していないようだ。
雄しべは多数、雌しべの数は2~6個とされているようだが、上の写真ではよくわからない。
がく片の数や花弁(腺体)の数、雄しべ、雌しべの数は変化が多いようだ。セツブンソウはごく数値にこだわらないアバウトな性質のようだ。前掲のフクジュソウなどキンポウゲ科には型にはまらないものが多く、これはこれで好ましい性質と思う。

なお、園路から身を乗り出して、アクロバティックな態勢で撮っているので、写真がいまいちシャープでないのはご勘弁いただきたい。

別の花を観てみよう。
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こちらでは雌しべが5個で、きれいに開いている。
ところが、花弁(腺体)のようすがおかしい。上の写真ではわかりにくいが、拡大して9時半から10時半の位置の花弁に注目してみよう。(↓)
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この花弁だけは小さいながらも花弁らしい形になっている。オレンジ色は腺体ではなく斑紋になってしまったようだ。
これは先祖返りというものだろうか。

園内の一画ではキバナセツブンソウが植えられていた。
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キバナセツブンソウはセツブンソウと同じキンポウゲ科セツブンソウ属。
地中海周辺が原産で、日本では園芸用に導入されているという。
花を観てみよう。
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ごちゃごちゃしてわかりにくいが、基本的にはセツブンソウと同じ構造で、こちらの花弁はラッパ状になっていることがわかる。

キンポウゲ科といえば、ヒメウズを思い出す。
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広げた白いのはがく片。花弁は中央の淡黄色の部分で、重なり合って筒状になっている。
さらに、写真では見えていないが、花弁のつけ根のところには蜜を溜める距(きょ)がある。
やはりキンポウゲ科の花の構造はおもしろい。
ヒメウズについては以前に観察記録を載せているので、よろしければご覧いただきたい。
● ヒメウズの観察 : 自然観察大学ブログ  
● ヒメウズの一年 2022-2023 : 自然観察大学ブログ  


余談ですが…

セツブンソウを堪能させていただいた帰路、遅めの昼食は四季の森星野にほど近い蕎麦屋。
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“ちたけ蕎麦”といって、スライスしたチタケとナスを炒めたのが、つけ汁に入る。
はじめて食べたのだが、きのこから旨味が出て、とっても美味!
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見た目ではわからなと思うが、ほんとにおいしい。

チタケは、かつては栃木地方を中心に盛んに食用されたという。
それが今は採り尽くされて、マツタケ以上の高値で売られているとか。

チタケの標準和名はチチタケ。このきのこは傷ついたときに乳のような液体を分泌するので“乳茸”だという。
乳液は天然ゴムと同じ成分だそうで、時間が経つと黒くなる。チチタケ採りではくっつかないようにしたい。
そこで登場するのがこのチダケサシという植物。(↓)
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採ったチチタケをこの茎に刺し連ねて持ち帰ったので“乳茸刺し”という名前になったのだという。
そんな由来があるのだから、チチタケ愛の大きさがわかるというものだ。


もう一つ余談

3月20日、鉢植にしているツバキが咲いた。
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これは実家の玄関わきにあったのを挿し木したもの。
すでに実家じまいを済ませているので、唯一の思い出のツバキなのだ。
感慨一入。

2026年4月2日、報告:自然観察大学 事務局 大野透

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by sizenkansatu | 2026-04-02 09:54 | 植物 | Comments(2)
Commented by shizenkaze at 2026-04-02 23:23
セツブンソウは石灰質の場所に多く自生するので伊吹山にも群生地があります~
伊吹山は古生代ペルム紀の化石が多く産出するので一面が石灰岩なのでセツブンソウには適しているのでしょうね~

チチタケ好きです~
チダケサシも散策途中に見掛けます・・・・・
チダケサシはアスチルベ~
今日咲いていても明日散るべ~なんて自然観察の講習会では笑って教えていました~(*´∇`*)
Commented by sizenkansatu at 2026-04-03 22:13
> shizenkazeさん
コメントありがとうございます。
栃木の三峰山は秩父の三峰山とは別の山ですが、石灰岩があるようです。
セツブンソウはこの森だけでなく、付近にも点々とあるようです。
蕎麦屋さんの庭にも生えていました。

チタケはそちらでも食べるんですね。
私は隣の茨城県で育ったのですが、まったく知りませんでした。

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