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自然観察大学ブログ

テントウムシの話

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こちら(↑)は前回掲載したのと同じ写真。
だいぶ間が空いてしまったが、予告どおりテントウムシについてまとめてみたい。


ナナホシテントウ
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ナナホシテントウはテントウムシ界のイメージリーダーだろう。
越冬した成虫は春早くから活動をはじめ、いつも忙しそうに歩き回っている。
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こちら(↑)はカラスノエンドウのアブラムシを食べているところ。

4月ごろには早くも幼虫が現れる。
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幼虫もアブラムシなどを喰う捕食性。
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このころには暖かくなって餌に困ることはないだろう。

基本的には肉食性だが、ときどき花の蜜をなめるところを見かける。
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写真はヤブガラシの花で、小さいが蜜は豊富だ。
参考:ヤブガラシの観察-4 性転換する花  

テントウムシは裏技を持っている。
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脚のつけ根に黄色い体液を出しているのが見えるだろうか。
反射出血というもので、臭くて苦い汁とされる(舐めたことはない)。
テントウムシ類は全般にこの裏技があり、捕食者に襲われにくいという。
参考:セイタカアワダチソウの訪花昆虫(5)  


ナミテントウ
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ナミテントウはナナホシテントウよりもやや遅れて登場する。
ナナホシテントウが草本につくアブラムを食べているのに対し、ナミテントウは遅れて萌芽する樹木のアブラムシを喰うことが多いようだ。

ナミテントウは体色や斑紋の数と形に変化が多い。
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4つの斑紋(↑)と12個の斑紋(↓)。
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こちら(↓)のナミテントウは18個。
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ナミテントウなどの捕食性のテントウムシは共食いをする。
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早く孵化した幼虫は、孵化の遅れた卵を喰ってしまうのだろう。
逆に、早く成長した幼虫は、脱皮のときや蛹化するときに送れた幼虫に喰われてしまう。
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こちら(↑)では、ほかから来たと思われる幼虫が、卵を喰っている。
参考:テントウムシの共食い ⇒ 


テントウムシの脚の裏を観る

テントウムシはつるつるのガラス面を自在に歩くが、脚の裏はどうなっているのか?
ナミテントウの脚(跗節)の裏側を観てみた。
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これ(↑)は前脚。
微細な毛がびっしりとつき、そこに液体を分泌しているのがわかる。

こちら(↓)は中脚。
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微細な毛、液体を分泌しているのは前脚と同じだが、この写真ではブロックごとに毛先の形が違う毛があるように見える。

ネットで調べてみると、これに関する研究成果が紹介されていた。
何パターンかの微細な毛と分泌液でガラス面に貼りつき、しかも固着することなく素早く歩くことができるのは、分子間力(ファンデルワールス力)によるのだという。

● テントウムシ脚裏の接着原理を解明(国立研究開発法人 物質・材料研究機構)  


余談ですが…

脚の裏を撮ろうとナミテントウ相手に悪戦苦闘しているときに、アクシデントがあった。
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なんと私の指に噛みついているではないか。大あごが皮膚に食い込んでいるのがわかる。
写真は痛みをこらえてなんとか撮ったもの。
肉食とはいえ、私の指を喰うとは驚いた。
私の手にアブラムシの匂いか何かがあったのだろうか。
幸い噛みあとから出血するようなことはなく、このあとナミテントウの脚をピンセットでつまんで固定し、裏の毛を接写させていただいた。


そのほかのテントウムシ

ナミテントウでは斑紋の数に著しい個体差があったが、ほかのテントウムシ類では種ごとに数が決まっていて、それによって命名されているものがある。2,4,6,10,12,13,14,28があるようだ。
テントウムシ科では日本で180種が知られているそうだが、手元に写真がある何種かを載せておこう。

トホシテントウ(斑紋10個)
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カラスウリなどの葉を食べる植物食。

シロジュウシホシテントウ(斑紋14個)
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写真は黒色に白い斑紋だが、普通は黄褐色に白い斑紋。
キジラミなどを喰う肉食。

ニジュウヤホシテントウ(斑紋28個)
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ナスやジャガイモ、トマトなどナス科植物の葉を喰う。
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葉をかじって、特徴的な食痕を残す。
ずいぶん前に、この食痕のできるメカニズムを観察したので、よろしければご覧いただきたい。
● ニジュウヤホシテントウ -食痕の謎を解く-  
なお、形態も生態もよく似たオオニジュウヤホシテントウというのもいる。

キイロテントウ
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前翅は黄色で斑紋はない。
各種植物につくうどん粉病菌を喰う菌食。

ムネアカオオクロテントウ
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大形で、ナミテントウなどより2回りくらい大きい。
10年ほど前に確認された外来種で、クズのマルカメムシなどを喰う肉食。
前翅は黒色での光沢がすごいので、写真では私のカメラが映り込んでいる。


2026年3月16日、報告:自然観察大学 事務局 大野透

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by sizenkansatu | 2026-03-16 18:52 | Comments(4)
Commented by mrtnsz at 2026-03-17 22:56
今晩は。
テントウムシの種類、そんなに種類が有るとは、葦の詳細、食べ物、共食い他、大変面白く勉強になりました。
顕微鏡で撮影したような凄い詳細部分の解像度、ピント合わせ、絞りを絞って、SSを遅くして、マニュアルでしょうか。
私の拙いブログなど、恥ずかしくて困りました。
ご返事は結構ですので、有難う御座います。
Commented by sizenkansatu at 2026-03-18 14:37
> mrtnszさん
コメントありがとうございます。
テントウムシ科は形態はどれも似ていてますが、食性が多様なのがおもしろいです。
一つの科に肉食、植物食、菌食があるというのは驚きです

そちらのブログこそ、素晴らしい写真でいつも感嘆しております。
私には望遠系のレンズがないので垂涎の的です。

こちらの接写は旧いフィルムカメラ用のレンズを使っています。
脚の裏を撮ったレンズはその中でいちばん高倍率のもので、 解像度はよいのですが、絞り込むとがっくり落ちるので、f4で撮っています。
今のデジカメに装着して、ストロボを使用して比較的簡単に撮影可能です。
Commented by cflcfl at 2026-03-21 13:19
今日は早速「反射出血」を見てみたくて、朝、一匹のテントウムシを捕まえました。透明なプラスチックのケースに入れて、金属の針で刺激を与え続けていたのですが、十分ほど経ってようやくケースの表面にほんの少しだけ薄い黄色の液体が見られました。しかし、どこから分泌されたのかはまったくわかりませんでした。肉眼で見る限り、脚の付け根には液体のようなものはなかったように見えました。このままもう少し試してみたのですが、なかなかうまくいかなかったので、諦めてしまいました。
Commented by sizenkansatu at 2026-03-21 22:38
> cflcflさん
反射出血、私も気になってしまいました。
これを観たのはずいぶん前なので、ほんとうに脚のつけ根だったのかどうか…
もう一度チャレンジしてみようと思います。
ありがとうございました。

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