人気ブログランキング | 話題のタグを見る

自然観察大学ブログ

サルトリイバラの観察 ①

サルトリイバラの観察 ①_d0163696_18032535.jpg
サルトリイバラの果実。
写真は12月10日のもので、赤く熟した果実と黄葉が美しい。

サルトリイバラはサルトリイバラ科サルトリイバラ属(Smilax属、シオデ属、)とされるつる性の木本。
独立した科になっているくらいなので、いろいろとユニークな性質を持っている。

サルトリイバラを一年間観てきたので、まとめてご報告したい。


冬芽とその展開
サルトリイバラの観察 ①_d0163696_18033287.jpg
1月、ほとんど落葉していたが、写真は少しだけ残っていた葉。
注目したいのは葉柄のところだ。

サルトリイバラの観察 ①_d0163696_18034037.jpg
多くはこのように(↑)葉身だけが落葉し、葉柄が残った状態。
葉柄の先には、巻きひげも残っている。
よく観ると、葉柄は上半分が開いていて、そこには冬芽ができている。
冬芽は1個の芽鱗があるが、それを下から支えている葉柄はかなり頑丈で、容易にはがれることはない。

なお、ここでは葉柄としたが、托葉とする記載もあるようだ。
葉身と茎をつなぐ部分なので葉柄であり、托葉が変形したものが巻きひげなのだと思う。
まぁ、サルトリイバラ本人にとってはどちらでもよいことだろう。

一つだけ冬芽を切らせていただいた。
サルトリイバラの観察 ①_d0163696_18034984.jpg
中には葉や花になるべきものが詰まって、春に向けて準備万端整っている。
神秘の世界である。

4月1日、冬芽が展開してきた。
サルトリイバラの観察 ①_d0163696_18035751.jpg
上向きに伸びた枝は前年の春に展開した一年枝だ。
その枝には冬芽が8個あって、それがいま、開きはじめている。
なお、画面下の横に伸びる枝はその前の年の枝(2年枝)だが、まだ葉柄は残っていて、巻きひげもついている。
まる2年間も残っているとは、なんと頑丈な葉柄なのだろう。

さて、かんじんの冬芽の展開。
サルトリイバラの観察 ①_d0163696_18041033.jpg
芽鱗がめくれあがって、花序(つぼみ)と複数の葉が出てきたところ。
これがこれから伸びて、新しいシュート(葉や花をつけた枝)になるのだ。


サルトリイバラの花
サルトリイバラの観察 ①_d0163696_18041798.jpg
4月9日、花が開いた。(前のカットとは別の枝)
近くに寄ってみよう。
サルトリイバラの観察 ①_d0163696_18042536.jpg
新しいシュートのつけ根のあたりに花序がつき、その先に葉をつけた枝が伸びはじめている。
これだけのものが小さな冬芽に詰まっていたことになる。

花序を拡大して観る。
サルトリイバラの観察 ①_d0163696_18043316.jpg
なかなか美しい。花には雄しべがよく目立つ。
サルトリイバラは雌雄異株で、これは雄株ということになる。

雌花はこちら。(↓)
サルトリイバラの観察 ①_d0163696_18045212.jpg
花序全体は小ぢんまりとまとまっている。
雌しべの柱頭は3個、子房は膨らんでいて、これが丸い果実になる。
なお、私の身近では、雄株が多く雌株は少ない。


巻きひげが名前の由来では?
サルトリイバラの観察 ①_d0163696_18050004.jpg
巻きひげの先端が巻きつく相手を探しているように見える。
サルトリイバラの観察 ①_d0163696_18050767.jpg
葉柄と葉身は屈曲しているので、巻きひげが突出するような形になるのだろう。上手くできている。
私はこの巻きひげがサルを捕らえる形と見立てた名前なのではないかと思った。
サルトリイバラの観察 ①_d0163696_18110349.jpg
立ち木をおおったサルトリイバラが、巻きひげを差し出してサルの群れが来るのを待ち構えているように見えるではないか。

ところが、ネットで調べてみると“巻きひげでサルを捕らえる”というような記事は見当たらない。
Wikipediaなど、“茎(つる)にとげがあってこれが猿捕茨の名前の由来である”という記載ばかりであった。
これは本当だろうか。サルトリイバラにはとげのほとんどないタイプ(トゲナシサルトリイバラ)もあって、私の身近ではそのようなサルトリイバラばかりなのだ。
まぁ、名前の由来は、ほとんどの場合は後世の憶測なので、正解というものはない。いろいろ想像するたのしみがあってよい。

②につづく。(

2026年1月7日、報告:自然観察大学 事務局 大野透

……… 自然観察大学からのお知らせ ………

自然観察大学室内講習会 第43回
参加者募集中
オンラインでの参加も可能

フェイスブックをはじめました。
Facebook/NPO法人自然観察大学  
ご注意:参加申込みの際は質問への回答とルールへの同意が必須です




by sizenkansatu | 2026-01-07 18:12 | 植物 | Comments(2)
Commented by wabisuke-miyake at 2026-01-08 09:53
うちの庭や裏山に自生するサルトリイバラは
かなりのトゲトゲの持ち主です
これなら猿も捕れそうと思わせます

でも花屋でよく見かける
赤い実がたわわなものとちがって
大きめで少し平たいのが
ぽつぽつしかつかないんです
種類がちがうからでしょうか?
Commented by sizenkansatu at 2026-01-08 22:20
> wabisuke-miyakeさん
なるほど。貴重な情報をいただき、ありがとうございます。
サルトリイバラにもいろいろあるのだと思います。

植物、虫、鳥など自然を楽しむ  ★写真の無断転載はお断りいたします★
by sizenkansatu
S M T W T F S
1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31

最新の記事

サルトリイバラの観察 ②
at 2026-01-10 21:41
サルトリイバラの観察 ①
at 2026-01-07 18:12
新年のごあいさつ
at 2026-01-01 06:00
ウバメガシの観察
at 2025-12-21 15:40
シロザの観察
at 2025-12-11 19:15

最新のコメント

> miyabiflow..
by sizenkansatu at 18:44
> cflcflさん ..
by sizenkansatu at 18:36
生け花やフラワーアレンジ..
by miyabiflower at 15:12
サルトリイバラ: 私なら..
by cflcfl at 14:18
> wabisuke-m..
by sizenkansatu at 22:20

検索

ブログジャンル