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自然観察大学ブログ

シロザの観察

シロザは夏の終わりごろから開花し、秋の遅くまで花を咲かせる。
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畑のまわりや路傍、コンクリートのすき間など、どこにでもある。
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全体はかなり大きくなる。
同じなかまで新葉が赤いタイプのアカザは、杖用の素材に最良とされる。(仙人の杖はアカザに限るとか…)

株全体は大きいが、花はごく小さい。
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ルーペで拡大して観ると、一つひとつの花が王冠のように開いて、なかなか魅力的だ。
そのうえこの花は、雌雄異熟の面白い動きをするという。

ところが、じつはよく観ていないことに気づいた。
身近でよく見かけるだけに“またシロザか”とばかりにスルーしてしまうのだ。
花が小さいことも、見過ごしがちな理由の一つだろう。
詳しく観てみよう。


シロザの花/雄性期から雌性期へ
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まずは開花直前のつぼみ。
大きな葯(実物は小さい)がきれいに並んで、ぱんぱんに膨らんでいる。
中心の丸いすき間に見えるのが雌しべで、子房の先に柱頭がある。

花はまず雄しべが熟す。
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5個ずつの花被と雄しべが開く。
柱頭には花粉がついているように見えるが、このときの雌しべは未熟なのだという。
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こちら(↑)は葯が開いて花粉を出している状態。
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う~む。なかなか美しい。
開きはじめの花とくらべると、子房も少し膨らんできているようだ。

さて、シロザの花は雌雄異熟で、雄しべが熟したあと、いったん花被を閉じるという。
そのあと雌しべが伸びて、隙間から柱頭を出すのだという。
どんな形なのか、ネットで調べても、その状態の写真は見当たらなかった。

仕方がないので、自力で雌しべ期の花らしいのを探してみた。
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開いた花の右隣の花と、反対側左奥の花では、閉じた花被の間から糸状のものが出ている。(↑)
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こちらの花(↑)でも、閉じた花被のすき間から糸のようなものが…
もしかするとこれが花柱かとも考えたのだが、そうではないことが判明した。
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この花(↑)を観ると、糸状の先に葯が残っている。
ということは、糸状のものは葯を落とした雄しべの花糸ということになる。


シロザの花/雌性期
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さらに探し続けて、ようやく見つけた雌性期の花。(↑)
撮影しているときは雄しべ期の花を撮ったつもりだったのが、後で画像を拡大すると、すぐ近くに柱頭を出した花があるではないか!
閉じた花被片の中心から出ているのは、明らかにブラシ状の柱頭だ。

雌性期の花がわかったところで、改めて野外で探してみると…
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柱頭を出した花は次々に見つかった。
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たくさんありすぎて何が何だかわからないほど。
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このくらいまばらなほうが、1つずつの構造がわかりやすい。

雌雄異熟の花はほかにもたくさんあるが、シロザが途中で花被を閉じるのはなぜなのだろう。
自家受粉を避けるためだけなら、閉じてまで徹底する必要はないと思う。
このような手順を踏む植物はほかにもあるのだろうか。


シロザの果実
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晩秋には全身が赤くなる。
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花被はそのまま残って果実を包む。
膨らんで五稜郭のようになるのが、ちょっとかっこいい。

熟してくると、花被がめくれて果実が顔を出す。
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5本の白い糸状のものはおそらく雄しべの花糸だろう。まだ残っている。
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完熟した果実。
果実はごく薄い果皮に包まれ、中に光沢のある種子が1個あるという。
花は小さいが、種子は意外に大きい。(大きいといっても直径2mm程度)


シロザの成長
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話は前後するが、成長を追ってみよう。
シロザは春ごろに陽当たりがよい場所でごっそりと芽生える。
しかし、競合する植物の多い藪などでは、シロザはまず見かけない。
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上の写真は耕起されたあとに芽生えて、順調に成長しているシロザ。
まわりの草丈の低いのはオオイヌノフグリだ。(5月半ばに撮影)
このように、シロザはほかの植物の陰にならない、陽の当たる環境に育つ。
そしてさらに大きく成長し、秋には穂を伸ばして花をつける。
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シロザはやせ地や舗装のすき間などにも生える。
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そんなときは大きな株にはならずに、こぢんまりと茎を立てて花をつける。
植物にとって厳しい環境ではあるが、そんなところでも繁殖するのがシロザで、雑草の本領発揮というところだろう。


シロザの粉粒
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シロザといえば、最大の特徴はこの白い粉粒。
展開前の葉が白く見えるのはこのためだ。
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葉が展開すると目立たなくなるのは、びっしりついていた粉粒が分散するからであって、展葉前と同じ大きさの粉粒がたぶん同じ数だけ残っている。

粉粒は葉の表面よりも裏面に多いようだ。
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さらに拡大して観よう。
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粉粒の直径はおよそ0.2mm。(撮影倍率から換算)
白かった粉粒は、じつは透明であることがわかる。
同じなかまのアカザは、この粉粒が半透明の赤紫色になる。
アカザの写真も撮りたかったが、このところアカザを見かけなくなった。

ところで、この粉粒は何ものか?
ネットで調べると、決まった名称はないようで、粉粒、粉状物、粉状の毛、丸い毛、球状の細胞などと呼ばれているようだ。『日本の野生植物』では白粉(旧版)⇒粉状毛(新版)とされているらしい。
粉なのか粒なのか、それとも毛なのか。これはもしかして植物界、生物界の七不思議では?(冗談です)

粉粒の存在意義というか、役割は何だろう。
1つ考えられるのは、外敵(虫)に喰われるのを防ぐ効果があるのではないかということだ。
植物の撮影のとき、アブラムシやアザミウマ、ハダニなどの小さな虫がついていて悩まされるが、シロザではそれらを見かけた記憶がない。
新しい茎葉にはアブラムシが、花の中にはアザミウマがつきものなのだが、シロザにはそれがいないのだ。
もしかするとこれらの虫は粉粒を嫌って寄りつかないのではないだろうか。

シロザにつくことで知られるのはカメノコハムシ。
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成虫も幼虫もシロザの葉を喰う。
シロザにつく虫は、私はカメノコハムシ以外に見たことがない。
● カメノコハムシの観察  

… などと考えていたのだが、今回記事をまとめるのに写真を整理していたら、こんなものが見つかった。
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写真の中央部を拡大すると…
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芋虫が果実を喰っているではないか。(オオタバコガの幼虫か?)
ピーマンを切ると中に入っていてびっくりするのが、オオタバコガの幼虫である。
いろいろな植物を喰うことで知られている。

2025年12月11日、報告:自然観察大学 事務局 大野透

……… 自然観察大学からのお知らせ ………

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by sizenkansatu | 2025-12-11 19:15 | 植物 | Comments(9)
Commented by shizenkaze at 2025-12-11 23:37
シロザもアカザもコアカザも春の柔らかな葉は美味しく戴けます~
ホウレンソウと同じ仲間なのでホウレンソウと同じような料理に合います~
食べられる植物を食べて植物達の奥の深さを知ることも多いです・・・・・
Commented by sizenkansatu at 2025-12-12 16:55
> shizenkazeさん
コメントありがとうございます。
そうですか。春というと芽生えて間もないころでしょうか。
私は食べたことはありません。
いろんな植物への接し方がありますね。
Commented by cflcfl at 2025-12-12 23:31
こんばんは。
また質問があります。
1、五稜郭のように膨らんだ赤い花被は、緑色のときと比べて明らかに突出していますよね。「花被はそのまま残って果実を包む」とあるので、赤い花被の中の膨らんでいる部分は果肉なのでしょうか?
2、拡大した葉の裏面の写真を見ると、透明な粒の下に、さらに小さな緑色の粒のようなものがあるように見えます。あれは「未熟粒」なのでしょうか?
Commented by sizenkansatu at 2025-12-13 07:45
> cflcflさん
膨らんだ部分は花被で、果実ではないと思います。果実は黒い円盤形の部分です。
果肉は果皮のことだと思うので、黒い円盤形の部分を被う膜状の薄い膜状の部分です。

粉粒の背後に見えるもっと小さな緑色の粒はシロザの葉の細胞だと思います。
粉粒ははじめに茎葉が出てくる時に用意されたものだけであり、成長途中で新たに形成することはないと思います。
Commented by cflcfl at 2025-12-13 16:00
質問に答えていただき、ありがとうございます。
構造の順序について、以下の認識でお間違いないでしょうか。
内側から外側:光沢のある種子 → 膜状の果皮(果肉) → 残存する雄しべの花糸 → 花被
Commented by sizenkansatu at 2025-12-13 21:32
> cflcflさん
写真に写っている順序はそのとおりです。(種子は移っていませんが)
ただ、果肉は食用の果物などで食べる部分を示すために慣用的に使用されている用語ではないかと思います。植物用語ではありません。
したがってシロザの場合は果皮を果肉とは言いません。
Commented by cflcfl at 2025-12-13 22:42
はい、ありがとうございます。かしこまりました。
Commented by kaya2018 at 2025-12-14 15:21
ヒユ科の紅葉は、とりわけ美しくて晩秋の楽しみのひとつです。散歩道にはシロザもよく見られ、毎年期待していますがこの頃は深い紅色になる前に茶色に枯れてしまいまって残念です。きれいな写真をありがとうございます。
Commented by sizenkansatu at 2025-12-15 07:30
> kaya2018さん
コメントありがとうございます。
すみません。シロザ&ヒユ科の紅葉は注目していませんでした。
これからは態度を改めたいと思います。

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