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自然観察大学ブログ

チュウゴクアミガサハゴロモの孵化など

8月8日、いつも通っている小さな植物園。
サネカズラの枝に、チュウゴクアミガサハゴロモの産卵痕を見つけた。
チュウゴクアミガサハゴロモの孵化など_d0163696_19084133.jpg
よく観ると、小さな幼虫がうごめいている。
チュウゴクアミガサハゴロモの孵化など_d0163696_19084845.jpg
おそらく孵化幼虫だろう。
葉陰になっていたのを明るいところに引き出すと、わらわらと動き出した。
チュウゴクアミガサハゴロモの孵化など_d0163696_19085622.jpg
もう少し拡大してみよう。
チュウゴクアミガサハゴロモの孵化など_d0163696_19090838.jpg
困りものの外来種ではあるが、生まれたての幼虫はなかなか愛らしい。
分泌した蝋物質も新鮮なように見える。


このとき、すぐ近くで剪定作業をしておられた方がいた。
チュウゴクアミガサハゴロモの話をして、少しでも繁殖を食い止めるために、枝を切って焼却処分しようということになった。
火に近づけると、あっという間に蝋物質が消えて、産卵痕が現われた。
あわてて撮ったのがこれ。
チュウゴクアミガサハゴロモの孵化など_d0163696_19091691.jpg
少し焦げているがよくわかる。
まだ少し孵化前の卵もあるようだ。


7月半ばに産卵を観て( )、今回は第2世代の孵化を確認した。(同じ卵というわけではないが…)
このままいくと、来月には第2回の成虫が出てくると思われる。
この調子でチュウゴクアミガサハゴロモが増えていくのかと思うと、ちょっと心配だ。

ところで、今回チュウゴクアミガサハゴロモを観たのはサネカズラだった。
サネカズラは別名ビナンカズラ(美男葛)で、茎を水に浸すと粘液が出て、これを整髪料にしたのが別名の由来だという。
そういえば、前掲の幼虫の蝋物質はぴんと張ってきれいに広がっていたが、その効果だろうか?(そんなことはないと思うが…)

サネカズラの花は枝葉に隠れた位置で咲くので、それを探して奥の方を覗くことになる。
チュウゴクアミガサハゴロモの産卵痕は、花を探していているときに発見したというわけである。
そのサネカズラの花など、この日に観察したほかのものを報告させていただこう。


サネカズラの花
チュウゴクアミガサハゴロモの孵化など_d0163696_19092229.jpg
まずは雌花。
サネカズラは何度観ても不思議な花だ。
花被は完全に開かないので、中の雌しべはよく観えない。
花被を一枚はがしてみた。(花被はもともと落ちやすい)
チュウゴクアミガサハゴロモの孵化など_d0163696_19092822.jpg
多数の雌しべがあるのだが、緑色の粒が子房で、その隙間から伸び出す半透明のが柱頭。

つぎはサネカズラの雄花。
チュウゴクアミガサハゴロモの孵化など_d0163696_19093416.jpg
雄しべも多数あって、赤紫色の面は雄しべの先端(葯隔)で、その両側に葯がある。
まことに不思議な形である。
興味のある方は、以前の記事をご覧いただきたい。
● サネカズラの不思議な花 : 自然観察大学ブログ  


ヒオウギ
チュウゴクアミガサハゴロモの孵化など_d0163696_19094313.jpg
葉が同一平面上に扇のように広がるので、檜扇(ひおうぎ)という名前が付けられたという。
扇形の中心から花茎を立て、枝分かれした先端に次々に花を開く。
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花はあでやか。
よく観ると花被の一つに蜜を滲ませている。

今回観たかったのがこれ。(↓)
チュウゴクアミガサハゴロモの孵化など_d0163696_19095810.jpg
左のように、花が終わると花被がねじれて手拭いを絞ったようになる。(右はつぼみ)
むやみに散らさずに絞っておくとは、きっちりした折り目正しい性格なのだろう。

じつは昨年、どなたかのブログで花後の絞り上げた状態を拝見し、実物を確認したいと思っていた。まさしくそのとおりであった。

さて、ここからは昨年観たヒオウギの果実。(9月はじめ)
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果実になっても、花被は絞った状態で残っている。

やがて果実が熟し、割れて、漆黒の種子が現われる。(11月後半)
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黒い種子は “ぬばたま” と呼ばれ、和歌では黒、闇、夜、夢、黒髪などを意味する枕詞という。(うばたま、むばたまとも表す)
ぬばたまの… が使われる和歌は、万葉集を中心に100首近くもあるのだそうだ。


ワレモコウ
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この日(8/8)、今シーズンはじめて、ワレモコウの花を観た。
穂状花序の先端から元のほうに向けて順に咲く。
チュウゴクアミガサハゴロモの孵化など_d0163696_19103091.jpg
開花中の花は白っぽいのだと思っていたのだが、どうもその限りではないようだ。
● ワレモコウの花の真実 : 自然観察大学ブログ  

ワレモコウの名は漢字では吾亦紅、吾木香などと表記される。
古く源氏物語にも登場するそうだが、その由来はわからないという。


2025年8月10日、報告:自然観察大学 事務局 大野透




by sizenkansatu | 2025-08-10 19:19 | 植物と虫 | Comments(0)

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