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自然観察大学ブログ

水元公園でのフリー観察会

7月23日の自然観察大学のフリー観察会の報告をしよう。
この日も暑い日で、公園内の人はまばらだったが虫はけっこうたくさん観察できた。
写真のほとんどは観察会に参加したTGさんのもの。どれも素晴らしい写真である。
ありがとうございました。


ウチワヤンマ
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暑いとき、トンボは尻を上げて体温調節をするという。
ウチワヤンマの場合はとくに効果が高そう。


チョウトンボ
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なかなか止まってくれないが、暑い陽射しの下で根気よく粘りました。
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翅の下面が緑がいるのは、水面に広がるスイレンの葉の反射。
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蝶のような幅広の翅は金属光沢があって美しい。


ベニイトトンボ
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交尾はハートマークになる。
雄が雌の首の付け根をつかむ。
手前の葉にかぶってしまったのは残念。


キバラヘリカメムシ
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洒落た配色。
この日は成虫だけしか観られなかったが、少し前には幼虫もたくさんいた。
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幼虫は成虫よりもっとおしゃれかも。


キマダラカメムシ
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このところ一番目立つカメムシはこれ。
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幼虫は背中(腹部背面)の濃色の斑紋が目立つ。
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こちらは卵の美しい抜け殻。
12個のうち5個には卵殻破砕器が残っている。
参考:カメムシの観察2024  


チュウゴクアミガサハゴロモ
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このところ話題沸騰中のチュウゴクアミガサハゴロモ。
産卵された茎を見つけて、駆除するついでにそれを割いてみた。
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参考:チュウゴクアミガサハゴロモの産卵  


ベッコウハゴロモ
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成虫と幼虫が並んで観られた。
同じハゴロモ科の、こちらは在来種。
幼虫は腹端から蝋物質を分泌するが、こちらは直線的に扇のように広げる。


アオバハゴロモ
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成虫は翅の縁がほんのり紅色で、よく観るとなかなか美しい。
こちらはハゴロモ科とは別のアオバハゴロモ科。


エゴヒゲナガゾウムシ
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じつは、エゴノキでこの虫を観ることが、この日のメインだった。
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酷暑にもめげず、懸命に穴を掘る雌。
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働き者の雌にはおそれいるが、
猛暑の中、揺れて撮りにくいエゴノキで、これだけすばらしい写真を撮ったTGさんに脱帽!
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もちろんハクウンボクでも観られた。

エゴヒゲナガゾウムシについては前回の記事でご報告しているので、そちらも併せてごらんいただきたい。  


クズクビボソハムシ
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穴だらけになったクズの葉(小葉)。
よく観ると先端付近にウリハムシに似た茶褐色の虫。
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クズクビボソハムシという外来昆虫である。
今年はじめて見たのだが、急激に増えているようだ。
幼虫はこちら。(↓)
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並んで葉の縁から蚕食する。


イラガの一種の幼虫(名前がわかる方はご教示ください)
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TGさんはヒロヘリアオイラガとしたが、オレンジ色の毛束がないのでアオイラガではないかと思う。
写真でお判りの方はご教示いただけるとありがたい。


ジョロウグモ
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ほっそりとしてまだ若い雌だが、今年は春の団居(まどい)から見ているので、ずいぶん大きくなったものだと感慨一入である。


カヤの実
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大きくなった種子は昨年春に開花したもの。
この春の花は、枝の先の方にある小粒のものだ。
なお、つい“果実”と言ってしまいがちだが、裸子植物は果実ではなく種子である。


サネカズラ(ビナンカズラ)の花
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雄花(↑)と雌花(↓)
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この日は、雄花と雌花が同じ枝に隣り合わせでついていることをみんなで確認した。
図鑑などには雌雄異株とされているが、その限りではないことがわかった。
(生物界ではこのようなことはよくある)


マテバシイのどんぐり
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マテバシイの果実(どんぐり)は花のあと1年半をかけて成熟することが知られている。
では、上の果実(↑)をどう説明するか?
大きく成長したどんぐりは昨年春の花で、今年の秋に茶褐色に熟す。
丸い小粒の果実は不稔で、同じく昨年春の花がうまく受粉できなかったものと考えられる。
今年の春に開花したマテバシイの若い果実は、その先にある。
拡大したのがこれ。(↓)
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雌花だったころから、この時点ではほとんど大きくなっていない。
これが来年の秋にどんぐりに成長するというわけだ。


ハクウンボクの葉
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葉のならび方にはくふうがある。
枝先に大きな葉をつけて、途中の葉は小さく、すき間を埋めるように並ぶ。
植物が効率よく陽光を受けるくふうだが、ハクウンボクではそれがわかりやすい。


オニユリの花
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めんどうなことはさておき、たまには素直に花を愛でるのもよい。


自然観察大学フリー観察会について

特定の講師は設定せず、参加者が自由に観察し、知っていることを紹介し合うことにしています。
(いわゆる“うんちく”というやつです)
それでフリー観察会という名称にしています。
フリー観察会は、NPO法人自然観察大学会員であれば、どなたでも参加可能です。

2025年7月29日、まとめ:自然観察大学 事務局 大野透、写真:自然観察大学学生TGさん




by sizenkansatu | 2025-07-29 18:55 | 植物と虫 | Comments(8)
Commented by shizenkaze at 2025-07-29 23:26
マテバシイにもシイナが良く見られますね~♪
Commented by cflcfl at 2025-07-30 23:29
こんばんは♪
すみません、また教えていただきたいことがあります。
「ウチワヤンマの場合は特に効果が高そう」とありますが、これは具体的にどういう意味ですか?例えば尾部が黒いということでしょうか?
それと、👹オニユリの「めんどうなこと」がやはり気になります。
Commented by sizenkansatu at 2025-07-30 23:42
> shizenkazeさん
コメントありがとうございます。
マテバシイはもともと不稔が多いようですが、ここのはとくに多かったです。
Commented by sizenkansatu at 2025-07-30 23:46
> cflcflさん
こんばんは。
ウチワヤンマは腹端が団扇(うちわ)のようになっているので、風を受けて涼しそうということでした。
オニユリについては、花の構造とか、むかごのこととか、今回はめんどくさいことはスルーしたということです。
どれも深い意味はありません。ややこしくしてしまったようですみません。
Commented by cflcfl at 2025-07-31 09:34
「腹部の第8節に団扇状の突出物がある」という辞書の説明から、「ウチワヤンマ」という名前はここに由来しているんですね!
昆虫の和名は本当に興味深いです。このブログを知ったきっかけは、日本人の友人と「一番好きな昆虫の和名」について話していた時で、彼がオトシブミという昆虫と『オトシブミのゆりかご(揺籃)づくり』という記事を紹介してくれたんです。
おかげで私の人生がさらに楽しくなりました。本当にありがとうございます😊
Commented by sizenkansatu at 2025-08-01 09:45
> cflcflさん
和名はおもしろいですね。

中国名を由来とすると思われるものも多いようですが、
昔の人が実際に観察して命名したと思われるものがとくにおもしろいです。
すぐれた観察眼には驚かされます。

オトシブミ(落とし文)など素晴らしいセンスの名前には、感心させられます。
昆虫はもちろんですが、植物の和名も興味深いものがあります。
私の好きな和名は、ママコノシリヌグイ(継子の尻拭い)、ウナギツカミ(鰻掴み)ですね。
Commented by cflcfl at 2025-08-01 23:45
「ママコノシリヌグイ」(継子の尻拭い)?!
まず「なんだこりゃ!」と驚かずにはいられませんでした😅

「和名の由来は、この草のトゲだらけの茎や葉から、憎たらしい継子のお尻をわざとこの草で拭く様子を連想したから」だそうで、なんとも奇想天外なネーミングですね!(ちなみに、紙がなかった時代には実際に葉っぱでお尻を拭っていたかもしれませんよね。)

同じくトゲが多い植物「ウナギツカミ」の名前の由来も調べてみました。こちらは水辺や湿地に生える性質から、ヌルヌルしたウナギをつかむ様子を連想したのでしょう。

まるで新世界を発見したような気分です!これからも植物の面白い名前や生態をどんどん学んでいきたいと思います。
また新しい知識を教えていただき、ありがとうございました!
Commented by sizenkansatu at 2025-08-02 07:08
> cflcflさん
お付き合いいただき、ありがとうございます。
名前の由来は、はっきりとその理由が記されているものはほとんどないはずですので、“○○だろう”という想像の世界になります。
でも、あれこれ考えて想像するのがたのしみの一つでもあります。

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