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自然観察大学ブログ

エゴヒゲナガゾウムシ2025

エゴヒゲナガゾウムシは猛暑とともにやってくる。
エゴヒゲナガゾウムシ2025_d0163696_22123805.jpg
今年はじめてこの虫を観たのは7月13日。
エゴヒゲナガゾウムシ2025_d0163696_22124652.jpg
ここで突然クイズ
この虫は雌雄ペアで見かけることが多いが、上の写真で雌、雄がおわかりだろうか?

ヒント
画面下のエゴヒゲナガゾウムシは果実に穴を掘っている。


答えは後述することとして、まずは名前の話。
エゴノキにつくヒゲナガゾウムシ(髭長象虫)という意味で、ゾウムシ科とは別に独立したヒゲナガゾウムシ科に属する。
別名ではウシヅラヒゲナガゾウムシとか、ウシヅラカミキリと言われているようだ。
ウシヅラは牛面だが、どうしてカミキリなのかは不明。触角が長いのでカミキリムシと見誤ったのだろうか。

なお、今回の写真はエゴノキではなく、近縁のハクウンボクの果実のもの。
この日はエゴノキの果実でもこの虫が見られたが、エゴノキの果実は少しの風で揺れるので撮影が難しい。ハクウンボクで撮った写真でご容赦いただきたい。


さて、クイズの答え。
エゴヒゲナガゾウムシ2025_d0163696_22130317.jpg
画面左下が雌で、右上が雄。
先ほどとは別のペアだが、位置関係は同じ。
雌は懸命に穴を掘っていて、雄はその後ろに控えている。

こちらはまた別のペア。
エゴヒゲナガゾウムシ2025_d0163696_22131306.jpg
右下の雌は穴掘り、この穴は産卵のためのもの。
左上の雄はここでも、ただ見ている(?)だけ。

どのペアも、雌はがんばって穴を掘り、雄は近くでうろうろしている。

エゴヒゲナガゾウムシ2025_d0163696_22132220.jpg
こちらのペアは交尾のような体勢になったが、すぐに解消して、雄はまた周囲をうろうろしていた。


さて、もう雌雄の姿形の違いにお気づきだろう。
まずは雄。
エゴヒゲナガゾウムシ2025_d0163696_22133160.jpg
雄は、頭部の全面というか、顔の部分がのっぺらぼうで、全面に白い毛がある。
この顔がウシに似ているというので牛面(うしづら)の名前があるのだろう。
エゴヒゲナガゾウムシ2025_d0163696_22133871.jpg
角(つの)のようなものが突き出し、その先端付近に複眼がある。
おどろいたことに、その眼はなんと後ろ向きについている。
エゴヒゲナガゾウムシ2025_d0163696_22134608.jpg
複眼が後ろを向いているので前が見えないのだろう。
歩くときは長い触角で探るようにして進む。
この不思議な眼は、なんのための構造で、どんな利点があるのだろう。

  • 産卵の準備をする雌を、後方から襲ってくる外敵から守るため
  • 産卵直前の新婦を、後方から近づいてくる他の雄に奪われないよう監視している

といった理由が考えられるが、どれも納得できるものではない。


こちらは雌。
エゴヒゲナガゾウムシ2025_d0163696_22135339.jpg
雄のように突出することはないが、両眼が離れたフレンドリーな顔だ。
触角は雄にくらべると短い。
なお、私には雌の方がウシ(乳牛の雌牛)に似ているように思える。

雌は、穴を掘り終えると、すぐに体勢を入れ替えて産卵する。
エゴヒゲナガゾウムシ2025_d0163696_22140392.jpg
ぴったりと収まりがよいのは、自分の尻の形に合わせて掘ったからだろう。
エゴヒゲナガゾウムシ2025_d0163696_22140932.jpg
穴の形は真円ではなくクリのよう。
次は以前に撮ったハクウンボクの果実の産卵痕。
エゴヒゲナガゾウムシ2025_d0163696_22141614.jpg
一つひとつ、微妙に穴の形が違うようだ。


さて、こうなると、果実に産み付けられた卵を観たくなってしまう。
ちょうどよいぐあいに、前回報告したチュウゴクアミガサハゴロモが産卵した枝(花序柄)に、エゴヒゲナガゾウムシが産卵した果実が付いていたので、それを割ってみることにした。

あった。
エゴヒゲナガゾウムシ2025_d0163696_22142404.jpg
硬い種皮の直下まで穴を掘っていて、その奥に卵が産み付けられている。

このあと、種子の中で孵化した幼虫は、内部を食べて成長する。

これは以前に撮った幼虫。(9月1日に撮影)
エゴヒゲナガゾウムシ2025_d0163696_22143287.jpg
黒い糸状のものは幼虫の糞。種子の内部は喰いつくされている。
このとき、果実は地表に落下し、果皮は破れて種子がむき出しになっていた。
ということは、一匹の幼虫は一つの果実で十分な栄養を摂れるということだ。
かつては幼虫のいるであろう種子を集めて、“チシャの虫”という品名で釣りの餌として売られていたという。
種子の中に虫がいるかどうかわからずに購入しても、驚くほどの高率でチシャの虫が入っていたという。
(チシャというのはエゴノキの別名)

エゴヒゲナガゾウムシはエゴノキであればどの木にもいるというわけではないが、特定の木にはこれでもかというほど群がってくる。
釣り餌を採集する方は、その特定の木がどれかを熟知していたということなのだろうか。

ついでにもう一つ。
地表に落ちたエゴノキの種子は、ヤマガラが好むという。
もしかするとヤマガラは、種子の中のチシャの虫を好んでいるのかもしれない。


なお、
エゴヒゲナガゾウムシは私のお気に入りの虫で、毎年のように報告をさせていただいている。
機械的に検索された、当ブログのエゴヒゲナガゾウムシに関する記事(一覧)は次でご覧いただける ⇒ 

2025年7月25日、報告:自然観察大学 事務局 大野透




by sizenkansatu | 2025-07-25 22:26 | 昆虫など | Comments(2)
Commented by cflcfl at 2025-07-26 12:31
こんにちは😃 またエゴヒゲナガゾウムシの話題ですね!楽しいです!

「この不思議な眼は、なんのための構造で、どんな利点があるのだろう」私もすごく聞きたいのです!ただ単にのっぺらぼうな顔を引き立てるためだけではないですよね。もしかしてメスはこのユニークな顔で相手を選んでいるのでしょうか?

「のほほんとした顔」「フレンドリーな顔」と言われるように、よほどメスの顔が好きなのでしょうね😊

私もオスの「座り込んで、ちょいと一服しているようなポーズ」がたまらなく好きです。でも「危険を感じるとすぐに飛んで逃げる」というのは、ちょっとショックですね...。

幼虫は果肉ではなく果実内の種子を食べるのですか!硬い種皮に穴を開けるということは、メスのアゴの力が相当強いということですよね!

ところで交尾のタイミングについてですが、オスはメスが穴を掘り終わるまでずっとそばで見守っていて、その後交尾して、メスが産卵するという順番なのでしょうか?
Commented by sizenkansatu at 2025-07-26 17:14
> cflcflさん
コメントありがとうございます。

この虫に出会うと、毎年、熱暑も忘れて夢中で撮影してしまいます。

交尾のタイミングですが、私も観たことがないのでわかりません。
穴を掘ってからすぐに産卵するので、おそらく事前に交尾を済ませているのだと思います。

いろいろと謎の多い虫です。

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