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自然観察大学ブログ

ヤブガラシの観察-5 昆虫とのかかわり

ヤブガラシはたくさんの蜜を提供している。昆虫界で人気の花になっているようだ。
蜜が多いだけでなく開花期間が長く、花の少ない季節には貴重な蜜源なのだろう。
手元に写真のあった虫をまとめてみよう。

訪花昆虫
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アオスジアゲハとアゲハチョウ(ナミアゲハ)。
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イチモンジセセリとコブドウトリバ。

チョウやガは雄しべ・雌しべに触れずに吸蜜するようなので、受粉にはほとんど貢献しないものと思われる。

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スズメバチ(オオスズメバチ?)とハラナガツチバチ(ヒメハラナガツチバチ?)。

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シリアゲアリの一種とヨツスジトラカミキリ。

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コアオハナムグリとマメコガネ。
マメコガネは蜜をなめるだけでなく、花やつぼみ、葉もかじる。

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ナナホシテントウとオオニジュウヤホシテントウ。
肉食と植物食のテントウムシだが、両者とも蜜はお好きなようだ。


ヤブガラシを食べる虫
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ブドウスズメの幼虫は葉を喰う。
大形で長さ8~9cmにもなるので喰う量もすごいだろう。
ブドウスズメによく似たハネナガブドウスズメというのもいて、幼虫では見分けるのが難しいらしい。写真はどちらなのか不明。

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コブドウトリバ。
先の写真のように成虫は花を吸蜜するが、幼虫はつぼみを喰う。
このときは真珠体も喰っていた。
参考:コブドウトリバの幼虫  


捕食者など
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カニグモ科のガザミグモ(たぶん)。前の脚2対(4本)を広げて獲物待つ。
ヤブガラシの花には、集まる虫を狙って捕食者もやってくる。
↑の写真の左の脚を拡大して観よう。
ヤブガラシの観察-5 昆虫とのかかわり_d0163696_20483625.jpg
脚先の方にある剛毛で、がっちり捕まえるのだろう。
(第1脚と第2脚が重なって見えている。)

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クサカゲロウの幼虫。(種名は不明)
この仲間には、写真のようにごみや食べかすを背負う種がある。
このごみは、外敵の目から逃れるためのカムフラージュであることがわかっているそうだ。

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こちらは別の個体(種名は不明)で、背中のごみが盛大!
頭部の左上にある緑色の球体は他の虫の糞だろう。ほやほやの新鮮な糞を貼り付けたのだ。

クサカゲロウの幼虫は肉食性でアブラムシやハダニ類を喰うといわれる。
ヤブガラシの花の周辺ではクサカゲロウの幼虫を頻繁に見かけるのだが、餌となるアブラムシもハダニもほとんど見かけない。
獲物がいないのにも関わらず、どうしてヤブガラシにいるのか?

上の写真の緑の糞玉をつけたクサカゲロウを追いかけていたら、その答えの一つと思われる場面を観察できた。


真珠体を喰う虫
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ひとつ前のクサカゲロウの幼虫を観ていると、真珠体を大あごで挟みつけた。
はじめは真珠体をはがして背負うのかと思ったのだが、挟みつけたまま動かない。
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↑ の写真で、左は挟んだところで、右はその1分後。
真珠体が小さくなっているではないか!
クサカゲロウの幼虫は真珠体の中の液体を吸っていたのである。

ということは…
ヤブガラシは真珠体で捕食性昆虫であるクサカゲロウを呼び寄せているのだろうか?

参考:ヤブガラシとノブドウの真珠体  

なお、クサカゲロウの幼虫の大あごは管状になっていて、これで挟むと同時に獲物に差し込んで体液を吸う。同じアミメカゲロウ目のウスバカゲロウの幼虫(アリジゴク)と同じ構造だ。

参考までにクサカゲロウの成虫も載せておこう。(種名は不明)
ヤブガラシの観察-5 昆虫とのかかわり_d0163696_20285965.jpg
幼虫とは正反対の弱々しい姿で、儚ささえ感じられる。

儚いといえばカゲロウだが、それと共通するイメージなのでクサカゲロウという名前になったのかもしれない。
ただし、カゲロウ目に対してクサカゲロウはアミメカゲロウ目。近縁の関係にはない。

2025年7月19日、報告:自然観察大学 事務局 大野透




by sizenkansatu | 2025-07-19 20:40 | 植物と虫 | Comments(10)
Commented by mrtnsz at 2025-07-19 22:33
今晩は。
昆虫の成虫、幼虫のバチピンの素晴らしい画像、その名前、蜘蛛まで、捕食者、撮影技からご説明、造詣が余りにも深くて恐れ入りました。
Commented by wabisuke-miyake at 2025-07-20 11:09
ヤブカラシさん
大人気ですね
虫たちのあいだで
人気投票が行われたら
当選確実かな~(*^^*)
Commented by kaya2018 at 2025-07-20 11:30
ヤブガラシは、ハダニなどからまもってもらうガードマンとしてクサカゲロウ幼虫を真珠体で誘っていたんですね!
背中にゴミを背負っているクサカゲロウ幼虫の習性・・天敵から生き延びていくための知恵ですね。
おもしろいことだらけの世界に暑さも吹き飛びました。
Commented by cfl at 2025-07-20 12:17
「チョウやガは雄しべ・雌しべに触れずに吸蜜するようなので、受粉にはほとんど貢献しないものと思われる。」と書かれていますが、実際はそうではなかったのではないでしょうか?
Commented by sizenkansatu at 2025-07-20 21:39
> mrtnszさん
お褒めいただき、ありがとうございます。
ですが、私などはただたのしく観察しているだけです。
本当に浅学で、お恥ずかしい限りです。
今後とも付き合いいただければありがたいです。
Commented by sizenkansatu at 2025-07-20 21:41
> wabisuke-miyakeさん
そうなんです。
地味ですが、大人気なのです。
夏の投票であれば、トップ当選確実と思います。
Commented by sizenkansatu at 2025-07-20 21:43
> kaya2018さん
コメントありがとうございます。
真珠体はそのように言われていますが、実際のところはどうでしょうか。
ちょっと疑わしいので、引き続き自分の目で確認したいです。

クサカゲロウはほんとに興味深いです。
じつはヤブガラシで卵(優曇華の花)も撮ったと思っていたのですが、写真がどこかに行ってしまって載せることができませんでした。残念です。
Commented by sizenkansatu at 2025-07-20 21:45
> cflさん
コメントありがとうございます。
そうかもしれません。
実際のところはどうなのか、これを確認するのは至難の業です。
Commented by ruribitaki_pata2 at 2025-07-22 16:58
私はクサカゲロウの同定は

千葉大学大学院園芸学研究科
応用昆虫研究グループの

https://www.insects-of-tojo.com/insect/

日本産クサカゲロウ図鑑を参考にして行っています。

https://www.insects-of-tojo.com/insect/neuro/neuroptera/chrysopidae/chrysopidae.html

その「幼虫の検索表」で見ると
「フタモンクサカゲロウ」が近いような気がします。

ただこの検索表では塵を背中に背負うタイプと背負わないタイプの
両方に「ヨツボシクサカゲロウ」が出ていて
5ページの「ヨツボシクサカゲロウ」とあるのは
おそらく誤りで「ヨツボシアカマダラクサカゲロウ」が
正しいのだと思われます。

ヨツボシアカマダラクサカゲロウは塵を背負うタイプであり
幼虫頭部の写真がこちらと同じなので

https://www.insects-of-tojo.com/insect/neuro/neuroptera/chrysopidae/Pseudomallada/Pseudomallada_parabolus.html


Commented by sizenkansatu at 2025-07-22 23:07
> ruribitaki_pata2さん
情報ありがとうございます。
千葉大のサイトは今回調べている中で見つけたのですが、よくわからないのであきらめました。
てきとうで申し訳ありません。ご勘弁ください。

5ページのヨツボシクサカゲロウはミスタイプですね。
教えてあげられるとよいのですが…

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