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自然観察大学ブログ

ヤブガラシの観察-1 成長と巻きひげ

ここ数年の間、改めてヤブガラシに注目している。
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これ(↑)は真夏のヤブガラシ。
ヤブガラシは藪や立木、生け垣などを覆って枯らしてしまうというのが名前の由来だとか…
ヤブガラシの観察-1 成長と巻きひげ_d0163696_22040671.jpg
身近にあって、いろいろとおもしろい観察ができるが、まずは基本となる、成長のようすを観ていこう。

なお、標準和名はヤブカラシと濁らないのだが、Yahooの検索結果の数はヤブカラシが3万件余だったのに対し、ヤブガラシは615,000件であった。ここでは、なじみのあるヤブガラシと表記した。


ヤブガラシの成長
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初夏の芽出し。
多年草のヤブガラシは地上部が枯れても地下茎が残り、そこから芽を出す。
ほかの植物よりも少し遅れて出て、急速に成長する。(つる植物はおおむね同じパターンだ)
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巻きひげでまわりの植物などに絡みつく。巻きひげは葉に向かい合わせでつく。

こうしてみると、ほかの植物よりも遅れて出てくるのは正解なのだろう。
早く出てしまって絡みつく相手がないとなると、途方に暮れてしまう。

ヤブガラシはその後もどんどん成長を続け、遅いものでは晩秋まで残ることがある。
11月17日に観た、カヤの木に絡むヤブガラシ。(↓)
ヤブガラシの観察-1 成長と巻きひげ_d0163696_22043290.jpg
高さ10m以上はあろうかという民家の庭のカヤで、これだけ大きい木だとさすがに覆い尽くすことはないが、樹冠付近までつるを伸ばしていた。
ヤブガラシの観察-1 成長と巻きひげ_d0163696_22043934.jpg
目の高さのところのつるは太さ2.5cmほどもあった。
ヤブガラシの観察-1 成長と巻きひげ_d0163696_22045338.jpg
ほとんど木のような、がっしりしたつるだ。
つる植物はほとんど茎を太らせずに伸びることに専念するのだが、長い間成長を続けるとさすがに太くなるようだ。
はたしてこの茎は、木質化するのか? 冬になったらどうなるか?
密かに注目していたのだが、残念ながらこのあと根もとからばっさりと刈り取られてしまった。残念。


巻きひげで絡む
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写真の赤味がかったつるがヤブガラシで、先端を巻き付けてから、ねじって締め上げる。
ヤブガラシの観察-1 成長と巻きひげ_d0163696_22051397.jpg
ばねのように巻いて縮むのだが、よく観ると途中で巻く方向が変わる。

考えてみればこれは当たり前のことで、両端を固定してねじると、その中心付近で巻く方向を変えなければならないのである。
この巻き方を“飴玉巻き”と呼びたい。飴玉をシートで包んで巻く方法で、包装紙の両端をつまんで引っ張るとほどけて飴玉が出てくる。
残念ながら、そんな呼び方は誰もしていないし、今どきの飴は個包装でフィルムに封入されているので、飴玉巻きはあまり見かけない。“飴玉巻き”の呼称は普及しにくいかもしれない。

ところで、ヤブガラシの巻きひげは二又になっている。
ヤブガラシの観察-1 成長と巻きひげ_d0163696_22052070.jpg
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飴玉巻きのようすがわかりにくくなっているが、そんなことよりもしっかりと絡みつくことの方が重要なのだろう。


空振りした巻きひげは?
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ヤブガラシは、他物を覆い尽くした後もつるを伸ばし続ける。
だが、その先には絡むものがない。
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空振りした巻きひげは、どうするのか?
上の2つの写真では、少しもとのほうにある、つまり少し古い巻きひげは空回りして巻き上がっている。
こちら(↓)の巻きひげも、無念の空振り…
ヤブガラシの観察-1 成長と巻きひげ_d0163696_22054997.jpg
一人でねじれるほかはない。


長くなるので今回はここまでとしよう。
つる植物は成長が早いので継続観察は難しいが、次回はたまたま観察できた一例を報告したい。

2025年7月8日、報告:自然観察大学 事務局 大野透




by sizenkansatu | 2025-07-08 22:30 | 植物 | Comments(13)
Commented by miyabiflower at 2025-07-08 23:00
ヤブガラシはどこにでもあるので立ち止まらず通り過ぎていましたし
実家の庭でみつけると、育ったら大変、とすぐに抜いていました。
そのせいか案外知らないことだらけですね。
いろいろ教えていただけて興味深いと思いました。
花は色合いがかわいいなと思うのですが
庭では厄介者ですね。
「飴玉巻き」わかりやすくていいですね^^
そう言えばそういう包み方の飴を見なくなりましたね。
Commented by shizenkaze at 2025-07-08 23:24
ヤブカラシの芽生えの頃の赤っぽい姿のものは山菜としてよく利用していました~
若い頃(50年前)は渓流釣りの時の昼食などで野外料理する時にも皆にふるまっていました~
少し辛味のあるお浸しや揚げ物に利用していました~(*´∇`*)
有毒のもの以外は色々食べました~♪
Commented by sizenkansatu at 2025-07-09 06:07
> miyabiflowerさん
ヤブガラシをスルーしていたとはもったいない!
いろいろとおもしろい観察ができます。
このあとも記事を続ける予定なので、しばらくお付き合いください。

“飴玉巻き”にご賛同いただき、ありがとうございます。
Commented by sizenkansatu at 2025-07-09 06:09
> shizenkazeさん
コメントありがとうございます。
ヤブガラシを食べるのですね! はじめて知りました。
たくさん採れるので、食べすぎに注意しなければいけませんね。
Commented by cfl at 2025-07-09 20:30
とっても面白い記事です♪♪ありがとうございました😊
(私は中国人ですから、「飴玉巻き」という巻き方の飴玉が見たことがありませんでしたけれど、なんとなく分かったような気がします。すごく楽しい名前です😊)
Commented by k-and-y-and-c0524 at 2025-07-09 20:39
ヤブカラシ、かわいいなぁなんて思ってみてましたが、侮れんのですね。
食べるんだ😳
植物素人のまた私には驚きです!
Commented by cfl at 2025-07-09 21:28
ちなみに、これ「🍬」は「飴玉巻き」飴玉ですか?
Commented by sizenkansatu at 2025-07-09 23:14
> cflさん
ありがとうございます。
おもしろく読んでいただいて、なによりです。

二つ目のコメントにあるイラストはまさに飴玉巻きです。
飴玉巻きというのは日本で一般的な名称ではありません。むしろキャンディー巻きということが多いようです。
でも、cflさんが言われるように、飴玉巻きのほうがたのしい名前だと思いました。
Commented by sizenkansatu at 2025-07-09 23:16
> k-and-y-and-c0524さん
コメントありがとうございます。
かわいいかどうかはよくわかりませんが、侮ってはいけません。
親しみと尊敬を持って観察させてもらいましょう。
Commented by miyabiflower at 2025-07-10 11:42
こんにちは。
ヤブガラシは実家の庭に生えてくるので今度じっくり見てみますね。
ニガカシュウ(?)と思っていたナガイモらしき植物のその後を記事にしました。
その中で再びこちらのニガカシュウの記事へのリンクを貼らせていただきました。
改めてニガカシュウの写真を拝見すると
今年の様子は明らかに違いますね。
ナガイモの葉など実物を見たことがないので比較できませんが
ニガカシュウではなさそうです。
Commented by sizenkansatu at 2025-07-10 17:37
> miyabiflowerさん
そちらの記事を拝見しました。
たしかにニガカシュウではないようです。
こちらではヤブガラシとニガカシュウがせめぎ合っています。
そろそろニガカシュウの花が咲くころかなぁ、と思っています。
Commented by cfl at 2025-07-20 13:21
この記事をきっかけに、今日はBBCの番組「The Green Planet」でツル植物と他の植物の「戦い」について観ました。巻きひげの先端はフックのようで、空中で方向を変えながら伸びていき、いざ「ターゲット」に接すると懸命に巻き付きます。一方、他の植物もただではいきません。しっかりと防御策を備えているのです!改めてツル植物の面白さを実感しました。
Commented by sizenkansatu at 2025-07-20 21:48
> cflさん
つる植物はおもしろいですよね。
長年観ていますが、飽きることはありません。

自分で絡まれてみるというのもおもしろいですよ。
ウリ科は動きが早いので、試してみるとよいと思います。

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