チュウゴクアミガサハゴロモの観察






本体の幼虫も大きくなっている。黒っぽいのは翅芽(しが)という翅のもとだ。
幼虫は歩くのはゆっくりだが、危険を察知すると、ぴんっと跳ねて逃げる。
跳ねたときにはおそらく蝋物質が落ちるので、この幼虫はこれまで平穏無事に過ごしてきたということなのかもしれない。
茶褐色の粉が落ちて黒くなったのかと思っていたが、そうではないようだ。
ところで、私がこの虫をはじめて観たのは2022年の9月であった。たぶん初夏に発生したのが産卵し、その次の世代を観たのだろう。
当時ネットで調べると、和名はなく、Pochazia shantungensis の学名で検索できた。
そのときの記事では
“日本では2017年に発見され、その後何度も確認されているが、毎年飛来しているものの越冬できないという可能性もあり、帰化昆虫かどうかは不明”
といったことが記されていた。
(毎年飛来して増殖するものの、越冬できずに死に絶える昆虫というのはけっこうたくさんいる)
いまのネットの記事では、和名はチュウゴクアミガサハゴロモ、学名Ricania shantungensis と記されている。
中国原産で日本に定着していることが確認され、分類も見直されたようだ。
アミガサハゴロモ
白い斑紋が前翅の同じような位置にあるが、よく観ると斑紋の形が違っている。
よく似ているので、チュウゴクアミガサハゴロモの命名のもとになったのだろう。
なにより、尻につく毛の束は直線的できれいな扇形。
ハゴロモ類はほかにもいくつもあるが、扇が縮れているのは外国原産の種で、日本在来のハゴロモ類はどれも縮れることはないようだ。
2025年7月2日、報告:自然観察大学 事務局 大野透
追記/2025年7月9日
記事をアップしたあとで、チュウゴクアミガサハゴロモの産卵痕と思われるものが観察できたので追加しておきたい。
ネットで見られる産卵痕の写真にそっくり。今の時季に見られるアオバハゴロモの幼虫のコロニーに似ているが、幼虫は近くにはいない。

たぶんチュウゴクアミガサハゴロモの産卵痕と思われるが、産卵しているところを見たわけではないので、確証はない。
植物はクロモジの当年枝。枝を切って中に卵があるかどうかを確認したいところだが、ここは厳しく管理された植物園なのでそれはできない。
再度の訂正(2025年7月21日)
先日、チュウゴクアミガサハゴロモの産卵シーンを観察しました。
上の写真は産卵痕ではないようです。
お詫びして、正真正銘の産卵シーンを下記に報告させていただきます。
さらに追加情報(2025年8月10日)
● チュウゴクアミガサハゴロモの孵化など ⇒
by sizenkansatu
| 2025-07-02 19:28
| 昆虫など
|
Comments(16)
ハゴロモの幼虫さんは
この季節の庭にはびこるいやな虫です
枝が白くなってると
水をかけたり剪定したりするけど
またすぐにもどってきて
イラッとします
でも最近は
メダカのエサになってもらってるので
見つけるとうれしいくらいです(^^)
この季節の庭にはびこるいやな虫です
枝が白くなってると
水をかけたり剪定したりするけど
またすぐにもどってきて
イラッとします
でも最近は
メダカのエサになってもらってるので
見つけるとうれしいくらいです(^^)
昔は外来種が越冬できなくて繁殖するのが難しいものが多いと言われていましたが今は温暖化の影響で熱帯産の生物も日本で繁殖できるようになりましたが気温の低い所でしか生きられない生き物たちが暮らせず消えていることもあって悲しいですね・・・・・
チュウゴクアミガサハゴロモより若い頃にフライフィッシングをしていた私はトドノネオオワタムシの方が馴染みがあります~(*´∇`*)V
チュウゴクアミガサハゴロモより若い頃にフライフィッシングをしていた私はトドノネオオワタムシの方が馴染みがあります~(*´∇`*)V
> wabisuke-miyakeさん
コメントありがとうございます。
メダカの餌ですか!
かわいそうですが、うまい方法だと思います。
脂分が多くておいしいのかもしれませんね。
コメントありがとうございます。
メダカの餌ですか!
かわいそうですが、うまい方法だと思います。
脂分が多くておいしいのかもしれませんね。
> shizenkazeさん
コメントありがとうございます。
トドノネオオワタムシはそちらにはいないと思いますが、疑似餌のモデルということなのですね。
巨大綿虫もどきでつるのでしょうか。
コメントありがとうございます。
トドノネオオワタムシはそちらにはいないと思いますが、疑似餌のモデルということなのですね。
巨大綿虫もどきでつるのでしょうか。
こんばんは。
チュウゴクアミガサハゴロモのクリアな写真と丁寧な解説を
ありがとうございます。
姿形も生態もすごくよくわかりました。
↑ の方のコメントにある、メダカの餌にするというのも
とても面白く興味深いです。
それにしても、見れば見るほどヘンな生き物だなぁと思います(^^ゞ
チュウゴクアミガサハゴロモのクリアな写真と丁寧な解説を
ありがとうございます。
姿形も生態もすごくよくわかりました。
↑ の方のコメントにある、メダカの餌にするというのも
とても面白く興味深いです。
それにしても、見れば見るほどヘンな生き物だなぁと思います(^^ゞ
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
> pallet-sorairoさん
ハゴロモのなかまはおもしろいですよね。
幼虫が脱皮するときは毛の束は抜け殻についたままになると思うのですが(そんな抜け殻を観たように記憶しています)、
脱皮後に新たな蝋物質を出すのだと思います。
その過程を観察したいですが、飼育しないと無理でしょうね。
飼育は苦手なので、悩ましいです。
ハゴロモのなかまはおもしろいですよね。
幼虫が脱皮するときは毛の束は抜け殻についたままになると思うのですが(そんな抜け殻を観たように記憶しています)、
脱皮後に新たな蝋物質を出すのだと思います。
その過程を観察したいですが、飼育しないと無理でしょうね。
飼育は苦手なので、悩ましいです。
>鍵さん
もちろんOKです。
私としてもうれしく、ありがたいことです。
もちろんOKです。
私としてもうれしく、ありがたいことです。
今年は実家の庭のグミ、梅、ムラサキシキブにたくさんいました。去年まではほとんど見かけなかったのに・・・。
生けるために枝を切って庭に置いておくと
わさわさと葉の間から出てきました。
ジャンプ力もありますね。
連れ帰りたくないので、枝はしばらく庭の敷石の上に置いてから
持ち帰っていましたよ。
7月に入ってからは自宅マンションの玄関の外の天井や
ベランダのりんごの木、網戸などにとまっている成虫をよく見かけます。
マンションの上階なのですが、どこからか飛んでくるのでしょうね。
去年までは成虫を見かけなかったので
ふえているのでしょうね。
幼虫の姿、羽根を背負った宝塚の男役のようだとおもしろがっていましたが、
どんどんふえると困りものですね。
生けるために枝を切って庭に置いておくと
わさわさと葉の間から出てきました。
ジャンプ力もありますね。
連れ帰りたくないので、枝はしばらく庭の敷石の上に置いてから
持ち帰っていましたよ。
7月に入ってからは自宅マンションの玄関の外の天井や
ベランダのりんごの木、網戸などにとまっている成虫をよく見かけます。
マンションの上階なのですが、どこからか飛んでくるのでしょうね。
去年までは成虫を見かけなかったので
ふえているのでしょうね。
幼虫の姿、羽根を背負った宝塚の男役のようだとおもしろがっていましたが、
どんどんふえると困りものですね。
> miyabiflowerさん
コメントありがとうございます。
ムラサキシキブにもいましたか。ほんとにいろんな植物につくようですね。
先ほど産卵痕と思われる写真を追加しました。
今の季節は産卵シーズンのようなので、枝を切って持ち帰るときは、ワックスがないものを選ばないと、たいへんなことになるかも…
コメントありがとうございます。
ムラサキシキブにもいましたか。ほんとにいろんな植物につくようですね。
先ほど産卵痕と思われる写真を追加しました。
今の季節は産卵シーズンのようなので、枝を切って持ち帰るときは、ワックスがないものを選ばないと、たいへんなことになるかも…
文中に「跳ねた時に蝋物質が落ちる」とありますが、跳ねても落ちないのを見たことがあります。何回くらい跳ねると落ちるものなのでしょうか?ご教示お願い致します。
幼虫の姿が本当に可愛らしい😊
> H.Mさん
コメントありがとうございます。
申し訳ありません。跳ねて蝋物質が落ちると記したのは想像です。
跳ねた瞬間に目で追えなくなるので、確認はしていません。
跳ねても落ちない例があってもおかしくないと思います。
ネットで見た飼育している人の記事で、跳ねたときに落ちると書いてあったように記憶していますが、飼育箱にぶち当たったのかもしれません。
コメントありがとうございます。
申し訳ありません。跳ねて蝋物質が落ちると記したのは想像です。
跳ねた瞬間に目で追えなくなるので、確認はしていません。
跳ねても落ちない例があってもおかしくないと思います。
ネットで見た飼育している人の記事で、跳ねたときに落ちると書いてあったように記憶していますが、飼育箱にぶち当たったのかもしれません。
> cflさん
コメントありがとうございます。
今後ともよろしくお願いいたします。
コメントありがとうございます。
今後ともよろしくお願いいたします。
はじめまして
昨日、ナゾのユキムシ??とまったくわからないまま動画を撮り、その後あれこれ検索していくうちにこちらに辿り着くことができました。
あちこちで大発生している三角形のステルス機のような成虫とイコールであること、ナゾがこちらのページで判明しました。
ツマグロヒョウモンが北上してきて庭で見つかるようになって驚いていたことを思いだしました。
成虫、すごい数を毎日見ています。
ありがとうございました。
昨日、ナゾのユキムシ??とまったくわからないまま動画を撮り、その後あれこれ検索していくうちにこちらに辿り着くことができました。
あちこちで大発生している三角形のステルス機のような成虫とイコールであること、ナゾがこちらのページで判明しました。
ツマグロヒョウモンが北上してきて庭で見つかるようになって驚いていたことを思いだしました。
成虫、すごい数を毎日見ています。
ありがとうございました。
> 幼虫の動画を撮りましたさん
コメントありがとうございます。
私は2022年の秋にさいたま市ではじめて見たのですが、このときはすでにかなりの高密度でした。
今年になって、地元の千葉県市川市や松戸市周辺、東京都の何か所かで見ています。やはり、かなりの高密度です。
そちらでも大発生しているのですね。どちらで見ておられるのか、よろしければお教えください。
コメントありがとうございます。
私は2022年の秋にさいたま市ではじめて見たのですが、このときはすでにかなりの高密度でした。
今年になって、地元の千葉県市川市や松戸市周辺、東京都の何か所かで見ています。やはり、かなりの高密度です。
そちらでも大発生しているのですね。どちらで見ておられるのか、よろしければお教えください。
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