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自然観察大学ブログ

信州の春2025 -その2-

前回()の続きで草本編。

シナノタンポポ
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信州と言えば、まずはこれ。
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総苞が大きくてがっしりした感じ。

かつてエゾタンポポとされていたが、その一部が別種のシナノタンポポとされた。
シナノタンポポとエゾタンポポは外見では区別できないようだ。
それなのに、シナノタンポポはエゾタンポポではなくカントウタンポポに近いという。
なんとややこしい!


マムシグサ
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サトイモ科の多年草で、地下の芋から春に芽を出す。
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この鞘のまだら模様がマムシのようだというのが、名前の由来だそうだ。
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先端に葉を広げ、花をつける。

なお、ここではかりにマムシグサと記したが、テンナンショウ属には似た種が多く見分けるのが困難だそうなので、ご容赦いただきたい。

花は仏炎苞に包まれ、この中に花序がある。
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苞の開口部からこん棒状のものが顔を出している。

苞を少しだけめくらせてもらおう。
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中は雄花序であった。白い粉は花粉。
これは雄花序で、この株は雄株ということになる。
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雄株の苞の基部には、小さなすき間がある。
この穴は受粉のために欠かせない、たいせつな穴。
詳しくは先日の“自然まるごと観察会”のレポートをご覧いただきたい。
● 2025年度自然まるごと観察会(第1回)/ウラシマソウの観察(PDF)  


じつは今回マムシグサを観察したのは、この記事のウラシマソウと同じかどうかを確認したのであった。

さて、念のためマムシグサの雌花も確認しよう。
慎重に苞をめくったつもりが、ついちぎれてしまった。(反省)
せっかくなので、がっちり撮っておこう。
信州の春2025 -その2-_d0163696_21243318.jpg
緑色の部分が雌花序。
その上に伸びる棒が花序の付属体である。
苞の開口部から突き出ていたのは、この付属体の先端部分だ。

ウラシマソウの場合はこの付属体の先端がたいへんに長く伸び出していて、それが浦島太郎の釣り竿(釣り糸)のようだというのが名前の由来なのだそうだ。

なお、マムシグサの仏炎苞は淡緑色~紫褐色、付属体は白色~淡緑色~紫褐色といろいろだ。

ところで、
マムシグサもウラシマソウも多年草で雄株と雌株がある。これは栄養状態などによって性転換するのだという。
良好な状況では雄株が雌株になるが、悪化すると逆に雌株が雄株に戻ることもあるのだという。
じつにおもしろい習性だが、このようなケースは“雌雄異株”としてよいのだろうか?
Wikipediaでは雌雄異株と記されているが、違和感がある。


センボンヤリ
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花はすでに終了し、しぼんだ舌状花は赤みを帯びている。
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以前は5月の連休期間に開放花を咲かせていたのだが、ここ何年も観られない。

センボンヤリに関しては岩瀬名誉学長とともに詳しい観察をしているので、次をご覧いただきたい。
● センボンヤリの観察(1)  
ほかにもいくつかの記事があるので、興味のある方は末尾欄外の【センボンヤリ】のタグをクリックしてご覧いただけるとありがたい。


ワダソウ
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小さいが、ナデシコ科の整った形の花だ。
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花弁の先が浅く2裂。
雄しべが5個×2列、同心円状に並んでいる。
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光の加減で花弁の脈が浮き出る。
透明感のある、上品な、可憐な花だ。
こちらの花では、内側の雄しべ5個は葯がなくなっている。
内側の雄しべが先に熟し、外側の5個が少し遅れて熟すようだ。

ところで漢字で書くと和田草。和田峠が名前の由来という。
今回観たワダソウは諏訪地方のもので、旧和田村(和田宿)から和田峠をはさんで反対側にあたる。
ほぼ本場物のワダソウだ。


ヒゲネワチガイソウ
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前掲のワダソウと同じナデシコ科ワチガイソウ属。
ヒゲネワチガイソウは写真のように花弁の数が不安定で、5,6,7個なのだという。
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なお、ワチガイソウの名の由来がおもしろい。“種名は不明”の意味で輪違紋を記しておいたのが、勘違いでそのまま種名になったのだという。


ミヤマエンレイソウ
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山地の林床などで見られる。
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この仲間はシュロソウ科エンレイソウ属とされる。何ものにも似てない孤高の存在だ。


ジュウニヒトエ
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これは関東の平地でも見られるが、きれいに咲いていたので…

2025年5月19日、報告:自然観察大学 事務局 大野透




by sizenkansatu | 2025-05-19 21:47 | 植物 | Comments(8)
Commented by cfl at 2025-07-16 09:20
マムシグサの性転換は、正真正銘の性転換と言えますよね!
前日の番組で紹介されたアゴタイという魚も、メスが成長するとオスに性転換できるそうですが、マムシグサの場合は「良好な環境下では雄株が雌株になる」という逆のパターンです。いずれも、より多くの競争力のある子孫を残すための戦略なのではないでしょうか。

ちなみに、「雌雄同株」の定義を調べてみると、「単性花をつける植物で、雌花と雄花を同一の個体につけること。また、その植物」とありますが、「同時に」という条件がなければ、性転換するマムシグサもこの概念に当てはまるのではないでしょうか? 😅
さらに「単性花」の定義も確認すると、「雄蕊・雌蕊のいずれか一方だけを持つ花」となっています。「同時に」という条件がなければ、これも少し解釈がややこしくになりますね。
Commented by sizenkansatu at 2025-07-16 17:03
> cflさん
コメントありがとうございます。
ずいぶんお詳しく、また勉強されていますね。
こちらも正確な記事を心がけねばと身が引き締まります。

植物用語は、知っていると理解しやすくなるので大切だと思います。
ただ、自然界には必ずと言ってよいほど定義に当てはまらないものがあります。
そこが観察のおもしろいところでもあります。
Commented by cfl at 2025-07-16 19:06
コメントのお返事ありがとうございます。
実は今朝、ツノゼミを2匹見つけました。小さな体でツノが目立たない個体が、体が大きくツノも立派な個体の上に乗っているのです。産卵痕と思われる跡もありました(写真をお見せできればよかったのですが…残念です)。

どちらがメスなのか、それとも同性同士なのか、私には見分けがつきません。でもどうしても知りたくて、ネットで調べてみたのですが、信頼できる情報が見つからなかったんです。

もしあなたがツノゼミについて書かれた記事をお持ちでしたら、教えていただけませんでしょうか?
Commented by sizenkansatu at 2025-07-16 20:32
> cflさん
申し訳ありません。ツノゼミは見たことがありません。
ふつうで考ると、体が大きい方が雌ですが、角のりっぱなのは雄だと思います。
でもつじつまが合いませんね。
2匹は別種の可能性もあるでしょうか。
写真を拝見できないのが残念です。

ツノゼミではありませんが、近似の角のあるアワフキムシの観察記録は次でご覧いただけます。
https://sizenkan.exblog.jp/26764251/
Commented by cfl at 2025-07-16 20:53
ご親切にお答えいただき、誠にありがとうございます。
こちらのURLリンクが開けるかどうかわかりませんが、もし可能でしたらご覧いただけますと幸いです。 https://www.inaturalist.org/observations/298313015
Commented by sizenkansatu at 2025-07-16 22:24
> cflさん
紹介していただいたサイトは中国のものでしょうか。
申し訳ありませんが、私には見ることができません。

海外のツノゼミはツノゼミらしい立派な角を持っているようですね。
うらやましいです。
私は、写真で見てよだれを垂らしています。
Commented by cfl at 2025-07-16 22:42
そうですか、少し残念です。やはり2匹は別種の可能性が高いのかもしれませんね。
昆虫の魅力って、写真で見るよりも実際に自分の目で観察した時の、あのワクワクする気持ちがたまらないですよね!😂
本当にお世話になりました。大変ありがとうございます😊
Commented by sizenkansatu at 2025-07-16 22:46
> cflさん
こちらこそありがとうございます。
見られなくてすみませんでした。

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