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自然観察大学ブログ

コブシの咲く宝篋山へ -その2-

前回( )の続き。

“太郎こぶし” を過ぎると、沢沿いから離れて明るい登山道をたどる。
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大きな岩のならぶ間の道を抜けると…
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“こぶしの森”という広々とした場所に到着。
ていねいに下草が刈られて、明るい森が維持されている。管理作業をされている方々の労力を思うと頭が下がる。

ここから左へ折れて“こぶし道”に入ると、間もなく見えるのが…
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“元禄こぶし”
今回のもう一つの目標だ。

元禄という名前のとおりなら、樹齢は350年ほどになるだろう。
さえぎるものがなくて全身がきれいに見えるのだが、空がかすんでいるのが残念。
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見上げると花は見えない。背景が青空だったら、どんなに素晴らしい写真が撮れたか…

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“元禄こぶしは”生え際で二つに分かれる。
この巨木が名前のとおり元禄の生まれだとすると、生類憐みの令や奥の細道、忠臣蔵の時代から、ずっと世の移り変わりを見てきたことになる。
樹皮の凹凸が艱難辛苦を物語るが、350歳にしてはきれいな木肌だ。

さて、こぶし道から“こぶしの森”に戻ると、いつのまにか青空が広がっていた。
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下草がきれいに刈られていて、明るく快適な環境。
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やはりコブシには青空が合う。
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 ♪ 白樺ぁ 青空 南風
    こぶし咲く あの丘北国の
     ああ 北国の春 ♪

…思わず歌い出してしまいそう。


“こぶしの森”と言っても、コブシは点在するだけで、むしろヤマザクラが多いもよう。
ヤマザクラの季節に、もう一度来なければ…

さて、これで目的のコブシを観ることができた。
ここまでで下山しようかとも思ったが、山頂まではあと少しなので寄り道しながら登ることにしよう。


キブシ
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雌雄異株の、これは雄株の雄花。
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キブシは漢字で木五倍子で、名前は似ているがコブシとは関係はない。
ヌルデの五倍子(フシ)の代わりに鉄漿(おはぐろ)の染料に利用されたのが名前の由来という。


ウグイスカグラ
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ウグイスカグラはよく見かけるが、ここのはとてもきれい。
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ウグイスが鳴きはじめるころに咲くのでこの名があると思われる。
カグラは神楽とか狩座などと諸説あるが、納得できるものはない。


キジムシロ
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名前はキジが使うための蓆(むしろ)に見立てたという。
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花は同じなかまのヘビイチゴによく似ているが、小葉の数が5~7と多い。


カヤ
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碁盤、将棋盤とし重用されるが、日本国内では利用できる大きな木がなくなっているという。
宝篋山のカヤたちはかなり大きいが、どうなのだろう。


オオバヤシャブシ(?)
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頭上の高いところに花をつけていて、近くでは観られない。
コブシの咲く宝篋山へ -その2-_d0163696_22455931.jpg
樹皮は激しくはがれていて、ネットで見るオオバヤシャブシの樹皮とはちょっと違う。
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地表に落ちた雄花を観て、オオバヤシャブシと判断した。
本来は海岸近くに生育するものだというが、どうだろうか。


さて。いよいよ頂上。
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頂上にある宝篋印塔が宝篋山の名前の由来だという。
(ただし、私は近くの町で生まれ育ったのだが、そのころは宝篋山ではなく小田山と呼んでいた。)

塔の説明書き。(↓)
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“すべての生類”を分け隔てなく扱うとは、すばらしい。


宝篋山頂から見た筑波山。
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かすんでよく見えないが、せっかくなので載せておこう。
宝篋山は筑波山の隣に位置する。


同じ道をたどって帰り着いた、ふもとの小田休憩所。
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とても感じの良い施設で、トイレは水洗、しかもウォシュレット完備。
山の管理をしておられるグループで運営しておられるのだろう。
手入れも行き届いて、気持ちよく利用できる。
何より手前に見えるオオイヌノフグリがGood。

なお、施設内には募金箱が置かれていて、私はここを訪れる都度、僅少ながらご報謝させていただいている。
ありがとうございました。

敷地内にはシデコブシがみごとな花をつけていた。
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コブシではなくシデコブシを植栽するとは、Goodなセンス。


別件ですが…

コブシを観に行った3月26日、自宅(集合住宅)にツバメの営巣を確認した。例年よりも1,2週間早い時期の飛来である。
その日は暖かい日だったが、それ以降は今日(4月3日)まで寒い日が続いている。
夜は寒いのだろう、夫婦そろって頭を巣に突っ込むようにして、尾羽だけを外へ突き出してじっとしている。
早く飛来したツバメは餌不足で生きられない可能性があるというが、今日までは何とか無事に過ごしている。
明日からは暖かくなるようなので、うまく繁殖できるように願っている。

2025年4月3日、報告:自然観察大学 事務局 大野透

………………………………………………………………

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by sizenkansatu | 2025-04-03 23:14 | 植物 | Comments(2)
Commented by miyabiflower at 2025-04-24 21:58
こんばんは。
いつもいろいろと教えてくださってありがとうございます。

きょう、記事を書くにあたりホオノキのことを調べていたら
sizenkansatuさんの過去記事「冬芽の展開6」に行きつきました。

里山で見上げた朴の木が、たくさんの鳥が羽ばたいているように見えて
緑と淡いピンクの羽に見えたのです。
ピンクは花びら?・・・のはずはないけれど・・と
いろいろ調べていたのですが
siznkansatuさんの記事でとてもよくわかりました。
記事にリンクを貼らせていただきましたのでご報告です。
よろしくお願いします。
Commented by sizenkansatu at 2025-04-24 22:38
> miyabiflowerさん
コメント&記事の紹介、ありがとうございます。
たった今、そちらの記事を拝見したところでした。

こちらはなかなか書くことができません。
がんばらねば…

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