シロダモの花を観る
雌花にも雄しべがあるが、これは退化していて花粉はない(仮雄しべ)。
ちなみに、雄しべのつけ根にある濃い黄色のこぶ状のものは腺体。
基本的には仮雄しべが6個あるのだそうだが、どうだろうか。
雌花には仮雄しべがあり、雄花には未発達な雌しべがあるということだ。
ここから想像するに、もともと両性花で雌雄同株だったシロダモが、雌雄異株へと進化してきたことがうかがえる。
私の観るところでは、少数ながら果実をつけるシロダモの雄株は普通に存在する。
シロダモに限らず、生物、とくに植物の雌雄については、例外はかなり多い。
雄しべの先端の膨らんだ部分に4個の葯室(葯を収納した部屋)があって、熟すと蓋を開いて葯を出す。
ちなみに、右の雄しべの下に観える白い毛玉が雌しべの柱頭だ。
右:雄しべが熟すと蓋が開いて反り返り、その裏側に花粉がある。
真ん中と右端は葯室の位置が違っている。
基本的には左端のパターンだが、かなりばらつきがあるようだ。
ややこしいクスノキ科の花
シロダモは雌雄異株。同じクスノキ科のクロモジやアブラチャンも雌雄異株。
クスノキ科でもクスノキやタブノキなどは両性花を持つ雌雄同株。ただし雌雄異熟なのだそうだ。
落ちない葉で知られるヤマコウバシもクスノキ科で雌雄異株だが、日本国内では雌株だけだという。ところが、雌株だけで果実ができて、その種子はちゃんと発芽するという。
クスノキ科の花はかなりややこしい。
クスノキ科の花については次に詳しくまとめられている。
●木のメモ帳/続・樹の散歩道/ クスノキ科の花はよくわからなーい!! ⇒
来年の花のシーズンには詳しく観察してみたいのだが、クスノキ科はどの花も小さいうえに樹上の高いところにあることが多くて観察しにくい。
そのうえ、植物の世界では観察の繁忙期にあたる。
まぁ、がんばりましょう。
2024年12月25日、報告:自然観察大学 事務局 大野透
by sizenkansatu
| 2024-12-25 20:21
| 植物
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