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自然観察大学ブログ

シロダモの花を観る

シロダモの花を今年はじめて観たのは11月16日。(今ごろすみません)
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写真は雌雄異株(しゆういしゅ)の雌株で、開花の時、前年に開花した果実が赤く熟す。
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2年分が同時に観られるということになる。

雌花序を観てみよう。
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もう少し寄ってみる。
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さらに寄って、雌花のつくりをよく観てみよう。
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白い毛の密生したところは雌しべの柱頭。
雌花にも雄しべがあるが、これは退化していて花粉はない(仮雄しべ)。
ちなみに、雄しべのつけ根にある濃い黄色のこぶ状のものは腺体。

別の雌花も観てみよう。
シロダモの花を観る_d0163696_20104461.jpg
雌花では当然ながら雌しべは発達しているが、雄しべは形を成さないほど退化しているものがあるようだ。
基本的には仮雄しべが6個あるのだそうだが、どうだろうか。


つぎは雄株。
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雄花序は花の数が多く華やかな感じで、遠目にも雌花序との違いがはっきりわかる。
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つんつんとび出ているのが雄しべ。
よく観ると、雄花にも雌しべがあり、あんがい立派な毛玉状の柱頭が確認できる。
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どの雄花にも未発達な雌しべがあった。

雌花には仮雄しべがあり、雄花には未発達な雌しべがあるということだ。
ここから想像するに、もともと両性花で雌雄同株だったシロダモが、雌雄異株へと進化してきたことがうかがえる。
私の観るところでは、少数ながら果実をつけるシロダモの雄株は普通に存在する。
シロダモに限らず、生物、とくに植物の雌雄については、例外はかなり多い。

話を元に戻して、注目したいのは雄花の雄しべ。
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左の雄しべは1個だけ葯の蓋が開いた状態で、右の雄しべは乳白色の蓋が閉じた状態。
雄しべの先端の膨らんだ部分に4個の葯室(葯を収納した部屋)があって、熟すと蓋を開いて葯を出す。
ちなみに、右の雄しべの下に観える白い毛玉が雌しべの柱頭だ。

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こちら(↑)は花が開きかけで、どの雄しべもまだ蓋を閉じている。

雄しべの動きをまとめてみよう。
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左:葯室ははじめ乳白色の蓋が閉じている。
右:雄しべが熟すと蓋が開いて反り返り、その裏側に花粉がある。

雄しべの葯のつき方(位置)のいろいろなパターンを並べてみよう。
シロダモの花を観る_d0163696_20120782.jpg
左端は両サイドの葯室と先端の葯室で計4個。全部の蓋が開いた状態。
真ん中と右端は葯室の位置が違っている。
基本的には左端のパターンだが、かなりばらつきがあるようだ。


ややこしいクスノキ科の花

シロダモは雌雄異株。同じクスノキ科のクロモジやアブラチャンも雌雄異株。
クスノキ科でもクスノキやタブノキなどは両性花を持つ雌雄同株。ただし雌雄異熟なのだそうだ。
落ちない葉で知られるヤマコウバシもクスノキ科で雌雄異株だが、日本国内では雌株だけだという。ところが、雌株だけで果実ができて、その種子はちゃんと発芽するという。
クスノキ科の花はかなりややこしい。

クスノキ科の花については次に詳しくまとめられている。
●木のメモ帳/続・樹の散歩道/ クスノキ科の花はよくわからなーい!! ⇒ 

来年の花のシーズンには詳しく観察してみたいのだが、クスノキ科はどの花も小さいうえに樹上の高いところにあることが多くて観察しにくい。
そのうえ、植物の世界では観察の繁忙期にあたる。
まぁ、がんばりましょう。

2024年12月25日、報告:自然観察大学 事務局 大野透




by sizenkansatu | 2024-12-25 20:21 | 植物 | Comments(0)

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