『樹木生活史図鑑』が発刊された
樹木生活史図鑑
2024年1月20日初版発行
監修:八田洋章
編集:高橋俊一
観察・調査:樹形研究会
発行:株式会社北隆館
B5判、645ページ、オールカラー
定価22,000円(本体20,000+税)
………………………………………………………………
樹木の生きざまを知ることのできる、画期的な観察図鑑
八田洋章先生と樹形研究会のみなさんによる『樹木生活史図鑑』が発刊された。
およそ340種の樹木が選定され、樹種ごとに冬芽とその展開、花から果実、シュートの伸びと樹形形成など、たいへんにていねいに紹介されている。
一種あたり1~3ページを使って、10~20点あるいはそれ以上の鮮明な写真と詳細な図によって解説されているのだ。
さらには“成長グラフ”として、開花(雄・雌)、新葉展開、落葉、落果など、年間の成長の軌跡が一目でわかるようになっている。
そのうえ“興味の焦点”として、種の特色や観察のポイントを示してあるのがありがたい。
紙面を見ることで、樹木の生きる姿がわかる、まさに画期的な観察図鑑と言えるだろう。
この本は、樹木の形態や生態を観察することで、その樹木の生きざまを知る図鑑である。
そしてそれは、自然観察大学のコンセプトである“形とくらし”を知ることでもある。
樹木観察の手引きとして、これ以上ない、ありがたい図鑑を手にすることができた。
実際の紙面を紹介させていただきたいのだが、著作権のことがあるので差し控えておく。
申し訳ないが、興味のある方は図書館などで手に取ってご覧いただきたい。(図書館にない場合はお願いして購入してもらいましょう)
本書を八田先生が講習会で紹介してくれている。次のレポートでご覧いただける。
●自然観察大学/室内講習会(第36回)/樹木観察の面白さ-『樹木博士入門』発刊記念- ⇒●同上/継続観察の重要性と面白さ-『樹木博士入門』利用のすすめ:八田洋章(PDFへ直通) ⇒
まだ制作途中の原稿段階のものだが、内容はわかっていただけると思う。
本書の作成に携わった方々へ
本書のまえがきを拝見すると、観察・調査・執筆は八田先生をはじめとする樹形研究会のメンバー(約40人)で、30年以上を費やしたという。準備(観察眼を養う)に10年、観察に10年、まとめに10年を要したということだ。おそるべき労力である。
まとめられた膨大な情報はどれも緻密な観察によってのみ得ることができるものであり、それは長期間のていねいな観察を続けたからこそのものなのだ。
作成にかかわったみなさんに最大の敬意を表したい。
前述の講習会では、八田先生ご自身が本書の完成予告をしてくれていた。じつは2020年の時点で完成目前までこぎつけておられたということだ。
ところがその直後、立て続けに不測の事態が発生する。
一つは新型コロナウイルス禍である。スタッフ間の最終すり合わせができないと、八田先生がこぼしておられた。
進行が滞っているところに、こんどは八田先生ご自身が身体を悪くされた。さぞかしもどかしい思いでおられたことと推察する。
そのような状況下であっても、なんとか本書が完成できたことは、とても喜ばしいことである。心からお祝い申し上げる。
樹木生活史図鑑の活用で、観察がいっそうたのしくなるだろう。そう考えると、ちょっと興奮してきた。
2024年2月1日、報告:自然観察大学 事務局 大野透
by sizenkansatu
| 2024-02-01 11:09
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