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自然観察大学ブログ

タンキリマメの観察

タンキリマメは秋から冬にかけて果実が目立つ。
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めいっぱい口をあけたような莢のふちに光沢のある黒い種子をつけている。
名前は痰切豆だそうだが、痰を切る効能はなく、その目的で使用された過去もないという。謎の命名である。
この夏からタンキリマメを観察してきたので、その経過をご報告したい。


葉とつる

7月初めのタンキリマメ。
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つる植物で、フェンスにからみながら伸びていた。
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3出複葉で、小葉の先の方が幅広、ややしも下ぶくれになる。
(よく似たトキリマメは小葉のもとの方がふくらんで先の方は細長くとがる)

一見するとクズにも似ているが、葉の大きさがまったく違う。
タンキリマメとクズが並んでいるところがあった。
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大きい葉はクズで、小さいほうがタンキリマメ。
こうして並べると、全体の形は似ているが、大きさは圧倒的に違っている。


花から果実

マメ科らしい蝶形花。
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つるを伸ばしながら次々に花序をつける。
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観察を始めた7月初めにはすでに花をつけていた。
よく観ると、花序のもとの方には緑色の若い果実がある。
ネットで調べると花期は7~9月と記されていたが、もっと早い時期に花が咲き出したと思われる。

8月初めには、早いものは赤く色づいて莢を開き始めていた。
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2つの種子が顔をのぞかせている。
それぞれは太いへその緒(珠柄)で莢にくっついている。

10月初めのタンキリマメ。
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果実を稔らせながらも、次々に新しい花をつけている。
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つる植物はおおむねそのようにだらだらと長期間にわたって成長をすると思うが、タンキリマメはとくに顕著なのではないだろうか。

12月初めのタンキリマメの果実。
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大口を開けて、持って行け、とばかりに種子を差し出している。
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しかし、この種子はしっかりとついていて簡単に落ちることはない。
鳥に喰われるところも観たことがない。
種子を散布しようという気持ちはないのだろうか。


花の咲く期間

花がいつまで咲き続けるのか、気になって観察していた。
11月はもちろん12月になっても咲き続け、全体が冬枯れしてきた12月26日…
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まだ咲いている。
この花が生殖器官として機能しているかどうかはあやしいものだが、見た目では明らかに開花である。
この冬は暖かい日が続くとはいえ、これには驚いた。
タンキリマメの分布は関東以西であり、暖地性の傾向にあると思うが、寒さにも強いのかもしれない。


おまけ① タンキリマメは草か木か?

タンキリマメはつる性多年草とされるが、はたして本当にそうだろうか。
写真(↓)は7月初めのものである。
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空の莢がついているので、これは前年の茎ということになる。
ところが、空の莢の向こうに新しい葉が出ているではないか。(ピントが浅くてすみません)
前年の茎から新しい葉が出るということは木本であろう。
このような例は、つる植物のクズや帰化植物のアレチハナガサ、ナガエコミカンソウなどでも観察できる。

12月末にタンキリマメの腋芽を観た。
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腋芽の多くはこの時期でも開きかけで、チャンスがあれば伸び出そうとしている。
写真のような冬芽がこのあと枯れてしまうのか、春を待って伸び出すのか、今後の観察の課題である。


おまけ② タンキリマメを吸うホソヘリカメムシ

タンキリマメで観たカメムシは何種かあるが、代表的なのはホソヘリカメムシだろう。
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比較的大型のカメムシで、飛ぶときに“ぶ~ん”と蜂のような翅音を出す。
タンキリマメでは幼虫(↓)も観察できる。
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幼虫は蟻に似ているが、若い幼虫はほどんど蟻と区別できないほどだ。

ホソヘリカメムシは、成虫は蜂に擬態し、幼虫は蟻に擬態する。うまいこと立ちまわっているカメムシである。
さらには痰切豆を吸って口針の通りを良くしようというのだろうか。カメムシの口針には痰を切る効能があるのか?

いつもめんどくさい話にお付き合いいただき、ありがとうございます。
2024年もよろしくお願いいたします。
みなさま 好いお年をお迎えください。

2023年12月29日、報告:自然観察大学 事務局 大野透




by sizenkansatu | 2023-12-29 15:44 | 植物と虫 | Comments(2)
Commented by pallet-sorairo at 2023-12-29 20:58
タンキリマメの観察記録、
めんどくさい話なんかではありません。
私はその後、散歩道にも出かけていないので
こうして見せていただいて嬉しいです。
ありがとうございました。
良いお年を!
Commented by sizenkansatu at 2024-01-02 22:31
> pallet-sorairoさん
コメントありがとうございます。
そのように言っていただけると励みになります。

ネットの通じないところへ行っていて対応が遅くなりました。
申し訳ありませんでした。

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