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自然観察大学ブログ

ニガカシュウの再発見

2023年の8月末から、自然観察大学事務局の大野さんが市川市国府台の江戸川べりでニガカシュウとおぼしきヤマノイモ科のつる草を観察している。
その間、岩瀬もともに現地を観察し、ニガカシュウと判断した。

そこは江戸川沿いの旧坂川河口近くにできた林の縁にあたり、林外の開けたところにはカナムグラ、アレチウリ、クズなどのつる草が密生している。
ニガカシュウの再発見_d0163696_18335072.jpg
ニガカシュウはヤマノイモに似るが、葉が大きく幅が広く、葉柄の葉身の近くと基部付近にびらびらした翼があるので区別できる。
ニガカシュウの再発見_d0163696_18340364.jpg
樹木などに巻きついて登り、ここではとくに野生化したアオギリの幹に巻きつくつるが目立った。ほかにエノキ、ムクノキ、オニグルミなどにも巻きつくようだが、つるが密生する状態にはならない。


ニガカシュウの千葉県での記録

ニガカシュウの生育環境が限られるせいか、千葉県内の分布記録は少ない。市川市史の植物目録を見ると1箇所だけプロットされているが、そこは今回われわれが観察した場所と一致すると考えられる(千葉県メッシュ番号2402)。
ただこのあたり一帯は1990年代に大規模な堤防改修工事が行なわれ、河川敷の植生にも大きな影響があったが、今回観察の対象となった樹林は人手を受けつつもそれ以前から成立していたといわれる(市川自然博物館の金子健一氏による)。したがってニガカシュウも以前から生育していたと考えられる。因みに近年作られた船橋、八千代、佐倉などの植物目録にもニガカシュウの記載は無い。
長年市川の植物調査に当たられた故大野景徳氏も、ここで観察され目録に記載されたと推測されるが、市川自然博物館にも標本がなかったため今回一部を収蔵する予定である。

ニガカシュウの繁殖

ニガカシュウは雌雄異株で雌株は滅多に見られないと多くの資料には書かれている。花の写真も少ない。
繁殖は地下の塊茎かつるにできるむかご(珠芽)によるとされる。
ニガカシュウの再発見_d0163696_18341439.jpg
それらが水によって移動し繁殖に関わっていることが十分に推測できる。

ニガカシュウの再発見_d0163696_18342623.jpg
今回は運良くつるから垂れる花序を観察できたが、花は雌花と判断した。
ニガカシュウの再発見_d0163696_18343583.jpg
花被片は6個、雌しべは1個で柱頭は3個であるが、葯が退化しかかった雄しべも6個ある。つまり両性花から雌花になったものと思われる。ここのニガカシュウは雌株といえるが、種子は期待できないであろう。

なお、事務局の大野さんがニガカシュウの観察記録を記しているので、詳しくはそちらをご覧いただきたい。

2023年10月25日、報告:自然観察大学 名誉学長 岩瀬徹、写真:事務局 大野透




by sizenkansatu | 2023-10-25 18:40 | 植物 | Comments(4)
Commented by miyabiflower at 2023-10-26 08:23
ニガカシュウの花、
かわいくてこのままネックレスにしたいくらいですね。
去年ムカゴをプランターに埋めて、
出て来た葉がいったいなんなのかわからなかったのですが
九月になってちょっと粒粒がついたようなムカゴができました。ヤマノイモではなさそうで いったいなんでしょう??と思っていたのですが、
こちらで葉を見て確認できました。ニガカシュウのようです。
散歩道のどこかで採ったもので、
以前にもこのしっかりしたハートの葉を
生けたことがありました。
とてもきれいな葉ですよね。
観察記録、楽しみにしています。
ハートの葉、こちらの記事です。ニガカシュウですよね。
https://miyabihana.exblog.jp/33269576/
Commented by sizenkansatu at 2023-10-26 14:47
> miyabiflowerさん
コメントありがとうございます。
指定の記事を拝見しましたが、よくわかりません。
ニガカシュウのような気もしますが、感じが違うようにも思えます。
葉柄のびらびらした翼があればニガカシュウでよいと思いますが、このびらびらは個体差があります。
次回の記事に載せる予定ですが、葉柄の葉身がわと基部がわ(茎の近く)の両方にびらびらがあるので、確認してみてください。
Commented by miyabiflower at 2023-10-26 22:49
こんばんは。
ありがとうございます。
葉柄の葉身の近くと基部近くを見てみましたが、
両方にあるものは少なく、
どちらかだけに翼があるものが多かったです。
葉の形も少し細長くなったものもあり、
ニガカシュウなのかどうか、またしてもわからなくなりました。
sizenkansatuさんの記事を楽しみにお待ちしますね。
そっくりの葉をどこかで見かけたら、びらびらした翼を確認してみます。
Commented by sizenkansatu at 2023-10-27 22:03
> miyabiflowerさん
どちらかにびらびらの翼がある(おそらく葉身がわと思います)なら、ニガカシュウでよいと思います。
私の見たところでは、びらびらがほとんどないニガカシュウもありました。
なかなか記事にできなくてすみません。
明日は何とかできると思います。

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