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自然観察大学ブログ

アレチヌスビトハギの緻密な作戦?

<文末にお詫びと訂正、検証結果を追記しました>(2023.10.25)

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アレチヌスビトハギはなかなか美しい花なのだが、果実(豆莢)のひっつく力はかなりのもの。
アレチヌスビトハギの緻密な作戦?_d0163696_19433828.jpg
莢の表面に細かなかぎ爪がびっしりとあって、これが衣服にひっつく。
かぎ爪は小さいが強力で、しかもこの莢は部屋ごとばらばらになるので、除去するのは一苦労である。

先日、洗濯物を干すときに、アレチヌスビトハギの果実でちょっとした騒ぎがあった。
我が家では衣服を洗うときには洗濯ネットに入れるのだが、そのネットの中に大量のアレチヌスビトハギの果実がひっついていたのである。
どうやら、江戸川べりのどこかで、知らぬ間に大量の果実をズボンにひっつけて持ち帰ってしまったようだ。
批難ごうごう、家人からのお叱りには、ひたすら耐えるばかりであった。
洗濯ネットの写真も撮っておきたかったが、それどころではなかった。

我が家では服を裏返して洗濯する。汚い面を外にしておくときれいになりやすい、というのがその理由である。家人によると外界よりも私の身体の方がよほど汚いのだとか…
私のズボンも裏返しで洗濯ネットに入れていたので、アレチヌスビトハギの果実に気づかなかったというしだいである。

話はまだ続きがある。
家人は、干すときにも裏返しのままである。その方が早く乾き、服が日焼けしないのだとか…

ズボンが乾いて、たたんで片付けるときになって、また怒声が響いた。
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表に返すと、そこには例の果実がびっしりついていたのである。
叱られながら剥がすが、じつにしぶとい。
ズボンはワークマンの汚れのつかないすぐれもので、センダングサやイノコズチなどはさっと払うだけで落ちてしまう。しかし、アレチヌスビトハギはそのようにはいかず、一つずつていねいに毟り取らなければならない。
ひっつく力の秘密はこれ。(↓)
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小さくて強靭なかぎ爪は、莢の縁だけでなく面の部分にもびっしりついている。
このかぎ爪がしっかりと生地を掴まえているのだ。

果実を剥がしながら気づいたことがある。
アレチヌスビトハギの緻密な作戦?_d0163696_19435893.jpg
莢ごと張り付いていると思っていたのだが、そうではない。
ひっついたほうの片面を残して、反対面の莢と中の種子は消失しているではないか。
アレチヌスビトハギの緻密な作戦?_d0163696_19440560.jpg
こちら(↑)の中央左側の莢はそのまま残っているが、右のものは片面だけが残る。
全体を見ると、ほとんどが片面だけを残すのみであった。

おそらく洗濯のときに片側がはがれて種子を出していたのだろう。
莢の片側がはがれて洗濯ネットに張り付き、莢の片面がズボンに残っていた、ということと考えられる。

ひっついて移動した先で、濡れると莢の片側だけがはがれて種子をこぼすという仕掛けなのだろうか。
だとすると、これはうまい仕組みである。
付着力が強すぎると、移動先で種子を落とせないという事態も考えられる。
移動先で濡れたときに莢が割れて種子をこぼすのであれば、これほどうまい作戦はないではないか。
“おそるべき緻密な作戦”と言えるだろう。

これはぜひ、実証してみたくなった。
少量の莢を持ち帰って、ペーパータオルに付着させようとしたが上手くいかない。布地でなければひっつかないのだろうか。
家人には内緒で布地で実行するチャンスをうかがっていたら、江戸川べりのアレチヌスビトハギの姿が見られなくなってしまった。残念。来シーズンまで待たねばならない。

アレチヌスビトハギはいろいろと面白い性質を持っている。
これまでに何度か記事にしているので、よろしければ下記の「アレチヌスビトハギ」のタグからご覧ください。

2023年10月19日、報告:自然観察大学 事務局 大野透


<10/25 追記> お詫びと訂正
上記の仮説は誤りだったようです。お詫びして訂正します。

昨日(10/24)、高尾でアレチヌスビトハギの果実を手に入れた。
仮説を検証した結果をご報告したい。

採集した果実を同じズボンに貼り付けた。
アレチヌスビトハギの緻密な作戦?_d0163696_13460021.jpg
褐色に熟した果実と、緑色の若い果実をしっかりとからませた。
熟した果実は移動中にばらばらになっているが、あいかわらずすごい接着力だ。

今朝になって、前回同様に洗濯機へ。
洗濯の終了を待つことおよそ一時間。
さて、結果はどうなったか…
アレチヌスビトハギの緻密な作戦?_d0163696_13461482.jpg
莢は一つも裂けることなく、両側が合わさったままだった。
アレチヌスビトハギの緻密な作戦?_d0163696_13462545.jpg
洗濯前の、そのままの姿ではないか!!

驚かされたあの緻密な作戦は、いったい何だったのか?
前回の結果は、まったくの偶然だったということか?

いま、干して乾きつつあるズボンには、アレチヌスビトハギの果実が、貼り付けたときのままの形で残っている。指でつまんだくらいでは、莢が裂けるようすはない。

理由はわからないが、いずれにしても私の仮説はまったくの誤りであった。
がっかり。

お騒がせして申し訳ありませんでした。
お詫びして訂正します。




by sizenkansatu | 2023-10-19 19:54 | 植物 | Comments(6)
Commented at 2023-10-20 11:27
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by sizenkansatu at 2023-10-20 22:02
>鍵コメントさん
ありがとうございます。

植物っておもしろいですよね。
動物と違って動かないので地味な面もありますが、
じっくり観察できるところがいいですね。

アレチヌスビトハギの名前は在来のヌスビトハギ(盗人萩)からきていて、
果実(莢)の形を盗人の足跡に見立てたという説(牧野富太郎博士による)があるようですが、いま一つ納得できません。
ウィキペディアには別の説も記してあります。
Commented by a-kazenifukarete at 2023-10-21 07:05
ごめんなさい
間違えて鍵コメにしてしまいました。
在来のヌスビトハギもどんなのか調べてみたいと思っています。ありがとうm(_ _)m
Commented by popo119-32 at 2023-10-21 08:25
おはよ~ございま~す!!(^^)!
この度はフクロモクゲンジの花の件でご連絡を頂き有難うございました(^^♪
嬉しかったです。
私の書き間違いでした( ..)φメモメモ
早速訂正したしました。
珍しいので何度も見に行きましたが…
大きな木ですのに誰も見ていません…
コスモスが目当てだからかしらね
(=^・^=)
教えて頂き本当に有難うございました
Commented by sizenkansatu at 2023-10-21 10:47
> a-kazenifukareteさん
追伸をいただき、ありがとうございます。
アレチヌスビトハギとヌスビトハギの記事もご覧いただいたようで、ありがとうございました。
名前の由来って、おもしろいですが難しいですね。
命名した人でないと本当の由来はわからないので、あれこれと想像するほかはありません。そこ内いのですかね。

私の近くの江戸川べりでは、このところアレチヌスビトハギがぐっと減って、ヌスビトハギが多くなっています。
Commented by sizenkansatu at 2023-10-21 10:51
> popo119-32さん
コメントありがとうございます。
オオモクゲンジ(フクロミモクゲンジ)は先日別のところで私も観たところでした。
不思議な果実ですね。
単にモクゲンジという別種もあって、中のたね(本当はこれが果実)がオオモクゲンジよりも大きくて、これをつなげて数珠にするそうです。ムクロジと同じです。

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