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自然観察大学ブログ

ヘクソカズラの不思議な花

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ヘクソカズラの花。
筒状の部分はビロードのようにきらきら輝いて、中心部分は渋い紅色。
観るだけならなかなか美しい。
屁糞蔓とはちょっとかわいそうな名前だが、由来はその悪臭。
別名では早乙女蔓(サオトメカズラ)、灸花(ヤイトバナ)というのがあるが、いまいちピンとこない。
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ヘクソカズラは、ほかのものに巻きつきながら伸びる。
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6月半ばころから咲き初めるが、伸びながら次々に花をつけるので9月になっても花の盛りが続く。

花を拡大して観てみよう。
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横から観ると、ビロード状だったのは粒状のものがびっしりついているのであった。
この粒々はつぼみのときから目立つ。(↓)
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腺毛のように見えるが、分泌物でべたべたすることはない。
粒々はどんな由来で何のためにあるのか、不思議だ。

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筒状の花弁は先の方が5裂して開き、そこから長い糸状の雌しべが顔を出している。
花弁の内側は濃い紅色で、ここに透明な毛がびっしり。
花筒の中に入るのを拒むような毛だが、はたして何のためなのだろうか。
毛の先端は球状になっているが、分泌物はないようだ。

花弁の一部を切りとってみる。(↓)
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花弁の内側は入り口と同様に全面が濃紅色で、長い毛がびっしりと並んでいる。
この毛も先端が球状だが、べたべたするような分泌物はない。

子房から長い雌しべが花の外まで延々と伸びる。
写真では見えないが、子房の表面には蜜が潤沢に湧き出していた。
蜜を舐めてみたかったのだが、ほのかな屁糞の臭いに怖気づいてしまった。

雌しべの先よりも少し内側(写真の左)に見えるのが雄しべの葯だ。
雄しべはなぜ短いのだろう。自家受粉を避けるためなのだろうか。

つくづく不思議なのは、花弁の内側の毛である。
蜜を求めてやってくる昆虫には大きな障害になるだろう。
びっしり生えた毛をすり抜けられる、ごく小さな昆虫(例えば小さなアリやアザミウマなど)だけを花粉媒介者と設定しているのだろうか。だとするとそれはかなり効率が悪いと思われる。
ごく小さな昆虫は花から花へ移動して受粉に貢献するとは考えられないし、花に小さな昆虫が集まるところを観た記憶がない。
ご存じの方、お心当たりのある方は、ぜひ教えていただきたい。

話はそれるが、ずいぶん前にクマバチの盗蜜を観察した。

● 江戸川べりの観察-2 ヘクソカズラの謎の傷  

今年はクマバチの盗蜜を観ていないが、ヘクソカズラは盗まれやすい花の形だ。


さて、花弁と雄しべは外れやすく、雌しべだけを残して落下する。(↓)
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写真でがくの左にあるのが子房。
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それがふくらんで果実になる。
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こうしてみると、受粉の確率はなかなか良いように思える。


最後にヘクソカズラを好んで食べる昆虫の話。
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これからの季節は、上の写真のようにかすり状に白くなったヘクソカズラの葉が目立つ。
これはヘクソカズラグンバイが吸汁した痕だ。
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グンバイムシはカメムシの仲間で、葉に口針を刺して吸収する。

小さいが派手な姿形で、Y崎先生は“グンバイムシ界の小林幸子”と呼んでいる。
よろしければ詳しい記録は次をご覧いただきたい。

● ヘクソカズラグンバイ その1 -続・グンバイムシを拡大して観よう-   

ヘクソカズラグンバイは比較的新しい外来種で、1996年に大阪で確認された。
ヘクソカズラ自体は日本や東アジアに分布していて、ヘクソカズラグンバイもアジアの南部に分布するという。
それが20世紀末まで日本にいなかったのは何故なのだろう。
悪臭が嫌われて交流する機会がなかったのか?

もう一つの不思議は、臭い葉を吸汁するヘクソカズラグンバイが何もにおわなかったこと。
これについては今年もう一度チャレンジしてみたい。

2023年9月4日、報告:自然観察大学 事務局 大野透




by sizenkansatu | 2023-09-04 20:08 | 植物と虫 | Comments(9)
Commented by wabisuke-miyake at 2023-09-04 22:38
ヘクソカズラ
そんなに臭いかなぁ
っていつも思います
子供のころから
花には馴染みがあり
花をとっては
唾つけて鼻の頭や
腕にくっつけて遊んでました
その頃は灸花と呼んでたと思います
屁糞葛だったら
そんな遊びしなかったかも~(*^^*)

お花拡大すると
こんなになってるんですね
面白いです
ありがとうございました~(*^^*)
うちの庭のヘクソカズラは
ホシホウジャクのはらぺこさんに
食べられてよく丸裸になってます(*^^*)
Commented at 2023-09-05 06:38
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by nyanko3773 at 2023-09-05 07:22
おはようございます(*^-^*)

ヘクソカズラは毎日見かけていますが
花に近づいてじっくり見たことはなかったので
こんなふうになっているのはビックリです(*_*)
そして小林幸子に爆笑(笑)
お散歩がまた楽しくなりそうです(⌒∇⌒)

Commented by sizenkansatu at 2023-09-05 15:49
> wabisuke-miyakeさん
コメントありがとうございます。
おっしゃるとおり、名前ほど臭いわけではないですよね。
ちょっとかわいそうかも…

ホシホウジャクは臭いのでしょうか?
気になります。
Commented by sizenkansatu at 2023-09-05 15:53
> nyanko3773さん
コメントありがとうございます。
おたがいに身近で見のがしていることが多いかもしれませんね。
それがあるのでおもしろいのでしょう。
今後ともよろしくお願いします。
Commented by miyabiflower at 2023-09-06 23:21
あちらこちらでこの小さい花を見かけますね。
花はちょっときらきらしているように見えたことがありましたが
このようになっていたのですね。
内側にもこんなに長い毛があるとは思ってもみなかったので、
拡大写真、ありがとうございます。
今度見かけたら、真正面からのぞきこみたくなると思います。
緑色の実をリースにするのが毎年楽しみで、
飾っておくとだんだん茶色っぽくなります。
葉っぱを揉むようなことがなければそんなに臭いも気になりません。
まだまだ実よりも花が多いので、
今度見かけたらじぃーっと見てみますね。
Commented by sizenkansatu at 2023-09-07 09:27
> miyabiflowerさん
コメントありがとうございます。
身近な生物でも、観察するたびに新しい発見がありますね。
でも、そうするとまた新たな疑問が湧いてきてしまうのですが…
これからも観察をたのしみましょう。
Commented by a-kazenifukarete at 2023-09-09 07:35
おはようございます
私の家のミニトマトの支柱にヘクソカズラが絡みついているので支柱を取ることが出来ずにいます
あんな小さな花がこんなにも不思議な花だとはそして葉も。
ビックリなことが一杯!ありがとうございます
又、グンバイムシ=写真の撮り方か?実際がこうなのか?良く分かりませんが
とっても虫には見えません
まるでブローチのようにも見えるし透明感がなんとも不思議です
色々見せて頂き教えて頂きありがとうごいました。歩布里
Commented by sizenkansatu at 2023-09-09 16:36
> a-kazenifukareteさん(歩保里さん)
コメントありがとうございます。
ヘクソカズラの花、不思議ですよね。
どうしてこんな姿なんでしょうね。

ヘクソカズラグンバイは写真のままです。
小さいので肉眼ではわかりにくいですが、グンバイムシの仲間はみんなステンドグラスのようです。ヘクソカズラグンバイはその中でも一番派手な小林幸子ということです。
ぜひルーペで拡大して見てください。

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