ナワシロイチゴの花から果実
この花から果実への動きがおもしろいので、改めてまとめてみた。
(これを“開花”といってよいのだろうか…)
この時点で雄しべから花粉が出ている。
雌しべ ⇒ 雄しべ は時間差で熟し(雌雄異熟)、自家受粉を避けている。
花弁が落ちたところを確認したわけではないが、おそらく一度も開くことなくそのまま落ちたのだと思う。
花弁は昆虫など動物を引き寄せるためのものとされるが、ナワシロイチゴでは全く役に立っていない。
ところで、ここまでの過程は一つの花を追いかけて観察したものではない。
逆に④、③、②、①とたどることで開花から終了までの動きがわかる。
なお、③と②は雌しべと雄しべの伸び具合とがく片の開き方が少し違っていて、③のほうがやや若い花と思われる。
花の動きでもう一つ注目すべきは、いったん開いたがく片が再び閉じることだ。
上の②でがく片が全開し、①になると閉じはじめている。
がく片は、果実が成熟するまでの、とげをちりばめた盾のようである。
花から果実へと、ナワシロイチゴは緻密な動きと巧妙な仕組みがある。
このような果実のない果実や、粒のそろわないまばらな果実をよく見かける。
システムに凝りすぎて、うまく作動させることができなくなってしまったのかもしれない。
(デジタル機器を使いこなせない私と、状況が似ているかも…)
話はそれるが、
- キイチゴでは軟らかくて甘い粒々が果実で、花托は硬い(キイチゴ状果)
- イチゴでは膨らんだ美味しい部分が花托で、歯に挟まってじゃまな粒々が果実(イチゴ状果)
ということになる。
イチゴだったら花托だけでも美味しくいただけるのだが…
ナワシロイチゴは茎を伸ばしながら次々に花をつけ、花期は長期にわたる。しかも一つの花序で順番に花から果実へと成長するので、観察しやすい。とはいえ、さすがに今この時期ではもう終わってしまったかも…
まいど遅い報告で申し訳ありません。
2023年7月17日、報告:自然観察大学 事務局O
by sizenkansatu
| 2023-07-17 19:45
| 植物
|
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