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自然観察大学ブログ

ヒノキとサワラを見分ける その1

ヒノキとサワラの気孔帯

ヒノキとサワラで広く一般に言われるのは、裏面の気孔帯(気孔腺)の形で見分けるというものだ。
ヒノキとサワラを見分ける その1_d0163696_21595068.jpg
ヒノキはY字(右)、サワラ(左)はH字とかX字とか言われる。

まずはヒノキを拡大して観てみよう。
ヒノキとサワラを見分ける その1_d0163696_21595800.jpg
白い気孔帯はY字形。
枝分かれする部分ではΨ(ギリシャ文字のプサイ)字形になるが、基本的には安定したY字形だ。


こちらはサワラ。(↓)
ヒノキとサワラを見分ける その1_d0163696_22000631.jpg
気孔帯の形はX字あるいはH字形などと言われる。
上の写真のサワラではたしかにHまたはXのように見える。
しかしサワラの気孔帯にはいろいろな形があって、そう簡単ではない。
ヒノキとサワラを見分ける その1_d0163696_22001385.jpg
↑ これもサワラだが、気孔帯はかなり広い。Wのように見える。

ここまでのところ、ヒノキが葉と葉のすき間に気孔帯があって、サワラでは葉面に気孔帯があるように見えるが、そうとも言えない。

↓ こちらは元のほう(画面左)はサワラらしい気孔帯だが…
ヒノキとサワラを見分ける その1_d0163696_22002467.jpg
枝先のほう(画面右)は葉と葉のすき間に気孔帯があって、ヒノキのようにY字的になっている。

…というわけで、Y字、H字・X字という見分け方は、はずれとは言わないが決定的ではないようだ。
気孔帯だけで見分けようとするとなかなか悩ましい。


【重要なので念のため…】

前回の記事で、ヒノキやサワラなどのヒノキ科の植物では、鱗のような一片ずつが葉(=鱗状葉)であることを書いた。(
このことをおさえておかないと、今回の記事は“なんのこっちゃ?”ということになりかねない。


葉の形で見分ける

葉の形と大きさで見分けられることも知られている。

もう一度ヒノキの葉を観てみよう。
ヒノキとサワラを見分ける その1_d0163696_22003140.jpg
1個ずつの葉の形を観ると、先端は丸味がある。
また、葉には長短(大小)の2タイプがあることがわかる。
別の見方をすると、平たい葉と表裏に回り込む葉の二つのタイプだ。
この2タイプが1対ずつ対生し、交互に繰り返し折り重なっている。

サワラの葉については、一つ前の写真を見ていただきたい。
サワラの葉は先端が尖っていて、ヒノキとははっきり違う。
2タイプの葉があるのは同じだが、大きさの違いはヒノキほどはっきりしない。


それではここで復習問題。

↓ ヒノキとサワラ。どっちがどっち?
ヒノキとサワラを見分ける その1_d0163696_22004232.jpg
どちらも表面で気孔帯は無いが、こうして並べると違いがはっきりする。

答えは左がヒノキで右がサワラ。
ヒノキのほうが葉の先端が丸く、サワラのほうは鋭く尖っている。
さらに、ヒノキでは交互に並ぶ2タイプの葉の大きさの違いが著しいが、
サワラのほうはヒノキほどはっきりした違いはない。

見分け方 その2 では思い切って裏技を紹介しよう。

2022年4月26日、報告:自然観察大学 事務局O




by sizenkansatu | 2022-04-26 22:08 | 植物 | Comments(0)

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