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自然観察大学ブログ

キマダラカメムシが勢力図を塗り替えるか?

8月はじめに観たキマダラカメムシの幼虫。
キマダラカメムシが勢力図を塗り替えるか?_d0163696_19564347.jpg
ちょっと異国風で、なかなか洒落た紋様だ。
卵の抜け殻と比べた大きさから、おそらく2齢と思われる。
⇒ 訂正:1齢幼虫のようです。卵に比べて大きいですが…

卵殻に黒い嘴状のものがある。上の写真の2列目の左側の2個で顔を出している。
(画像はクリックで拡大可)
これは卵殻破砕器と言って、孵化するときに殻を破るためのものだという。
非常に興味深いが、これはいずれ詳しく観察することにして今回は分布拡大の話だ。

私がはじめてこのカメムシを見たのは2014年、広島県の福山城公園だった。
キマダラカメムシが勢力図を塗り替えるか?_d0163696_19565183.jpg
ソメイヨシノの樹幹を多数の幼虫(↑)・成虫(↓)が入り乱れて這いまわっていたのである。(写真はそのときのもの)
キマダラカメムシが勢力図を塗り替えるか?_d0163696_19570167.jpg
クサギカメムシにやや似ているが、二まわりくらい大きくて、なかなか堂々としている。
このときは福山城を見に行ったのだが、それどころではない。
初めて目にするキマダラカメムシに夢中になってしまったのであった。


キマダラカメムシは江戸時代に長崎に入ったとされる。(南蛮渡来!)
「日本原色カメムシ図鑑」によると第1巻(1993年発刊)では、九州・沖縄本島・石垣島に分布と記されている。
長崎に侵入して以来、数百年かかって九州に縄張りを広げたわけである。
ところが「日本原色カメムシ図鑑」第3巻(2012年)では、2008年に東京などで発見され温暖化とともに拡大するであろう、と記されている。(15年前の情報をきちんと補完するていねいな図鑑である。)

つまり、九州制覇に数百年を要したキマダラカメムシだが、この数十年間であっという間に関東まで進攻してきたということだ。温暖化とか物流の発達などの要因によるのだろうが、これはすごい。

ここ数年、千葉、東京、埼玉あたりではキマダラカメムシを頻繁に目にする。もしかすると最優先種なのではないかと思うほどである。
キマダラカメムシが勢力図を塗り替えるか?_d0163696_19570919.jpg
↑ この写真は昨年(2020年)に水元公園で撮ったキマダラカメムシ。
この先、地上のカメムシ分布図はどう変わってしまうのだろうか…


以下、お時間のある時にご覧いただきたい。

分布拡大について
● 話のタネのテーブル No.225/キマダラカメムシのことなど(安永智秀)  

卵殻破砕器について
● ムシをデザインしたのはダレ?/カメムシ卵 そのメカニズム  


2021年8月27日、報告:自然観察大学 事務局O




by sizenkansatu | 2021-08-27 20:02 | 昆虫など | Comments(5)
Commented by miyabiflower at 2021-08-28 12:32
きれいな模様ですね。
こういう模様を見ると、個体が皆同じ模様になることが
とても不思議で仕方ありません。
この模様と同じものを10個描きなさい、と言われても
全部同じにはなかなかできないです。
白いのは卵の抜け殻なのですか、
プラスチック容器に見えましたが、そんなはずはない・・・と。
これが2齢ということはだんだん模様が変わってしまうのですね。
成虫はカラフルな色がないのですね。
カラフルだと目立ち過ぎるからなのでしょうか・・・。
里山に行ったら、虫にも気をつけて見てみましょう。
Commented by sizenkansatu at 2021-08-28 22:15
> miyabiflowerさん

コメントありがとうございます。
幼虫、きれいですよね。
一般にカメムシ類の幼虫はきれいな色・紋様である種が多いですが、どうしてですかね。
しかも脱皮の直後は派手な朱色になったりして。

スズメバチやテントウムシなどの危険な虫や嫌われ者の虫は目立つことで襲われないようにしていると言われていますが、カメムシもくさいので嫌われているのですかね。

Commented by twoguitar at 2025-10-06 12:14
はじめまして。神奈川県相模原市在住のtwoguitarと申します。最近、キマダラカメムシがベランダにたくさん飛んできて興味を持ち調べました。6月頃に発生と思っていたので、8月のはじめに卵から孵化した1齢幼虫を観察されたのは興味深いですね。よろしければ撮影場所と月日を教えていただけませんか?
Commented by twoguitar at 2025-10-06 14:31
twoguitarです。もうひとつ教えてください。この1齢幼虫は、何の葉裏で観察されましたか?
Commented by sizenkansatu at 2025-10-06 16:05
> twoguitarさん
コメントありがとうございます。
キマダラカメムシの孵化幼虫は、2021年8月2日、ムクゲの葉の裏で見ました。
場所は千葉県市川市です。

2024年6月12日にも、エノキの葉でキマダラカメムシの孵化幼虫を見ました。
少なくとも年に2回は産卵するようです。

私のまわりでは、キマダラカメムシはすっかり最優先種です。

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