人気ブログランキング |

自然観察大学ブログ

『新訂 校庭の雑草』ができた!

『新訂 校庭の雑草』ができた!_d0163696_19084537.jpg
『新訂 校庭の雑草』が発行された。
この本は学校教育で自然・植物の代表として身近な雑草の観察を実践してもらおうと、小・中・高の教員の方々に向けてつくられた本である。
著者は自然観察大学でご指導いただいている岩瀬徹先生、川名興先生、飯島和子先生のお三方だ。

本書は “形とくらし” をコンセプトにした観察のための図鑑であり、それは初版の『校庭の雑草』以来変わることなく続いている。
おかげさまで学校関係を中心に広く評価され、「校庭シリーズ」として樹木や鳥、昆虫、クモ・アブラムシなど多くの姉妹編を生み出した。そしてさらには学校を離れた「博士入門シリーズ」のもとにもなったのである。
『新訂 校庭の雑草』ができた!_d0163696_19085443.jpg
本書第1部より

本書の内容は自然観察大学HP【本の紹介】で小幡和男先生に紹介していただいている( ⇒ )ので、ここでは自然観察大学との関係と、本書にまつわる裏話的なところを記させていただく。


自然観察大学の根っこは「校庭シリーズ」


自然観察大学の目的は、観察指導に携わる方々にその視点を身につけていただくことであり、それを野外観察会で経験してもらおうというものである。そして講師陣は「校庭シリーズ」やそれに準ずる「博士入門シリーズ」の著者のみなさんなのだ。つまり、自然観察大学の根っこは「野外観察ハンドブック/校庭シリーズ」ということである。

自然観察大学の立ち上げの際には、シリーズの主な著者全員にお集りいただき、話し合いの結果、面白そうだからやってみようということになった。多彩な著者陣が同行する、豪華な観察会である。
実際にやってみると、雑草・植物、鳥、昆虫、アブラムシ、クモといった多方面の話題、さらにはそれら相互の関係にもおよび、従来にない野外観察会となった。参加いただいた方はもちろん、講師自身が夢中になり、現在に至ったというわけである。

自然観察大学は「校庭シリーズ」があってはじめて可能になったわけで、その根っこにあるのが “形とくらし”というコンセプトであり『校庭の雑草』なのである。

新訂校庭の雑草(通算第5版)が発刊されたこの機会に、以下、本書について記させていただこう。

『新訂 校庭の雑草』ができた!_d0163696_19090377.jpg
本書第2部より

進化する『校庭の雑草』

本書は35年前(1987年)に初版が発刊されて以来、なんと五度目のリニューアル版である。
この間、帰化植物などによって掲載すべき雑草の種類が増えた。第2部の図鑑編では、初版では160種だったのが、今ではなんと280種になっている。
分類に関しては、かつての形態分類が遺伝子によるAPG分類にとって代わり、それに伴って表記や掲載順を変更した。

細かな見直しはとても紹介しきれないが、印象的なものを紹介しておこう。
ユウゲショウとヒルザキツキミソウは“花は夜に開く”としていたが、これを疑問に思い、第4版作成に当たって夜を徹した観察を遂行。その結果どちらも未明に咲くことが明らかになった(飯島先生、お疲れさまでした)。
イヌガラシははじめ越年草としていたが、これを疑問に思い、多数の地下部を掘り返して多年草であることを突き止めた(あのときの岩瀬先生の輝く笑顔は忘れられません)。

はじめは掲載のなかったコケが加わった時期もある。これはさらに進化して、「校庭のコケ」として立派に独立してシリーズの一員になった。
残念なのは付録のCDである。これは授業で使えるようにロゼットをすべて一覧できるようにしたり、季節によって主な雑草をまとたり、あるいは一つの種の成長の姿をまとめて見ることのできるツールとして作成したものだった。“付録だとあなどれない本格的な教材”という評価をいただいたが、CD-ROMの動力源ともいえるアドビ・フラッシュの消滅とともに消えてしまった。


写真撮影の進歩


写真では、いち早く花や果実など小さな部分の拡大を掲載した。これは版を重ねるごとに多数採用されている。今の時代、拡大した写真は当たり前のように図鑑に掲載されているが、当時としては画期的であった。
拡大写真は不肖事務局Oが担当させていただいた。はじめはエノコログサ類の小穂を写真でくらべるものだったが、これに気を良くした川名先生から、これでもかというほど多量の生体標本が送られてきたことが懐かしい。
接写に限らず、撮影機材や技術の進歩により、そのつど鮮明でわかりやすい写真に置き換えられ、おそらく初版から変わっていない写真はひとつもないだろう。


話は少しそれるが…
第3部では“雑草に楽しむために”として雑草を使った子どもの遊びが紹介されている。
初版では川名先生のご子息がモデルだったのが、第4版以降はお孫さんに登場いただいている。そのお孫さんもすでに中学生と高校生になられたそうである。時の流れをというものか。

『新訂 校庭の雑草』ができた!_d0163696_19270645.jpg
『新訂 校庭の雑草』ができた!_d0163696_19271311.jpg
『新訂 校庭の雑草』ができた!_d0163696_19272064.jpg
『新訂 校庭の雑草』ができた!_d0163696_19272710.jpg
『新訂 校庭の雑草』ができた!_d0163696_19273502.jpg
上から順に初版、第2版(新版)、第3版(新)、第4版(CD付)、第5版(新訂)

最新版があがって思い出したことをもうひとつ。
初版の完成間近のころ、著者プロフィールに掲載する写真を撮らせてもらうことになった。岩瀬先生は現役バリバリの千葉高の教師で、当時まだ若手社員の私がバイクを飛ばしてうかがったものだ。千葉高は遠かった。

初版発行から35年、岩瀬・川名両先生とは制作期間も含めると40年近くお付き合いさせていただいています。第4版から加わっていただいた飯島先生とも15年近いお付き合いになりました。たのしい本づくりをさせていただき、ありがとうございました。そして末永く今後ともよろしくお願いいたします。

2021年4月27日、報告:自然観察大学 事務局O





by sizenkansatu | 2021-04-27 19:17 | その他 | Comments(0)

植物、虫、鳥など自然を楽しむ  ★写真の無断転載はお断りいたします★
by sizenkansatu
プロフィールを見る
画像一覧
更新通知を受け取る
S M T W T F S
1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31

最新のコメント

> wabisuke-m..
by sizenkansatu at 19:54
美味しそうなのに 残念..
by wabisuke-miyake at 05:42
> wabisuke-m..
by sizenkansatu at 15:10
どれもこれも美しいですね..
by wabisuke-miyake at 10:11
> 濵崎 功さん ご回..
by sizenkansatu at 17:31

検索

ブログジャンル