秋の七草について考えてみよう -その1-
二十四節気では立秋が過ぎてさらに処暑が過ぎ、今週7日からは白露となっている。
「季節の生きもの観察手帖」(自然観察大学,2017)から白露の記述を抜粋してみよう。
“暑さがおさまって朝夕はひんやりとし、草花に朝露がつく季節。(中略)秋らしいうろこ雲があらわれ、ススキの穂が黄金色に輝く季節でもある。(後略)”
それにしては暑い日が続く。
暑さも、もう少しの我慢ということだろうか。
さて、秋の七草のきっかけとされる、万葉集の山上憶良の2首を記しておこう。
秋の野に 咲きたる花を 指折り(およびをり)
かき数ふれば 七種(ななくさ)の花 萩の花 尾花葛花 撫子(瞿麦)の花
女郎花(姫部志)また藤袴 朝貌(あさがお)の花
これを順にカタカナで表すと
ハギ、オバナ(ススキ)、クズ、ナデシコ、オミナエシ、
フジバカマ、アサガオ
となる。最後のアサガオはキキョウのことを指すらしい。
これらが、今の我々にとって秋を代表する七種の植物としてふさわしいものかどうか。
二十四節気の立秋は8月7日からである(2020年)。今の季節感から多少はずれてもよいが、秋どころか夏前に花を咲かせるなど、選定にはちょっと抵抗を感じるものがある。
この機会に一つずつ検証していきたい。
ハギ(萩)
ハギはマメ科ハギ属の総称で、代表的な種はヤマハギとマルバハギであると「樹木博士入門」(小幡和男ら、2020)に記されている。
ヤマハギの花期は7-9月とされるので、秋の七草にはふさわしくないかも。
しかも草ではなく木だ。(細かくてすみません)
本種も木だから抵抗を感じるが、もとになった山上憶良の歌では「七草」ではなく「七種」と記されているので、草本にこだわることはないだろう。
もしも草に限定するならこれ。
メドハギである。(2020年8月25日、千葉県野田市で撮影)
メドハギは空き地や道路の分離帯などで見かける雑草で、逆箒のような独特の形になる。
小さいがよく見ると美しい花を咲かせ、しかも花期は8-10月である。秋の七草にふさわしいのではないだろうか。


メドハギの名前の由来は、易占の筮(めどぎ)に使用されたことによるとされる。
ところで、以上の3種はいずれもハギ属(Lespedeza)だが、同じ属でありながら草本と木本があることに改めて驚いた。このような例は多いのだろうか。
ススキ(オバナ 尾花)
しかしながら、穂が白くなびくころ花は終わっていて、すでに果実となっている時期なのである。
花の時期は赤褐色であるだけでなく、形も尾のようではない。
秋の七草として異論はないが、気になるところである。(ホントに細かくてすみません)
クズ(葛)
甘い香りを漂わせ、そのうえ根は葛粉の原料や医薬品の葛根湯のもとでもある。
良いことずくめのようだが、どうも抵抗がある。
一つにはクズは草ではなく木だ、という見かたがあること。
そして二つめは最もやっかいな雑草とされることだ。
私の実家(茨城県)は、クズの侵略に悩まされていた。
地面をはって家屋に突き当たったクズは、そこから回り込むように束になって家屋を包もうとしていた。
クズとの格闘を思うとき、秋の七草として認めるには抵抗がある。
2020年9月10日、報告:自然観察大学 事務局O
by sizenkansatu
| 2020-09-10 07:22
| 植物
|
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