オッタチカタバミの花の観察
カタバミとオッタチカタバミ
カタバミはどこでも見かける雑草である。
端正な花はなかなか美しく、春から秋まで長期間にわたって楽しませてくれるありがたい雑草だ。

3出複葉で、小葉はハート形。
踏みつけに強く、地表に茎をはわせて、次々に花をつける。
カタバミの葉は家紋として人気が高かったそうだが、それはカタバミの強い生命力・繁殖力に子孫繁栄の願いを重ねたものだという。
興味のある方はカタバミをモチーフとした家紋を調べていただくことをお勧めしたい。
剣聖と称えられる上泉信綱など、歴史的人物の名前が数多く確認できるはずだ。
古来、親しまれてきたカタバミに対し、オッタチカタバミは1960年代の帰化植物である。
カタバミとよく似るが、オッタチカタバミは茎が太めで名前の通り全体が立ち上がった形で、地表ではなく地下茎を伸ばして広がる。

果実になったときに柄が下向きになるのもオッタチカタバミの特徴である。
ただ、両種の中間のようなものもあって、見分けるのが難しいこともある。
私の身近で、とくに踏みつけの弱いところでは、今はオッタチカタバミのほうが優占している。
さて、ここまでは前置きで、次が本題。
花に赤い斑点が…
5月8日、流山市で花の中心部に赤い斑紋のあるオッタチカタバミを観た。
このような赤斑はこれまで見た記憶がなかったので驚きつつ、別のオッタチカタバミを見ると…
やはり同じような赤斑がある。
近くで手当たり次第に観たが、どれも赤い斑点があった。
オッタチカタバミには、もともとこのような赤斑のあるタイプがあったのだろうか?
帰宅後に調べると、この赤斑に関する記載は図鑑にもネット上にも、どこにも見当たらない。
う~む。
観察地の千葉県流山市は、いま急速に発展している町である。赤斑のオッタチカタバミは、海外から入ってきた新しい系統である可能性もある。
流山以外のオッタチカタバミはどうなのか?
ほかの場所でも観てみたいと思ったが、それならばもっと広く、NPO法人自然観察大学の会員のみなさん(文末を参照)にご協力いただくことにした。
メーリングリストで得た各地のオッタチカタバミ情報
自然観察大学ML(メーリングリスト)で流山市での観察を報告し、みなさんに身近なオッタチカタバミの情報提供を呼び掛けたところ、ありがたいことに、すぐに3人のML会員から情報をいただいた。
少しばかりの観察ですが、オッタチカタバミの花弁には前掲された流山の写真のような細い斑紋があります。
斑紋の数にはばらつきがあるようです。
カタバミには斑紋はありません。
アカカタバミは花弁の基部が赤っぽく見えます。(下の写真はウスアカカタバミ)
(2020年5月15日)
自宅周辺のオッタチカタバミを見てみました。
私がみた個体はすべて赤斑なしのオッタチカタバミでした。
(2020年5月17日)
自宅の花壇のオッタチカタバミには赤い斑点はありませんでした。(下の写真)
少し離れたところでも観ましたが、やはり斑点はありません。
赤く見えるのはタカラダニで、斑紋ではありません。
話はそれますが、ここではタカラダニが頻繁に訪花していて、受粉に貢献しているようです。
下の写真はカタバミです。
カタバミの方が花は優しそうで、花弁の線もやや薄い印象でした。
もちろん斑点はありません。
(2020年5月22日)
みなさんにご協力いただいて、各地のオッタチカタバミが観察できた。
あらためて御礼申し上げたい。
ありがとうございました。
私のほうも観察を心がけたのだが、カタバミは雨の日は開花してくれない。
今年は雨が多くて閉口した。
少し明るい空でも開花しない日があって、そんな時は予知したように雨が降る。カタバミは有能な気象予報士のようであった。
そんな中で、ことあるごとに観察を続けていたので、日付順に並べさせていただく。

5/25千葉県松戸市:赤斑ありと赤斑なしの個体が混生(写真は花を摘んで束ねた)

5/26東京都台東区:赤斑なし
台東区の個体は、全体が直立したオッタチカタバミなのだが、果実の柄はあまり下向きにならず、オッタチカタバミらしくなかった。

5/28千葉県流山市:赤斑がわずかに1個(写真の10時の位置の花弁)

6/4千葉県我孫子市:ごく淡い赤斑あり

6/16茨城県土浦市:赤斑あり

7/29茨城県つくば市:淡い赤斑あり。果実はあまり垂れない。
ここでは大きな群落となっていたが、観たところどれも同じ紋様。
みなさんのご協力を得て千葉、茨城、埼玉、群馬、東京のオッタチカタバミを観察したが、花に赤斑のあるものとないものがあり、混在することもあった。また、斑紋の濃度と数には個体差があり、連続的に変化があった。
赤斑の有無は別々の系統ということではなく、変異・変化ということなのだろうか。
余談ですが…
多数の写真を撮って並べてみて、初めて気づかされたことだが、オッタチカタバミの花は花弁の形に個体差があることが分かった。開き方(角度)の違いにもよるが、かなりの違いである。
それと、上の最後のカットは朝10時32分に撮影したのだが、このときは雌しべが全開していた(空はうす曇り)。
中心部分を拡大して見よう。
雌しべの柱頭がきれいな星形に開いている。本来の開花とはこの状態をいうのであろう。
長い雄しべ5個はよく見えるが、残念ながら短い雄しべ5個は一部が柱頭に隠れている。
ほかのカットはすべて天気や時間帯によるものか、雌しべはしぼんでいた。やはり繰り返し観察することで真の姿を知ることができるのだろう。よい勉強をさせていただいた。
もう一つ、改めて知ったのは、アザミウマの多さである。
ふだん、花を撮影するときはアザミウマにどいていただいているのだが、今回は気にせずにそのまま撮っている。
この記事に掲載した写真にもアザミウマがついているものがあるが、全体でははるかに多数の花を観ていて、その半数近くでアザミウマが観察できた。(たぶんヒラズハナアザミウマと思われる)
アザミウマの仲間には農作物(のうさくもつ)の子房を吸汁して果実を変形させたり、ウイルスを媒介したりする害虫とされるが、花粉媒介には多大な貢献をしていると思われる。
自然観察大学MLについて
自然観察大学では、メールマガジンを配信させていただく “メール会員” と、NPO法人自然観察大学に入会いただき活動を支えていただく “NPO会員” の2種類がある。
NPO会員のみなさんには “自然観察大学ML(メーリングリスト)” に参加いただき、各種の情報交換のためにご利用いただいている。
詳しくは自然観察大学HPの【問合せ・入会】をご覧いただきたい。
⇒ http://sizenkansatu.jp/index_9.html
2020年7月31日、報告:自然観察大学 事務局O
カタバミはどこでも見かける雑草である。


踏みつけに強く、地表に茎をはわせて、次々に花をつける。
カタバミの葉は家紋として人気が高かったそうだが、それはカタバミの強い生命力・繁殖力に子孫繁栄の願いを重ねたものだという。
興味のある方はカタバミをモチーフとした家紋を調べていただくことをお勧めしたい。
剣聖と称えられる上泉信綱など、歴史的人物の名前が数多く確認できるはずだ。
古来、親しまれてきたカタバミに対し、オッタチカタバミは1960年代の帰化植物である。


ただ、両種の中間のようなものもあって、見分けるのが難しいこともある。
私の身近で、とくに踏みつけの弱いところでは、今はオッタチカタバミのほうが優占している。
さて、ここまでは前置きで、次が本題。
花に赤い斑点が…
5月8日、流山市で花の中心部に赤い斑紋のあるオッタチカタバミを観た。


近くで手当たり次第に観たが、どれも赤い斑点があった。
オッタチカタバミには、もともとこのような赤斑のあるタイプがあったのだろうか?
帰宅後に調べると、この赤斑に関する記載は図鑑にもネット上にも、どこにも見当たらない。
う~む。
観察地の千葉県流山市は、いま急速に発展している町である。赤斑のオッタチカタバミは、海外から入ってきた新しい系統である可能性もある。
流山以外のオッタチカタバミはどうなのか?
ほかの場所でも観てみたいと思ったが、それならばもっと広く、NPO法人自然観察大学の会員のみなさん(文末を参照)にご協力いただくことにした。
メーリングリストで得た各地のオッタチカタバミ情報
自然観察大学ML(メーリングリスト)で流山市での観察を報告し、みなさんに身近なオッタチカタバミの情報提供を呼び掛けたところ、ありがたいことに、すぐに3人のML会員から情報をいただいた。
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岩瀬名誉学長より(千葉県八千代市)少しばかりの観察ですが、オッタチカタバミの花弁には前掲された流山の写真のような細い斑紋があります。
斑紋の数にはばらつきがあるようです。
カタバミには斑紋はありません。
アカカタバミは花弁の基部が赤っぽく見えます。(下の写真はウスアカカタバミ)

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M本さんより(茨城県稲敷郡阿見町)自宅周辺のオッタチカタバミを見てみました。
私がみた個体はすべて赤斑なしのオッタチカタバミでした。
(2020年5月17日)
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N崎さんより(群馬県太田市。写真もご本人から)自宅の花壇のオッタチカタバミには赤い斑点はありませんでした。(下の写真)


話はそれますが、ここではタカラダニが頻繁に訪花していて、受粉に貢献しているようです。
下の写真はカタバミです。

もちろん斑点はありません。
(2020年5月22日)
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みなさんにご協力いただいて、各地のオッタチカタバミが観察できた。
あらためて御礼申し上げたい。
ありがとうございました。
今年は雨が多くて閉口した。
少し明るい空でも開花しない日があって、そんな時は予知したように雨が降る。カタバミは有能な気象予報士のようであった。
そんな中で、ことあるごとに観察を続けていたので、日付順に並べさせていただく。







ここでは大きな群落となっていたが、観たところどれも同じ紋様。
みなさんのご協力を得て千葉、茨城、埼玉、群馬、東京のオッタチカタバミを観察したが、花に赤斑のあるものとないものがあり、混在することもあった。また、斑紋の濃度と数には個体差があり、連続的に変化があった。
赤斑の有無は別々の系統ということではなく、変異・変化ということなのだろうか。
余談ですが…
多数の写真を撮って並べてみて、初めて気づかされたことだが、オッタチカタバミの花は花弁の形に個体差があることが分かった。開き方(角度)の違いにもよるが、かなりの違いである。
それと、上の最後のカットは朝10時32分に撮影したのだが、このときは雌しべが全開していた(空はうす曇り)。
中心部分を拡大して見よう。

長い雄しべ5個はよく見えるが、残念ながら短い雄しべ5個は一部が柱頭に隠れている。
ほかのカットはすべて天気や時間帯によるものか、雌しべはしぼんでいた。やはり繰り返し観察することで真の姿を知ることができるのだろう。よい勉強をさせていただいた。
もう一つ、改めて知ったのは、アザミウマの多さである。
ふだん、花を撮影するときはアザミウマにどいていただいているのだが、今回は気にせずにそのまま撮っている。
この記事に掲載した写真にもアザミウマがついているものがあるが、全体でははるかに多数の花を観ていて、その半数近くでアザミウマが観察できた。(たぶんヒラズハナアザミウマと思われる)
アザミウマの仲間には農作物(のうさくもつ)の子房を吸汁して果実を変形させたり、ウイルスを媒介したりする害虫とされるが、花粉媒介には多大な貢献をしていると思われる。
自然観察大学MLについて
自然観察大学では、メールマガジンを配信させていただく “メール会員” と、NPO法人自然観察大学に入会いただき活動を支えていただく “NPO会員” の2種類がある。
NPO会員のみなさんには “自然観察大学ML(メーリングリスト)” に参加いただき、各種の情報交換のためにご利用いただいている。
詳しくは自然観察大学HPの【問合せ・入会】をご覧いただきたい。
⇒ http://sizenkansatu.jp/index_9.html
2020年7月31日、報告:自然観察大学 事務局O
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