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自然観察大学ブログ

「目からウロコ」の話

年来の知友である唐沢孝一さんは、専門とする鳥だけでなく幅広く生きものに目を向けてきた。そして持ち前の観察力と筆力を駆使して多くの記録をし、それを著書などにしてきた。

その著書の一つに「目からウロコの自然観察」中公新書2018がある。内容のくわしい紹介は措くとして、植物、鳥、虫、クモなどさまざまな生きもののくらしぶりに目を向け、驚きの事実を知った。その喜びが全ページにあふれている。

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(画面左の一覧から該当書籍名をクリック。お手数ですが…)

さてここでは「目からウロコ(が落ちる)」という言葉のことである。辞書によると「あるきっかけから、それまで胸につかえていたものがすとんと分かるようになること」と説明されている。唐沢さんは自然観察の中でいくつもそういう場面に出会い、その感動を持ち前の文章力で記録した。

私はかつて「これぞ目からウロコ」そのものをという経験をしたことがある。1999(平成11)年に白内障の手術を受けた。今では白内障の手術といっても一般化して、日帰り手術も多くなったらしいが、当時は新しい手法がようやく安定して実施されるようになった頃であった。手術は東邦大学付属病院で受けたが3泊4日の入院であった。手術の翌朝はいわゆる教授回診で、主治医が数名に経過を説明する時間があった。ものものしかったが、それだけに患者にとっては安心感があった。

手術というのは、濁った水晶体(レンズ)の中身を取り出し、代わりに人工レンズを入れて閉じるという高度な技術である。この閉じる方法が今は違っているらしいが、当時は外科的にパチンと止めたらしい。主治医によると、この跡が少しゴロゴロするが数日でとれるでしょうということだった。

退院後毎日点眼をしたが、このゴロゴロ感はあった。私の郷里の銚子の方言を使えば、「やっかしい」という感じであった。5日目ごろ、点眼中に何かぽろっと落ちた気がした。
途端に目がすっきりした。ああこれぞ「目からウロコ」だと感動した。

1年後、もう一方の目も手術した。もう一度ウロコの経験をしたいと思ったがそれはなかった。手術の方法が進んだのかもしれない。いまの白内障の手術ではもう味わえないであろうか。

2020年7月14日、報告:自然観察大学 名誉学長 岩瀬徹

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岩瀬先生、ご投稿ありがとうございました。
みなさんへ補足しておきます。岩瀬先生は術後で目の見えないとき、一夜にしてこつ然と「写真で見る植物用語」の構想を思いついたそうです。
新しい目を得た岩瀬先生(サイボーグ化)は、共著の大野啓一先生らと観察・取材を続け、5年後にこの本が完成しました。
(事務局Oより補足)
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by sizenkansatu | 2020-07-14 16:42 | その他 | Comments(0)

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