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自然観察大学ブログ

スギの花

いつも遅い報告で申し訳ないが、3月はじめのスギの花である。
スギの雄花が花粉を出していた。
スギの花_d0163696_16450001.jpg
風媒花で、鱗片のすき間から、ごく小さな、大量の花粉を散らす。
これが花粉症のもとになるという。

苦しんでいる方には気の毒なことであるが、しかたがない。
スギには罪はないのだ。

遠目に観たスギの花は、お世辞にも綺麗とは言い難い。
スギの花_d0163696_16451000.jpg
冬の間は赤く、それも枯れたような褐色になる。
スギの花_d0163696_16451840.jpg
拡大して観よう。
スギの花_d0163696_16454430.jpg
こちらの雄花は、まだ花粉を出してはいない。

切ってみると、中の袋に多量の花粉が準備されていた。
スギの花_d0163696_16455319.jpg
花粉症の方々には悪魔のように見えるのだろうか。

さて、次は雌花だ。
スギの花_d0163696_16460097.jpg
ちょっと見ただけではわかりにくいが、下向きの枝先に雌花がある。
下から覗きこむようにしながら拡大して観ても…
スギの花_d0163696_16460933.jpg
やっぱり花らしく見えないのだが、よく観ると鱗片の間に水滴のようなものがあった。
この滴は受粉のためのものだという。(画像のクリックでさらに拡大)

雌花も切ってみた。
スギの花_d0163696_16461808.jpg
胚珠から液体が出ているのがわかる。(画像のクリックでさらに拡大)
これが受粉滴と言うものだろう。

ところで、スギの葉の一枚は、どこにあたるのか。
長さ1cmほどの針のような部分、これが一枚の葉だ。
あらためて本稿の一枚目の写真を観ると、枝先に向けて葉がだんだん短くなって、そのまま鱗片へと連続している。

こうしてみると、
“花はシュートが変化したもの” まさにそのことが観てとれる。
なお、スギの葉序はらせん状で、この鱗片もらせんに並ぶという。
(確かめてはいないが…)

裸子植物は原始的とされるが、飾りのない機能に徹した姿だ。
これをすがすがしいと観るか、それともしたたかと観るか…

2018年3月29日、報告:自然観察大学 事務局O



by sizenkansatu | 2018-03-29 16:50 | 植物 | Comments(2)
Commented by mrtnsz at 2025-03-14 08:21
お早う御座います。
今年も花粉症に悩まされていますが、薬のお陰でクシャミのほんの少しで、目が痒いのは困っていますが、何とか鳥撮りが出来てほっとして居ます。
杉の雌花は全く分かりませんでしたが、良く分かりました。
また雌花の構造、雄花の内部の花粉、顕微鏡で撮影したのでしょうか、高い解像度で、花粉一粒一粒が分かります。
有難う御座いました。
Commented by sizenkansatu at 2025-03-14 23:00
> mrtnszさん
コメントありがとうございます。
花粉症で苦しんでおられるのですね。何とか頑張ってください。

写真をおほめいただき、光栄です。
顕微鏡ではなく、マクロレンズです。フィルムカメラ時代の旧いレンズも含めて、倍率によっていくつかを使い分けています。
鳥撮りの望遠レンズにくらべれば軽くて扱いやすく、安価なものです。
残念ながら、わたしは鳥撮り用の望遠レンズには手が出せません。


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