続・セイタカアワダチソウの花を観る ‐開花の順序‐
以前にも「セイタカアワダチソウの花を観る」で記したが、今回はさらによく観させてもらおう。
(今ごろすみません)
舌状花も管状花も小さいが、こうしてみるとけっこうあでやかだ。
舌状花と管状花はよくわかるが、雄しべと雌しべはどうなっているのか、いまひとつわからない。
普通は舌状花が先に開き、そのあと少し遅れて管状花が開く。
たくさんの雌しべが観えるが、舌状花には雌しべしかない。
林立する雌しべの奥に観えるドーム型のものが管状花のつぼみだ。
この雌しべは長く、舌状花の雌しべ(少し細身でY字型)よりもアタマ二つくらい突出した感じだ。
雌しべを観ると、二またになった柱頭には花粉がついている。
花柱を取り巻くようについているのが雄しべで、この時点ですでに花粉は無くなっている。
頭花の全体を包むうろこ状のものは総苞片で、その内側に観える白いのは冠毛だ。この冠毛が果実のときに綿毛のようになる。
小さい頭花ながらも、キク科の基本をまもった形だ。
両サイドは雌しべが伸びて、ちょっと太めの二またの柱頭が見える。
中央は雄しべが伸びた状態である。雄しべは多数が合着して膜状になり、その中には雌しべがある。
つまり1個の雌しべを多数の雄しべが筒状に取り巻く形だ。
注目すべきは花糸だ。膜状部分の下にある糸状のものが雄しべの花糸である。
両サイドの花糸は剥離して縮んでいる。どうやらこれが縮むことで雌しべの柱頭が出てくるようだ。
連続したシーンを観察したわけではないが、まとめてみると次のように想像される。
① はじめは雄しべが伸びた状態。(画面の真ん中の少しピンぼけのもの)② 雄しべが終わると花糸が縮んで筒状の雄しべが下にずれる。③ 中に隠れていた雌しべの柱頭が顔を出す。
う~む。
自家受粉を避けるための雄性先熟だろう。小さい花だが、うまくできているものだ。
しかし、これだと自花受粉(同花受粉)をしなくても、同じ頭花、あるいは同じ株同士では受粉してしまう(隣花受粉)。セイタカアワダチソウは大量の花を次々に着けるのだから、ほとんどは自家受粉になるだろう。緻密な仕組みを持っているくせに、意外にアバウトだ。
しかしこの鷹揚さが先祖代々つちかった、セイタカアワダチソウの繁殖戦略なのだろう。
余談ですが…
セイタカアワダチソウはかつて花粉症の原因植物とされたことがあったが、本当はそうではない。
先日、ラジオのある番組で、かのAさんが次のように言っていた。
「セイタカアワダチソウは花粉症の原因となり、別名ブタクサとも言われる」
セイタカアワダチソウの名誉のために、放送後その番組にメールで投稿しておいた。
お詫びと訂正をしてくれていればいいのだが…
2015年1月26日、報告:自然観察大学 事務局O
by sizenkansatu
| 2015-01-26 07:21
| 植物
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