江戸川べりの観察-22 続アシナガバチの営巣2013
文末に追記(訂正)があります(2013.10.25)
8月16日。事件が起きていた。
家族全員が消えている。巣穴はすべて空っぽで、まわりに成虫の姿もない。
蛹のふたは、羽化したのではなく、引きちぎったように食い破られている。
おそらくスズメバチに襲われたのだろう。
一家皆殺しの残酷な事件ではある。
それにしても、観察が続けられなくて残念である。
給餌シーンや給VAAMシーンを観たかったのに…
前後編に分けておきながら、いきなり The end で申し訳ない。来年以降の宿題とさせていただく。
実はタイトルに2013とつけたのは、機会を見つけてまたぜひ観たい、チャレンジしたいという気持ちからなのだ。
空っぽの巣を観ながら、攻防戦が眼に浮かんだ。
必死に妹たちを守るフタモンアシナガバチを、オオスズメバチは圧倒的な力で殺戮する。
野生生物の厳しい一面である。
ちなみに、アシナガバチを含むスズメバチの仲間は、ふだんは全部雌で、秋になるとはじめて交尾・繁殖のため雄蜂が現れる。
余談ですが…
アシナガバチ類もスズメバチの仲間で、みな社会性狩蜂である。彼らの家族構成をご存じない方もおられるかもしれないので、まとめておこう。
春、越冬から覚めた女王蜂はたった一頭で巣作りをし、産卵、子育てをする。ふつう生まれてくるのは雌蜂である。新生の雌蜂は母親に協力して妹たちのために働く。(働き蜂、ワーカーという)
母娘で協力して妹たちを育て、大きな家族となっていく。
秋になると、はじめて雄蜂と女王蜂が生まれ、交尾した女王蜂が越冬して、翌年営巣するということになる。
詳しい話は、百田尚樹氏の『風の中のマリア』(名著!)を読んでいただくとよいと思う。
ちなみに以前撮った雄蜂はこれ。 触角の先が丸まっているのが雄蜂の特徴。 11月の半ば過ぎだったが、その時期には花のないところでも、陽だまりに集まる雄蜂を目にすることがある。彼らはいったい何をしているのだろう?
もう一つ余談…
去年の秋、私の住む集合住宅の掲示板にスズメバチがはりつけにされていた。 〝階段の踊り場で捕獲しました〟 と管理人さんの誇らしげな文言とともに、一か月以上もさらされていた。
秋のオオスズメバチは危険だとされているし、子供たちにとっては危険かもしれないが、屍を長期間さらすというのはいかがなものだろうか。そもそも彼女は階段をうろついていたというだけであり、なにか悪さをしたというわけではないのだ。
2013年10月18日、報告:自然観察大学 事務局O
<2013.10.25追記>
スズメバチ研究家のIさんから、次のメールをいただいた。
………………………………………………………
「掲示板にはりつけされたスズメバチ」につきまして、
オオスズメバチ・彼女 と書かれてありましたが、正しくは
ヒメスズメバチ・彼 であると思われます。
根拠は、
1.膨腹部末端が黒色
(日本産大型スズメバチでここが黒色になるのはヒメスズメバチと南西諸島産のツマグロスズメバチのみです)
2.膨腹部の「節」の数が7つ
(スズメバチのメスは6節、オスは7節)
3.触覚がカーブしている
(オスはメスよりカーブします。触角の節数もオスは13節、メスは12節なのですが、お写真からはちょっとわかりかねます)
………………………………………………………
Iさん、ご指摘ありがとうございました。
ヒメスズメバチについては、下記に詳しい情報がある。
http://www2u.biglobe.ne.jp/~vespa/vespa_d2.htm (都市のスズメバチ)
上記サイトによると、大型でヒトにまとわりつくように威嚇するが毒性は弱いそうだ。
最近、ビルの最上階付近で雄蜂が飛び回って問題視されることが多いとか…
私の集合住宅でも、まさしく、この解説どおりであったのだ。
毒性の弱いヒメスズメバチで、しかも、なんと 針のない雄だったとは!!
無実の罪もここにきわまった!!
8月16日。事件が起きていた。
蛹のふたは、羽化したのではなく、引きちぎったように食い破られている。
おそらくスズメバチに襲われたのだろう。
一家皆殺しの残酷な事件ではある。
それにしても、観察が続けられなくて残念である。
給餌シーンや給VAAMシーンを観たかったのに…
前後編に分けておきながら、いきなり The end で申し訳ない。来年以降の宿題とさせていただく。
実はタイトルに2013とつけたのは、機会を見つけてまたぜひ観たい、チャレンジしたいという気持ちからなのだ。
空っぽの巣を観ながら、攻防戦が眼に浮かんだ。
必死に妹たちを守るフタモンアシナガバチを、オオスズメバチは圧倒的な力で殺戮する。
野生生物の厳しい一面である。
ちなみに、アシナガバチを含むスズメバチの仲間は、ふだんは全部雌で、秋になるとはじめて交尾・繁殖のため雄蜂が現れる。
余談ですが…
アシナガバチ類もスズメバチの仲間で、みな社会性狩蜂である。彼らの家族構成をご存じない方もおられるかもしれないので、まとめておこう。
春、越冬から覚めた女王蜂はたった一頭で巣作りをし、産卵、子育てをする。ふつう生まれてくるのは雌蜂である。新生の雌蜂は母親に協力して妹たちのために働く。(働き蜂、ワーカーという)
母娘で協力して妹たちを育て、大きな家族となっていく。
秋になると、はじめて雄蜂と女王蜂が生まれ、交尾した女王蜂が越冬して、翌年営巣するということになる。
詳しい話は、百田尚樹氏の『風の中のマリア』(名著!)を読んでいただくとよいと思う。
ちなみに以前撮った雄蜂はこれ。
もう一つ余談…
去年の秋、私の住む集合住宅の掲示板にスズメバチがはりつけにされていた。
秋の
2013年10月18日、報告:自然観察大学 事務局O
<2013.10.25追記>
スズメバチ研究家のIさんから、次のメールをいただいた。
………………………………………………………
「掲示板にはりつけされたスズメバチ」につきまして、
オオスズメバチ・彼女 と書かれてありましたが、正しくは
ヒメスズメバチ・彼 であると思われます。
根拠は、
1.膨腹部末端が黒色
(日本産大型スズメバチでここが黒色になるのはヒメスズメバチと南西諸島産のツマグロスズメバチのみです)
2.膨腹部の「節」の数が7つ
(スズメバチのメスは6節、オスは7節)
3.触覚がカーブしている
(オスはメスよりカーブします。触角の節数もオスは13節、メスは12節なのですが、お写真からはちょっとわかりかねます)
………………………………………………………
Iさん、ご指摘ありがとうございました。
ヒメスズメバチについては、下記に詳しい情報がある。
http://www2u.biglobe.ne.jp/~vespa/vespa_d2.htm (都市のスズメバチ)
上記サイトによると、大型でヒトにまとわりつくように威嚇するが毒性は弱いそうだ。
最近、ビルの最上階付近で雄蜂が飛び回って問題視されることが多いとか…
私の集合住宅でも、まさしく、この解説どおりであったのだ。
毒性の弱いヒメスズメバチで、しかも、なんと 針のない雄だったとは!!
無実の罪もここにきわまった!!
by sizenkansatu
| 2013-10-18 07:01
| 昆虫など
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