ニジュウヤホシテントウ –食痕の謎を解く-

ジャガイモやトマト、ナスなどのナス科の農作物(のうさくもつ)を食べる農業害虫とされている。
西日本ではニジュウヤホシテントウが多く、北日本ではよく似たオオニジュウヤホシテントウというのが多いというが、関東では両方が見られる。

どうやったらこの不思議な食痕になるのか、以前から食事シーンを観たいと思っていたのだが、やっとそのチャンスが来た。


拡大してみよう…

剣豪の “見切り”“間積り” に通じるのではないかと思う。
ときどき粗相をして食べ残しができてしまうと、戻ってかじりなおしていた。いたって几帳面な性格のようだ。
本人は稽古不足を反省しているのかもしれない。
筋は、頭だけを動かして、手前から前方に向かってたどられる。
一筋食べると、その右へ筋をつくる。
この虫は左から右方向に食べ進んでいた。
前掲の食痕の写真を観ると、ほとんど身体を動かさずに、効率よく食べ進む手順が推察できる。
連続写真をご覧いただきたい。(頭しか動かないので地味ですが…)
はじめは手前に頭をひきつけて、かじりながら頭を前方に伸ばしていく。






考 察 (えらそうにすみません)
どうしてこんな食べ方をするか、考えてみた。
普通、葉をかじる昆虫は、縁から食べる。食べながら自分の足場を確保しなければいけないから、これは当然のことだ。
まれには葉柄のほうから食べて、いつの間にか葉と一緒に落下してしまうという、おバカな個体もいるかもしれないが、そんなキケンなDNAは瞬く間に淘汰されるのだろう。
ニジュウヤホシテントウの場合、薄皮もさることながら、細く食べ残された筋により、足場としての強度が保たれるのだと思う。
ニジュウヤホシテントウが独自に編み出したテーブルマナーなのだろう。
この流儀と作法は、幼虫にも徹底され、親族のオオニジュウヤホシテントウにも引き継がれている。
手前から前方へ、左から右へなど、細部のしぐさまで決まっているものなのか、今後さらに観察をしていきたい。
200回御礼
ところで今回、自然観察大学ブログはめでたく200回目です。ご覧いただいたみなさま、投稿いただいたみなさま、コメントいただいたみなさま、ありがとうございました。そして今後ともよろしくお願いいたします。
2012年8月7日、報告:自然観察大学 事務局O
by sizenkansatu
| 2012-08-07 13:06
| 昆虫など
|
Comments(2)

200回おめでとうございます!
けっこうなペースでしたよね。今年は梅の収穫が大変だったので、その頃のは更新ペースが速くてまだじっくり読めてないです。
ニジュウヤホシテントウってそんな風に食べてるんですね。面白い食痕だと思っていたけど、そんな几帳面でしかも速いとは!
筋と筋の間に細く食べ残していて、あんな痕になるのかー。
うちでは、ジャガイモの葉っぱとナスの実がよくかじられてます。
けっこうなペースでしたよね。今年は梅の収穫が大変だったので、その頃のは更新ペースが速くてまだじっくり読めてないです。
ニジュウヤホシテントウってそんな風に食べてるんですね。面白い食痕だと思っていたけど、そんな几帳面でしかも速いとは!
筋と筋の間に細く食べ残していて、あんな痕になるのかー。
うちでは、ジャガイモの葉っぱとナスの実がよくかじられてます。
ミルフイユさんご無沙汰です。
忙しいところをコメントいただきありがとうございます。
実はミルフユさんにぜひお知らせしたいことがあります。
詳しくは第201回でお伝えします。
ご期待ください。
忙しいところをコメントいただきありがとうございます。
実はミルフユさんにぜひお知らせしたいことがあります。
詳しくは第201回でお伝えします。
ご期待ください。
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