カラスノエンドウをめぐる虫たち
カラスノエンドウは今まさに満開。
あいかわらず、互いに支えあって伸びている。

拡大して観ると、まさしくマメ科の蝶形花(ちょうけいか)。
マメ科の花の構造は少し複雑だ。花弁は旗弁(きべん)、側弁、竜骨弁からなり…
説明はやめておこう。先日、友人たちとの宴席で、『ブログの文字が多くて、内容がマニアックすぎる』 という多数の批判を浴びてしまった。
反省して、まずはだまって花を観ていただくことにしよう。
<< ご注意! 以下の写真は、虫嫌いの方はけっして一人では見ないでください >>
ナナホシテントウに野生を見た!

ナナホシテントウがアブラムシを食べていた。

拡大するとすごい食べっぷり。野生の肉食動物の迫力を感じる。
(迫力を味わいたい方は写真をダブルクリックしてください)
食べられたアブラムシ(マメアブラムシ?)はかわいそうな気もするが、カラスノエンドウから見れば、寄生虫を食べてくれるありがたい味方ということになる。

カラスノエンドウの先端付近では、群落のいたるところでコロニーをつくっている。アブラムシの繁殖力はものすごいが、負けずに伸びるカラスノエンドウの繁殖力もすごい。

これはヒラタアブの仲間の幼虫。やはりアブラムシを食べるが、こちらは迫力がありすぎるので、今回はやめておこう。
(これでも、万人に愛されるブログを目指しているのです)
M先生によると “アブラムシは陸のプランクトン” … 食べられることが宿命だ。
別のM先生(こちらもアブラムシの専門家)は、テントウムシやヒラタアブが捕食しているのを見ると 「こらっ! 私のかわいいアブラムシちゃんに何をするかっ!」 などとブツブツ言いながらも、非情にも管ビンのアルコールの中へアブラムシを採集していた。これも悲しい宿命なのか?

これは別のナナホシテントウ。前の写真より体色が濃い。
観ていて、あることに気がついた。
彼らはアブラムシを捕らえ、少し離れたところに持っていて食べるらしいのだ。
コロニーに居座って食べ続ければ効率が良いのに…
一人で静かに食べたいということか?
この一角にはかなりの数のナナホシテントウがいたが、居座り型のナナホシテントウは観察できなかった。
それどころか、絶好の餌場であるカラスノエンドウから離れ、長距離移動するものもいた。
(意外に動きが早いのでカメラで追うのはけっこう難しい。)
後日、H先生にナナホシテントウの静かな食事についてご意見をうかがった。
……………………………………………………
私の観たところでは普通に居座って食べると思いますが、種の保存のためにいろいろな行動パターンを身につけているということは考えられますね。
小さいながらも野生動物だから、じゃまの入らないところで静かに食事をするという本能を身につけているのかもしれません。
……………………………………………………
少し離れたところの木杭に、もう蛹になっているのが観られた。
樹幹などの安定した場所に移動して蛹になるらしい。
食事とはちがって蛹化では集団になるようだ。2008年の自然観察大学観察会で観たヒノキの樹幹の大量の脱皮殻が思い出される。
(http://sizenkansatu.jp/index_8.html から見沼の第2回観察会参照)
なお、H先生によると、4月半ばのカラスノエンドウで見られるのはほとんどがナナホシテントウ。テントウムシ(ナミテントウ)よりもナナホシテントウのほうが低温に強いらしく、早くから活動をはじめるということだ。
タコがアリのエジキに…
暖かくなったためか、タコゾウムシが活発になった。

植物体上を動きまわる幼虫が目につくが、どうも個体数は減っているらしい。
地表に落ちたタコゾウムシをアリが襲っている。
小さくて動きが速いのでふだんは気づかないが、こうして写真を見るとアリもけっこう凶暴そうな大あごを持っている。
丸々と太った重たそうな幼虫だが、軽々とくわえて運び去る。
あたりを見ると、ほかにも3、4件の連れ去り事件に遭遇した。
わずかな時間に何頭もの幼虫が連れ去られたところを見ると、もしかすると落ちた幼虫だけではなく植物体上のタコゾウムシを捕らえているのかも知れない。
ところで…
一般にアリとアブラムシの共生関係について広く言われている。
甘露をもらう代わりに、アリがテントウムシからアブラムシを守るというのだが、今回はアブラムシのコロニーではアリは観られなかった。
アブラムシの甘露よりもタコゾウムシのほうが美味しいということだろうか。
2011年4月25日、報告:自然観察大学 事務局O
Commented
by
SAYAKA
at 2014-04-07 13:27
Commented
by
あろ
at 2014-04-08 13:13


マメ科の花の構造は少し複雑だ。花弁は旗弁(きべん)、側弁、竜骨弁からなり…
説明はやめておこう。先日、友人たちとの宴席で、『ブログの文字が多くて、内容がマニアックすぎる』 という多数の批判を浴びてしまった。
反省して、まずはだまって花を観ていただくことにしよう。
<< ご注意! 以下の写真は、虫嫌いの方はけっして一人では見ないでください >>
ナナホシテントウに野生を見た!


(迫力を味わいたい方は写真をダブルクリックしてください)
食べられたアブラムシ(マメアブラムシ?)はかわいそうな気もするが、カラスノエンドウから見れば、寄生虫を食べてくれるありがたい味方ということになる。


(これでも、万人に愛されるブログを目指しているのです)
M先生によると “アブラムシは陸のプランクトン” … 食べられることが宿命だ。
別のM先生(こちらもアブラムシの専門家)は、テントウムシやヒラタアブが捕食しているのを見ると 「こらっ! 私のかわいいアブラムシちゃんに何をするかっ!」 などとブツブツ言いながらも、非情にも管ビンのアルコールの中へアブラムシを採集していた。これも悲しい宿命なのか?

観ていて、あることに気がついた。
彼らはアブラムシを捕らえ、少し離れたところに持っていて食べるらしいのだ。
コロニーに居座って食べ続ければ効率が良いのに…
一人で静かに食べたいということか?
この一角にはかなりの数のナナホシテントウがいたが、居座り型のナナホシテントウは観察できなかった。
それどころか、絶好の餌場であるカラスノエンドウから離れ、長距離移動するものもいた。

後日、H先生にナナホシテントウの静かな食事についてご意見をうかがった。
……………………………………………………
私の観たところでは普通に居座って食べると思いますが、種の保存のためにいろいろな行動パターンを身につけているということは考えられますね。
小さいながらも野生動物だから、じゃまの入らないところで静かに食事をするという本能を身につけているのかもしれません。
……………………………………………………
少し離れたところの木杭に、もう蛹になっているのが観られた。

食事とはちがって蛹化では集団になるようだ。2008年の自然観察大学観察会で観たヒノキの樹幹の大量の脱皮殻が思い出される。
(http://sizenkansatu.jp/index_8.html から見沼の第2回観察会参照)
なお、H先生によると、4月半ばのカラスノエンドウで見られるのはほとんどがナナホシテントウ。テントウムシ(ナミテントウ)よりもナナホシテントウのほうが低温に強いらしく、早くから活動をはじめるということだ。
タコがアリのエジキに…
暖かくなったためか、タコゾウムシが活発になった。

地表に落ちたタコゾウムシをアリが襲っている。

丸々と太った重たそうな幼虫だが、軽々とくわえて運び去る。
あたりを見ると、ほかにも3、4件の連れ去り事件に遭遇した。

ところで…
一般にアリとアブラムシの共生関係について広く言われている。
甘露をもらう代わりに、アリがテントウムシからアブラムシを守るというのだが、今回はアブラムシのコロニーではアリは観られなかった。
アブラムシの甘露よりもタコゾウムシのほうが美味しいということだろうか。
2011年4月25日、報告:自然観察大学 事務局O
by sizenkansatu
| 2011-04-25 19:53
| 植物と虫
|
Comments(4)

とても詳しく書いてあって見ていて面白いです!
応援しています!
応援しています!
SAYAKAさん、コメントありがとうございます。
このところ書き込む時間が取れない状態が続いていますが、ぼちぼちとやらせていただきます。
今後ともよろしくお願いいたします。
(事務局Oより)
このところ書き込む時間が取れない状態が続いていますが、ぼちぼちとやらせていただきます。
今後ともよろしくお願いいたします。
(事務局Oより)

カラスノエンドウのワードでこちらに来ました。勉強になります。某番組を見ているように詳しい内容で写真も美しいですね。また来ます。
あろさん、コメントありがとうございます。
いつでもお待ちしています。
今後ともよろしくお願いします。
事務局Oより
いつでもお待ちしています。
今後ともよろしくお願いします。
事務局Oより
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