自然観察大学ブログ

「カメムシ博士入門」ができた!

博士入門シリーズに新しい仲間ができた。
タイトルは「カメムシ博士入門」。
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このシリーズの中でも飛び抜けてマニアックといってよいだろう。
(ほめ言葉です)

ご存知かと思うが、このシリーズは個々の名前を調べるための図鑑ではない。
「昆虫博士入門」が昆虫の世界を概観し、そのすべてを知ることをめざした本であるように、本書はカメムシ界全体を知るための本なのだ。
4章で構成される本書を簡単に紹介させていただく。

第1章:カメムシの形とくらし
本シリーズでおなじみの「形とくらし」がテーマだ。
食性と口器、翅や脚の構造、子育てなどの多様な生態… 
これほどの写真がよくぞそろったものだと思う。
他では絶対に知ることのできない、至高の世界だ。
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●私の驚愕したもの3選(写真は書籍で見てほしい)
ヒラタカメムシ類の口針!
イトカメムシの臭腺!!
アシブトカタビロアメンボの脚!!!


第2章:カメムシを探そう
カメムシを見つけるための探索ガイド。森や草原、地中や水辺、建物内、日向と日陰、止水と流水、川と海、石ころの裏側から高山など、緻密に紹介してくれる。
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●私の驚愕したもの
なんといっても「遠洋のウミアメンボ」!!
こんなところにもカメムシはいるのか、と驚かされる。


第3章:いろいろなカメムシ
カメムシといっても、アメンボやグンバイムシ、トコジラミもカメムシの仲間だ。
タイコウチやナベブタムシ、ミズムシなんていう仲間もいる。
日本産カメムシ全55科について、代表種の写真(これが大迫力)、簡潔な特徴とともに紹介している。
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●お気に入りのカメムシ
事務所隣席の女性のお気に入りは「ヒラタカメムシ科」。侘び寂びを心得た、かなりハイレベルな女性のようだ。
私の好みは、やはり「キンカメムシ科」か。「オオメカメムシ科」も好いが…


第4章:カメムシ博士をめざして
採集・観察方法では、ビギナー向けはもちろん、専門家ならではのノウハウまで惜しげもなく紹介されている。
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ほかにも標本作成、同定から、さらには付録として「もっと知りたいカメムシの世界」。
至れり尽くせりだ。


本書を手にした愛好家は、紙面から目が離せなくなること、請け合いである。
一気に読破したそのあとは、実際に自分の眼で確認したくなって、野外に出ることになる。
そしてカメムシ博士への道を歩むことになるだろう。


自然観察大学では、「カメムシ博士入門」出版記念を兼ねて、室内講習会での講演をお願いしたかったのだが、著者のみなさんは多忙な方、遠方の方ばかりで今のところ実現できていない。
いずれはぜひ講演をお願いしたいものである。


なお、自然観察大学ブログでもカメムシは何度も扱わせていただいているが、その疑問は本書によってことごとく回答が得られたことをご報告する。
※ 本ブログの過去の記事は、PCのブログ内検索で「カメムシ」「サシガメ」などと入力すると一覧できます。

同じ博士入門シリーズで、いま水面下で進めている「樹木博士入門」というのがある。
その著者のお一人でもあり、自然観察大学講師でもあるK名先生の感想は次のとおり。
・「カメムシ学の基本を端的に示す」と前書きにあるが、その明確な目的に向けて、みごとに実現されている。
・鮮明な写真とともに個々の説明がていねいで、わかりやすく表現されている。
・4つの章立てがよい。
・第1章、第3章はもちろんだが、じっくり見ると第2章が凄い。カメムシの適応力に驚き、それをまとめた著者の力量に感心させられた。
・第4章「カメムシ博士をめざして」もよく考えられている。
・付録の「もっと知りたいカメムシの世界」の海外のカメムシのコメントが面白い。
・カバー裏の高橋敬一氏の推薦文がユニークで素晴らしい。

チーム樹木博士の他のメンバーのご感想も、一様に「よくぞここまでやった」というものだった。
(さらに「我々も負けていない」という発言も…)


「カメムシ博士入門」のくわしい内容と各ページの大きな画像(PDF)は、出版社のHPをどうぞ。
⇒ http://www.zennokyo.co.jp/book/hakase/Dr_km.html


なお、自然観察大学HPの【本の紹介】で、近日中に記事が載る予定である。


2018年9月7日、報告:自然観察大学 事務局O
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# by sizenkansatu | 2018-09-07 16:33 | その他 | Comments(0)

御嶽山のレンゲショウマ

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まだ開きかけのレンゲショウマ。
ごく薄い紫色に、花弁の先にはちょっと濃いめの縁どり。
丸いつぼみが、また好い。

一見するとスイセンにも似た花だが、葉や茎はまったく違う。
キンポウゲ科レンゲショウマ属。一属一種だそうだ。
もう少し開いた花を見つけて撮っていると…
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ハナバチがやってきた。
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たぶんマルハナバチの一種だと思う。(ちょっとピンぼけ)
暑さに負けず、元気いっぱいだ。

写真は7月21日に御嶽山で観たときのもの。
この時点では開花がはじまったばかりで、離れたところにポツリ、ポツリと花がある程度だった。
御嶽山のレンゲショウマは9月まで続くという。
興味のある方にはお勧めしたい。
いまなら、タマアジサイも満開かも。

こちらはロックガーデンへ向かう途中の沢。
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写真は涼しげだが、山上まで暑い日であった。
この日は、あまりの暑さに大事をとって、ここから引き返して温泉に下山した。
今年の暑さは生命にかかわるほどで、無理は禁物である。


なかなか投稿できません


前回の投稿から、なんと3か月近く経過してしまった。
これまで、なんとか1か月遅れで投稿できていたのだが…
このところ膨大な量の観察・撮影をしているため、整理が追い付かないのだ。
今回はレンゲショウマの魅力にひかれて緊急に投稿させていただいた。
(それでも約10日遅れ!)

2018年8月2日、報告:自然観察大学 事務局O
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# by sizenkansatu | 2018-08-02 19:17 | 植物 | Comments(0)

タケウチトゲアワフキ

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タケウチトゲアワフキ。なんともかっこいい。
背中の長大なとげは絶妙なカーブを描き、付け根の斑紋も粋でいなせな装い。
丸い頭とつぶらな瞳もGood。
体長5mm程度と小さめだが、ネットでもひそかに話題になっている人気の虫のようである。

ちょっと近づくと、ピンッ、と跳ねる。
上の写真で後脚をたたんでいるが、この脚で跳ねるのだろう。
ネットでは “あまり動かない虫”と記されていたが、このときは気温が高かったためか、かなり活発な虫であった。

地域によっては絶滅危惧種になっているようだが、ここでは多数の個体が観られた。
観察しているときに、上空からポツッポツッと雨粒のようなのが降ってきたのだが、それは彼らが跳ぶとき放つオシッコらしい。
トゲアワフキムシ科は半翅目だから、セミのオシッコと同じなのだろう。
私の顔は樹冠下でシッコまみれになっていた。(ちょっと大げさ)

この虫を見つけた経過をご報告しよう。
はじめて観たのは、いつもの公園のシナノキの樹上である。
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シナノキは花序のつけ根に抱葉があり、面白い形をしている。(2017年6月撮影)
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抱葉は果実のときまで残る。風に乗って種子散布をするのだろうか。(2017年7月撮影)

そんなシナノキの観察の中で、この虫に出会ったのであった。
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冬芽のそばに鳥の糞のようなものが付着していた。
どの芽も同じような状態なので、糞を取り除こうとしたら、中から虫が出てきた。
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アワフキムシの仲間の幼虫らしく、裸にされて驚いた彼らは、すぐに泡の製造を開始した。
尻を高く掲げるのはそのための体制なのであろう。

※ アワフキムシについては「アワフキムシと人間観察」をご覧いただきたい。
 ⇒ https://sizenkan.exblog.jp/13694948/ 


タケウチトゲアワフキの場合は、泡が固化して、堅牢な巣になる。
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このような筒の中にいて、枝から樹液を吸い続けるのだ。
下向きの先端はふたがなく、ここから排泄物を落とすのだろう。

帰宅して調べてみると、この巣はタケウチトゲアワフキであることがわかった。
成虫は図鑑などで見て知っていたが、実物は観たことがなく、あこがれの虫であった。

昨年秋に幼虫を見つけて以来、成虫の出現を待っていた、というわけである。
そのかいあって、彼らの雄姿を観ることができたのである。
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それにしても、この角はどんな役割があるのだろう。
小楯板が変化したものということだが、何かの擬態なのだろうか…

2018年5月8日、報告:自然観察大学 事務局O


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# by sizenkansatu | 2018-05-08 13:02 | 植物と虫 | Comments(0)

スギの花

いつも遅い報告で申し訳ないが、3月はじめのスギの花である。
スギの雄花が花粉を出していた。
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風媒花で、鱗片のすき間から、ごく小さな、大量の花粉を散らす。
これが花粉症のもとになるという。

苦しんでいる方には気の毒なことであるが、しかたがない。
スギには罪はないのだ。

遠目に観たスギの花は、お世辞にも綺麗とは言い難い。
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冬の間は赤く、それも枯れたような褐色になる。
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拡大して観よう。
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こちらの雄花は、まだ花粉を出してはいない。

切ってみると、中の袋に多量の花粉が準備されていた。
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花粉症の方々には悪魔のように見えるのだろうか。

さて、次は雌花だ。
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ちょっと見ただけではわかりにくいが、下向きの枝先に雌花がある。
下から覗きこむようにしながら拡大して観ても…
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やっぱり花らしく見えないのだが、よく観ると鱗片の間に水滴のようなものがあった。
この滴は受粉のためのものだという。(画像のクリックでさらに拡大)

雌花も切ってみた。
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胚珠から液体が出ているのがわかる。(画像のクリックでさらに拡大)
これが受粉滴と言うものだろう。

ところで、スギの葉の一枚は、どこにあたるのか。
長さ1cmほどの針のような部分、これが一枚の葉だ。
あらためて本稿の一枚目の写真を観ると、枝先に向けて葉がだんだん短くなって、そのまま鱗片へと連続している。

こうしてみると、
“花はシュートが変化したもの” まさにそのことが観てとれる。
なお、スギの葉序はらせん状で、この鱗片もらせんに並ぶという。
(確かめてはいないが…)

裸子植物は原始的とされるが、飾りのない機能に徹した姿だ。
これをすがすがしいと観るか、それともしたたかと観るか…

2018年3月29日、報告:自然観察大学 事務局O
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# by sizenkansatu | 2018-03-29 16:50 | 植物 | Comments(0)

立春のロウバイ

2月4日は久しぶりに暖かい日で、立春らしい日であった。
この日、水元公園ではロウバイが満開だった。
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大勢の人が通りがかりに足を止め、においをかいだり、写真を撮ったりしていた。

昨年「季節の生きもの観察手帖」が発刊されてから、二十四節気・七十二候を気にしながら観察している。
新しい年の始まりに、満開のロウバイを観られるとは、なんとうれしく、ありがたいことだろう。

別の場所ではあるが、今年の1月7日にロウバイの花を観ていた。
それからおよそ一か月である。ずいぶん長い間咲いているものだ。

ところで、
ロウバイは花の中心部が赤く見えるというが、この花はどうだろうか。
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何となくソシンロウバイ(花の中心部も黄色い)っぽい気がする。
庭園樹でもあるロウバイは、いろいろなタイプがあるのだろう。
ややこしいことだ。
※ ロウバイとソシンロウバイは次で紹介しています。 
  ⇒ http://sizenkan.exblog.jp/23789102/ 

植物生態学部S子さんへ(事務連絡/再)
以前このブログに投稿いただいていたS子さんの連絡先がわからなくなりました。
事務局OのPC故障によりアドレス帳が紛失したためです。
S子さんにお願いしたいことがあります。一度事務局へご連絡いただければありがたいです。
急ぎませんので、いつでもお待ちしております。

2018年2月6日、報告:自然観察大学 事務局O


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# by sizenkansatu | 2018-02-06 17:58 | 植物 | Comments(0)

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