人気ブログランキング |

自然観察大学ブログ

ネムノキの昼寝(続報)

前回の報告に続いて、ネムノキの昼寝を観察した。
6月末、場所は我孫子市の谷津ミュージアム(岡発戸・都部谷津)。
自然観察大学の方はよくご存じの、谷津を横断するメインストリート(?)にあるネムノキである。立派な成木で、当日はちらほらと花が開き始めたところであった(4分咲き程度)。

まずは自然状態のネムノキの葉。(12:50)
ネムノキの昼寝(続報)_d0163696_17063761.jpg
強烈な日差しと暑さのためか、葉ははじめから少し閉じ気味だった。
これを両掌でやさしく挟んで、例によって“眠れ、眠れ”と呪文を唱える。

待つことしばし。
なかなか眠ってくれない。
天候によるものか、それとも樹齢によるものか…

10分ほどで、やっと小葉を閉じてきた。(13:01)
ネムノキの昼寝(続報)_d0163696_17064988.jpg
残念ながら、その後待っても変化はなかった。
前回のようにはっきり閉じないのは、何か理由があるのだろうか。

さて、眠った葉は起きるのかどうか、意外に早く約30分で目を覚ました。(13:28)
ネムノキの昼寝(続報)_d0163696_17065719.jpg

写真では少しわかりにくいが、よく比べてもらえば、わずかにな変化がお分かりいただけると思う。

2020年7月3日、報告:自然観察大学 事務局O



# by sizenkansatu | 2020-07-03 17:08 | 植物 | Comments(0)

ネムノキの昼寝

ネムノキは夜になると眠るように小葉を閉じることが知られている(就眠運動)。
そのことがネムノキの名前の由来であるという(眠の木)。
ところが、ネムノキが昼寝もする(昼間でも葉を閉じる)ことは、ご存じだろうか。

6月半ばのネムノキの葉。
ネムノキの昼寝_d0163696_17393372.jpg
これを両掌でそっと挟むようにやさしくさわると…
ネムノキの昼寝_d0163696_17394259.jpg
少しの間をおいて、みごとに眠っていた。

なお、さわる際に “あなたは眠くなる” とやさしく呪文を唱えると、催眠術師になったような気分が味わえる。

ちなみに、写真中央の眠った部分の全体が1枚の葉で、枝分かれした葉軸に多数の小葉がつく(2回羽状複葉)。この小葉一つずつが眠るように閉じたというわけだ。

オジギソウのように、見る間に閉じるという素早い動きではない。
1カット目を撮ったあと、2カット目はおよそ8分後であった。
この間、目をはなしていたので、実際にはもっと早かったのかもしれない。


私がネムノキを昼寝させた理由

じつはこれと同じような写真は「樹木博士入門」p162でも紹介している。
本書の制作途中で著者のみなさんから
“オジギソウと違ってネムノキの葉がさわると閉じるというのは聞いたことがない。でも写真を見るとたしかのにそのようだし、まあ掲載してもよいでしょう”
といったいう経過があった。
完全には信じていただけないようでちょっと悔しかったので、その後あちこちでネムノキの葉を眠らせようとチャレンジしていたのだが、このたびようやく成功した、という次第である。
このネムノキは高さ2mちょっとの若い木で、書籍掲載のものとほぼ同じであった。若い木は感受性が高いということかもしれない。
場所も書籍掲載の木のすぐ近くというか、もしかすると同じ個体かも?


みなさんへお願いと、残された課題


ほかのネムノキでも眠るか、ということは相変わらずの課題である。
みなさんの観察結果をお知らせいただければありがたい。
(やさしく呪文を唱えることが重要!)

眠りにつくまでの時間は?
いったん眠った葉は起床するのか?
起床する場合、その所要時間はどうか?
課題は尽きない。

2020年6月22日、報告:自然観察大学 事務局O



# by sizenkansatu | 2020-06-22 17:45 | 植物 | Comments(0)

カラスノエンドウのつぶやき

春に鮮やかな緑を提供してくれたカラスノエンドウ。
カラスノエンドウのつぶやき_d0163696_18071286.jpg
“蝶形花”の名前にたがわぬ艶やかな花。
カラスノエンドウのつぶやき_d0163696_18072108.jpg
どちらの写真も4月初めに撮影したものだが、今年のカラスノエンドウは、例年に比べてアブラムシやタコゾウムシに食われることが少なく、とりわけあでやかだったような気がする。

さて、季節が過ぎ、5月下旬のこの日…
郊外の空き地(休耕地?)では、カラスノエンドウはほとんど葉を落とし、果実(さや)を残すだけだった。
カラスノエンドウのつぶやき_d0163696_18072721.jpg
カラスノエンドウのつぶやき_d0163696_18073472.jpg
この黒い果実が、烏野豌豆(カラスノエンドウ)の名の由来とされる。


ニワゼキショウとオオニワゼキショウ

カラスノエンドウの傍らでは、ニワゼキショウとオオニワゼキショウが見ごろだった。
カラスノエンドウのつぶやき_d0163696_18074302.jpg
カラスノエンドウのつぶやき_d0163696_18075394.jpg
カラスノエンドウのつぶやき_d0163696_18080150.jpg
上がニワゼキショウで、下がオオニワゼキショウ。
カラスノエンドウのつぶやき_d0163696_18080790.jpg
カラスノエンドウのつぶやき_d0163696_18081661.jpg
両種は似ているが、オオニワゼキショウは子房が大きく、花被が大きく開くことはないのが特徴とされる。
花被の先端の形も少し違う。
色には変化があり、園芸種との雑種もあったりしてややこしいことになっているらしい。


カラスノエンドウのつぶやきが聞こえた


話をカラスノエンドウに戻そう。
昼下がりの静かな空き地で、ニワゼキショウとオオニワゼキショウを撮影していると…
ぷっ、ぷっ
ぷちっ、ぷちっ
どこからともなく、かすかな音が聞こえてくる。
これはもしかするとカラスノエンドウのさやがはじける音ではないか、と考えた。
たくさんある果実の中でどれがはじけるかはわからないので、見るともなく全体を観ていると、目の前でさやがはじけた。
カラスノエンドウのつぶやき_d0163696_18082424.jpg
やはりこの音だ。
はじけるときに目にもとまらない勢いで種子を跳ね飛ばし、ねじれたさやだけが残る。
写真ははじけた後で、面白くもなんともない写真だがご容赦いただきたい。

はじける前のさやをそっと割ってみると…
カラスノエンドウのつぶやき_d0163696_18083149.jpg
中にはエンドウマメのような種子がきれいに並んでいた。
(分類ではエンドウマメではなくソラマメの仲間のようだが)

この音は“つぶやき”というか、“ささやき”というか、あるいは“さえずり”とでもいうべきか?

この日は、雨が一週間続いた後の久しぶりの快晴の日で、絶好のタイミングだったのだろう。
あちらのさや、こちらのさやと、次々に“つぶやき”ながら種子を飛ばすのが確認できた。

若いさやを使った笛の遊び、はじけるときのつぶやき…
カラスノエンドウは音でたのしませてくれる。


プラント・アーキテクチャの観察


この日の観察でもう一つ気づいたことがある。
カラスノエンドウは越冬後に根ぎわで多数分枝して地表に広がる。(参考  
そこまでは越冬後のようすでもはっきりわかるのだが、そこから上に伸びてくるとごちゃごちゃして形がわからなくなってしまう。
カラスノエンドウのつぶやき_d0163696_18083808.jpg
それが葉を落としたことで、草の姿・形がよくわかった。
ちなみに英語ではプラント・アーキテクチャ(植物構造)とでもいうのだろうか。
なんとなくかっこいい。

2020年6月15日、報告:自然観察大学 事務局O



# by sizenkansatu | 2020-06-15 18:14 | 植物 | Comments(0)

ガクアジサイとアジサイ

ガクアジサイは今がまさに見ごろである。
ガクアジサイとアジサイ_d0163696_17095551.jpg
この写真は我らが川名興先生の撮られた千葉県の大房岬(たいぶさみさき)のガクアジサイである。
ガクアジサイは日本固有種で、本来は関東地方以西の海岸の崖や林縁に自生しているという。
「樹木博士入門」より ⇒

6/3の朝の情報番組の天気予報のコーナーで、今が見ごろのガクアジサイを紹介していた。
話題の中心は、ガクアジサイが初めて文書に掲載されるのは? 答は万葉集 …というクイズだった。
気になるのはついでに紹介された豆知識である。
人気気象予報士のY田氏いわく
「ガクアジサイは周りの方に“がく”があって、真ん中に花があります。それでガクアジサイと言います。」
という解説だったと思う。
(朝の雑用をしながら聞いていたので、もしも勘違いがあったらお許しを)

もう、上の解説の誤りに気づいた方も多いと思うが、正しくは次のようになる。
「ガクアジサイの花はたくさんの小さな花が集まってできている(花序)。その周りの方に“がく”だけの装飾花があり、真ん中に通常の花(両性花)がある。装飾花が額縁のようにあるのでガクアジサイと言われる」
ガクアジサイとアジサイ_d0163696_17100275.jpg
つまり全体が上のような形だ。花序の周りを囲む装飾花が目立つ。(写真は飯島和子先生の撮影)

裏側から見ると、一つの花序であることと全体の構造がわかる。
ガクアジサイとアジサイ_d0163696_17101497.jpg
中の小さい両性花は、拡大すると次のようになる。
ガクアジサイとアジサイ_d0163696_17102076.jpg
小さくて目立たないが、拡大すると美しい。

ところで、
栽培種のアジサイはすべが装飾花になるようにガクアジサイから改良されたという。
ガクアジサイとアジサイ_d0163696_17102734.jpg
ガクアジサイとアジサイ_d0163696_17103456.jpg
ふつう、アジサイは果実をつけることはない。

正直に白状すると、じつは私もガクアジサイに関して誤った知識を持っていた。
アジサイとガクアジサイの名前の印象から、
「もともとあったアジサイを改良して額縁をつけたようにしたのがガクアジサイ」
と思い込んでいた。事実とは真逆なのであった。

Y田氏の誤りをわざわざ記事にするのも大人げなかったが、私も含めて誤解しておられる方も多いのではないかと考え、この機会に記させていただいた次第である。


余談ですが…

額縁部分の装飾花だが、これが両性花となっていることも多い。
ガクアジサイとアジサイ_d0163696_17103981.jpg
さすが自然界、生物界である。柔軟というか、懐が深いというか…
さらにアジサイの仲間にはたくさんの園芸品種があるという。
みなさんのお近くのガクアジサイはいかがだろうか。

※ 写真をご提供いただいた川名興先生、飯島和子先生、ありがとうございました。

2020年6月3日、報告:自然観察大学 事務局O



# by sizenkansatu | 2020-06-03 17:17 | 植物 | Comments(0)

ナラメリンゴフシにかかわる観察(3) ミヤマシギゾウムシ

前回までの続きで、最後はシギゾウムシ。
ナラメリンゴフシにかかわる観察(3) ミヤマシギゾウムシ_d0163696_23075796.jpg
ミヤマシギゾウムシである。
ナラメリンゴフシ(虫えい)に産卵する稀有な性質をもったシギゾウムシであると、森本桂先生にご教示いただいた。

● 前の記事「ナラメリンゴフシとシギゾウムシ」を参照 ⇒ (以下、本稿の青色文字はこの時の抜粋)

からだ全体を使って、ぐりぐりと長い口吻を差し込む。
ナラメリンゴフシにかかわる観察(3) ミヤマシギゾウムシ_d0163696_23081161.jpg
右に左に、ゆっくりと反復横跳びのような動き。
ナラメリンゴフシにかかわる観察(3) ミヤマシギゾウムシ_d0163696_23082000.jpg
穴が開いたら反転し…
ナラメリンゴフシにかかわる観察(3) ミヤマシギゾウムシ_d0163696_23082909.jpg
産卵管を差し込む。

おなじみ(?)の一連の動きだが、この日はたくさんのシギゾウムシがあちこちでぐりぐりしている。

こちらのシギゾウムシは、小さな動きで効率よく穴を掘っていた。
(複眼の位置に注目)
ナラメリンゴフシにかかわる観察(3) ミヤマシギゾウムシ_d0163696_23091077.jpg
正面を向いて、両眼が均等に見えている。
このまま脚を動かさず…
ナラメリンゴフシにかかわる観察(3) ミヤマシギゾウムシ_d0163696_23092240.jpg
左の複眼がこちらを向いた。
頭部だけが90度回転しているのだ。

頭部が前胸先端でよく動くように、複眼を含めて頭部は球状となり、円形器状の前胸先端の開口にはまり込んでいます。このようにして産卵孔をうがち…

森本先生にうかがったとおりである。撮影用の三脚につける“自由雲台”のように動く。

もう一つ、森本先生の言葉どおりのことが観察できた。

クリシギゾウやツバキシギゾウのように大変長い吻をもつものでは産卵管も長く、♀の吻長と産卵管は正の相関があります。

産卵管は解剖しない限り目にすることはないが、偶然にもそれを観るチャンスがあったのである。
ナラメリンゴフシにかかわる観察(3) ミヤマシギゾウムシ_d0163696_23084036.jpg
このシギゾウムシを撮影中のこと…
ナラメリンゴフシにかかわる観察(3) ミヤマシギゾウムシ_d0163696_23084955.jpg
腹端から何やらにゅるにゅると出てきた。
ナラメリンゴフシにかかわる観察(3) ミヤマシギゾウムシ_d0163696_23085960.jpg
こ、これは産卵管ではないか! 
ほんの一瞬のことで、ピントが追い付いていないのはご容赦いただきたい。
先端が巻いているのが不思議だが、たしかに口吻と同じくらいの長さがある。


昆虫たちの桃源郷

登山道の整備によって多くのコナラの実生が育ち、ナラメリンゴタマバチに好適な環境となったが、それはオナガコバチとミヤマシギゾウムシにとっても桃源郷であった。
ナラメリンゴフシにかかわる観察(3) ミヤマシギゾウムシ_d0163696_23093048.jpg
思うに、かつての薪炭林ではコナラが定期的に伐採され、萌芽更新した林は、この登山道のような世界が繰り広げられていたのではなかろうか。

2020年5月28日、報告:自然観察大学 事務局O




# by sizenkansatu | 2020-05-28 23:16 | 昆虫など | Comments(0)

植物、虫、鳥など自然を楽しむ  ★写真の無断転載はお断りいたします★
by sizenkansatu
プロフィールを見る
画像一覧
更新通知を受け取る
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31

最新の記事

最新のコメント

> チョコさん コメン..
by sizenkansatu at 11:31
一番美味しいときのタラの..
by チョコ at 18:19
> チョコさん コメン..
by sizenkansatu at 13:18
ヤマボウシの名前の由来、..
by チョコ at 20:02
> イネ科かじった一般市..
by sizenkansatu at 15:28

検索

ブログジャンル