自然観察大学ブログ

ハンノキの冬芽の観察

ハンノキの冬芽の動きを観察した。
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これは10月半ばの冬芽。
光沢があるのはワックスでおおわれているため。
ハンノキは裸芽とされるが、裸芽といえども素裸ではないことがわかる。

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こちらは11月はじめの冬芽。
褐色が濃くなっている。

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12月下旬の冬芽。
さらに色濃く、引き締まった印象だ。
冬芽のつけ根にあった葉が落ちて、葉痕が観える。

さて、冬芽が堅いワックスで守られているのはよいのだが、このあと芽吹きのときは果たしてどうなるのだろう。
暖かくなるとワックスが溶けるのか、それとも…
その成り行きに、一人しずかに興味を持ったのであった。

なお、この観察記録は2018年末まで複数年にわたる写真だ。
同じ冬芽ではないことはもちろん、私の気まぐれで撮影倍率も異なることは、ご容赦いただきたい。


話をもとに戻そう。

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年が明けて1月半ばの冬芽。
ワックス層にひびが入ってきた。(やっぱり!)

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つぎは2月はじめ。
まだ大きな変化はない。

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3月の中旬、いよいよ活発に動き出した。
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同じ日の別の冬芽。
芽が膨らむとき、ワックス層は細かく割れる。

外側の葉は、展開することないようだ。
裸芽は芽鱗がないのだが、外側の葉が芽鱗のような役割をするのだろう。

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3月下旬から4月にかけては、芽吹きのラッシュだった。
葉裏に残るワックスのかけらが、冬芽のときの名残だ。

念のためハンノキの全形はこちら。
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湿地のようなところにも先駆的に広まる。
シラカンバなどと同じカバノキ科とされる。


3種の冬芽

ところで、ハンノキには3種の冬芽がある。
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冬芽と言っていいのかどうかわからないのだが、この枝にその3種がそろっている。
わかりにくいので、それぞれ拡大してみよう。
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枝の下の方にあるのがこれ。
すでにおなじみの葉芽(ようが)である。

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枝先にあるのは雄花序。
これを冬芽と言ってよいのかどうかわからないが、葉芽同様にワックスでおおわれている。

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こちらは雌花序。
雄花序と葉芽の間の位置にある。

雄花と雌花がこのあとどうなるのか、それは近日中にご報告させていただくことにしよう。

これは9月1日の撮影。この時期にはすでに冬越しの準備をしていることに驚かされる。
ずぼらな人間に比べて、なんと計画的なくらしぶりだろう。

それでは皆様、よいお年をお迎えください。

2018年12月27日、報告:自然観察大学 事務局O



# by sizenkansatu | 2018-12-27 17:24 | 植物 | Comments(0)

清水公園のメタセコイア

清水公園のメタセコイア

11月半ばに野田市の清水公園に行ってきた。
樹木の観察に適した、とても立派な公園なのだが、なんと私営だそうである。

その一角に、立派なメタセコイアがあった。
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単独で植えられていて、まわりに邪魔するものがないので下枝が盛大に張り出している。
自然な状態ではこのような樹形になるということなのだろう。
剪定されることもなく、のびのびと育っているためか、花穂がたわわについている。
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いまの時期はまだつぼみ。
下枝までつぼみがあるので、目の高さで間近に観察できるのがありがたい。
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来年の2月にはどれだけたくさんの花をつけるのか。
このあと、雌花が出てくるのかどうか、たのしみである。
お近くの方はぜひ注目して観察していただきたい。
※ メタセコイアの花から実へは次で観察記録をご覧いただけます  
ところで、ふしぎなことに、このメタセコイアには球果が見つからなかった。
これはどういうことなのだろうか。


ところ変わって、私がいつも見ている柏の葉公園のメタセコイアでは、今年はたくさんの球果がついている。
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昨年は園内を探し回っても、ほんの少ししかむつからなかったのに、今年はいたるところで見かけるのだ。
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どうも隔年結果の性質があるように思われる。

同じことはラクウショウでも観察される。
昨年たくさんの実をつけたラクウショウだが、今年は格段に少ない。
…ということは、来年の早春には、ラクウショウの花が見られるのかもしれない。
これもまた、たのしみである。

2018年11月21日、報告:自然観察大学 事務局O





# by sizenkansatu | 2018-11-20 12:56 | 植物 | Comments(0)

冬芽から何が出るか

この写真が何の冬芽か、おわかりになるだろうか?
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かわいらしい、面白い形をしている。
東京都内の植物園の、9月下旬に撮ったものである。

答えはニガキの冬芽。
わかったあなたは、たいしたものだ。おそれいります。
ふだんから熱心に観察しておられることと思う。
私など、冬場は名札がないとお手上げだ。たとえ全形があったとしてもである。

さて、詳しく観察しよう。
この冬芽は芽鱗のない、いわゆる裸芽である。
先端の大きな冬芽(頂芽)と、葉柄のつけ根に小さな芽(腋芽)がある。
頂芽では、ひだのあるのが葉で、それに包まれている粒々の部分は花序になるのだろう。
腋芽は形から見ても、葉が出るだけと思う。
冬芽から、翌春の成長した姿を思い浮かべるのもたのしい。

それにしても、
冬芽とはいうものの、猛暑の続く9月には、すでに冬越しの準備がなされている。
そして、新葉や花の原型ができ上がっているとは、驚くべきことだ。

つぎの写真も、同じニガキの別の冬芽。
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頂芽の脇にとび出しているのはおそらく花序になる。
丸裸の状態で寒い冬を越せるのか、ちょっと心配だ。
さて、
これらの冬芽が、春にはどんなふうに展開するのか。
これからのたのしみな課題である。


ちなみに、春のニガキはこれ。(今年の4月下旬に撮影)
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ニガキは雌雄異株で、上の写真は雄花序をつけた雄株だ。

つぎは雌花。
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なかなかキュートである。
花弁はなく萼が4つ。
雌しべの柱頭は4つに分かれ、付け根の子房も4つに分かれている。(この時点でけっこう膨らんでいる。)
雄しべも4つあるが、雄花に比べると退化して貧弱だ。


余談ですが…
このところ「タグ」をつけるようになった。
じつはこれまでタグの機能を理解してなかったのだが、使ってみるとたいへんに便利なことがわかった。
例えば、この記事の「冬芽」というタグをクリックすると、冬芽に関するこれまでの記事がまとめて表示されるのだ。
長いことブログをやっているのに、はじめて知った。
お恥ずかしい話である。

2018年10月12日、報告:自然観察大学 事務局O



# by sizenkansatu | 2018-10-12 20:00 | 植物 | Comments(0)

エゴヒゲナガゾウムシをハクウンボクでも観た

エゴヒゲナガゾウムシは何度も紹介させていただいている。
以前ハクウンボクでもこの虫と思われる産卵痕を観たが、今年の7月末にそれが確認できた。
(あいかわらず時季外れの報告ですみません)

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エゴヒゲナガゾウムシの産卵痕。
ハクウンボクの果実はエゴノキよりも大きく、房状につくので写真にしたときに見栄えが好い。

ちなみに、このハクウンボクは年末に葉柄内芽を報告した木だ。
このときの記事では花も掲載したので、よろしければご覧いただきたい。
● ハクウンボクの冬芽  

さて、
これだけ食痕があるのだから、虫もいるだろうと探してみると…
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やっぱりいた。それもかなりの数だった。

上は雌で、眼が飛び出してない。(ウシヅラ)
下が雄で、眼は突き出ていて後ろ向き。正面からはのっぺらぼうに見える。長い触角も特徴だ。
じつに面白い、フォトジェニックな虫だ。
何度も撮影しているのだが、見かけるたびについ夢中で撮ってしまう。

エゴヒゲナガゾウムシの雌は、果実をかじって穴をあけ、中に産卵する。
一方の雄は何をしているのだろう。
ほかの雄に邪魔されないように見張っているという説があり、後ろ向きの眼は背後から近づく邪魔者を警戒するのではないか、ということだが、それだとすると、正面から近づく敵はどうするのだろう?


これまで本ブログのこの虫に関する記事は次のとおり。
よろしければご覧いただきたい。

● 妖怪変化か? -ウシヅラヒゲナガゾウムシ-  
● ウシヅラヒゲナガゾウムシの“くらし”を考える  
● ウシヅラヒゲナガゾウムシ、とっておきの裏話  
● エゴヒゲナガゾウムシの幼虫  
● エゴヒゲナガゾウムシの成虫がいた!  

2018年9月28日、報告:自然観察大学 事務局O



# by sizenkansatu | 2018-09-28 21:54 | 昆虫など | Comments(0)

「カメムシ博士入門」ができた!

博士入門シリーズに新しい仲間ができた。
タイトルは「カメムシ博士入門」。
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このシリーズの中でも飛び抜けてマニアックといってよいだろう。
(ほめ言葉です)

ご存知かと思うが、このシリーズは個々の名前を調べるための図鑑ではない。
「昆虫博士入門」が昆虫の世界を概観し、そのすべてを知ることをめざした本であるように、本書はカメムシ界全体を知るための本なのだ。
4章で構成される本書を簡単に紹介させていただく。

第1章:カメムシの形とくらし
本シリーズでおなじみの「形とくらし」がテーマだ。
食性と口器、翅や脚の構造、子育てなどの多様な生態… 
これほどの写真がよくぞそろったものだと思う。
他では絶対に知ることのできない、至高の世界だ。
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●私の驚愕したもの3選(写真は書籍で見てほしい)
ヒラタカメムシ類の口針!
イトカメムシの臭腺!!
アシブトカタビロアメンボの脚!!!


第2章:カメムシを探そう
カメムシを見つけるための探索ガイド。森や草原、地中や水辺、建物内、日向と日陰、止水と流水、川と海、石ころの裏側から高山など、緻密に紹介してくれる。
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●私の驚愕したもの
なんといっても「遠洋のウミアメンボ」!!
こんなところにもカメムシはいるのか、と驚かされる。


第3章:いろいろなカメムシ
カメムシといっても、アメンボやグンバイムシ、トコジラミもカメムシの仲間だ。
タイコウチやナベブタムシ、ミズムシなんていう仲間もいる。
日本産カメムシ全55科について、代表種の写真(これが大迫力)、簡潔な特徴とともに紹介している。
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●お気に入りのカメムシ
事務所隣席の女性のお気に入りは「ヒラタカメムシ科」。侘び寂びを心得た、かなりハイレベルな女性のようだ。
私の好みは、やはり「キンカメムシ科」か。「オオメカメムシ科」も好いが…


第4章:カメムシ博士をめざして
採集・観察方法では、ビギナー向けはもちろん、専門家ならではのノウハウまで惜しげもなく紹介されている。
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ほかにも標本作成、同定から、さらには付録として「もっと知りたいカメムシの世界」。
至れり尽くせりだ。


本書を手にした愛好家は、紙面から目が離せなくなること、請け合いである。
一気に読破したそのあとは、実際に自分の眼で確認したくなって、野外に出ることになる。
そしてカメムシ博士への道を歩むことになるだろう。


自然観察大学では、「カメムシ博士入門」出版記念を兼ねて、室内講習会での講演をお願いしたかったのだが、著者のみなさんは多忙な方、遠方の方ばかりで今のところ実現できていない。
いずれはぜひ講演をお願いしたいものである。


なお、自然観察大学ブログでもカメムシは何度も扱わせていただいているが、その疑問は本書によってことごとく回答が得られたことをご報告する。
※ 本ブログの過去の記事は、PCのブログ内検索で「カメムシ」「サシガメ」などと入力すると一覧できます。

同じ博士入門シリーズで、いま水面下で進めている「樹木博士入門」というのがある。
その著者のお一人でもあり、自然観察大学講師でもあるK名先生の感想は次のとおり。
・「カメムシ学の基本を端的に示す」と前書きにあるが、その明確な目的に向けて、みごとに実現されている。
・鮮明な写真とともに個々の説明がていねいで、わかりやすく表現されている。
・4つの章立てがよい。
・第1章、第3章はもちろんだが、じっくり見ると第2章が凄い。カメムシの適応力に驚き、それをまとめた著者の力量に感心させられた。
・第4章「カメムシ博士をめざして」もよく考えられている。
・付録の「もっと知りたいカメムシの世界」の海外のカメムシのコメントが面白い。
・カバー裏の高橋敬一氏の推薦文がユニークで素晴らしい。

チーム樹木博士の他のメンバーのご感想も、一様に「よくぞここまでやった」というものだった。
(さらに「我々も負けていない」という発言も…)


「カメムシ博士入門」のくわしい内容と各ページの大きな画像(PDF)は、出版社のHPをどうぞ。
⇒ http://www.zennokyo.co.jp/book/hakase/Dr_km.html


なお、自然観察大学HPの【本の紹介】で、近日中に記事が載る予定である。


2018年9月7日、報告:自然観察大学 事務局O



# by sizenkansatu | 2018-09-07 16:33 | その他 | Comments(0)

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