キタミソウの自生地の観察 -その6-













●発芽し花をつけ果実をつけるというサイクルを秋から春まで繰り返す。 ●氷の中のような低温にも耐える。 ●乾燥には弱く、水辺でのみ生育できるが、霜による根上がりで枯れる。








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by sizenkansatu
| 2023-03-29 16:36
| 植物
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雑草の魅力
雑草は日々のくらしを豊かにしてくれる。
雑草という名前について
“雑草という名前の草はない”とは、牧野富太郎博士や昭和天皇の言葉として知られる。
どのような意図で言われたのだろう。詳細は存じ上げないが、おそらく“雑草だからと悪者扱いするのはよくない”という意図だったのではないかと思う。
それが独り歩きして、“雑草と呼ぶのは好ましくない”と考える方がおられるのではないかと思う。
雑草も野草も高山植物も、それぞれのジャンルを示す言葉であって、雑草は最も身近な植物を示すものと考えている。
私たちの身近でしか生きられない、そして身のまわりを緑で潤してくれるのが雑草だ。
親しみを持って“雑草”と呼んでいきたい。
『新訂 校庭の雑草』(2021年,岩瀬徹ら,全国農村教育協会)のまえがきに、次のような一節がある。
雑草はじゃまものという見方は根強いですが、身近な自然の重要な一員です。攪乱され裸地化された土地の緑の修復のスタートを担うのは雑草たちです。雑草に親しむのは自然観察の入り口にもなります。その意味で私たちは校庭の雑草に市民権を認めたいと考えてきました。もちろん校庭にも除草の必要性はあります。それは雑草の立場を認めた上でのコントロールでありたいものです。
雑草の魅力
除草してもすぐに生えてくるのが雑草であり、踏まれてもしぶとく生き残るのが雑草だ。
しかし逆の見方をすると、除草されたからこそ、踏まれる場所だからこそ生きていけるのが雑草だとも言える。
環境に適応した能力、柔軟なくらしぶりを身近に観察できるところが、雑草の魅力である。
小さいながらも精いっぱい頑張っている姿を観ると、いとおしくなってくる。
この場所は、軒下の土壌がほとんどないような痩せた場所で、そんなところに生えるのは雑草だけだろう。
通路まで除草してしまうどれだけ味気なくなることか。
なんて勝手なことを言うと、バラ園を管理している方々に叱られてしまいそう…
雑草の魅力は、観察のたのしさである。
身近で気軽に見られるだけでなく、ルーペで花などの各部を拡大すると、美しさや巧妙なつくりなど、思わぬ発見がある。
さらに、掘り出したり、抜いたり切ったりして詳しく観察することもできる。希少植物ではできないことが、雑草では多少のことは許していただけるだろう。
前述のミチタネツケバナのように、過酷な環境ですばやく種をつける柔軟なくらしぶりも興味深い。
これからもたのしく雑草観察を続けていきたい。
ところで…
前回の「牧野庭園にて」の文末に、追加のエピソードを記したので、よろしければご覧いただきたい。
この記事を見た岩瀬徹名誉学長から教えていただいたエピソードだ。
余談ですが…
今回の記事から画像に“©Sizen Kansatu Daigaku”とクレジット表記をさせていただくことにした。
以前から無断使用があるので何とかしたかったのと、唐沢学長からのすすめもあったのである。
じゃまかもしれないが、ご容赦いただきたい。
2023年3月25日、報告:自然観察大学 事務局O
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2023年 自然まるごと観察会 参加者募集中
これまでの野外観察会の名称を変えてリニューアルします。
いよいよ活動再開です。
くわしくは次でご覧ください。
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by sizenkansatu
| 2023-03-25 15:45
| 植物
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牧野記念庭園にて
先日、練馬の牧野記念庭園を観てきた。
4月からのNHKの朝ドラでは牧野富太郎をモデルとした『らんまん』がはじまるというので、混雑する前に見ておこうと思ったのだ。
<文末に追記があります 2023年3月22日>
牧野富太郎の晩年は、この庭の植物を観察する日々だったという。
園内には、ところせましとさまざまな植物が育てられていた。
一時間ほど庭園を見せていただいたが、雨のため写真はナシ。
ヒロハアマナやセントウソウの花の盛りだったが、残念だ。
ネズミの毛を用いた、現在では入手しにくい村田九郎兵衛という最高級品だとか…
植物画のことはまったく知らないが、漠然とペンで描くものだと思っていた。
それとも、現在でも植物の線画は筆で描くものなのだろうか?
故 浅野貞夫先生が描いて(墨入れ)いるところを拝見した記憶があるが、たしか丸ペンで描くと力の加減で表現の幅が広がると言っておられたように思う。
さて、牧野富太郎の、その驚くべき植物画を紹介しよう。
※撮影はOKだったのですが、掲載もOKでしょうか?
絵画的というか芸術的というか、とにかくすごい。
あまりの観察のすごさに、どこがどうなっているのか、私などには実態がわからなくなってしまう(^^;)
採集した水草を首からかけて満面の笑み。
昭和14年に武州水元水郷(現東京都)で撮影されたとあるが、今の水元公園のあたりだろうか。
無垢なお人柄がしのばれる好い写真だ。
植物学の父と称される牧野富太郎氏は、はたして人間的にはどのような方だったのか?
朝ドラでどう描かれるのか、4月からがたのしみである。
そして何よりも、放映によって植物愛好家が増えてくれることを願っております。
2023年3月17日、報告:自然観察大学 事務局O
<2023年3月22日追記>
牧野博士が蝶ネクタイをしている理由
最後の写真の牧野富太郎博士は蝶ネクタイをしておられる。
牧野博士は植物に接する際に常に服装にも気を使っておられたそうで、それはなんと『植物に敬意を表して』というのが理由なのだそうだ。
これは岩瀬徹先生からうかがった話で、岩瀬先生は若かりし頃に牧野博士ご本人にお会いしたことがある由なので、確実な話である。
牧野&岩瀬、両先生の共著?
『自然読本/野の草』(河出書房新社,1984)では、お二人の名前が並んで記されている。
牧野博士は1957年に亡くなっているので、過去に発表された文章を集めたものなのだろう。
ほかにも昆虫学や文筆家など、そうそうたる名前が並ぶ。表紙の画像しかないのだが、どんな内容なのか、読んでみたいものだ。
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by sizenkansatu
| 2023-03-17 21:58
| 植物
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キタミソウの自生地の観察 -その5、番外編-
キタミソウ観察チームとして一緒に現地を見ているTYさんから、ポット植えのキタミソウの状況を、写真を添えて知らせていただいた。
せっかくの機会なので、この場で紹介させていただく。
ポットは屋外の霜や霜柱が立たない場所に置いているという。
【2023年2月9日】
【2023年2月19日】
TYさんからは、参考として一年前(2022年)のキタミソウ観察記録の写真を送っていただいた。
【2022年2月24日】
【2022年3月20日】
【2022年5月17日】
【2022年6月2日】
【2022年9月11日】
【2022年10月23日】
【2023年1月7日】
TYさんの観察の結果、越冬するものの、夏は越せず、一年草のようだ。
貧弱な地下部から多年草とは思えなかったし、寒冷地に由来する植物のようなので、納得できる。
TYさん、長期間にわたる観察の貴重な情報、写真をご提供いただき、ありがとうございました。
ただ、依然として謎は残る。
野外の観察では越冬できたキタミソウがごくわずかであったのに対し、ポット植えのキタミソウが無事に越冬できているのはなぜか? 温度の違いなのか、それともやはり水分の問題なのか?
そしてなにより、野外で観られた同心円状の群落になる理由は? オオオナモミとの住み分けはどのようにして起こるのか?
観察を続けたい。
2023年3月10日、情報提供:TYさん、まとめ:自然観察大学 事務局O
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by sizenkansatu
| 2023-03-10 15:34
| 植物
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センダングサ類の観察 2022 コセンダングサとコシロノセンダングサのとげ
コセンダングサのとげの数は何本か、2021年に観察して2022年にかけて報告させていただいた。
● センダングサ類の観察①~⑥ (文末の「コセンダングサ」のタグをクリックしてご覧いただきたい)
上記の最終回の⑥で、村田威夫先生からご指摘いただいたのが、とげの数が2本か3本かは、コセンダングサとコシロノセンダングサの違いではないか、というご意見である。
昨年の秋に改めて調べてみたので、それを報告したい。
同じ時期のコシロノセンダングサ(シロバナセンダングサ)と思われるもの。(↓)
中間的なアヤシイものもあるので、コセンダングサとコシロノセンダングサとはっきりわかるものを選んで、それぞれA,B別々の群落から頭花一つずつを採取した。

頭花についた果実(痩果)をすべて取り外して並べた。
コセンダングサではとげの3本のものが多く、コシロノセンダングサはとげが2本のものが多いようだ。
サンプルの数が少ないので決定的なことは言えないが、傾向が見えてきた。
数十年前は身近な場所ではコセンダングサが主体だったのが、現在ではコシロノセンダングサが増えてきたのかもしれない。両種の中間的なものもあるのでなかなか難しい。
2023年2月24日、報告:自然観察大学 事務局O
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by sizenkansatu
| 2023-02-24 15:50
| 植物
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