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自然観察大学ブログ

コブシの咲く宝篋山へ -その2-

前回( )の続き。

“太郎こぶし” を過ぎると、沢沿いから離れて明るい登山道をたどる。
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大きな岩のならぶ間の道を抜けると…
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“こぶしの森”という広々とした場所に到着。
ていねいに下草が刈られて、明るい森が維持されている。管理作業をされている方々の労力を思うと頭が下がる。

ここから左へ折れて“こぶし道”に入ると、間もなく見えるのが…
コブシの咲く宝篋山へ -その2-_d0163696_22430591.jpg
“元禄こぶし”
今回のもう一つの目標だ。

元禄という名前のとおりなら、樹齢は350年ほどになるだろう。
さえぎるものがなくて全身がきれいに見えるのだが、空がかすんでいるのが残念。
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見上げると花は見えない。背景が青空だったら、どんなに素晴らしい写真が撮れたか…

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“元禄こぶしは”生え際で二つに分かれる。
この巨木が名前のとおり元禄の生まれだとすると、生類憐みの令や奥の細道、忠臣蔵の時代から、ずっと世の移り変わりを見てきたことになる。
樹皮の凹凸が艱難辛苦を物語るが、350歳にしてはきれいな木肌だ。

さて、こぶし道から“こぶしの森”に戻ると、いつのまにか青空が広がっていた。
コブシの咲く宝篋山へ -その2-_d0163696_22433949.jpg
下草がきれいに刈られていて、明るく快適な環境。
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やはりコブシには青空が合う。
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 ♪ 白樺ぁ 青空 南風
    こぶし咲く あの丘北国の
     ああ 北国の春 ♪

…思わず歌い出してしまいそう。


“こぶしの森”と言っても、コブシは点在するだけで、むしろヤマザクラが多いもよう。
ヤマザクラの季節に、もう一度来なければ…

さて、これで目的のコブシを観ることができた。
ここまでで下山しようかとも思ったが、山頂まではあと少しなので寄り道しながら登ることにしよう。


キブシ
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雌雄異株の、これは雄株の雄花。
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キブシは漢字で木五倍子で、名前は似ているがコブシとは関係はない。
ヌルデの五倍子(フシ)の代わりに鉄漿(おはぐろ)の染料に利用されたのが名前の由来という。


ウグイスカグラ
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ウグイスカグラはよく見かけるが、ここのはとてもきれい。
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ウグイスが鳴きはじめるころに咲くのでこの名があると思われる。
カグラは神楽とか狩座などと諸説あるが、納得できるものはない。


キジムシロ
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名前はキジが使うための蓆(むしろ)に見立てたという。
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花は同じなかまのヘビイチゴによく似ているが、小葉の数が5~7と多い。


カヤ
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碁盤、将棋盤とし重用されるが、日本国内では利用できる大きな木がなくなっているという。
宝篋山のカヤたちはかなり大きいが、どうなのだろう。


オオバヤシャブシ(?)
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頭上の高いところに花をつけていて、近くでは観られない。
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樹皮は激しくはがれていて、ネットで見るオオバヤシャブシの樹皮とはちょっと違う。
コブシの咲く宝篋山へ -その2-_d0163696_22460968.jpg
地表に落ちた雄花を観て、オオバヤシャブシと判断した。
本来は海岸近くに生育するものだというが、どうだろうか。


さて。いよいよ頂上。
コブシの咲く宝篋山へ -その2-_d0163696_22462120.jpg
頂上にある宝篋印塔が宝篋山の名前の由来だという。
(ただし、私は近くの町で生まれ育ったのだが、そのころは宝篋山ではなく小田山と呼んでいた。)

塔の説明書き。(↓)
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“すべての生類”を分け隔てなく扱うとは、すばらしい。


宝篋山頂から見た筑波山。
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かすんでよく見えないが、せっかくなので載せておこう。
宝篋山は筑波山の隣に位置する。


同じ道をたどって帰り着いた、ふもとの小田休憩所。
コブシの咲く宝篋山へ -その2-_d0163696_22464709.jpg
とても感じの良い施設で、トイレは水洗、しかもウォシュレット完備。
山の管理をしておられるグループで運営しておられるのだろう。
手入れも行き届いて、気持ちよく利用できる。
何より手前に見えるオオイヌノフグリがGood。

なお、施設内には募金箱が置かれていて、私はここを訪れる都度、僅少ながらご報謝させていただいている。
ありがとうございました。

敷地内にはシデコブシがみごとな花をつけていた。
コブシの咲く宝篋山へ -その2-_d0163696_22465714.jpg
コブシではなくシデコブシを植栽するとは、Goodなセンス。


別件ですが…

コブシを観に行った3月26日、自宅(集合住宅)にツバメの営巣を確認した。例年よりも1,2週間早い時期の飛来である。
その日は暖かい日だったが、それ以降は今日(4月3日)まで寒い日が続いている。
夜は寒いのだろう、夫婦そろって頭を巣に突っ込むようにして、尾羽だけを外へ突き出してじっとしている。
早く飛来したツバメは餌不足で生きられない可能性があるというが、今日までは何とか無事に過ごしている。
明日からは暖かくなるようなので、うまく繁殖できるように願っている。

2025年4月3日、報告:自然観察大学 事務局 大野透

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# by sizenkansatu | 2025-04-03 23:14 | 植物 | Comments(2)

コブシの咲く宝篋山へ -その1-

コブシの咲く時季をねらって、宝篋山(ほうきょうさん)を訪ねた。
コブシの咲く宝篋山へ -その1-_d0163696_23284754.jpg
冬に登ったときにみごとなコブシの木を観ていたので、花の時季にもう一度来たかったのだ。

ふもとから宝篋山を望む。
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標高461mと、隣の筑波山の半分ほど。
登山口から点々と白く見えるのはコブシの木だ。
登山ルートはこのコブシをたどっていくことになる。
山頂には電波塔があるが、かすんでよく見えない。
この日は黄砂の飛来があった日で、残念ながら遠くはかすんでしまう。

上の写真の山頂から中腹までを切り取る。
コブシの咲く宝篋山へ -その1-_d0163696_23292088.jpg
このあたりのコブシがすばらしい。これから観るであろう景色への期待が膨らむ。
(画像がかすんでいたので、ちょっと加工してメリハリをつけてみた)

宝篋山の公式ガイドマップはこちら  

今回はメインである極楽寺コースをたどったので、その報告をしたい。
ちなみにコースタイムは往復2時間半ほどだが、私は5時間もかかってしまった(!)


アプローチの農道では、早くもカントウタンポポが出迎えてくれた。
コブシの咲く宝篋山へ -その1-_d0163696_23293159.jpg
この場所には在来種が似合う。
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イノシシ除けの柵を通過すると、早くもコブシの登場。
コブシの咲く宝篋山へ -その1-_d0163696_23295803.jpg
このあたりのコブシは植栽されたものだろう。
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ねらいどおり、花の真っ盛り。
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まさに満開であった。
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純白のように見えて、裏側にほんのり紅が差している。
う~む。やっぱりコブシは好い。

さて、いよいよ登山道へ。
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登りはじめの道には縦横に根が這い、生命の力強さを感じさせる。

さらに沢沿いのよく整備された道を進む。
コブシの咲く宝篋山へ -その1-_d0163696_23310381.jpg
登山道沿いにはニリンソウ。
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まだ咲きはじめで、一輪ずつ咲いている。
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つけ根につぼみがあって、これが開いて二輪草となる。

沢沿いの湿ったところにはネコノメソウのなかま。
コブシの咲く宝篋山へ -その1-_d0163696_23313658.jpg
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帰宅後に調べると、これ(↑)はヤマネコノメソウのようだ。

こちら(↓)はネコノメソウと思われる。
コブシの咲く宝篋山へ -その1-_d0163696_23321460.jpg
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ネコノメソウのなかまはたくさんの種があって、どれも小さくて区別しにくい。

さて、いよいよ第一目標地点まで来た。
コブシの咲く宝篋山へ -その1-_d0163696_23323790.jpg
周囲の木々から頭を出している、これが “太郎こぶし”
近くで観ようと林の中に入る。
見上げるような巨木で、1カットで全身を撮ることができない。
コブシの咲く宝篋山へ -その1-_d0163696_23324784.jpg
樹冠部ではたくさんの花が咲いているのだが、逆光で見えない。
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生えぎわはこれ。(↓)
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何本もの幹が癒合しているように見えるが、これで一本の幹。
“太郎こぶし”の表示板があって、裏面に周囲は270cmあると記されていた。

“太郎こぶし”の近くにはたくさんのコブシが林立していた。
コブシの咲く宝篋山へ -その1-_d0163696_23331745.jpg
“太郎こぶし”の子どもたちだろうか。
コブシの咲く宝篋山へ -その1-_d0163696_23332906.jpg
みんな立派な大木で、10本くらいはありそうだ。
“次郎こぶし”“三郎こぶし”“拳四郎”…“九郎義経こぶし”、“十兵衛三厳こぶし”…
一株ずつ命名したくなってしまう。
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“太郎こぶし一家”の集合写真。(↑)
中央やや左の奥に見えるのが家長の “太郎こぶし”

このあたりは山頂までの中間地点で、前掲の写真でたくさんのコブシがあったところだ。
ガイドマップによると、ここまでの標準的コースタイムは50分だが、私の場合は80分もかかってしまった。(大汗)

<後編に続く>


登山道はとてもていねいに整備され、管理が行き届いている。
沢沿いの道は両側が通行可能になっていて、迷いそうに思うかもしれないが、どの道をたどってもすぐに合流するので心配はない。
地元の有志による活動によるそうだ。心より感謝したい。


おまけ
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沢沿いの登山道で観た不思議なもの。
太さは太腿くらいで、長さは10m以上だったろう。大蛇が横たわるような形だ。
フジのほふく茎(ランナー)と思われる。
地図に “大根おろし” と記されているのがこれなのだろうか? 
表示版がないのでわからないが、そうだとすると正しくは “大茎のばし” ということになる。
(細かいことが気になってしまいます。すみません)

2025年4月1日、報告:自然観察大学 事務局 大野透

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# by sizenkansatu | 2025-04-01 23:46 | 植物 | Comments(4)

春は足もとからやってくる

前回、オオイヌノフグリファンクラブ通信vol.13でふれたように、春は足もとからやってくる。
同じ日(3月14日)に観察した植物の主なものを報告しよう。
(今ごろすみません。もう10日以上も経ってしまい、季節はずいぶん進んでしまった…)

オオジシバリ。
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よく似たジシバリの標準和名はイワニガナという名前になったが、こちらはオオジシバリのまま。
なぜでしょう?

カラスノエンドウ。
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今シーズンではこの日初めて花を観た。

シロバナタンポポ。
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オオイヌノフグリと仲良く並んでいた。

ツルスズメノカタビラ(アオスズメノカタビラ)。
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一年草のスズメノカタビラとよく似ているが、こちらは多年草で、密集して群落になる。
青みがかっているのでアオスズメノカタビラともいうが、両種は別種であるという説もあるらしい。

ヒメウズ。
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待ってました。ヒメウズの開花。
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はいつくばって花を撮る。
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今年はちゃんと咲いてくれたが、来年以降、ちょっと心配なことがある。
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ヒメウズは上の写真のヤブツバキの下とつつじの生け垣沿いに群落をつくっている。
ここは雑木林の林床のようになっていたのだが、この冬に強烈な剪定がなされた。
環境の変化がヒメウズの群落にどう影響するのか、注目していきたい。
参考① ヒメウズの観察 : 自然観察大学ブログ  
参考② ヒメウズの一年 2022-2023 : 自然観察大学ブログ  


足もと、つまり低いところの植物は、他に先駆けて花を咲かせ、果実を実らせるものが多い。
樹木や背の高い植物が繁茂して木陰にならないうちに、一生を終えてしまうという作戦だろう。
春は足もとからやってくるのだ。

とはいえ、足もと以外の植物でも、もちろん春はやってくる。

まずはおなじみの‘河津桜’。
春は足もとからやってくる_d0163696_22351586.jpg
何度も言うが、これは3/14の撮影で、今ごろはもう花が終わっているころかも…

次はシダレザクラ。
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これは雄花のつぼみ。雌雄別種で、雌株はめったに見かけない。

ダンコウバイ。
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クスノキ科で、これは雌株の雌花。

こちらはマユミの萌芽。
春は足もとからやってくる_d0163696_22353451.jpg
葉は冬芽の中で縦に丸めて収納されていたことがわかる。
シュートのつけ根のほうには花序がある。
マユミの萌芽はアオイスミレさんの記事で拝見し、実物を見たいと思っていたもの。
● 葉っぱの赤ちゃん~冬芽から芽吹きへ~ : 里山の四季  
アオイスミレさん、ありがとうございました。

2025年3月25日、報告:自然観察大学 事務局 大野透

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# by sizenkansatu | 2025-03-25 22:44 | 植物 | Comments(6)

オオイヌノフグリ ファンクラブ通信 vol.13

オオイヌノフグリ ファンクラブ通信 vol.13_d0163696_19385311.jpg
3月14日の水元公園。
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オオイヌノフグリが見ごろを迎えていた。
オオイヌノフグリ ファンクラブ通信 vol.13_d0163696_19391567.jpg
暖かな陽射しを受けて一面に広がる。
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うれしくなって、ついたくさん撮ってしまう。
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やはりオオイヌノフグリは好い。

この日の水元公園では、同じなかまのコゴメイヌノフグリとフラサバソウも花盛りであった。
どうやら春は足もとからやってくるようだ。


コゴメイヌノフグリ
オオイヌノフグリ ファンクラブ通信 vol.13_d0163696_19395448.jpg
メタセコイアの林床に一面のコゴメイヌノフグリ。
今の時季は葉を落としているので、陽当たりは良好だ。
オオイヌノフグリ ファンクラブ通信 vol.13_d0163696_19400314.jpg
コゴメイヌノフグリはどこにでもあるわけではないが、あるところでは“これでもか”というほど多く見られる。


フラサバソウ
オオイヌノフグリ ファンクラブ通信 vol.13_d0163696_19401373.jpg
同じメタセコイアの林の、少し奥まった小径沿いにフラサバソウの群落があった。
オオイヌノフグリ ファンクラブ通信 vol.13_d0163696_19402386.jpg
陽当たりはあるものの、陽の射す時間はほかよりも短いだろう。


3種の育つ環境をくらべてみよう

オオイヌノフグリは陽当たりのよいところが好きで、木陰になるところで群落となることはない。
コゴメイヌノフグリは、多少は陰になるような、明るい林床で大群落を作る。逆に一日じゅう陽の当たるようなところでは観られなかった。
フラサバソウはもう少し暗いところで群落となる。常緑樹の林縁にもよく観られる。しかし、一日じゅう陽の当たる場所でも群落をつくる。
3種はわりときっちり住み分けをしているようだが、微妙に条件がずれたり重なったりしている。

オオイヌノフグリとコゴメイヌノフグリ。
オオイヌノフグリ ファンクラブ通信 vol.13_d0163696_19403621.jpg
淡い紺青色で一回り大きな花がイヌノフグリで、白色でやや小さめの花はコゴメイヌノフグリ。
オオイヌノフグリ ファンクラブ通信 vol.13_d0163696_19404813.jpg
両種が入り混じっていることはめずらしくない。
オオイヌノフグリ ファンクラブ通信 vol.13_d0163696_19410626.jpg
…ということは、両種の好適な環境には共通したものがあるということだろう。

こちら(↓)はフラサバソウとオオイヌノフグリ。
オオイヌノフグリ ファンクラブ通信 vol.13_d0163696_19412713.jpg
写真では、フラサバソウの群落に、オオイヌノフグリの大きな花が二つだけ見えている。
このような状況はいくつも観られた。

こちら(↓)はめずらしい例。
オオイヌノフグリ ファンクラブ通信 vol.13_d0163696_19411804.jpg
写真左のフラサバソウと右のオオイヌノフグリが隣接し、せめぎ合っているかのようだ。

オオイヌノフグリとフラサバソウが混在する場面はこの日は観られなかった。
両種にとって好適な環境はずれがあるということだろう。

では、コゴメイヌノフグリとフラサバソウはどうか。
オオイヌノフグリ ファンクラブ通信 vol.13_d0163696_19414513.jpg
この2種は、入り乱れて混じる場面が多かった。
オオイヌノフグリ ファンクラブ通信 vol.13_d0163696_19415379.jpg
両種にとって好適な環境が近いのだろう。

こちらはツツジの生け垣に沿ったコゴメイヌノフグリとフラサバソウの群落。
オオイヌノフグリ ファンクラブ通信 vol.13_d0163696_19420617.jpg
よく観ると、生け垣の中のほうまでコゴメイヌノフグリの白い花がある。

この2種は果実の形がよく似ていることや、子葉が大きくて成長した後まで残ることなど、共通する点が多い。

陽当たりを好むかどうかという点で、3種は次の順になるようだ。
オオイヌノフグリ > コゴメイヌノフグリ > フラサバソウ

今回の3種を含めて、オオイヌノフグリのなかまを一昨年観察してまとめたので、よろしければそちらもご覧いただきたい。
● オオイヌノフグリのなかまのまとめ : 自然観察大学ブログ  

………………………………………………………………
オオイヌノフグリ ファンクラブ通信 vol.12_d0163696_15563459.jpg
オオイヌノフグリ ファンクラブ(略称:OFC)とは…

私たちの目的は、オオイヌノフグリを愛でる者同士の連帯をはかること。
オオイヌノフグリを愛でる者なら、どなたでも入会できる。
● 会の規約はこちら(PDF)  
● 最新の会員名簿はこちら(PDF)  
● 設立時の記事(2024年3月24日)  
● 常時会員募集中:入会希望の方は、コメント記入などでご連絡いただきたい。

2025年3月20日、報告:自然観察大学 事務局 大野透
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# by sizenkansatu | 2025-03-20 21:21 | 植物 | Comments(0)

スギの花が咲いた

今日、3月13日の昼に、近所のスギの開花を確認した。
花粉症で苦しむ方には申し訳ないが、お付き合いいただければありがたい。

スギの花が咲いた_d0163696_23091003.jpg
遠目には前回2月末に観たつぼみ( )と変わらない。

拡大して観ると鱗片が開いて花粉を出している。(↓)
スギの花が咲いた_d0163696_23092066.jpg
一部が白くなっているのは花粉で、昨日の雨で濡れているところに花粉がついたのだろう。

比較のために、つぼみの写真も載せておきましょう。
スギの花が咲いた_d0163696_23095000.jpg
これ(↑)は3月7日の撮影で、鱗片が閉じている。

今日(3/13)のスギの花を拡大して観よう。
スギの花が咲いた_d0163696_23095973.jpg
鱗片が広がっている。とても地味だが、これでも花の盛りだ。(↑)

2コマ前の花粉で白くなった雄花の拡大。(↓)
スギの花が咲いた_d0163696_23100860.jpg
粒々が花粉。濡れたところにほかの雄花の花粉が積もったものと思われる。
こうしてみると、花粉は意外に大きい。

なお、残念ながら近所のスギでは雌花は見当たらなかった。
雌花は注目度が低く地味な花だが、無駄のないみごとな構造をしている。
興味のある方は次をご覧いただきたい。
● スギの花 : 自然観察大学ブログ  


さて、枝をゆすって花粉を散らしてみよう。
スギの花が咲いた_d0163696_23102186.jpg
幸いなことに私は花粉症とは無縁。申し訳ないが、もう一度揺らしてみよう。
スギの花が咲いた_d0163696_23103022.jpg

近所のスギが満開の今こそが、関東平野の花粉飛散量のピークではないだろうか。
花粉症の方におかれては、このあと症状が軽減されることを願っております。

2025年3月13日、報告:自然観察大学 事務局 大野透

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# by sizenkansatu | 2025-03-13 23:15 | 植物 | Comments(0)

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by sizenkansatu
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