コブシの咲く宝篋山へ -その2-
前回( ⇒ )の続き。
ていねいに下草が刈られて、明るい森が維持されている。管理作業をされている方々の労力を思うと頭が下がる。
今回のもう一つの目標だ。
元禄という名前のとおりなら、樹齢は350年ほどになるだろう。
この巨木が名前のとおり元禄の生まれだとすると、生類憐みの令や奥の細道、忠臣蔵の時代から、ずっと世の移り変わりを見てきたことになる。
樹皮の凹凸が艱難辛苦を物語るが、350歳にしてはきれいな木肌だ。
♪ 白樺ぁ 青空 南風
こぶし咲く あの丘北国の
ああ 北国の春 ♪
…思わず歌い出してしまいそう。
“こぶしの森”と言っても、コブシは点在するだけで、むしろヤマザクラが多いもよう。
ヤマザクラの季節に、もう一度来なければ…
さて、これで目的のコブシを観ることができた。
ここまでで下山しようかとも思ったが、山頂まではあと少しなので寄り道しながら登ることにしよう。
キブシ
ヌルデの五倍子(フシ)の代わりに鉄漿(おはぐろ)の染料に利用されたのが名前の由来という。
ウグイスカグラ
カグラは神楽とか狩座などと諸説あるが、納得できるものはない。
キジムシロ
カヤ
宝篋山のカヤたちはかなり大きいが、どうなのだろう。
オオバヤシャブシ(?)
本来は海岸近くに生育するものだというが、どうだろうか。
(ただし、私は近くの町で生まれ育ったのだが、そのころは宝篋山ではなく小田山と呼んでいた。)
塔の説明書き。(↓)
“すべての生類”を分け隔てなく扱うとは、すばらしい。
宝篋山は筑波山の隣に位置する。
山の管理をしておられるグループで運営しておられるのだろう。
手入れも行き届いて、気持ちよく利用できる。
何より手前に見えるオオイヌノフグリがGood。
なお、施設内には募金箱が置かれていて、私はここを訪れる都度、僅少ながらご報謝させていただいている。
ありがとうございました。
別件ですが…
コブシを観に行った3月26日、自宅(集合住宅)にツバメの営巣を確認した。例年よりも1,2週間早い時期の飛来である。
その日は暖かい日だったが、それ以降は今日(4月3日)まで寒い日が続いている。
夜は寒いのだろう、夫婦そろって頭を巣に突っ込むようにして、尾羽だけを外へ突き出してじっとしている。
早く飛来したツバメは餌不足で生きられない可能性があるというが、今日までは何とか無事に過ごしている。
明日からは暖かくなるようなので、うまく繁殖できるように願っている。
2025年4月3日、報告:自然観察大学 事務局 大野透
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by sizenkansatu
| 2025-04-03 23:14
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コブシの咲く宝篋山へ -その1-
登山口から点々と白く見えるのはコブシの木だ。
登山ルートはこのコブシをたどっていくことになる。
山頂には電波塔があるが、かすんでよく見えない。
この日は黄砂の飛来があった日で、残念ながら遠くはかすんでしまう。
(画像がかすんでいたので、ちょっと加工してメリハリをつけてみた)
宝篋山の公式ガイドマップはこちら ⇒
今回はメインである極楽寺コースをたどったので、その報告をしたい。
ちなみにコースタイムは往復2時間半ほどだが、私は5時間もかかってしまった(!)
アプローチの農道では、早くもカントウタンポポが出迎えてくれた。
この場所には在来種が似合う。
イノシシ除けの柵を通過すると、早くもコブシの登場。
このあたりのコブシは植栽されたものだろう。
ねらいどおり、花の真っ盛り。
まさに満開であった。
純白のように見えて、裏側にほんのり紅が差している。






う~む。やっぱりコブシは好い。
近くで観ようと林の中に入る。
“太郎こぶし”の表示板があって、裏面に周囲は270cmあると記されていた。
“次郎こぶし”“三郎こぶし”“拳四郎”…“九郎義経こぶし”、“十兵衛三厳こぶし”…
中央やや左の奥に見えるのが家長の “太郎こぶし”
このあたりは山頂までの中間地点で、前掲の写真でたくさんのコブシがあったところだ。
ガイドマップによると、ここまでの標準的コースタイムは50分だが、私の場合は80分もかかってしまった。(大汗)
<後編に続く>
登山道はとてもていねいに整備され、管理が行き届いている。
沢沿いの道は両側が通行可能になっていて、迷いそうに思うかもしれないが、どの道をたどってもすぐに合流するので心配はない。
地元の有志による活動によるそうだ。心より感謝したい。
おまけ
太さは太腿くらいで、長さは10m以上だったろう。大蛇が横たわるような形だ。
フジのほふく茎(ランナー)と思われる。
地図に “大根おろし” と記されているのがこれなのだろうか?
表示版がないのでわからないが、そうだとすると正しくは “大茎のばし” ということになる。
(細かいことが気になってしまいます。すみません)
2025年4月1日、報告:自然観察大学 事務局 大野透
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by sizenkansatu
| 2025-04-01 23:46
| 植物
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春は足もとからやってくる
前回、オオイヌノフグリファンクラブ通信vol.13でふれたように、春は足もとからやってくる。
同じ日(3月14日)に観察した植物の主なものを報告しよう。
(今ごろすみません。もう10日以上も経ってしまい、季節はずいぶん進んでしまった…)
なぜでしょう?
青みがかっているのでアオスズメノカタビラともいうが、両種は別種であるという説もあるらしい。
ヒメウズ。
待ってました。ヒメウズの開花。
はいつくばって花を撮る。
今年はちゃんと咲いてくれたが、来年以降、ちょっと心配なことがある。
ヒメウズは上の写真のヤブツバキの下とつつじの生け垣沿いに群落をつくっている。




ここは雑木林の林床のようになっていたのだが、この冬に強烈な剪定がなされた。
環境の変化がヒメウズの群落にどう影響するのか、注目していきたい。
参考① ヒメウズの観察 : 自然観察大学ブログ ⇒参考② ヒメウズの一年 2022-2023 : 自然観察大学ブログ ⇒
足もと、つまり低いところの植物は、他に先駆けて花を咲かせ、果実を実らせるものが多い。
樹木や背の高い植物が繁茂して木陰にならないうちに、一生を終えてしまうという作戦だろう。
春は足もとからやってくるのだ。
とはいえ、足もと以外の植物でも、もちろん春はやってくる。
シュートのつけ根のほうには花序がある。
マユミの萌芽はアオイスミレさんの記事で拝見し、実物を見たいと思っていたもの。
● 葉っぱの赤ちゃん~冬芽から芽吹きへ~ : 里山の四季 ⇒
アオイスミレさん、ありがとうございました。
2025年3月25日、報告:自然観察大学 事務局 大野透
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by sizenkansatu
| 2025-03-25 22:44
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オオイヌノフグリ ファンクラブ通信 vol.13
この日の水元公園では、同じなかまのコゴメイヌノフグリとフラサバソウも花盛りであった。
どうやら春は足もとからやってくるようだ。
コゴメイヌノフグリ
フラサバソウ
3種の育つ環境をくらべてみよう
オオイヌノフグリは陽当たりのよいところが好きで、木陰になるところで群落となることはない。
コゴメイヌノフグリは、多少は陰になるような、明るい林床で大群落を作る。逆に一日じゅう陽の当たるようなところでは観られなかった。
フラサバソウはもう少し暗いところで群落となる。常緑樹の林縁にもよく観られる。しかし、一日じゅう陽の当たる場所でも群落をつくる。
3種はわりときっちり住み分けをしているようだが、微妙に条件がずれたり重なったりしている。
…ということは、両種の好適な環境には共通したものがあるということだろう。
このような状況はいくつも観られた。
オオイヌノフグリとフラサバソウが混在する場面はこの日は観られなかった。
両種にとって好適な環境はずれがあるということだろう。
この2種は果実の形がよく似ていることや、子葉が大きくて成長した後まで残ることなど、共通する点が多い。
陽当たりを好むかどうかという点で、3種は次の順になるようだ。
オオイヌノフグリ > コゴメイヌノフグリ > フラサバソウ
今回の3種を含めて、オオイヌノフグリのなかまを一昨年観察してまとめたので、よろしければそちらもご覧いただきたい。
● オオイヌノフグリのなかまのまとめ : 自然観察大学ブログ ⇒
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私たちの目的は、オオイヌノフグリを愛でる者同士の連帯をはかること。
オオイヌノフグリを愛でる者なら、どなたでも入会できる。
● 会の規約はこちら(PDF) ⇒● 最新の会員名簿はこちら(PDF) ⇒● 設立時の記事(2024年3月24日) ⇒● 常時会員募集中:入会希望の方は、コメント記入などでご連絡いただきたい。
2025年3月20日、報告:自然観察大学 事務局 大野透
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by sizenkansatu
| 2025-03-20 21:21
| 植物
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スギの花が咲いた
今日、3月13日の昼に、近所のスギの開花を確認した。
花粉症で苦しむ方には申し訳ないが、お付き合いいただければありがたい。

こうしてみると、花粉は意外に大きい。
なお、残念ながら近所のスギでは雌花は見当たらなかった。
雌花は注目度が低く地味な花だが、無駄のないみごとな構造をしている。
興味のある方は次をご覧いただきたい。
● スギの花 : 自然観察大学ブログ ⇒
近所のスギが満開の今こそが、関東平野の花粉飛散量のピークではないだろうか。
花粉症の方におかれては、このあと症状が軽減されることを願っております。
2025年3月13日、報告:自然観察大学 事務局 大野透
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| 2025-03-13 23:15
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