自然観察大学ブログ

季節の生きもの観察手帖がまもなく完成 (3)

まもなく完成する「季節の生きもの観察手帖」の予告編その3。

※ これまでの予告編は次で見られます。
(1) ⇒ 
http://sizenkan.exblog.jp/23901157/ 
(2) ⇒ 
http://sizenkan.exblog.jp/23999638/ 


今回はサイドストーリーというか、ちょっと横にそれた話をさせていただく。
(隠された真実とも言う)


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これはダミー。
もう上がったように見えるが、まだ印刷が終わった状態の “刷り出し” というもので、そのカバーを巻き付けている。

いまは本文もすべて印刷を終了したところで、このあと断裁して綴じるという「製本」の作業がある。


上の写真は束見本(つかみほん)という製本の見本に、表紙カバーをかけたものだ。


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中身はこの通り、真っ白なのである。



① 表紙カバーはリバーシブル


上の画像の表紙カバーも自信作で、シックでありながらも、書店の店頭などでシッカリと主張するデザインだと思う。
しかし、購入後、日々この本を利用するとなると、落ち着いたものが望ましい、という方も多いのではないかと考えた。
そこで、カバーをリバーシブルにした。


リバーシブルの反対面はこれ。

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右上に小さく白丸でタイトルが入る。
画面では薄黄緑色のベタに見えるかもしれないが、微妙な市松模様があって、上品さが漂う。
表紙カバーのこの面であれば、だれもが意識することなく持ち歩くことができると考えたのだ。



② 大きく開く広開本


2枚目の「中身が白い」という写真を見ていただくと、大きく開いて平らになっていることが分かる。
普通の本ではこうはいかない。
“大きく開いて、そのまま置ける” ことは、唐沢孝一編集委員長(自然観察大学学長が兼任)のこだわりであった。

その秘密は背にある。

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背表紙が、本体と離れている。これを「広開本」という。
分厚い事典などと、基本的には同じ形だ。


これによって、大きく開くことができて、しかもそのまま置くことができる。
本文の紙は糊でついているだけなのだが、この糊がすぐれもので、どんなに強く飛来でもはがれることはない。技術の進歩である。
(本書を手に入れた方は、恐れずにガバッと開いてください)


従来の普通の本はこうなる。

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厚い背表紙に糊付けされているために、ページを開いたまま机上に置くことは難しい。
(ちなみにこの本は、唐沢学長の「校庭の野鳥」)



③ 自分の観察を書き込める


これは表紙カバーの下のほうに書いているその言葉のままである。
「読者(利用者)のみなさんには、自分の観察を書き込んで記録していただきたい」というのが、本書に込められた願いである。
書き込むためには、机上で開いて書き込みやすいのがよい。
唐沢編集委員長が “広開本” にこだわった理由はここにあった。


これは前述の “刷り出し”

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3/19の項を拡大してみよう。
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この前の日曜日に、千葉県柏市の柏の葉公園で観察したことが書き込まれている。
日付だけで曜日が無いため、何年でも続けて利用できるのが、この本の利点である。
そのために、極力空白スペースを用意している。掲載したい情報がたくさんあるのに、あえて我慢したのである。(ホント)


カレンダーとしての機能はないのだが、“しがらみから解放されて、自然観察を楽しもう” というのがこの本の主張なので、それでよいのだ。


ところで、上の書き込みは不肖事務局Oによる。
下手な字で申し訳ない。
本書は、とても書きやすい紙を採用しているが、文字が綺麗になるわけではない。


右ページの書き込みはこれ。

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トサミズキとヒュウガミズキの写真を貼り付け、見分けるポイントを書き込んでいる。


生物季節は年ごとに、あるいは地域や環境などによって異なるものであり、それを記録していただきたい、というのが、本書に込められた願いなのである。


自然観察を愛するみなさんには、ぜひご利用いただきたい。


※ 自然観察大学HPには、本書の詳しい内容が紹介されています。
 ⇒ 
http://sizenkansatu.jp/pbl/index_tcho.html
 


2017年3月24日、報告:自然観察大学 事務局O


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# by sizenkansatu | 2017-03-24 20:42 | その他 | Comments(0)

季節の生きもの観察手帖がまもなく完成(2)

まもなく完成する「季節の生きもの観察手帖」の予告編その2。
具体的な内容を紹介させていただく。
この手帖の中核となるのは「季節のおすすめ観察テーマ」「日々の観察記録とミニ図鑑」。
この2つの柱を紹介しよう。

※ 予告編(1)は次で見られます。 ⇒ http://sizenkan.exblog.jp/23901157/


● 季節のおすすめ観察テーマ

二十四節気は、立春や春分、夏至や冬至、大寒など、なじみのあるものだ。
およそ半月(15日)単位の、季節を現す用語として、天気予報などでも頻繁に使用される。
本書では、各節気の解説とともに、代表的な俳句を紹介し、「季節のおすすめ観察テーマ」を掲載している。
例えば春分はこれ。

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この季節に野外で目立つものに、ヒメオドリコソウがある。
ヒメオドリコソウは外来の雑草だが、花を拡大してみるとなかなか美しい。
そしてその名前のもとになったオドリコソウと比較してこれらの特徴を記してある。

「季節のおすすめ観察テーマ」は、自然観察大学講師陣による執筆で、各分野の専門家が、興味深いテーマを詳しく、かつ分かりやすく記している。
ここで二十四節気分の「おすすめ観察テーマ」を列記させていただく。


立 春 : 鳥たちの恋の季節-ヒバリのさえずり-
雨 水 : つくしとスギナ
啓 蟄 : モンシロチョウの羽化
春 分 : オドリコソウとヒメオドリコソウ
清 明 : カラスノエンドウとアブラムシとテントウムシ
穀 雨 : 春の妖精、ヒメギフチョウの季節


立 夏 : クモの合戦
小 満 : ツバメの子育て
芒 種 : ホタルの話
夏 至 : エノコログサ
小 暑 : セミの羽化と産卵
大 暑 : トンボは眼の付き方が目の付けどころ


立 秋 : つる植物を観よう
処 暑 : 秋に鳴く虫
白 露 : モズの高鳴き
秋 分 : 不思議にみちたヒガンバナ
寒 露 : ジョロウグモの網の観察
霜 降 : セイタカアワダチソウ


立 冬 : ツバキ・サザンカの花と鳥や虫との関係
小 雪 : ムササビの観察
大 雪 : 春を待てない雑草
冬 至 : 昆虫の越冬を観よう
小 寒 : 春の七草
大 寒 : ニホンアカガエル、産卵のはじまり


● 日々の観察記録とミニ図鑑

七十二候のページがもう一つの柱だ。
およそ5日単位の候を見開きとし、日々の観察記録と、そのミニ図鑑を掲載している。

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左ページは “このころに○○が観察できますよ” という記録である。
NPO法人自然観察大学の会員のみなさんから寄せていただいた膨大なデータの中から、専門家である編集委員によって厳選された、おすすめの対象の、観察に適した日付のものである。

右ページのミニ図鑑では、慣れない人、あるいは得意分野以外の生物についてすぐにわかるように、写真を掲載し、ワンポイント解説も記している。
「タビラコってどんな植物?」「イワツバメはツバメに似てるの?」といったような疑問にこたえるものだ。


さらに、自然観察のトップシーズン、例えばゴールデンウイーク以降などでは、2日あるいは3日単位の見開きとして、たくさんの情報を掲載している。


七十二候のページでもう一つ注目したいのは、上の欄の候の解説である。
二十四節気が季節を現す観念的なものであるのに対し、七十二候節気はより具体的に季節を表している。
もともと自然観察から生まれた七十二候は、日々の観察にうってつけのはずである。



ここからは、いささか余談になりますが…

候は漢語であり、残念ながらそのままでは現代には通用しない。
ふつうはこれを暦の専門家などが、つぎのように文字の意味を読み解いている。

 桐始結花 : きりはじめてはなをむすぶ … およそ7月23~27日
 
ここで賢明なみなさんはおかしなことに気づいただろう。
桐の花は春に咲くものだが、7月下旬に花を結ぶとはどういうことか?
ほかでは“花”を“実”に置き換えるという解釈をしているが、本書では “キリはアオギリを指すという説もある” と記してある。生物の専門家ならではの解説である。

このような、自然観察大学ならではの解釈は、次の候にもある。
 綿 柎 開 : わたのはなしべひらく … およそ8月23~27日
       (注)柎 = はなしべ(木ヘンに付)
 麋 角 解 : しかのつのおつる … およそ12月26~30日
       (注)麋 = しか(鹿の下に米)
さて、正解は本書でどうぞ…

※ 自然観察大学HPには、本書の詳しい内容が紹介されています。
 ⇒ 
http://sizenkansatu.jp/pbl/index_tcho.html 

2017年3月21日、報告:自然観察大学 事務局O


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# by sizenkansatu | 2017-03-21 20:35 | その他 | Comments(0)

マンサクの花

2月の半ばのマンサク。
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ここ(千葉県柏市)では2月のはじめから咲き始め、この日は満開だった。
(あいかわらず遅い情報ですみません)
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一か所に複数の花がつき、遠目に見ると複数の花が重なり合って毛玉のように見える。

マンサクは、ほかに先駆けて咲くので 「まんず咲く」 が名前の由来だという。
この季節はまだ昆虫が少ないようで、花粉媒介者は観なかった。
マンサクは長い間咲くことで、受粉の確率を上げているのだろう。

細長い花弁の、もとのほうを拡大してみると…
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花弁が4個で、がくに包まれた雄しべと雌しべの柱頭も確認できる。
構造的には、正統派の花の構造をしている。

なお、マンサクは古くから栽培されていて、これはアカバナマンサクという品種らしい。



マンサクの花弁の開き方

それにしても、不思議な形の花だ。

細長い花弁は、つぼみのときには巻いて小さく収まっているが…

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徐々に伸びて開いていく。
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アカバナのほうで、まさに開きはじめの花があった。
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どういう力がはたらいて、開いていくのか?

羽化したばかりの昆虫の翅が伸びるような、そんなことを連想させる。

2017年3月9日、報告:自然観察大学 事務局O


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# by sizenkansatu | 2017-03-09 18:24 | 植物 | Comments(0)

季節の生きもの観察手帖がまもなく完成(1)

自然観察大学の本がまもなく完成する。
NPO法人自然観察大学の企画・編集の初めての出版だ。

タイトルは表記のとおり「季節の生きもの観察手帖」。

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これがカバーデザイン。
まだ校正段階だが、内緒で公開(?)させていただく。
関係者の間ではなかなか好評だ。

右上の枠内「自然を楽しむ…」がサブタイトルで、正式なタイトルは次のようになる。

季節の生きもの観察手帖
自然を楽しむ二十四節気・七十二候

この本はNPO法人自然観察大学が総力をあげたもので、8人の“季節の生きもの観察手帖編集委員”(委員長は唐沢学長)を中心に、講師陣を含むNPO会員が一丸となって進めてきた。
草、木、鳥、虫、菌類など、自然・生き物をまるごと観察しようという、自然観察大学ならではの内容である。

全容については、目次を見ていただくのがよいと思う。(画像のクリックで拡大表示)

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二十四節気・七十二候をもとに、季節ごとに日々の自然観察を楽しむためのガイドブックである。
(一部の文字が化けているが、校正なのでご容赦いただきたい)


カバーの折り返しはこんな感じ。

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自然観察大学の願いを込めた本だ。

予定では4月半ばころの発行。
待ち遠しいです。

※ 自然観察大学HPには、本書の詳しい内容を紹介しています。
 ⇒ http://sizenkansatu.jp/pbl/index_tcho.html 

このブログの関連記事
 予告編(2) ⇒ http://sizenkan.exblog.jp/23999638/ 
 予告編(3) ⇒ http://sizenkan.exblog.jp/24015944/ 
 完成報告  ⇒ http://sizenkan.exblog.jp/24042214/ 


2017年3月3日、報告:自然観察大学 事務局O


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# by sizenkansatu | 2017-03-03 13:33 | その他 | Comments(0)

モミジバフウの話(2)

実と種子

モミジバフウの果実。(去年の11月の写真です。毎度すみません)

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イガイガの果実が枝からぶら下がって揺れている。

熟すと、ところどころにぽっかりと孔が開き、中から種子を散らす。

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上の写真の左に並べたのは種子である。
熟して裂けて種子が飛び散る、というのではなく、ぽっかりと開く感じだ。

種子を拡大してみよう。

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種子には翼があって、これで風に乗って飛散するのだろう。

まだ孔の開く前の未熟な果実もあった。

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ひとつ失敬して、切ってみた。
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断面を見ると、たくさんの果実の集まった複合果であることが分かる。
けっこう硬いので、断面が汚いのはご容赦いただきたい。



余談ですが…

モミジバフウの種子を撮ろうと、完熟して口の開いた果実を振ったら、こんなものが出てきた。

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果皮(内果皮 or 中果皮)が木質化して細かく分離したものなのだろうか?

はじめは、これが種子と思い込んで、まじめに撮影してしまった。
今にして思えば、翼のある本当の種子は、この時点ですでに散ってしまったということなのだろう。



イガイガの正体は?

モミジバフウの果実で一番気になるのは、あのイガイガである。
季節をさかのぼると、その正体がわかる。

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これは6月に撮影した若い果実。
とげは雌しべであり、先端はしおれた柱頭であることが分かる。

残念ながら、花の時期はまだ観察できていない。



冬のモミジバフウ

これは1月末に撮ったモミジバフウ。

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果実は樹上に残る。たぶん、すでに種子を散らしたあとで、要済みのはずなのだが、なぜかこの状態で長く残っている。


こちらは冬芽。

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今年はぜひ、展葉、開花を観察したい。

モミジバフウの話は、次に詳しく紹介されている。

小石川植物園の樹木:
http://www.geocities.jp/kbg_tree/frame-r-botany.html
(上をクリックして一覧から「モミジバフウ」へ)

2017年2月17日、報告:自然観察大学 事務局O


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# by sizenkansatu | 2017-02-17 14:14 | 植物 | Comments(0)

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