自然観察大学ブログ

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江戸川べりの観察-33 フジバカマ

いつもの江戸川べりにはフジバカマがある。
(またまた旧い話で申し訳ないが、9月末の記録です)

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いつもこの近くでは雑草を見ているのだが、たまにはフジバカマもよい。

とてもたいせつにされて、熱心に保護管理をしておられるらしい。
雑草は草刈りをされるのだが、このフジバカマは刈られることはない。
(なぜかキンミズヒキもきっちりと残されている)

花を観てみよう。

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長い糸状のものが目立つ、独特の形をしている。
よく観ると正当なキク科の頭状花で、5個の管状花からなるようだ。これがたくさん集まっている。
ちょっとくたびれた花のように見えるが、丸い蕾も一緒にあるということは、開花したばかりだと思うのだけど… 

アップにすると地味な花だが、人気の理由は何だろう。
フジバカマは秋の七草として広く知られているが、それだけだろうか。
芳香のよさだろうか?

横から観てみよう。

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糸状に突き出しているのは雌しべであることが分かる。
ところで、この日雄しべは確認できなかった。何度も観ているのだが、いつも見つからない。
昼頃だけしか観ていないので、もしかすると朝のうちに雄しべは萎んでしまうのかもしれない。

キク科の花と雄しべと雌しべの話は、次で報告させていただいている。
『セイタカアワダチソウの花を観る』 
 
『続・セイタカアワダチソウの花を観る』 
 

フジバカマの果実はこちら。

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やっぱりキク科らしい、地味な果実。


余談ですが…


江戸川べりのこのエリアでは、地元の方々の意識が高く、つい先日、「国府台フジバカマの里ネットワーク」という活動が立ち上げられた。(国府台は「こうのだい」と読む)
観察会なども行われていて、これには、岩瀬名誉学長も一枚かんでおられる。

詳しく知りたい方は「フジバカマ 市川市」で検索すると、7,000件以上ヒットします。

2015年10月23日、報告:自然観察大学 事務局O


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by sizenkansatu | 2015-10-23 19:41 | 植物 | Comments(0)

オオニシキソウとショウジョウソウ-杯状花序を観る- (木場公園-1)

ちょっと前に報告した木場公園のつづきである。(9月末)

木場公園には、世にも珍しい「帰化植物見本園」というのがあって、これがじつに観ごたえがある。
雑草ファンなら、ぜひ一度は訪れたいところだ。

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立派に育ったオオニシキソウ。
普通の雑草だが、ここではきちんと区画に分けられて、名札がつけられている。

オオニシキソウの花。

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オオニシキソウの花は、ちょっとややこしい。
上の写真に写っているのは3つの花ではなく、3つの花序だというのだ。(杯状花序という)

丸いコロンとしたのは子房で、その先端に柱頭があり、先は3本に分かれている。
全体が雌しべであり、これがじつは1個の雌花であるという。

雄しべはどうか。
子房のつけ根のところに立っているのが雄しべで、先端に葯がある。
この雄しべが1個の雄花であり、花序には多数の雄花がある。

つまり「雌しべだけの雌花」と、「雄しべだけの雄花」が集まった「花序」なのだそうだ。
う~む。徹底的にややこしい。
「雄しべと雌しべを持った花」とはどう違うのか?

さらにややこしいのは白い花びらのようなのがあることだ。
これは花弁ではなく、腺体という付属物なのだそうである。


少し話を変えよう。
オオニシキソウの隣には、ショウジョウソウがあった。

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葉が赤くなって、ちょっとポインセチアに似ている。
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それもそのはず。
ショウジョウソウはポインセチアと同じEuphorbia属の植物なのであった。
雑草というよりは観賞用だが、九州以南では逃げ出して野生化しているものもあるようだ。

ショウジョウソウもポインセチアも、そしてオオニシキソウも、同じトウダイグサ科のEuphorbia属なのである。同じ属だから、花の構造も似ているはずだ。
オオニシキソウとショウジョウソウとを隣り合わせに配置するとは、ありがたい設計である。(すぐ近くにシマニシキソウモあった)

トウダイグサ科なので花(花序)はややこしいが、ショウジョウソウはビッグサイズで観察しやすい。

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つぼ形の総苞を裂くようにして、巨大な子房(雌しべ=雌花)が突出し垂れ下がっている。
雄しべ(=雄花)はハート形の葯があって、王冠の飾りのように総苞のふちにならんでいる。
よく観ると、これも総苞を割って突き出ているようだ。

こちらは別の花序。

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上から観ると中心部はごちゃごちゃしてよくわからない。
左隣にある花序は、雌花が顔を出したところ。どうやら雌性先熟らしい。

それにしても、写真にあるラッパかタコの口のようなものは何か? 
ご存知の方は、ぜひ教えていただきたい。


ところで…

帰化植物見本園は、別の言い方をすると「雑草の見本園」でもある。
雑草といえば放っておいても育ってくれると考えがちだが、条件が整わなければひ弱な一面も持っている。変幻自在、神出鬼没なのも雑草である。
草種ごとに区画され、名札が付けられているが、雑草たちはおかまいなしに逃げ出してしまう。
枯れてしまうこともあるだろう。
管理するには、並々ならぬ苦労をされているのだと思う。

この見本園は、リーダの渡辺さん(むちゃくちゃ詳しい方です)を中心にボランティアの方々で運営されているという。ここでは、いつ行っても何人かの方が作業をされている。
訪れた際には、この方たちと植物たちに、感謝の気持ちをお忘れなく。

2015年10月19日、報告:自然観察大学 事務局O


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by sizenkansatu | 2015-10-19 13:01 | 植物 | Comments(0)

江戸川べりの観察-32 アレチヌスビトハギ 花の謎

前回の果実に続いてアレチヌスビトハギ。

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なかなか美しい花である。
ところで、この写真で何か気づくことはないだろうか。
よく観ると、画面左の花は典型的なマメ科の蝶形花だが、右の花では側弁と竜骨弁(舟弁)が下がって、雄しべと雌しべが突き出ている。

これはどういうことなのだろうか?
写真を整理していて初めて気が付いた。

後日、もっとよく確認しようと同じ場所に行ったときには、再度草刈りがなされて、残念ながら見当たらなかった。



木場公園で…

ところが、別の機会に東京都立木場公園でアレチヌスビトハギを見つけた。
さっそく観てみると、半数以上がそうだった。

正面から観るとこんな感じ。

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お次は横から…
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話はそれるが、この写真では雄しべが1本だけ離れて、残りの9本が合着しているのもわかる。
(雌しべは合着した雄しべに包まれている)

ネットで調べてみると、このことに注目している方がおられた。
●受粉すると蕊(しべ)が出るという説:
「そよ風の中で」(そよかぜさん)  
「自然観察日記」(やすこさん) 
 
「野草クラブログ」(あきさん) 
 
●時間が経つと受粉を促すために蕊が出るという説:
「花の日記」(Pandaさん)  

このように二つの説があるが、正解はどうなのだろう…

上のうち、そよかぜさんは虫が訪れて蕊がポンと飛び出すところを観ているという。
なんとなく前者のような気がする。

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この写真では、付け根に近い3個が閉じた花で、先端に近い1個が突き出た花だ。
普通に考えると、付け根に近いほうから咲くので、そうすると先端に近い新しい花だけが突き出た花ということになる。

アレチヌスビトハギは西日本で多いようだが、関東の私の周りではどこにでもあるというわけではない。
時期的にも、もうすでに終わりのころである。
アレチヌスビトハギの花の謎について、ご教示、ご意見いただければありがたい。
とくに西日本の方、いかがでしょうか…



余談ですが…

木場公園には“帰化植物見本園”というのがあって、地元の有志のご苦労により、見事に管理されている。春から秋まで、百花繚乱の帰化植物がたのしめるおすすめスポットである。
https://www.tokyo-park.or.jp/park/format/index020.html

今回見たアレチヌスビトハギは、そんな管理の手から逃れて繁殖したものらしい。

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写真の左の花のように、傷ものの花が多数あった。
たぶんクマバチの盗蜜と思われる。

家に帰って写真を整理しているときに傷ものと気付いたのだが、こんなカットがかなりあって、これらはすべて蕊を出していた。



余談のオマケ

写真の中に、ヒラタアブが訪花しているカットがあった。

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狙ってもなかなかピントが合わないものだが、上の写真はバッチリだったので紹介させていただいた。

ヒラタアブも傷ものとは知らずに訪花したのだろう。
私と同様、老眼が入っているのかもしれない。

2015年10月7日、報告:自然観察大学 事務局O


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by sizenkansatu | 2015-10-07 13:14 | 植物 | Comments(0)

江戸川べりの観察-31 アレチヌスビトハギ ひっつく実の秘密

アレチヌスビトハギの果実。

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ズボンの裾や靴紐にこれが貼り付くと、取り除くのが一苦労である。
しかもくっついた後は節ごとにバラバラになりやすく、始末に困る。
ひっつく実のなかでも、横綱クラスだと思う。
その理由は拡大して観ると分かる。
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果実のへりの部分に鍵のようなとげがびっしりならぶ。(クリックで拡大します)
角度がバラバラなので、どんなチャンスも逃さずに引っ付くことができるだろう。
とげはへりに多いのだが、面の部分にもやや少ないが同じようなとげがある。(この写真では光の加減で観えていないだけ)


アレチヌスビトハギの全身はこれ。

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私の近所の江戸川べりの、決まったところに毎年出る。
今年は悪い時期に草刈りをされたらしく、わずかに残った(再生してきた?)のが上の写真である。

次回は“アレチヌスビトハギの花の謎”について報告の予定。
アレチヌスビトハギについては、「江戸川べりの観察-13」   で報告しているが、この花の謎のために、あえて2度目の報告となった次第である。

2015年10月6日、報告:自然観察大学 事務局O


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by sizenkansatu | 2015-10-06 13:04 | 植物 | Comments(1)

江戸川べりの観察-30 ヤノクチナガオオアブラムシとアリ

エノキの幹にアリの群れ。

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近くに寄って観ると、アリの群れの中にアブラムシがいる。
息を吹きかけてどいてもらって撮った。
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ヤノクチナガオオアブラムシである。(アリはあまりどいてくれていない)
名前のとおり、口吻が長い。
みんなで並んで、樹皮のすき間に口針を差し込んでいる。
ときどき尻から甘露が出て、それをアリがいただく。

何かの都合で、口吻を抜いたアブラムシがいた。

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体長の2~3倍はありそうな長い口吻。
このアブラムシは自分で移動できないので、アリに運んでもらうらしい。
よくもまぁ、長くなったものである。
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画面右側の小形で体型の違うのは脱皮直後の幼虫だろうか?

自然観察大学の観察会でも過去に何度か登場した、特異なアブラムシだ。

※ 2006年 岡発戸・都部谷津第●会観察会レポート ⇒  http://sizenkansatu.jp/06daigaku/index_y2.html 


地際のほうを観てみると、途中で切れた蟻道があった。

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本来なら、この蟻道が上にのびて、はじめの写真の群れ全体が覆われていたはずだが、雨風で壊されたものらしい。



ところで、ヤノクチナガアブラムシを飼育(?)していたアリはこれ。

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先の観察会レポートにあったのと同じクロクサアリだろうか。

このアリが、撮影中の私を攻撃してきた。
樹幹の虫を撮るときには、レンズを持つ左手の人差し指を樹皮につけて安定させるのだが、その指を登ってきたのである。

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かみついているのは私の左手の指。
(写りがよくないが、痛みをこらえながら、なんとか片手で撮っているので、ご勘弁いただきたい)

追い払ってもなかなか離れない。
移動して、今度は指の間の柔らかいところに食いついた。

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我慢していると、血が出てきた。(痛いのでピンボケ)
甘露のように血を舐めている。
ピンチだ! このままでは私がアリの家畜にされてしまう!!

このアリはかなり攻撃的で、クチナガオオアブラムシのガードマンとして、なかなか有能なようだ。


余談ですが…

ところで、私がはじめてクチナガアブラムシに出会ったのはこれ。

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ハンノキクチナガオオアブラムシという。
アブラムシの専門家であるM崎先生に同行して栃木県内を回ったときに見せていただいたもので、今から四半世紀近く前になる。
それまでの私は、アブラムシといえばワタアブラムシやモモアカアブラムシのような、ごく普通のアブラムシしか知らなかったので、これを観たときのカルチャーショックはすごかった。
感激のあまり、あれやこれやと撮影し、近くのササの葉において撮ったのが上の写真というわけだ。
M崎先生、ありがとうございました。

2015年10月5日、報告:自然観察大学 事務局O


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by sizenkansatu | 2015-10-05 13:10 | 昆虫など | Comments(0)

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