自然観察大学ブログ

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窓際の雑草 オニタビラコ(赤鬼)

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去年から注目していた、窓枠のオニタビラコ。
事務所の近くのラーメン屋さんの窓枠である。
この写真は今年2月19日。
葉が枯れてしまうと、中心部から新しい葉が出て入れ替わる。
枯れることはないが、大きくなることもない。
こんな場所でいつまで成長できるのか、心配しながら観察を続けた。

d0163696_18594252.jpg1か月後の3月19日。


鮮やかな緑色になってきた。







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3月27日。

ついに花茎が伸びてきた。

女性で “(とう)が立つ”というのはこの抽苔したことを例えているのだと思う。
たしかに、キャベツなどの野菜で薹が立ったものは食べられない。


d0163696_19071957.jpgしかし、薹が立つ時期とは花をつける直前である。

花茎先端には瑞々しい蕾があった。

…ということは、大人になりかけであろう。
薹がたった女性とは、青春まっただ中の年頃ということになる。



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3月31日。

前の写真から4日後だが、花茎は大きく伸びている。
スッとして、なかなか清々しい。










d0163696_19074196.jpgオニタビラコは膨らんだつぼみが美しいと思う。
(写真はいまいちで、すみません)

よく観るとつぼみに混じってアブラムシがいる。

窓枠でがんばっているオニタビラコだが、そこに寄生するアブラムシもたいしたものだ。




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窓枠の環境はこんな感じ。路地に面した窓で、陽が当たるのは昼前後の小一時間ほどである。(窓には路地の反対側のビルが映って見えている)

この窓の内側では、鍋で沸かしているのだろうか。窓枠はいつも濡れている。いま流行りの「すきま植物」である。

上の写真でオニタビラコの右手前に見えるのはこのコケ植物。

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左奥にはツメクサがある。
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ツメクサは「すきま植物」の王様的存在だと思うのだが、いかがだろうか。
 ※「都会派の雑草-ツメクサ」   

4月16日。
やっと開花を観ることができた。
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もっと前に開花していたはずだが、雨ふりなどでタイミングが合わず、
この日初めて観察できた。日当たりが悪いためか、草丈だけが伸びて、ひょろひょろしている。

注目したいのは、赤味を帯びた花茎と、茎生葉があること。

それに、枝分かれが多いこと…

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これらの特徴はアカオニタビラコである。

反対に花茎が緑色で、茎生葉がほとんどなく、
枝分かれも少ないものはアオオニタビラコといって
別種として扱われるようになった。

これまではオニタビラコとして同一種とされていたが、
最近は青鬼、赤鬼と分けられたようだ。


4月27日。

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ついに結実!

昨年秋から約半年間を経て、やっと目的を達成したオニタビラコ。
お疲れ様でした。最後のカットだからというわけではないが、
光線の関係で撮影者の事務局Oが映り込んでいる。
お見苦しい点はお許しいただきたい。


余談ですが…
オニタビラコがアカオニタビラコとアオオニタビラコ(赤鬼と青鬼)に分けられたのは、専門家の研究の成果なのだと思う。
それはそれでよいのだが、図鑑などの索引では、オニタビラコの名称でも検索できるようにしていただきたいものである。
私のような素人は、オニタビラコで検索するハズだと思う。


もう一つ余談…
オニタビラコは外来の雑草で、名前のもとになったのはタビラコだという。
 ※「いにしえの雑草タビラコ」  
ところが、オニタビラコより小さいからというのだろう、現在はこのタビラコを “コオニタビラコ” という。
たしかにいま、街なかでも郊外でもオニタビラコはよく目立つ。
空き地や舗装のすきまなどどこにでもある、春の代表的雑草といってもよい。
だからといってコオニタビラコという主客転倒はいかがなものだろう。
大袈裟な表現をするなら“歴史を塗り替える”ことにも通じるのではないか。
将来、環境の変化などがあって、タビラコ(コオニタビラコ)が増え、オニタビラコが減るような再逆転現象が起こらないとは限らない。
そのときはオニタビラコをオオオニタビラコなどと改称することになったりしないだろうか。
文字にするとややこしいが、たとえるなら昆虫のトゲナシトゲトゲ、トゲアリトゲナシトゲトゲのようことになりはしないか?
(もっとややこしい!)

2015年5月26日、報告:自然観察大学 事務局O



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by sizenkansatu | 2015-05-26 19:36 | 植物 | Comments(0)

「石ころ博士入門」ができた!

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本の話が続いて恐縮だが、またまた良い本ができたのでお許しいただきたい。
観察と発見シリーズの合い言葉である〝形とくらし〟〝形と成り立ち〟に置き換えた、画期的な石ころ観察の本である。
今度の帯は紫色。
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新キャラクター〝石ころくん〟も登場している。

詳しい内容や紙面の見本は、出版社のHPでご覧いただきたい。
 ⇒ http://www.zennokyo.co.jp/book/hakase/Dr_s.html 

石ころは、そのできかたで組成が変わり、それによって類型がなされる由である。
石ころの分類で正確を期すには、薄片をつくって偏光顕微鏡で見る必要があるそうだが、著者らは採集してはそれを繰りかえすという。
気の遠くなるような仕事をされているのだが、この本ではそれが効果的に紹介されている。
(そもそも、石ころを薄片にするって、どうやるのだろうか?)

ちなみに、表紙にも使用されている桜島の写真を撮るにあたっては、夜通しシャッターチャンスをうかがい、何日も粘ったのだとか… 

一見すると子供向けのようにも見えるが、本格的で充実した内容なのは、このシリーズに共通した特徴である。
著者および制作スタッフの、労力を惜しまない、ていねいな仕事が、紙面の随所に表れている。

石ころは、雑草以上に身近な存在かもしれない。
身近にころがっている石ころだが、それができるまでの過程では造山運動など地球規模のストーリーがある。
石ころの成り立ちには壮大なロマンがあるのだ。

自然観察大学がそうであるように、自然観察の対象はつい生き物中心になりがちだが、「石ころ博士入門」によって、また新たな視点が開かれることだろう。


極秘情報
著者のおひとりである高橋直樹先生に、自然観察大学での室内講習会をお引き受けいただいた。
まずは講習会で総括的なことを話していただき、次に野外観察を実現したい。
ご期待いただきたい。

2015年5月20日、報告:自然観察大学 事務局O
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by sizenkansatu | 2015-05-20 19:21 | その他 | Comments(0)

アリヅカムシ


千葉県館山市の野鳥の森公園でアリヅカムシを採集した。
ずいぶん前の2006年の12月のことで、拙著「昆虫博士入門」の取材に没頭していたころの話である。
リター層(落枝・落葉層)を篩って自宅に持ち帰り、ツルグレン装置にかける前にルーペで目視調査をしたところ、興味深い光景が観察され、夢中で撮影した。
(残念ながらこの写真の掲載は見送ったが…)

アリヅカムシがトビムシを捕えていた。

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トビムシは小さな土壌動物(側昆虫綱)だが、アリヅカムシはそれよりももっと小さい。
自分より大きいトビムシだが、脚や触角は切断されている。
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獲物を動けないようにして、持ち運びしやすく、食べやすくしているのだろう。
少し移動したあとで、やがて食べはじめた。
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襲う方、襲われる方、どんな気持ちであったであろうか。“一寸の虫にも五分の魂”というが…
しかし、食物連鎖の世界ではこれが当たりまえ。日常茶飯事なのだ。
「あー、人間でよかった。トビムシでなくて。」と思う瞬間でもある。


アリヅカムシは漢字では蟻塚虫。
アリの巣の中にいる虫という意味だが、実際にはアリの巣との関係は薄く、リター層に生息する土壌昆虫のようである。サイズは3mm前後と小さく、しかも落ち葉や塵芥にまぎれているので、野外観察に興味のある人でさえも、眼に触れることは少ないだろう。
彼らは暗い中でどうやって獲物を発見し、どのように狩りをするのだろうか?


アリヅカムシの仲間は、かつてアリヅカムシ科として独立した科であったが、現在はハネカクシ科の1つの亜科となっている。

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上はハネカクシ科のアカバウミベハネカクシの仲間の一種である。
アリヅカムシと同じように鞘翅が短く、このあたりはよく似ている。
違いは腹部の自由度で、ハネカクシはかなり曲げることができるが、アリヅカムシのグループは腹部がほとんど動かない。


それにしても、この翅で飛べるというのは驚きだ。飛翔妨害トラップ(FIT)にかかることもある。
「ハネカクシ」は「翅隠し」で、この小さな鞘の下に折りたたんだ後翅があるからなのだが、最近、後翅のたたみ方が解明され、話題になっている。
 ⇒(http://ascii.jp/elem/000/000/950/950076/


最近、ハネカクシ科のカタログが刊行された(2013年) 。そこには分類的再検討の結果が示されていて、21亜科514属2,163種にまとめられている。また、これまで和名の無かった多くの種に和名が付けられている。
ハネカクシ科は、日本産既知のコウチュウ目16,000種のなかで、13.5%を占める大きなグループである。しかしながら大型種が少なく、いわゆる格好の良い種が少ないためか、愛好家、研究者が少ない。また、図鑑で同定できる種は少なく、同定用の解説書もほとんどない。
調査などで同定できないハネカクシがあると、標本を専門家に送って同定を依頼するしかないのだが、それでも名前がつかない種がある。ある日本のハネカクシの研究者は、昭和から平成にかけて300種を超える新種を記録したという。ハネカクシ科の分類はそのくらい未開であったのだ。

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これは「昆虫博士入門」のハネカクシ科のページである。

ハネカクシの仲間でよく知られているのは、アオバアリガタハネカクシだ。膨大なハネカクシ科はであるが、身近で注目されるのは本種くらいだろう。
この虫は夏の夜間、郊外で人家の灯火に誘引されて飛来するのだが、首筋などにとまった虫をうっかりつぶしたらたいへんだ。この虫は体内にペデリンという毒物を有し、体液がつくと皮膚に水膨れを起こさせるのだ。

なお、上記ページの左下にアリヅカムシが掲載されている。ちなみに、右下のヤマトデオキノコムシも、デオキノコムシ科からハネカクシ科への編入生である。

2015年5月11日、報告:自然観察大学 講師 山﨑秀雄


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by sizenkansatu | 2015-05-11 19:46 | 昆虫など | Comments(1)

「新・雑草博士入門」ができた!

自然観察大学講師陣の岩瀬・川名・飯島の三人の先生方による、
「新・雑草博士入門」が全国農村教育協会から発行された。
著者の紹介は自然観察大学HP【講師紹介】でもご覧いただけるが、本書巻末の紹介文がなかなかよいので、そちらをご覧いただきたい。

表紙はこれ。

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自然観察大学でNPO会員のみなさんに協力いただいたデザインで、同じシリーズの「昆虫博士入門」とそっくりだが、同じシリーズだから似ていて当然だ。

書店店頭などで間違えないように、赤い帯がついている。(「昆虫博士入門」は濃緑色の帯)

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「形には理由(ワケ)がある。 …というキャッチも同じだが、これも致し方ない。
どちらも〝形とくらし〟をキーワードにしたもので、
〝形をよく見て、くらしを考えて、そして名前に近づく〟
という自然観察の極意であり、自然観察大学のテーマでもある。
(ほかの案も考えたが、これより好い案が出なかったというのが真相)

この本は2001年発行の「たのしい自然観察 雑草博士入門」のリニューアル版だ。
子どもから大人まで使えるように本格的な内容をわかりやすく表現する、というコンセプトも同じ。
ただし、一年半がかりで見直し、練り直しが行われた。
その結果、各項でより緻密でていねいな解説が加えられるとともに、新たな観察ポイントも多数加えられている。

たとえば、ちょっとややこしい「ツユクサの花」について、著者らは改めてツユクサを詳しく観察した。
その結果が2ページ弱にわたって掲載されている。

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花冠と花序の構造、受粉のしくみ、果実と、実にていねいな解説。2輪咲きのツユクサもある。
なかなか奥が深く、岩瀬先生をして〝いま、ツユクサに魅せられています〟と言わしめたほどである。
ツユクサの花は昨年の見沼の観察会で話題になった。参加いただいたみなさんにも、ぜひ本書で復習していただきたい。

もう一つ、観察会で盛り上がった話題。
「つるに巻かれてみよう」というもの。
見沼の芝川沿いの土手で、みんなでアレチウリのつる(巻きひげ)に巻かれてみたのを覚えておられるだろうか。

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そう。あれですよ。

こんな観察ポイントや話題が、ほかにもたくさん加えられている。キキョウソウなど追加された種も多い。
旧版の「たのしい自然観察 雑草博士入門」を持っておられる方にも、図書館などでぜひ一度目を通していただきたい。

制作裏話
「つるに巻かれてみよう」のコラムは、著者らのすすめにより、私の名前で書かせていただいている。
当初の原稿では文末に〝巻かれるのを待つ間にうっかり眠ってしまうと、搦め捕られてしまうので注意しよう〟と書いていたのだが、調子に乗りすぎという理由で割愛されてしまった。著者の見識というものであろう。

自然観察大学と「新・雑草博士入門」の関係

この本の著者の3人はご存じのとおり自然観察大学の講師だが、ほかにも唐沢学長の推薦文や写真提供をはじめ、村田先生、浅間先生、久保田さんら自然観察大学講師陣の協力でできている。
そして、自然観察大学の学生(参加者)のみなさんにも、観察会での写真の掲載だけでなく、アイデアをいただくなど、有形無形のご協力をいただいた。(感謝)
巻末の協力者リストには『NPO法人自然観察大学』の名が記されている。

本書を使った観察会
4月26日(日)に、北の丸公園でこの本を使った雑草の観察会が実施された。
自然観察大学HPで紹介されている 

http://sizenkansatu.jp/15daigaku/t_1.html


 ※ 出版社からの紹介  

2015年5月8日、報告:自然観察大学 事務局O


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by sizenkansatu | 2015-05-08 20:08 | 植物 | Comments(0)

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