自然観察大学ブログ

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江戸川べりの観察-25 ブドウトリバ

このところ、早朝に江戸川べりで観察する機会が多い。

その中で、ヤブガラシにつくブドウトリバを見た。

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ブドウトリバはチョウ目トリバガ科で、鳥の羽のような蛾らしからぬ翅をもつ。(というより昆虫らしからぬ翅だ)

江戸川べりではヤブガラシでよく見かける。小さくて気づきにくいが、どこでも見られる虫だそうである。開張約15mmと小さいうえに 〝プ~ン〟 とヤブカのように飛ぶのでつい見過ごされがちなのだろう。

ヤブカの多いところにいるようなので、ヒトが近づかないということもあるかもしれない。

(私はこの写真を撮っている間に多数のヤブカの餌食にされている)

ブドウトリバは前に一度書かせていただいた()が、構造が面白いので再登場いただくことにした。


まずは翅。上の写真を拡大してみた。

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前翅は幅が狭いうえに深い切れ込みがある。傷ついた翅ではなくこれで正常な状態だ。全体にびっしりと細毛がついている。後翅はさらにすごくて、一本の軸に細毛がついた感じ。トリバガ科の名前のとおり、鳥の羽のようである。

こんな翅でよく飛べるものだと感心させられるが、アザミウマ類(総翅目)と同じように、細毛の列によって飛翔力を得ているのだろう。

カのような頼りない飛び方なのも納得できる。

もう一つ注目したいのは脚だ。

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後脚には大きなとげがある。写真ではちょっと見えにくいが、とげは中脚にもある。

このとげが邪魔なのか、写真のように前脚だけでとまるようである。ゆらゆら揺れて、とても撮りにくい。(ちなみに写真でぶら下がっているのはヤブガラシのつぼみ)

このとげは何かの役に立っているのだろうか。天敵に嫌われるとか、あるいは何かの擬態だろうか。

ご存知の方は、ぜひお教えいただきたい。

なお、幼虫はブドウ科植物の茎に食入するそうである。いずれ幼虫を探してみたい。

2014724日、報告:自然観察大学 事務局O


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by sizenkansatu | 2014-07-24 23:33 | 昆虫など | Comments(0)

「昆虫博士入門」と自然観察大学の関係

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文末に追記あり(2014.7.24)

前回()に引き続き「昆虫博士入門」の話をさせていただく。


共通する多くのメンバー

まずは制作にかかわった人々。
本書では、著者の山﨑秀雄先生(講師)をはじめ、撮影の高井幹夫先生は土佐支部長、写真提供で浅間茂副学長、講師の田仲義弘先生、鈴木信夫先生、平井一男先生、さらにNPO会員や常連の方々にもご協力をいただいている。またカバー折り返しには、岩瀬名誉学長の推薦文がある。まさに自然観察大学あっての「昆虫博士入門」なのである。
ついでに、表紙デザインはスタッフのK君、不肖事務局Oも撮影と編集でかかわっている。


『形とくらし』が共通のコンセプト

「第一章:昆虫の体の構造」から、顔のページのひとつ。
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昆虫の顔は変化に富んで興味深い。昆虫たちの顔をじい~っと見ながら、あれこれ想像するのはたのしい。それだけで図鑑になっているものもあるくらいなのだ。
(出版社の案内に、より高画質のものがあります

この本では顔を見て彼らの 形とくらし を考えるところからはじまる。そう、この本の根底に流れるのは 形とくらし なのだ。
「形(構造)をよく観て、くらし(生態、行動)を考えよう」という、自然観察大学のコンセプトを実践しているのだ。

顔に続いて頭部、眼、口、翅、脚… と体の各部に関して考察をすすめる。たとえば眼の項では、いろいろな昆虫の眼を浅間茂副学長の走査電顕の写真などとともに観てゆくのだが、この本では昆虫が見ている世界そのものも考察を試みる。紫外線写真(これも浅間先生)はもちろんのこと、複眼で見る世界とはどんなものか? 申し訳ないが話が長くなるので本書を見てのおたのしみとしよう。

「第二章:昆虫のくらし」の見本ページはこれ(高画質  ) 
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これは子育ての項だが、この章では変態や食性、営巣や擬態といった昆虫ならではのくらしぶりを紹介する。普通の図鑑ではない〝観察図鑑〟なればこそであり、自然観察大学と共通したユニークな視点である。
なお、子育てといえば狩蜂だが、それは田仲先生の 「狩蜂生体図鑑」()にゆずっている。


名前はたいせつだが、それだけではない

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上は「第三章:いろいろな昆虫」のセセリチョウの項。(高画質  ) 
まず左ページで、この仲間の代表種であるイチモンジセセリの成虫、幼虫、卵に加えて、興味深い生態が紹介されている。そして右ページでは、野外で目にすることの多いセセリチョウ科の仲間を紹介している。どれも生態写真なので感覚的に調べやすいはず。
種の同定までは無理だとしても、セセリチョウの仲間であることは分かるだろう。それ以上の正確な種名を詳しく調べるのは専門の図鑑におまかせし、そのかわりに彼らの生活や面白い習性を知ろうというものだ。
日本産の昆虫は既知種だけでも3万種をはるかに超えているそうだから、すべての昆虫の名前がわかる図鑑となれば、膨大なうえに似た昆虫がずらりと並んで慣れないとかえって難しくなってしまう。


予 告 !
「昆虫博士入門」と自然観察大学の密接な関係を知っていただいたところで、ビッグニュースがある。本書の監修をお願いした大野正男先生が、自然観察大学の室内講習会での講演を引き受けてくださった。
大野正男先生は知る人ぞ知る昆虫界の大御所である。
「昆虫博士入門」発刊記念として、大野正男先生と山﨑秀雄先生と、お二人そろって講演いただくことになった。詳しいことは9月末の募集開始をお待ちいただきたい。


本書の巻末に、著者推奨の「参考になるサイト」の紹介があるが、この場でまとめて紹介したい。お気に入りに追加しておこう。(50音順)

■図鑑
昆虫エクスプローラ *1 
進化する昆虫図鑑  
水生昆虫写真鑑  
日本産ゾウムシデータベース  
福光村昆虫記  
ぷてろんワールド  
みんなで作る日本産蛾類図鑑V2  
吉崎ネット甲虫館  

■観察記録・エッセイ
イッカク通信>自然観察な日々  
一寸の虫にも五分の魂  
神戸・明石の虫ときどきプランクトン *2  
ご近所の小さな生き物たち *3  
自然観察大学ブログ(当ブログ)
鈴木海花の「虫目で歩けば」  
そよ風の中で *4  
鎮(チン)さんの自然観察記~写真録~  
ひむか昆虫記  
むしコラ  
ムシをデザインしたのはダレ? *5  

なお、上記のサイト管理者のみなさんへ、紹介させていただいた御礼として本書をお送りしたのだが、番号付のブログで本書の紹介をしてくれている。
*1 ⇒⇒  *2 ⇒⇒   *3 ⇒⇒  *4 ⇒⇒  *5 ⇒⇒  

2014年7月16日、報告:自然観察大学 事務局O

<<<2014年7月24日、追記>>>
次のサイトで本書を紹介してくれました。ありがとうご合いました。
http://www.geocities.co.jp/AnimalPark-Tama/1915/hon/z-konchuuhakasenyuumon.html
このトップページはこちら(
(私のPCでは文字化けしてわかりにくかったので)


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by sizenkansatu | 2014-07-16 18:23 | その他 | Comments(0)

「昆虫博士入門」ができた!

新しい昆虫の本がまもなく発刊になる。名前は「昆虫博士入門」
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著者は、われらが自然観察大学講師、山﨑秀雄先生だ。
 ※ 山﨑先生のプロフィール  
自然観察大学がはじまって以来12年あまり、ずっと進行中だった本がようやくできあがって、来週には大手書店に並ぶはず。


名前を調べない図鑑
この本の特徴は、個々の種名を調べるための図鑑ではないということ。
細かな種名を明らかにするのではなく、とりあえず〝オサムシの仲間〟とか〝セセリチョウの仲間〟というところまで判定しよう、という図鑑なのである。
そのかわり、成虫だけでなく幼虫を含めたその仲間の昆虫がどんな生活をしているかが分かるようになっている。
そもそも、昆虫の種類は日本産の既知のものだけで3万を種はるかに超えるそうだ。いきなり昆虫の種類名を調べようというのはよくばった話で、初心者にとっては〝盲亀の浮木、優曇華の華〟である。


表紙の話(御礼)
中身についてはまたの機会にお知らせするとして、今回は表紙の話である。
決めるにあたっては、会員(NPO法人自然観察大学の会員)のみなさんにご意見をうかがった。表紙の候補案はほかにも何パターンかあって、決めかねていたのである。
候補案をメール添付でお送りしたところ、期待した以上に多くの方々からていねいなご意見をいただいた。

そんなわけで、上のような表紙に決まりました。
みなさん、お忙しい中、ありがとうございました。

 ※「昆虫博士入門」と自然観察大学の関係  
 ※「昆虫博士入門」出版社からの紹介  

2014年7月8日、報告:自然観察大学 事務局O


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by sizenkansatu | 2014-07-08 07:02 | その他 | Comments(0)

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