自然観察大学ブログ

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親愛なる、そのへんの植物-13「秋の散策」

秋と言えば、実りの秋、紅葉・・ 秋が深まりつつある11月上旬、お天気のよい日にふらりと野外を歩いてみると、ちゃんと「秋」がありました。
今回は、その中からいくつかをお届けしたいと思います(少し前の話でごめんなさい)。

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果物売り場で見かけるブルーベリーによく似た実。
これはシャシャンボの実です。
ブルーベリーと同じツツジ科スノキ属で、昔は子供達のおやつがわりに食べられていたこともあるそうです。そのお味は? 早速食べてみました。

なんとなく甘酸っぱいような・・ でもちょっと皮が固い。
シャシャンボは、身近な雑木林でよく見かけます。私が歩いた林にもたくさんいましたが、日当りがよい場所の木には、丸々とした実が鈴なりになっていました。しかも、そちらの方がおいしかったです。

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こちらはノブドウの実です。色がきれいなので、思わず足を止めました。熟すともっと鮮やかな青や紫色になるのですが、残念ながら人が好んで食べるものではないようです。
ノブドウも、身近な薮などに普通にみられます。

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赤く染まった、よく似た葉が3枚。
落葉樹の葉が色づいた雑木林は、上を見ながら歩くのも見事ですが、下を見るのも楽しいです。赤、黄、茶色の葉っぱが道いっぱいに落ちて、色とりどりのふかふか絨毯になっています。

落ち葉の中から、きれいな葉を見つけては集める。そんなことをしていたら、とてもよく似た葉を3種類見つけました。
3枚並べてみたのが、上の写真です。
ちなみに、葉の裏はこんな感じです。

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木を見分けるには、葉の付き方(対生・互生)、生育場所、樹形など、いろんな要素をみるのが大事なので、葉っぱ一枚からというのは、本来はよくないのですが・・
落ち葉では仕方がないですね。まわりにヒントになるものがないか探してみました。落ちている実は? まわりにいる木は? ここはどんな林?


答えは、写真の右から時計回りに、ミズキ、オオウラジロノキ、ツタウルシ(小葉1枚)だと思います。
オオウラジロノキの実は、あたりにいっぱい落ちていました。


最後に、気に入った冬芽をご紹介します。
冬芽は、夏の終わり頃からできていたりするのですが、落葉すると目に留まりやすくなるので、私は秋以降に観察することが多いです。

ひとつめは、シロモジ。

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シロモジの冬芽は、葉芽と花芽に分かれています。先端の尖ったものが葉芽で、その両側のまん丸いのが花芽です。かわいらしくて個性的なかたちをしていると思います。


ふたつめに、ムラサキシキブ。

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裸芽は、葉のかたちがよくわかっておもしろいです。ムラサキシキブは対生で、幼い2枚の葉が仲良く向き合っています。


みっつめは、裸芽の代表格とも言えるオオカメノキ。

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ムラサキシキブと同様に2枚の葉がぴったりとくっついているのですが、こちらは、なんと言っても巨大です!


以上、散策中に見かけたものをご紹介しました。どれも派手さはないものの、秋を感じさせてくれました。

植物を、四季を通じて観察すると、その変化から季節の移り変わりがわかります。そんな変化をみるのに、散策はうってつけです。
時間や目的を気にすることなく、目に留まったものをゆっくりと観察しながら歩く。とっても贅沢なひとときです。


おまけの一枚

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つい先日、早朝の田んぼ道で、キラキラ光るノボロギクを見ました。
冠毛についた霜が溶け始め、水滴一粒一粒に朝日が当たって、なんとも美しかったです。秋の深まりを一層感じるとともに、こんなにきれいなものが見られて、とても嬉しくなりました。

2013年11月28日、報告:自然観察大学 植物生態学部 S子


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by sizenkansatu | 2013-11-28 23:20 | 植物 | Comments(2)

赤トンボの産卵

文末に追記があります(2013年12月8日)

前回に続いて、10月末の館山。(今ごろすみません)
さすがは南国、ひこばえが出穂していたので、カメムシでにぎわっているのではないかと思ったのだが、残念ながら空振り。
そのかわりに、赤トンボがたくさん舞っていた。

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ナツアカネの産卵。雄が前で、雌の首根っこを押さえている。
みなさんご夫婦で、ひこばえの株間を縫うように、次々に飛んでくる。産卵ラッシュであった。

こちらは湿った田面に這いつくばっているので、服を通して水がだんだん浸みてくるのだが、おかまいなしである。気にしてはいられない。

秋だからアキアカネだと単純に考えていたのだが、調べてみるとナツアカネだと分かった。
ナツアカネは打空産卵なので、もっと上空から産卵するのだと思っていたが、けっこう地表近くで産卵するらしい。
写真のように雄が全身真っ赤になるのはナツアカネで、アキアカネはこうはならない。胸部の側面の縞模様も違う。(けっこう微妙な違いで、私にはよくわからないのだが…)
ちなみにアキアカネは打水産卵である。

それにしても、トンボはどうして産卵のときまでつながっているのだろう。
この状態は交尾ではなく、すでに朝のうちに交尾をすませていて、そのあとはこうして連結したまま、移動して産卵するというのだ。
それなのに、どうして連結を続けているのだろうか? 卵を振り出す力を増大するには効果がありそうだが納得できる理由ではない。

ちなみに、交尾シーンはこれ。

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シオカラトンボの交尾(高井幹夫土佐支部長の撮影)だが、基本的に同じだろう。
画面左が雄で、尾端で雌の首をつかんでいる。首をつかむのは連結飛行と同じで、雄には尾角という挟み付けるための器官がある。
雌のほうは、尾端を雄の胸元(腹部の付け根)にくっつけて精子を受け取る。
雄のここには貯精嚢があって、精子が貯めてあるというのだが、ずいぶんややこしことをするものだ。
交尾の姿勢がハートマークの形になることがあるが、もしかしてそれが目的だったりして…


余談ですが…
ここ数か月は非常に多忙で、雑用(本業ともいう)に追われる日々が続いている。
この状態はもうしばらく続きそうだが、観察と記録はのんびりやらせていただく。


…………………………………………………………………
<12月8日追記>
つくば市けんぞうさんから、コメントをいただいた。
けんぞうさん、ありがとうございました。
産卵のときまで連結飛行するのは赤トンボの仲間とギンヤンマで、これを〝おつながり〟と言うそうだ。
連結飛行は雄が好適な産卵場所に誘導するためのものだそうである。
ギンヤンマの産卵は以前このブログで報告したが、水中の植物組織に産み込むためにお手伝いをしているということである。はた目には水責めみたいだが… ⇒ 
…………………………………………………………………

2013年11月23日、報告:自然観察大学 事務局O


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by sizenkansatu | 2013-11-23 09:16 | 昆虫など | Comments(0)

偽装だろうか?  -ミゾソバ、イヌタデ-

10月末に所用で南房総の館山にいった。
予想外に早く着いたので、小一時間観察することができた。

大通をはずれて、ちょっと山がわに入ると…
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ミゾソバが出迎えてくれた。
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用水路に沿ってびっしり。
さすが南国、まだまだ元気だ。

ちなみにこの用水には淡水エビがたくさんいて、上空ではトビが飛び交っていた。

こちらはイヌタデ。
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秋と言えば、やっぱりこれ。遭遇するたびに、うれしくて、つい撮ってしまう。
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一つの花穂に、開花と結実が隣り合わせにある。
花期が長いのは、繁殖のための知恵なのだろう。さすがは長い歴史を持つ雑草である。

ところで、ミゾソバもイヌタデも、タデ科の花は花弁がない。花弁に見えるのは〝がく〟だそうだ。
今話題の偽装ということになる。
もっとも、花弁かがくかは、人間の都合で定義づけをしたもので、本人たちにとってはどうでもよいことなのだろう。
もともと花弁もがくも、植物の進化の過程で葉から変化したとされていて、もとはといえば葉なのだ。偽装と言ってはかわいそうだ。

余談ですが…
渦中の『偽装』であるが、昆虫の擬態は偽態と表すこともあって、文字から受ける印象ではそんなに悪意は感じられない。(私だけ?)
意図的に欺くわけだから、『欺装』としたほうがしっくりするのではないだろうか。
まぁ、昆虫の擬態も天敵の捕食者を欺く目的ではあるのだが…

2013年11月10日、報告:自然観察大学 事務局O
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by sizenkansatu | 2013-11-10 00:14 | 植物 | Comments(0)

ヘクソカズラグンバイ その2(幼虫) -続・グンバイムシを拡大して観よう-

ヘクソカズラグンバイ〟という名前だが、アカネ科植物につくらしいので、もしもアカネで発見されていたらアカネグンバイになっていたのだろうか…

これは吸収されたヘクソカズラの葉。
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中央左寄りに成虫が一頭いる。葉の大きさと比較すると、小ささがわかる。
日本原色カメムシ図鑑 第3巻』( )によると、成虫は体長2.6-3.2mm。

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葉の裏を見ると、幸子さんたちが並んでお食事中だった。
小さい虫でも、大勢で何度も吸収されては、ヘクソカズラがかわいそうになってくる。

ヘクソカズラグンバイの体臭をチェックした。
屁糞の臭いがするヘクソカズラの葉を吸汁するグンバイムシは、いったいどんな臭いなのか…
濃縮されて極め付きの悪臭なのか??
失礼して一頭だけつまんで臭いを確認したが、残念ながら臭いは感じられなかった。
たくさん捕まえて磨り潰せば臭うのかもしれないが…

さて、幼虫である。
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これは若齢幼虫。翼のかわりにとげとげをまとっている。透明な体は親ゆずりだ。とげの先に水滴状のものが多数あるが、これはなんだろう。
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触角にもある。分泌物なのか、あるいは結露なのか。(写真クリックで拡大)
うぅむ。謎だ。

こちらの幼虫はたぶん終齢。
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翅芽(しが)があるのは他のカメムシの仲間と同じだが、両肩も盛り上がって、若齢とは明らかに違う。おそらくこの盛り上がりが翼になるのだろう。(翼芽と言うのか?)
さすが、グンバイムシだ。

ところで、これだけ多数の成虫がいたのに、卵が観察できなかった。
おちゃたてむしさんのところに別のグンバイムシの卵が出ていた。(前述の水滴状のものも観察されています)

アワダチソウグンバイ ⇒  
ナシグンバイ ⇒ 

ヘクソカズラグンバイの卵も、これらと似ているのだろうか。観てみたいものだ。

2013年11月4日、報告:自然観察大学 事務局O
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by sizenkansatu | 2013-11-04 08:29 | 昆虫など | Comments(0)

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