自然観察大学ブログ

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アダンソンハエトリ

このところ雑用に追われ、観察ができない状態が続いている。
デスクワークの最中に、ハエトリグモがキーボードに跳んできた。
仕事に飽きた私を慰めようというのか?

捕まえて、写真を撮らせていただいた。
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図鑑で調べるとアダンソンハエトリ。
鮮やかな白の触肢とラインは雄のアダンソン。なかなかおしゃれな紳士である。
ほんとはキーボード上のほうが彼にふさわしい場所なのだろうが、緑の葉をバックしたほうがフォトジェニックだ。

顔は恐ろしげ…
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徘徊性のクモなので視力が発達したのだろう。
大きな単眼が並ぶと、どこか妖怪じみて観える。
月岡芳年の描いた土蜘蛛が連想された。

癒されて、嚇されたアダンソン君であった。

2013年9月24日、報告:自然観察大学 事務局O
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by sizenkansatu | 2013-09-24 12:47 | 昆虫など | Comments(0)

親愛なる、そのへんの植物-13 「クズの花」

Oさんのご報告に、クズの花は葉陰にあることが多いけれど、虫媒花ならば一番目立つところに咲いて訪花昆虫を誘うのでは? ・・というご意見がありました。  

そこでクズの送粉者誘引について私なりに考えてみました。

まず、クズの花の形からすると、送粉者は主にハナバチを中心とした昆虫だと思われます。ハナバチの仲間なら、花びらを押し下げて、花の奥にある蜜を吸えるからです。クズの花は、形でもって送粉者を限定し、効率よく花粉を運んでもらえるようにしているのでしょう。
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花の中心にある黄色い部分は、送粉者に蜜の場所を示すためのマーク「蜜標」です。また、花の色も鮮やかです。
以上の特徴から、クズの花が日中に送粉者を引きつけたいのは確かだと思います。

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花の付き方も観察してみましたが、花茎は葉腋から上に向かって出ていて、一緒に出ている葉には隠れておらず、むしろ葉群から抜け出して送粉者を引きつけようとしているように見えました。
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けれど、ここで注意しなければいけないのが、クズの並外れた繁茂ぶりです。ツルが一重なら問題はありませんが、旺盛に成長を続け、ツルが互いに絡まりながらモシャモシャに茂ったら? そんな状態では、花が多数の葉に埋もれて、見えづらくなることもあるかもしれません。

そこで、大繁茂と花の匂いの関係を考えました。
クズの花には、けっこう強い匂いがあります。花の匂いで送粉者を誘引するのは夜に咲く花が多いですが、植物が茂った森などでは、視覚よりも匂いの方が遠くまで届く可能性もあるそうです。

だとすると、クズの並外れた大繁茂は、深い森に相当すると言っても過言ではないのでは? ここからはあくまで私の推測ですが、クズが旺盛に成長するには光合成をするための葉が欠かせませんが、あの繁茂ぶりでは、葉で花を覆ってしまうことにもなりかねません。そんなとき、花の匂いは、遠くにいる虫や葉が重なった中にいる虫たちを引きつけるのに一役買っているかもしれません。ハナバチ媒花の場合、花の匂いがあるものが多いので、クズの花の匂いもハナバチに対して誘引効果がある可能性はありそうだ、そんな風に思いました。

クズの戦略は、旺盛に光合成をして、どんどん成長することのようですが、それでも、繁殖のための工夫もぬかりなくしているのですね。

2013年9月18日、報告:自然観察大学 植物生態学部 S子
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by sizenkansatu | 2013-09-18 12:44 | 植物 | Comments(1)

親愛なる、そのへんの植物-12 「クズの葉の運動」

クズの3つの小葉は、閉じて合わさったり開いたりして動きます。どんな仕組みで動くのでしょうか。Oさんの報告 「猛暑に耐えるクズ」 を受けて、私も小葉の動きについて考えてみました。

まず、なぜ日中に小葉を合わせて閉じるのか。
調べてみたところ、ちょっと気になる研究を見つけました。クズは小葉を畳んで合わせると、広げた状態よりも葉の温度が低くなるというのです。しかも、小葉を合わせていない状態よりも光合成速度が大きくなるのだとか。

植物は葉の温度が上がりすぎると光合成活性が落ちることが知られています。クズが葉を閉じるのは、強い日射で葉の温度が上がるのを防ぎ、光合成活性を落とさない工夫なのかもしれません。
河原や林縁などで、あっという間にまわりを覆い尽くし、大繁茂しているクズの姿をよく見かけます。クズの並大抵でない成長力の秘密をみた気がしました。

ただし、クズは夜間も同じように葉を合わせて閉じるのですが、こちらの理由の方はまだよくわかっていないようです。

d0163696_1351393.jpg次に、どんな仕組みで小葉は動くのか。調べたところ、マメ科とカタバミ科の場合、小葉の動きは、葉枕の細胞の膨圧が関係して起こるものだそうです。


d0163696_1354082.jpg上の図を拡大しました。葉枕(ようちん)とは、小葉の基部にある少し膨らんだ部分です。

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動く仕組みはこうです。
葉枕の中心には維管束がありますが、その上下にそれぞれ細胞群があります。
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これらの細胞群の間で、水分が移動するそうです。上の細胞群に水分がたまると上側の膨圧が高くなり、小葉は下に曲がります(膨圧:上>下)。逆に下の細胞群に水分がたまると下側の膨圧が高くなり、小葉は上に曲がります(膨圧:上<下)。
葉の動きが、このように上下に分かれた細胞群の力関係で決まるものだとすると、Oさんの言われる “バイメタルのような構造” と言えそうですね。


参考までに、こちらは、私の観察したクズと同じマメ科の ノアズキ です。
(花がねじ曲がっていておもしろいです)
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ノアズキも比較的陽当たりのよい場所に生育していて、林縁や堤防などの草むらでよく見られます。

d0163696_139457.jpg 私が観察した時は、3つの小葉は下向きに曲がっていました。
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ただ、ノアズキも、強い日射がある場合はクズと同じく葉を上向きに立てていることがあるようです。私が観察した日はあいにくの雨模様だったので、また天気のよい日に見てみたいと思います。

2013年9月13日、報告:自然観察大学 植物生態学部 S子
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by sizenkansatu | 2013-09-13 13:13 | 植物 | Comments(1)

江戸川べりの観察-20 カマキリの食事

7月中旬のカマキリ幼虫。
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小さいうちから、すでに悪ガキっぽい風貌だ。
ずいぶん前の写真だが、このあと徐々にショッキングな場面になるので、とりあえずソフトな写真を掲載した。以降要注意!

1か月後の8月中旬のこと。
一番暑い季節の最も暑い時間に、いつもの観察コースを歩いていると、ただならぬセミの声が聞こえた。
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カマキリに捕えられたアブラゼミが暴れている。
飛び立とうと必死にバタバタしていが、カマキリに翅の付け根を捕まえられている。
カマキリは(ハラビロカマキリ)は存外チカラ持ちのようで、浮き上がるセミを軽々とあしらっている。

仲間がつかまっているのに、画面右下のアブラゼミは隣で素知らぬ顔。

ハラビロカマキリは、暴れる獲物を抑えつつ、頭からかじりはじめた。
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アブラゼミはまだ激しく抵抗を続け、時おりジジジジッと大音量で鳴く。

つらい場面だが、この機会に詳しく観察させていただこう。
近づくと、ハラビロカマキリがこちらを睨む。
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妖気を含んだ視線に、一瞬ひるむ私… 
カマキリは私を威嚇しておいて、すぐに食事に戻る。

アブラゼミのほうは、複眼が食われてしまったが、まだ鳴いている。
ここまでの時間は、捕えられてから約10分経過。鳴き声もだんだん小さくなる。

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ううっ。妖怪っぽい顔。風になびく触角が妖気を増幅する。
アブラゼミの表皮はけっこう硬そうだが、ものともせずにサクサク食べてしまう。

頭がなくなって、アブラゼミはついに静かになり、さらに食べ進むと、アブラゼミの脚が取れた。
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なんと、脚を持ってかじっている。
生命のありがたみを知ってか、はたまた母の教えか?
いずれにしても、余さず行儀よく食べる。

ハラビロカマキリは、食事を見つめる怪しいヤツ(私のこと)がどうにも気になるらしい。
残りの獲物を高々と差し上げて、後ずさりして高所へ移動してしまった。
残念ながら観察終了。はじめの写真からここまで35分であった。

ところで、冒頭の画面右下のアブラゼミだが、まだ同じところにじっとしていた。
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普段はちょっと近づくと敏感に逃げるのに、不思議だ。
近くで仲間が食われている間は安全、というヨミなのだろうか。


余談ですが…

最近、百田尚樹氏の「風の中のマリア」を読んだ。
主人公は 〝疾風のマリア〟 と異名をとるオオスズメバチの戦士(ワーカー)という、変わった小説だ。
この中でマリアとオオカマキリの決闘シーンがあるが、この描写がなかなか素晴らしい。文庫本の巻末の養老孟司氏の解説文もよい。
百田尚樹氏のような人気作家がこのような小説を書いてくれたので、蜂好き、虫好きが世の中に増えるかもしれない。たのしみ。

2013年9月7日、報告:自然観察大学 事務局O
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by sizenkansatu | 2013-09-07 08:58 | 昆虫など | Comments(0)

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