自然観察大学ブログ

<   2012年 11月 ( 4 )   > この月の画像一覧




『日本原色カメムシ図鑑 第3巻』が出た

まだかまだか、と言われてきた図鑑が、やっと出た。
d0163696_125301.jpg
迫力の表紙。
厚さはこれまでの6割以上増えていて、なかなかのボリュームだ。

第3巻ではサシガメの仲間とグンバイムシ類の充実が目立つ。
d0163696_12533691.jpg
あいかわらずの鮮明な写真は、さらにパワーアップして、かつ、きめ細かく掲載される。
お断りしてスキャニングさせてもらったが、ぶ厚いのでノドの部分が光ってしまった…
d0163696_1254288.jpg

グンバイムシの中にもこんなのがいるとは…
こうして見ると、グンバイムシはまさしくカメムシの仲間だと実感できる。

ほかにもナガカメムシが3つの科に分かれてすごい充実!(ちょっとショック)

『日本原色カメムシ図鑑』にはじまって、第2巻、第3巻と出版されたが、本書のあとがきに、それぞれの巻の位置付けが次のようにまとめられている。
『日本原色カメムシ図鑑』(第1巻):353種を選抜して日本産陸生カメムシを概観した。
『日本原色カメムシ図鑑 第2巻』:難分類群の代表格のカスミカメムシ科とハナカメムシ科を主体に447種を詳述した。
『日本原色カメムシ図鑑 第3巻』:第2巻の流れを汲み、666種もの陸生カメムシを網羅した。
〝三位一体となって1,100種を超える日本の陸生カメムシの姿そのものを、浮き彫りにしている〟

まだじっくり見る時間がないのだが、私の好きなコラムが倍増しているのも楽しみである。


ほかのサイトでの紹介

本書のことが書かれているものをあげておこう。

① 自然観察者の日常   
② 鈴木海花の「虫目で歩けば」   
③ いもむしうんちは雨の音   
④ 出版社の案内  ⇒  

ちなみに、①は本書の著者のおひとりのブログ。
②では 『日本原色カメムシ図鑑』をめぐる人々を訪ねて という連載もあるので、お時間のあるときにゆっくりご覧いただきたい。日本原色カメムシ図鑑シリーズのすべてにかかわっておられる、高井幹夫 自然観察大学土佐支部長 の紹介もある。


余談ですが…

このところ更新が途絶えてしまっているのは、ちょっと仕事が立て込んでいるためである。
少しは落ち着いたものの、しばらくはこの状態が続きそう。
有志のみなさん、ご投稿をお待ちしております。

2012年11月29日、報告:自然観察大学 事務局O
[PR]



by sizenkansatu | 2012-11-29 13:05 | その他 | Comments(0)

江戸川べりの観察-15 ヨコヅナサシガメ

大きなアカメガシワの、樹幹の凹みにヨコヅナサシガメがいた。(10月はじめ)
d0163696_19485888.jpg
雨風の当たらないところに集まってじっとしている。
d0163696_19492090.jpg
暖かい日には散開してハンティング行動に移るようだ。
d0163696_19494723.jpg
大物を捕らえたヨコヅナサシガメ。
d0163696_1950998.jpg
口針だけで、自分の体の何倍もある蛾を宙づりにして、吸収し続けている。

ヨコヅナサシガメは、ここ数年私の身近ですごい勢いで増えている。
もとは暖地性の外来昆虫で、関東地方では1990年代に発見されたらしい。
数年前にはネット販売で 〝日本最大のサシガメ、ヨコヅナサシガメを5頭セットで1,500円〟 などというのも見たことがある。今では信じられないくらいどこにでもいるのだが…


だいぶ寒くなった11月はじめ、同じ場所の集団を観た。前回の1か月後である。
d0163696_19504770.jpg
数が減って、寄り添うように密集した隊形。
すっぽりとイラガのまゆの殻に納まったのもいる。
d0163696_19512735.jpg
少し暖かくなると活動開始だ。左のヨコヅナサシガメはお食事中。
クモの眼の列ようなものが確認できるが、カラカラになってよくわからない。(クリックで写真が拡大します)
右のはイラガ(たぶんヒロヘリアオイラガ)のまゆ殻が気になるようすだ。

明石・神戸の虫 ときどきプランクトン』 で、獲物を捕らえる直前のようすが紹介されている。
⇒ http://mushi-akashi.cocolog-nifty.com/blog/2012/11/post-a1ca.html 

残念ながら捕獲のシーンに遭遇したことはないのだが、おそらく、動いているかどうか分からないほどゆっくりと忍び寄って、襲いかかるときは以外に素早いのではないかと思う。
ぜひ一度、その瞬間を見てみたいものだ。

そのほか、ネットで次のようなことがわかった。
・幼虫が集団で越冬。
・翌年の初夏の頃に羽化、産卵する。
・孵化は夏。
・年一世代。
・若齢幼虫期には共食いが多いようだが、成長すると共食いは減る。
・手で捕まえると人を刺すこともあって、けっこう痛いらしい。
卵塊はカメムシらしくないもののようだが、来年はぜひ実物を観察したいものだ。

ついでに、去年撮った成虫の写真も見ていただこう。
d0163696_19591425.jpg

ヨコヅナサシガメは横綱刺亀で、腹部の縁のダンダラ模様を横綱の化粧回しに見立てた命名らしい。
迫力があって風格もある。横綱とはうまい名をつけたものだ。
参考:サシガメとアカホシテントウ ⇒ http://sizenkan.exblog.jp/13640887/ 

余談ですが…

日本原色カメムシ図鑑 第3巻』 (全農教、石川忠・高井幹夫・安永智秀 編) がまもなく発売となるらしい。
次回ご報告させていただく予定。

2012年11月15日、報告:自然観察大学 事務局O
[PR]



by sizenkansatu | 2012-11-15 20:00 | 昆虫など | Comments(0)

江戸川べりの観察-14 うどんこ病の観察

エノキは河川敷などに先駆的に育つ、いわゆるパイオニア植物のひとつだ。
10月末のある日、そのエノキの葉裏が真っ白になっていた。
d0163696_20163846.jpg

近寄ってみると小さな粒々がある。 …うどんこ病だ。
〝うどん粉〟はいわゆる小麦粉のことで、これをまぶしたように白くなるので 〝うどんこ病
白い粉の正体は、うどんこ病菌の菌糸と胞子(分生子または分生胞子と言う)だそうだ。
d0163696_20173693.jpg
拡大すると表面に粒々があった。
d0163696_20175375.jpg
これは子嚢殻(しのうかく、こまかく言うと閉子嚢殻)と言うのだそうである。黄色から橙色と成熟して、黒いのが完熟なのだろう。直径は0.2㎜強で、よく見ると脚立のような付属器(付属糸)ではなく、カッパの頭状になっている。 (写真をクリックすると拡大します)
この粒のまま飛散して越冬し、翌春、中から子嚢胞子を出して新しいエノキに感染するのだそうだ。
なお、子嚢殻ができるのは秋で、普段は前述の分生子で繁殖する。


ややこしい 〝うどんこ病菌〟

うどんこ病のことを調べてみると、いろいろとややこしいことが分かった。
ちょっと長いが、お時間のある方はお付き合いいただきたい。

●まず カビ図鑑』 (細矢剛ほか、全農教)  で入門させていただいた。
うどんこ病菌は宿主植物を枯らすことなく、落葉するまで仲良く共存する。〝絶対寄生菌〟というそうだ。
植物とともに進化してきたためか、宿主植物とうどんこ病菌の種類は、組み合わせがほぼ決まっているらしい。

●では、どのくらいの種類が知られているのか…
日本植物病名データベース』(日本植物病理学会、農業生物資源ジーンバンク) で調べると、各種植物のうどんこ病といわれる病名が405件あった。これに対し、病原菌の種類は判明しているだけで180種弱である。
十把一からげに 〝うどんこ病〟 と呼んでいるが、その正体は多種多様だ。
ちなみに、エノキには〝エノキうどんこ病〟と〝エノキ裏うどんこ病〟の2種が確認されている。

●さらにエノキうどんこ病、エノキ裏うどんこ病を調べよう。
病害虫・雑草の情報基地』 で 『インターネット版 日本植物病害大事典』(岸國平、全農教) のp1116-1117に掲載されている。(閲覧には無料会員登録が必要)
病徴の写真からは両者の区別はつかないが、裏うどんこ病の解説に 「付属糸は閉子嚢殻の頭部に冠状に生じ…」 とあるので〝裏〟と判明した。
ちなみに、直径0.2~0.25mmの子嚢殻の中には16~33個の子嚢があり、さらにその中に3個(まれに2個)ずつの子嚢胞子が入っているそうである。


超ややこしい話ですが…

菌類のなかで、子嚢殻をつくるものを〝子嚢菌類〟という。
うどんこ病菌の中で子嚢殻が確認されたものは子嚢菌類であり、未確認のもの(あるいはもともとつくらないものもあるか?)は糸状不完全菌類(不完全菌類)に分類される。
うどんこ病菌は絶対寄生菌であり、人工培養はできないのだから、子嚢殻の確認は難しそう。

子嚢菌類と糸状不完全菌類の分類のレベルは、亜門 (門と綱の間)だという。
なんということか !
粒々(子嚢殻)が確認されると、そのときから所属の亜門が変わるとは !!

ミクロの世界でありながら、ダイナミックな世界を感じてしまった。

2012年11月8日、報告:自然観察大学 事務局O
[PR]



by sizenkansatu | 2012-11-08 20:28 | その他 | Comments(2)

雨で裂けるマメアサガオの花

9月の半ば過ぎ、謎のヒルガオ科植物を観た。
d0163696_12583343.jpg
マメアサガオに似ているが、花冠に切れ込みのある見慣れぬ姿…
d0163696_1258555.jpg
この日は我孫子市岡発戸・都部谷津で自然観察大学観察会の下見だったが、I先生ら同行のみなさんは、なんだろうと首をひねっていた。
d0163696_12591559.jpg
アサガオの仲間は、このところ外国からの新顔が多く、いろんな帰化植物があって、ただでさえややこしい。

後日、「日本帰化植物写真図鑑 第2巻」の著者のおひとりである植村修二先生に写真を観ていただいたところ、〝マメアサガオが雨で濡れると花冠に切れ込みができるらしい。おそらくそれでしょう〟 ということであった。なんと!
植村先生によると切れ込みのできる系統と、そうでない系統があるらしく、ほかに雨で切れるマルバアメリカアサガオでも観察されたそうである。先生はなお注目して観察を続けられる由である。

あらためて上の写真を観ると、たしかに不自然な切れ方で、はじめから切れ込みがあった花冠とは思えない。

同じ場所で、以前マメアサガオを撮ったことを思い出して、探し出した写真がこれ。
d0163696_130391.jpg
6年前に岡発戸で撮ったマルバアサガオである。
よく見ると少し切れ目らしいのがある。
d0163696_1302331.jpg
こちらの花冠も、かすかに切れ込みらしきものがある。


別の写真を引っ張り出してみた。
d0163696_1304253.jpg
こちらのマメアサガオは2005年に撮った埼玉県見沼田んぼの芝川沿いのもの。
d0163696_131021.jpg
こちらは切れ込みらしいものがまったくない。
雨で裂ける系統と裂けない系統があるのなら、こちらはおそらく後者であろう。

マメアサガオは雨摘が溜まらないように自ら裂けるのだろうか?
花冠は重みで下向きになるのだから、そこまですることもないと思うのだが…
謎である。

植村先生、ご指導いただきありがとうございました。

2012年11月2日、報告:自然観察大学 事務局O
[PR]



by sizenkansatu | 2012-11-02 13:04 | 植物 | Comments(0)

植物、虫、鳥など自然を楽しむ  ★写真の無断転載はお断りいたします★
by sizenkansatu
プロフィールを見る
画像一覧
S M T W T F S
1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30

最新のコメント

> チョコさん コメン..
by sizenkansatu at 12:44
こんな感じの本が欲しかっ..
by チョコ at 14:10
鈴木裕子さん、コメントあ..
by sizenkansatu at 15:19
日経新聞で冬の雑草の記事..
by 鈴木裕子 at 19:35
アレチヌスビトハギ 最悪..
by EVIS at 15:16

検索

ブログジャンル