自然観察大学ブログ

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江戸川べりの観察-6 イガオナモミ

私の周りではオオオナモミばかりだが、久しぶりにイガオナモミを観た。
イガオナモミとオオオナモミは帰化雑草として知られているが、これらの名前のもとになった在来のオナモミは、今ではほとんど見られない。

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このトゲがマジックテープ発明のヒントになったのは有名な話で、トゲの先端が曲がっているのがミソ。
ウィキペディアによると 〝マジックテープ〟〝ベルクロ〟 というのは商品名で、一般的な名称は 〝面ファスナー〟 というのだそうだ。

こまかい話だが、上の写真の先端にあるのが雄花の痕跡だ。
オナモミの仲間は雄花序と雌花序に分かれる。キク科植物には珍しい性質だと思う。

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葉に穴が開いているのは、自分のトゲで傷つけてしまったのだろうか?
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イガオナモミの実は、名前のとおりすごい迫力だ。オナモミの仲間ではナンバーワンだろう。
1本のトゲがさらにトゲトゲになっている。
トゲを上から見て放射状になっているのがトゲのトゲ。(ややこしくてスミマセン)
これで面ファスナーを作ったら、一度貼り付けたら二度とはがすことはできなくなるかもしれない。

余談ですが…
両面ファスナーの発明者はスイス人だそうだが、さぞかし稼いだことと思う。オナモミには十分な謝礼をしているのか?
気になりますなぁ。

2012年9月26日、報告:自然観察大学 事務局O
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by sizenkansatu | 2012-09-26 21:09 | 植物 | Comments(0)

ツユクサ-4 マルバツユクサの地中の花

9月のマルバツユクサである。前回の観察からは、およそ2か月後になる。
秋には地下に閉鎖花を作るだろうというので、ずっと気になっていたのである。

参考:『ツユクサ-3 マルバツユクサ』 ⇒ http://sizenkan.exblog.jp/16430263/

生え際を少し掘ってみたら、期待通りのものが…
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上の拡大。
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話に聞いた閉鎖花だ。

もう少しほかの閉鎖花を観させてもらおう。
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画面中央の閉鎖花は膨らんで実になっている。苞(ほう)に包まれているところは地上の花と同じだ。そしてその先にあるのは次の花芽。

苞をはがしてみると、中に果実があった。
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丸々と充実した果実だ。
自分で種蒔きをしているわけだから、さぞかし出芽率も高いだろう。
繁殖力が強いというのも納得できる。

念のため9月の地上部も紹介しておこう。
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8月には枯れかかっていたので、暑さのためかあるいは除草剤を撒かれたのではないかと心配したのだが、元気に復活していた。

せっかくなので、花のアップも…
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マルバツユクサはひとつの苞から同時に二つの花をつける場合がほとんどなのだが、どうやらどちらも両性花らしい。
ツユクサでは花柄の長い方の花は雄花であることが多いのだが…

参考:『ツユクサ-1 花を観る』 ⇒ http://sizenkan.exblog.jp/16416456/

もうひとつ、ツユクサとマルバツユクサの違いに気がついた。
マルバツユクサは苞に細い毛があるではないか。
ツユクサは無毛で光沢があったから、これも大きな違いだ。

二つ折りになった苞を開くとハート形…
マルバツユクサはハートに毛が生えていることになる。
このところ関東に進出してきているし、ずうずうしい性格なのかも。

2012年9月20日、報告:自然観察大学 事務局O
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by sizenkansatu | 2012-09-20 20:43 | 植物 | Comments(0)

狩蜂生態図鑑が出た

田仲義弘先生の 「狩蜂生態図鑑」 が出た。
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すごい図鑑だ。
掲載された写真の数々は、どのカットも決定的な瞬間をとらえた見事なものだ。
しかもただの写真ではなく、狩蜂の専門家が生態解明・確認のために撮った、一つ一つ意義のある写真なのである。(写真を撮ってはじめて解った生態というのが多数あるらしい)

写真だけではない。精密なイラストもすべて田仲先生ご本人による。
自然観察大学のみなさんは、田仲先生の狩蜂への情熱を知っておられると思うが、この本はそのすべてが注ぎ込まれた〝珠玉の図鑑〟なのだ。

中から一点だけ紹介させていただく。(クリックして拡大可能)
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着地に備えて後脚を構えたところだろうか。狩蜂って、理屈抜きでかっこいい。
このコイケギングチバチは体長5mm弱、抱えている獲物はチャタテムシだそうだ。
微小で素早い狩蜂の、その決定的な瞬間を、ピントばっちりで捉えている。
どうです? こんな写真が撮れるなんて、信じられます?

ところで、すべての写真に撮影データが記されていて、各地を飛び回っていることがうかがえるのだが、その中にさいたま市見沼、千葉県我孫子市、東京都野川公園、というのが多数ある。
そう、自然観察大学で観察会を実施している場所ではないか。なんとなく嬉しくなってしまった。

観察会の朝、田仲先生は誰よりも早く来て、フィールドを事前につぶさにチェックする。
そして観察会終了後、カメラを手にまたフィールドへ向かい、誰よりも遅くまで撮影を続けている。
おそらく、その後も継続して現地に通いつめておられることと思う。脱帽である。
私の知っているのは観察会当日の行動だけなのだが、おそらくいつでもどこでもこの調子なのだと思う。
そうなると、田仲先生の家庭平和が心配されるが、仲のよい円満なご家族のようなのでご安心いただきたい。(いまのところですが…)

『狩蜂生態図鑑 -ハンティング行動を写真で解く-』(田仲義弘著、全国農村教育協会、2,500円+税)

最後に「狩蜂生態図鑑」について紹介されたサイトがあるので、以下にあげておこう。
●虫をさがしに… ブログ(jkioさん)  
●自然観察大学HP:本の紹介(鈴木信夫先生)
<追記>
NPO会員の寿原さん、それに唐沢学長が、本書を見て感動し、紹介文を書いてくれました。
※ 単独のURLがないので、一覧表からクリックしてご覧ください。3件が併記してあります。

●全国農村教育協会HP(出版元)  


2012年9月18日、報告:自然観察大学 事務局O
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by sizenkansatu | 2012-09-18 19:09 | その他 | Comments(0)

シャチホコガ –でんぎょキング-

8月の半ば、シャチホコガの幼虫を観た。
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遠目には引っかかった枯葉か何かのようだが、なめてもらっては困る。
イモムシハンドブック」の中で、〝私が見たい虫ベスト10〟 に入っている虫なのだから、だまされるはずはない。
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近くに寄ってみると、予想以上に緻密でよくできたつくりだ。
イモムシにしては考えられないほど長い脚、背面に並ぶとげ、へら状に広がる腹部末節と、もとは尾脚だったと思われる突起。
腹脚でしっかりと枝につかまっているが、足場はちゃんと糸を張りめぐらして安定させている。

それにしてもシャチホコガはどうしてこんな姿なんだろう。
長い脚(中脚と後脚)はわざわざ行儀よく折りたたんでいる。
枯葉に擬態するなら、ここまで凝らなくてもいいと思うのだが…

頭部にご注目いただきたい。
よく観ると、後頭部が突き出ているのがわかる。
これはまるで映画で見たエイリアンではないか!
丸く突き出したものは、やはり筋肉袋なのだろうか?
※ 参考『イモムシの眼は筋肉袋』⇒ http://sizenkan.exblog.jp/12032640/

せっかく擬態している(?)ところを申し訳ないが、ちょっと突っついてみると…
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面倒くさそうに歩き出すのだが、すぐに所定のシャチホコポーズに戻ってしまう。
「イモムシハンドブック」に記されたような脚をふるわせる仕草は、今回は観察できなかった。

それにしても、シャチホコポーズも異形だが、歩く姿はもっとすごい。

余談ですが…

最後の写真では、後頭部の突き出ているのがよくわかる。
こどものころ、私の田舎(茨城県南部)では後頭部が突き出たのを〝でんぎょ〟と言っていた。
シャチホコガの幼虫はエイリアンと双璧の〝でんぎょキング〟 である。

〝でんぎょ〟が一般に通用するのか、気になって複数の辞書やネットを調べてみたが、どこにも記載がない。
自分も〝でんぎょ〟と言っていたという同志、あるいはお心当たりの方は、ぜひご一報いただきたい。

2012年9月11日、報告:自然観察大学 事務局O
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by sizenkansatu | 2012-09-11 06:53 | 昆虫など | Comments(0)

江戸川べりの観察-5 アオメアブ

最強の虫と言われるムシヒキアブの中で、私のいちばんのお気に入りはこのアオメアブ。
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藪の上に突き出したカナムグラの先端で、獲物を探しているのだろうか。
とぼけた顔をしているくせに、アオメアブは昆虫界で恐れられるプレデターなのだ。
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敏捷な肉食獣を思わせる丸く盛り上がった背中と、獲物を捕らえる強大なとげとげの脚…
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アオメアブは、なんといっても眼。
この緑色の眼で、どんな世界を見ているのか?
しかし、この髭の下に隠された針で刺されて、消化液を注入された虫は…
ううっ、たまらん。

※ 『ムシヒキアブ -最強伝説を解く-』 もご覧ください。 ⇒ http://sizenkan.exblog.jp/16114528 

2012年9月8日、報告:自然観察大学 事務局O
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by sizenkansatu | 2012-09-08 22:15 | 昆虫など | Comments(0)

江戸川べりの観察-4 カナムグラを食う虫

ミドリグンバイウンカ
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8月半ばの夕方、この日のカナムグラで目立ったのはミドリグンバイウンカ。
体長は5mmほどと小さいが、拡大して観るとかなり美しい。
クワの葉につくと記されているが、カナムグラはクワの仲間だからだろう。
成虫はかなりたくさんいたのだが、残念ながら幼虫は見られなかった。

ヨツスジヒメシンクイ

カナムグラの周りをたくさんの小蛾が飛び交っていた。
葉上にとまるのを待って観ると…
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触角をピンと立てて、びっくりしたような顔。
普通の表情を撮ろうとほかの個体も狙ったがどれも同じだったので、どうやらこれが地顔らしい。
翅に4本の明瞭な条(すじ)から、これがヨツスジヒメシンクイだろうと、幼虫がいないかと近くを探してみた。
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あった。カナムグラの茎の一部が膨らんでいる。
幼虫は去年観ているのでまず間違いはない。
念のためひとつ切ってみたら…
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中に幼虫がいた。去年観た幼虫よりも大きく、終齢のようだ。
外に盛り上げるのは排出した糞ではない。呼吸用なのか、あるいは外界とつなぐ潜望鏡なのか、何か意味がありそう。
とげとげのカナムグラの茎の中だから、安全なはずだ。

カナムグラたちは、こんなコブをつけたまま、ずんずんつるを伸ばし続けていた。

2012年9月7日、報告:自然観察大学 事務局O
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by sizenkansatu | 2012-09-07 19:28 | 昆虫など | Comments(0)

江戸川べりの観察-3 蜂の雨宿り

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コヒルガオの花に、蜂がすっぽりと納まっていた。
さっきまで降っていた雨を避けてもぐりこんだのだと思う。
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体にぴったりフィットするらしく、すっかりお気に入りのようす。
至近距離でカメラを向けても、いっこうに逃げるそぶりはない。

いたずら心がわいて、ハマスゲの葉で突いてみた。
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さすがに怒ったのか、猛然とかみ切られてしまった。
この蜂はハキリバチの仲間か?

クリっとした眼の表情からは解らなかったが、かなりお怒りだったようだ。

せっかくお休みのところ、お邪魔しました。

2012年9月4日、報告:自然観察大学 事務局O
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by sizenkansatu | 2012-09-04 19:29 | 昆虫など | Comments(0)

江戸川べりの観察-2 ヘクソカズラの謎の傷

8月なかば、花盛りのヘクソカズラ。
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早く勢力を広げただけに、つる植物たちの中でも早く花をつける。

この日、ほとんどの花の付け根のところに孔があいていた。
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筒が避けている花も多数ある。
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犯人は、このとき飛来していたクマバチだろうと推測される。
クマバチは盗蜜者として知られているから、限りなく怪しい。
私が近づいたらどこかへ飛んで行ってしまったので、残念ながら現場を押さえることはできなかったが、その可能性は高いだろう。
参考:ナヨクサフジとクマバチ http://sizenkan.exblog.jp/13834306/

せっかくなので、花を開かせてもらった。
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雌しべと雄しべが確認できるが、ヘロヘロしていてよくわからない。目立つのは白い毛ばかり。

ネットで調べると 『石川の植物』 に詳細な解説があったので、ぜひこちらをご覧いただきたい。
http://www48.tok2.com/home/mizubasyou/95hekusokazura.htm
素晴らしい写真で詳細に紹介されている。

2012年9月2日、報告:自然観察大学 事務局O
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by sizenkansatu | 2012-09-02 23:26 | 植物と虫 | Comments(0)

江戸川べりの観察-1 つる植物

近くの江戸川べりでは、夏から秋にかけてつる植物の季節になる。
ササやヨシのやぶやエノキやクルミなど、それらのすべてを覆いつくしてしまう。
…というわけで江戸川べりでの観察は、つる植物が中心になる。
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繁茂した中にとび出すササは、つる植物の格好の獲物だ。
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からんでいるのはヘクソカズラとカナムグラ。
上昇志向の面々が繰り広げる静かな勢力争いだ。
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こちらはアレチウリとカナムグラに引き倒されたヨシ。
“出る者はからまれる” と言ったところか…
つる植物には徒長枝の剪定のような、そんな作用があるのかもしれない。

ところで、せめぎ合っているようにも見えるつる植物たちだが、シーズンを通してこの川べりをみると、それぞれが交替で主役をつとめているようだ。
一番手のヘクソカズラはすこし控えめな性格。
続いて盛夏のころには、ヤブガラシとクズが他を覆いつくして、熱い陽ざしを一身に受ける。
つぎにカナムグラが伸びてきて、強靭なとげで周りを穴だらけにしながら花粉を散らす。
これからここはカナムグラの季節になる。
そしてみんなが落ち着いた頃、最後にすべてを覆いつくすのはアレチウリだ。

2012年9月1日、報告:自然観察大学 事務局O
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by sizenkansatu | 2012-09-02 00:01 | 植物 | Comments(0)

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