自然観察大学ブログ

<   2012年 05月 ( 9 )   > この月の画像一覧




クロハネシロヒゲナガ -名前の謎-

舌をかみそうな、ややこしい名前の小さな蛾。
d0163696_1844786.jpg
クロハネシロヒゲナガは漢字で書くと黒翅白髭長だろう。
名前はクロハネなのに、じつは金色の翅だから、さらにややこしい。
光のかげんで黒く見えるが、命名者はどうしてクロハネとしたのだろう…

もうひとつの疑問。
この仲間はヒゲナガガ科(髭長蛾科)と言う。素直にクロハネシロヒゲナガガと命名すればいいのに、なぜか最後の ガ を省略している。(ヒゲナガガ科は他もみな省略した名前らしい)

ところで写真は雌で、雄にくらべると髭(触角)は短い。
撮っているうちに産卵をはじめた。
d0163696_1845545.jpg
オオスズメノカタビラ(たぶん)の茎内部に卵を産みつけているようだ。

産卵については イッカク通信/自然観察な日々 -クロハネシロヒゲナガ(その3)-
に詳しく紹介されているので、ぜひご覧いただきたい。
 http://ikkaku2.exblog.jp/d2007-05-05
自然観察な日々 では、クロハネシロヒゲナガを飼育し、幼虫まで追跡・連載している。
最終回の(その5) http://ikkaku2.exblog.jp/6350606/ から順にたどっていけるが、そこで幼虫の驚くべき生態が明らかにされている。(その1、その2がネット上から消えているのが残念)
ご存知かと思うが、自然観察の日々は、あの『イモムシハンドブック』の著者、安田守さんのブログである。

さて、ここまできたら、ヒゲナガの真骨頂である雄を出さないわけにはいかない。
d0163696_1848302.jpg
出来の悪い写真なのであまり載せたくないのだが、触角の異常な長さはわかる。

この長い触角が邪魔をするためか、独特の飛び方になる。やじろべえのように触角を広げて ヘロヘロ というか、ヘコヘコ というか、そんな感じのちょっと鈍くさい、愛嬌のある飛び方だ。
前述の安田さんは ヒョヒョヒョ と表現している。
どなたかぴったりした擬音があったらご一報いただきたい。

クロハネシロヒゲナガは、毎年5月はじめに遭遇する。自然観察大学 野外観察会 の下見のときだ。
オオスズメノカタビラやホソムギ、ネズミムギに産卵するとされているようだが、毎年オオスズメノカタビラのある草原で観察したように記憶している。
成虫の期間は短いらしく、下見のときはたくさん飛んでいるのに、翌週の観察会本番ではほとんど姿を消してしまう。参加いただいたみなさんにも、やじろべえのように飛ぶ姿を見ていただきたいのだが、実に残念だ。

次は事務局/脇本くんの撮った、本人のお気に入りの写真。
d0163696_18493394.jpg
熱い日ざしのもとで、ヒゲをなびかせて気持ちよさそう。
脇本くんは本格的な撮影ははじめてらしいが、なかなか立派な写真だ。

※ 今回の報告は5月6日に観察したものです。

2012年5月31日、報告:自然観察大学 事務局O
[PR]



by sizenkansatu | 2012-05-31 18:56 | 昆虫など | Comments(0)

アブラムシの変身術

前回の続きで、ハウチワカエデのアブラムシの話。
d0163696_1904620.jpg
黒いのがモミジニタイケアブラムシ
葉の裂片の突き出た部分に、きれいに並んで住み分けしているようだ。
d0163696_1912612.jpg
拡大すると、筋骨隆々とした立派なアブラムシ。
がっちりした角状管(尻の近くの両側にある一対の突き出たもの)もある。
迫力ある、なかなか男らしい姿だ。(雌ですが…)

それにしても、アブラムシの仲間は、小さいが虚飾を廃した機能美の持ち主たちだと思う。

展開はじめの葉には翅の無いアブラムシが集まっていた。
d0163696_1915797.jpg
先のアブラムシと同じモミジニタイケアブラムシと思われる。


とてもややこしいアブラムシ

アブラムシには同じ種で有翅型と無翅型があってややこしい。さらには幹母(かんぼ)という巨大化したのもいる。
モミジニタイケアブラムシはさらに複雑だ。
(ここからは5月半ばの観察記録)
d0163696_193124.jpg
画面上部の丸い小さな半透明の虫を拡大してみよう。
d0163696_1932986.jpg
なんとこれもモミジニタイケアブラムシだというのだ。
越夏型の幼虫で、彼らはこのままの姿で夏を越し、秋になってから脱皮・成長するとともに普通の姿に戻るという。
モミジニタイケアブラムシを漢字で表すと “紅葉二態毛アブラムシ” となるらしい。…なるほど。

それにしても、先の男らしい姿に比べてなんという変わり身!
アブラムシは不完全変態なのに!!
d0163696_1943917.jpg
これからの暑い夏をじっと耐えるのだろう。(少し動くのを観たが…)
こうしてみると、キジラミやコナジラミの幼虫にそっくりだ。


アブラムシ哀歌

腹部がパンパンに膨れた異様な姿のもいた。
d0163696_1952323.jpg
寄生蜂の犠牲になった “マミー” というもので、三態目の姿というわけではない。
この後、体内の寄生蜂が羽化脱出するものと思われる。

越夏型幼虫を襲うテントウムシがいた。
d0163696_196734.jpg
ナミテントウの若齢幼虫だ。(たぶん)
かぶりついたまま動かないのは、体液を吸っているのだろう。

せっかくの二態変身の術も、無残な結末。
食べにくいように、もっとゴツイ姿に変身すればよいと思うのだが…

M本先生いわく 「アブラムシは陸のプランクトン」 だそうだ。
宿命とはいえ、哀れな…

ちなみに5月27日に現状を確認したところ、成虫は完全に姿を消していた。そして越夏型幼虫の数はかなり減少していたが、これは天敵によるものではないかと思われる。

今回参考にさせていただいた図書:アブラムシ入門図鑑(松本嘉幸、全農教)
本書によるとカエデ類には3種のニタイケアブラムシの仲間が寄生するが、それらは生体での識別は難しい由。ここではモミジニタイケアブラムシとさせていただいた。


2012年5月28日、報告:自然観察大学 事務局O
[PR]



by sizenkansatu | 2012-05-28 19:14 | 昆虫など | Comments(0)

カエデの新緑と“順次開花”

4月末のカエデ。(今ごろすみません)
d0163696_12535020.jpg
新緑は好い。

この日は、花と果実が同時に観られた。
d0163696_12543138.jpg
次々に開花し、結実していくということだ。

さかのぼること2週間前、4月半ば…
d0163696_125551.jpg
ちょうど芽出しから展葉する時期だったが、実はこのときにも、花を開いていた。
d0163696_1259129.jpg
こちらの芽はもっと気が短いらしく、展葉が待ちきれないといった風情。

このカエデ(ハウチワカエデ:羽団扇楓)の開花は、少なくとも2週間以上続くということになる。

順次開葉という植物用語がある。一斉開葉に対するもので、アカメガシワやシュロなど、だらだらと葉を開くことを言う。
となるとカエデは順次開花かと思ってネットで調べたが、そんな用語はないようだ。
カエデに限らず、先日のキュウリグサ(http://sizenkan.exblog.jp/15745640/)のように次々に花を開く植物は多い。
順次開花は受粉を確実にするために効果があると考えられるし、ここはひとつ “順次開花” という用語を認めていただきたい。


毛がなくなってこそ一人前

同じカエデで、4月半ばの若い果実。
d0163696_1314033.jpg
このときはまだ柔らかそうな毛がついている。
d0163696_1322865.jpg
4月末になると赤く成熟してきた果実もちらほら。
d0163696_1324851.jpg
中には毛がなくなって、いかにも完熟状態の果実もあった。

そういえば、リンゴやナシの果実も、若いころは毛に覆われるが、熟した時にはなくなっている。
この毛には何か意味があるのだろうか。虫除けか? あるいは未熟なうちに鳥に食べられないようにいやがらせをしているとか…
そういえば前述の展葉も毛深いが、これも虫除けかもしれない。

などと考えていると、頭上の葉裏に点々と虫がいるのを発見。
d0163696_1334987.jpg

この虫については次回…

2012年5月24日、報告:自然観察大学 事務局O
[PR]



by sizenkansatu | 2012-05-24 13:07 | 植物 | Comments(0)

信州の川虫たち

前回に続く川虫編。

小さな沢の、流れの速い場所で、石の上に何かこびり着いている。
d0163696_20194553.jpg
こんなふうな塊が点々とあった。

近寄ってみると…
d0163696_20201335.jpg
木片か何かに見えるが、川虫の筒巣ではないのか?
それとも細身のキセルガイか?

離れたところで、顔を出しているのがいた。
d0163696_20203978.jpg
やっぱり川虫だ。
うっかり群れから離れてしまって、あわてて戻ろうとしているようだ。

調べてみると クロツツトビケラ
自分の糸だけで筒巣をつくるのは本種だけで、日本にはほかに近似種はないそうなので、間違いはないだろう。
筒は長いが、中の虫本体は小さい。

この長い筒は何の意味があるんだろう。いたずらに目立つだけのような気がする。
筒巣を並べて群れている状態を観ると、物理的に整流の効果があるようにも思えるが、謎だ。
ニューギニア先住民ダニ族の、あのコテカとイメージが重なる。

同じ沢で飛び交っていた成虫がこちら。
d0163696_20213476.jpg
求愛行動なのか、怪しげなダンスをしていた。
トビケラの仲間には違いないと思うが、クロツツトビケラかどうかは定かではない。

こちらはやや下流。
d0163696_20331191.jpg
点々と見えるのはやはりトビケラの仲間だ。
無防備にも思えるが、水面ギリギリのところなので、意外に魚の餌にはされないのかもしれない。

拡大したのがこれ。
d0163696_20334240.jpg
砂粒を糸で綴って筒巣をつくっている。
巣作りは緻密で根気のいる仕事だと思うのだが、何のためなのだろう。
やはり外敵から身を守るためか? まさか保温ということはないと思うが…

多数のツツトビケラに混じって、別の川虫がいる。
d0163696_20231867.jpg
コオロギにも似た感じだが、調べてみるとクロマダラカゲロウの幼虫らしい。
シャープな白線がgood。

トビケラの成虫も発見。
d0163696_20235736.jpg
d0163696_20242356.jpg
淡黄色の斑紋をたよりにネットで調べるとウルマーシマトビケラというやつらしい。
“ウルマー” はドイツの昆虫学者の由。

トビケラ目はチョウ目に近いとされ、ちょっと見は似ているが、鱗粉のかわりに毛が密生する。
やはり鱗翅目毛翅目という呼び方が解りやすい。

こちらはヒラタカゲロウの仲間。ひたすら低姿勢。
d0163696_2025075.jpg

お次はマダラカゲロウの仲間。この仲間はチョイ悪の風貌。
d0163696_20252159.jpg


余談ですが…

夢中で川虫さがしをしている時に、突然声がした。見るとゴツイ制服警官が私を呼んでいる。

警官「釣りかと思ったんですが、ざざ虫採りですか?」
 「ええっと、はい。まぁ、そんなもんです。」
警官「ご苦労さんです。実は昨日、このあたりで熊の親子を見たという通報が4件ありまして、くれぐれも気を付けてください。」

私は、怖くなってついあたりを見回してしまった。

警官「昼間は親熊が出てくることはめったにないんですが、暗くなってきたら危ないですから。まぁ、あんたは何となく熊に似てるから、大丈夫かもしれんですけどね。」
…と、真顔で言う。制帽を被った熊のような顔で。

失敬な、確かにワシは熊と類縁とされているが、あんたに言われたくないわい!

よろしければ、昨年の中山道和田宿での川虫観察記録もご覧いただきたい。
トビケラの話 http://sizenkan.exblog.jp/13566765/
カゲロウの話 http://sizenkan.exblog.jp/13557004/


ヒキガエルとアメンボ

川虫さがしの途中で、大量のヒキガエルの卵塊があった。
d0163696_2028660.jpg
源流に近い冷たい水流で、たまり水になったところに、累々と産卵されていた。卵の数は画面の何千倍もあったと思う。
ヒキガエルは全員集合していっせいに産卵すると聞くが、どれくらいのヒキガエルが集っていたのだろうか。
…となると、オタマジャクシもぞろぞろと一気に出てくるのか?
産卵と孵化のシーンを見てみたいものだ。

ところどころ水が引いた場所で、卵が露出している。
d0163696_20283826.jpg
観察しやすいのはありがたいのだが、乾いてミイラ化したところがあるのはかわいそうだ。

卵塊のあるたまり水を、アメンボが右往左往していた。
d0163696_2029193.jpg
このアメンボはカエルの卵を吸収するのだろうか?
分厚いゼリー部分を突き抜いて、むさぼるように吸うのか?
イケナイ期待を胸に、しばらく観察していたのだが、残念ながらそのシーンは観られなかった。

ところで、このアメンボは赤味が強く、ふだん眼にするのとは少し違うようだ。
水たまりで生活するためか、シマアメンボのような超絶運動能力もなさそう。
d0163696_20295340.jpg
ネットで調べると、山地に多いコセアカアメンボ、あるいは北寄りに分布するエゾコセアカアメンボらしい。

アメンボについて詳しいことはこちらがおすすめ。
『アメンボ研究室』 http://homepage3.nifty.com/shibalabo/amenbo/index.htm


世の中は金環食で盛り上がっているが、こちらは川虫観察だ。マイペースでやらせていただく。
と言いつつ、実は今朝、ちゃんと写真を撮っているので、いずれご報告するかも…

2012年5月21日、報告:自然観察大学 事務局O
[PR]



by sizenkansatu | 2012-05-21 20:37 | 昆虫など | Comments(4)

信州で出会った植物たち

傾斜に沿った耕作地のなかを登ると、ある地点でセイヨウタンポポから在来のタンポポに変わった。
d0163696_12302669.jpg
農道に沿って点々と続くエゾタンポポ。信州は彼らのなわばりらしい。
なんとなく嬉しくなる。
d0163696_12305522.jpg
エゾタンポポは総苞(頭花の全体を包み込む部分)がふっくら丸く、質実剛健な感じ。北の種族にふさわしい。
私はタンポポの王者だと思っている。

耕作地の一角にあったスミレ。
d0163696_12311951.jpg
ネットで調べるとフイリゲンジスミレ(斑入源氏菫)のようだ。日本では自生しないとある。

かつて、ある家の庭で多数のこのスミレに遭遇し、茨城の実家に持ち帰ったことがある。
はじめ数年間は順調に増え、道ばたに点々と広がっていったのだが、いつの間にか消滅してしまった。

こちらはタチツボスミレ
d0163696_12315752.jpg
…と思う。誤っていたらご指摘いただきたい。
スミレは難しいというのもあるが、悲しいことに私は雑草以外の植物は苦手なのである。

山菜の王者、タラの芽。
d0163696_12322983.jpg
地元の人の採り残しがけっこうあったので、この後しばし採集に没頭した。
市販のタラの芽はタラノキの枝を挿し木して栽培したもので風味はだいぶ違うが、これは正真正銘、天然のタラの芽だ。おいしそう…

キケマンの仲間。
d0163696_123396.jpg
ミヤマキケマンだろうか。
礫地のようなところにも、点々とあった。

薄暗い林床の苔むしたところ。
d0163696_12333655.jpg
開花途中のイチリンソウか? 木漏れ日の中に映える。

急に視界が開けた湿地でミズバショウに遭遇した。
d0163696_12341014.jpg
“夏が来~れば…” という歌があるが、雪融けのころに咲く。
d0163696_12343543.jpg
ミズバショウは万人の憧れであり、野草の王者だと思う。

余談ですが…
王者ミズバショウであるが、ある山形出身の友人によると…
“あ、ミズバショウね、実家の前の下水溝にあったなぁ”
これには驚いた。ちなみに米沢近郊の彼の在所では、人間よりも熊のほうが多く生活しているらしい。


毎年、連休の間は信州に行くことになっている。
今年は諏訪から朝日村、そして木祖村をまわった。
次回は川虫の予定。

2012年5月17日、報告:自然観察大学 事務局O
[PR]



by sizenkansatu | 2012-05-17 12:44 | 植物 | Comments(0)

擬態するクモ

オナガグモの木の葉隠れ

この写真、一目でクモだとわかる方は、かなりのクモ通だ。
d0163696_1231399.jpg
オナガグモと言って、糸を横に張ってじっとしている。
林縁で風にゆれるその姿は、どう見てもクモの糸に引っかかった小枝か針葉樹の葉に見える。

少しでも風があると、揺れて撮影が難しいのだが、今回は物干し場にいたので、ゆっくり見ることができた。

というわけで、もう少し寄ってみよう。
d0163696_1232489.jpg
脚と頭(頭胸部)らしいものがあって、なんとなく体の構造がわかる。
脚に糸クズがついているのは物干し場ならではのこと…

失礼して、ちょっとつついてみると…
d0163696_12323885.jpg
一瞬、正体をあらわしたオナガグモ。(驚かしてスミマセン)

“これはしまった” と言わんばかりに、すぐにもとの態勢に戻る。
d0163696_12325952.jpg
長い腹部のもとの方にある少し盛り上がったところが尻で、写真では見えないかもしれないが、ここから糸を出している。
“腹長” ではなく “尾長” という名前はその意味で正しいようだ。命名者の慧眼に恐れ入る。

オナガグモはクモを食べるとされている。針葉樹の木の葉に化けて、獲物のクモが近づくのを待つらしい。クモがほかのクモの糸を利用して移動するのは普通に行われるものらしく、それを待つというのだ。(オナガグモの気の長いこと!)

ところで、写真を見ると第1脚から第3脚までを前に伸ばし、第4脚だけを後ろにしている。
ウィキペディアでは “前二脚を前方に真っ直ぐ伸ばし、後ろ二脚を腹部に添え、腹部を後方に真っ直ぐに伸ばしており…” とある。不審に思ってネット上の画像を検索してみると、やはり第3脚までは前に出しているようだ。


アリに化けたクモ

アリグモというのがいる。
d0163696_1233556.jpg
形も大きさもアリにそっくりで、こうしてみるとかなりカッコイイ。(写真がいまひとつですみません)
写真は葉の上で獲物を咥えているところ。獲物はユスリカかなにかのようだ。

6本脚に見えるのは第1脚を触角のように付きだしているからである。
腹部の付け根が細くくびれ、頭部と胸部にもくびれがあるように見える。(クモは頭部と胸部が一体で頭胸部という)
雄のアリグモは巨大な大顎があってアリらしくないが、写真のように雌は完ぺきなアリ!

アリグモが正体をあらわした一瞬。
d0163696_1235815.jpg
眼が横に並ぶ姿はどう見てもクモ。
おのれ、妖怪!” 思わず声を出してしまいそう… (びびってピントがいまいち)


余談ですが…

昆虫は変態することで多様な進化をしたのだと思うが、昆虫ではなく変態をしないクモがこのような擬態を獲得したとは驚きだ。
しかも昆虫よりも原始的とされるクモが、昆虫の中でも進化したアリ(ハチ目)に擬態するとは…

生物には下等、高等とかいう形容詞はふさわしくない。すべての種にはそれぞれに優れた面がある。例えば人間は、たまたま知恵に優れているというだけのこと
…というY崎先生の言葉が思い出された。

2012年5月14日、報告:自然観察大学 事務局O
[PR]



by sizenkansatu | 2012-05-14 12:44 | 昆虫など | Comments(0)

水中の珍味・ざざむしを食べる

先日、長野の松本城を訪れた際に、売店で見慣れない缶詰を見つけた。
d0163696_1845362.jpg

ざざむし(ヒゲナガカワトビケラ)の幼虫を食用とする地域があることは知っていたが、実際に食用にできる状態のものを見たのは初めてだ。佃煮に加工されており、価格は1000円程度だった。
調べてみると、長野県の伊那地方では昔から冬季の貴重なタンパク源となっており、現在も漁期を定めて専門に採取されているという。

d0163696_18461972.jpg
山梨県で撮影されたヒゲナガカワトビケラの幼虫の画像。
巣の画像など、以前掲載された記事をあわせて参照いただきたい。
http://sizenkan.exblog.jp/13591264/

長野県ではハチの子が名物となっているほか、かつてセミの幼虫を缶詰に加工しようとした例もあるといい、昔から昆虫を貴重な食料としてとらえていたことが伺える。
d0163696_18481592.jpg
開封してみると、思っていた以上にトビケラとしての原形をとどめていた。
ヒゲナガカワトビケラは、比較的水質の良い河川の上流部の石の裏に生息する。砂利を固めた特徴的な巣をつくり、一目でそれとわかる。青緑~黒色をしており、類似したいくつかの種をまとめて「黒川虫」などと呼ばれているようだ。川釣りではオイカワ、ウグイなどの特効餌として知られているが、食用に用いるのは伊那地方以外では寡聞にして知らない。

実際に食してみると、予想以上に脂がのっており、生臭みもほとんどなく濃厚な味わいだった。採取地の水質がよいからかもしれないが、ハチの子の匂いが大丈夫なら問題なく食すことが出来るだろう。筆者はハチの子よりもおいしいと感じた。
少々値が張るが、炊き込みご飯にしてもおいしいと思われる。

川の中の小さな虫のおいしさを見つけ出した伊那の人々に心の中で感謝をささげながら、長野の辛口吟醸酒とあわせておいしく頂いた。機会があれば、自分でも採取して食べてみようかとも思っている。

2012年5月9日、報告:自然観察大学 事務局 脇本
[PR]



by sizenkansatu | 2012-05-09 18:51 | 昆虫など | Comments(0)

雑草の春-5 タネツケバナの栄枯盛衰

夏がそこまできているのに、まだ春の話をしている。がんばって早く投稿しなければ…

水路のわきに広がるタネツケバナの群落。(4月初旬撮影)
d0163696_18511816.jpg
タネツケ = 種浸け で、かつて稲作で “この花が開花する時期に種籾を水に浸ける” と名付けられたそうである。稲作の一年のはじまりを知らせる、春の代表的雑草だったのだろう。
今でも山あいの田んぼなどで、耕起前の一面のタネツケバナを観ることがある。
d0163696_18521462.jpg
写真の水路も、4月初旬には半ば干上がっているが、このあと作付けが盛んになるころには増水し、タネツケバナも水没する。

このタネツケバナが減っている。
理由は、耕地整備などによって農業用水が完備され、必要なとき以外は水を張らない “乾田” ばかりになったから、というのである。

タネツケバナは稲作とともに栄え、乾田化によって衰退しつつある雑草だ。
前回の 『雑草の春-4』 で申しあげたように 雑草は強くない のである。人間の都合で増えたり減ったり、もてあそばれているではないか!


ミチタネツケバナの台頭

これにとって代わるように、ミチタネツケバナというのが街なかで増えている。
タネツケバナにくらべて小形で、春早くから短期間に開花・結実する神出鬼没なインベーダーだ。

両種は「形とくらしの雑草図鑑」(岩瀬徹、全農教)に掲載されている。http://www.zennokyo.co.jp/book/ykhb/kkzso.html
d0163696_18541240.jpg
ミチタネツケバナは花序全体が細くすぼまった形で、花よりも果実のほうが上に突き出る。花は適当に済ませ “肝心なのは果実だよ” といった態度に見える。

余談ですが…

ここでは “種浸け” と表したが「形とくらしの雑草図鑑」や Wikipedia では “種漬け” とされている。どちらでもよいようなものだが、種籾を水に漬けるのを “浸種(しんしゅ)” と言うので、やはり “種浸け” と表したい。

さらに話はそれるが “浸漬”という単語がある。浸漬処理などの言葉もある。
この読みは本来 “しんし” だったのだが、だいぶ以前から “しんせき” と言われていたようだ。
言葉は生き物だから、どちらが正しいかこだわるつもりはないが…

2012年5月4日、報告:自然観察大学 事務局O
[PR]



by sizenkansatu | 2012-05-04 19:01 | 植物 | Comments(0)

雑草の春-4 新緑

春は緑が美しい。
冬枯れの野原を緑に変える雑草に、とりわけ春を感じる。
d0163696_2023872.jpg
スズメノカタビラ。

スズメノカタビラはほぼ一年中見られる。真夏以外はいつも開花~結実するイメージがある。
最近ではよく似たツルスズメノカタビラというのが増えているが、これは穂が赤っぽいので、本来のスズメノカタビラだと思う。雑草らしい雑草だ。

※ よろしければご覧ください:
晩秋の雑草観察』 http://sizenkan.exblog.jp/12360830/

苗床のようなきれいな緑。
d0163696_2025777.jpg
いっせいに芽生えたオオブタクサがひしめく。

すぐ近くには、また違った雑草の芽生えがあった。
d0163696_2026315.jpg
カナムグラだ。

どちらも一か所に集中して芽生えているのはなぜだろう。
そういえばオオブタクサとカナムグラの種子は、その場で自然に落下するような感じだ。
この芽生えが成長した時のことを想像すると少し恐ろしくもなるが、この中の何本が成植物になれるのか…
彼らなりに生き残りをかけた厳しい競争があるのだろう。


雑草はそんなに強くない

ところで、「雑草はどこにでも生える」 と考えている人が多いが、そんなことはない。
d0163696_2026519.jpg
画面右側は日当たりの好い南向き斜面、左側は日陰がちな北向き。
スズメノカタビラは日当たりの好い環境を好むことがはっきり観察できる。
ネギ畑で土寄せ後に素早く成長し、たくさんの果実をつける。

それぞれの雑草に好ましい環境というのがあって、それは草刈りや踏みつけ、耕起・攪乱・除草などの人の手が入る環境だ。
雑草の生えるのをそのまま放置しておくと植生が変わって行くことが、「校庭の雑草」(岩瀬・川名・飯島、全農教)のp157 “群落は動く” という項に詳しく解説されている。

人の手が入るような環境でなければ生きていけない雑草は “ひ弱な箱入り娘” といえる。

2012年5月3日、報告:自然観察大学 事務局O
[PR]



by sizenkansatu | 2012-05-03 20:34 | 植物 | Comments(0)

植物、虫、鳥など自然を楽しむ  ★写真の無断転載はお断りいたします★
by sizenkansatu
プロフィールを見る
画像一覧
S M T W T F S
1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31

最新の記事

最新のコメント

> チョコさん コメン..
by sizenkansatu at 12:44
こんな感じの本が欲しかっ..
by チョコ at 14:10
鈴木裕子さん、コメントあ..
by sizenkansatu at 15:19
日経新聞で冬の雑草の記事..
by 鈴木裕子 at 19:35
アレチヌスビトハギ 最悪..
by EVIS at 15:16

検索

ブログジャンル