自然観察大学ブログ

<   2011年 12月 ( 2 )   > この月の画像一覧




アオスジアゲハの観察-4

青太の脚

12月上旬のこと。
めずらしく、まだ明るい時間に青太が活動を始めた。
d0163696_1946325.jpg
さっそく写真を撮りはじめたのだが…
d0163696_1947587.jpg
警戒して首をすくめ、動きを止めてしまった。
残念だ。刺激しないよう、もっと慎重に近づくべきだった。

仕方がないので、この機会に腹脚をよく観ておくことにする。
d0163696_19473024.jpg
腹脚は意外に自在に動くものらしく、細い枝を器用につかんでいる。

上の写真の一部を拡大してみよう…
d0163696_19475067.jpg
脚の裏は吸盤のようになっていて、その縁には毛の列が並ぶ。
d0163696_1948944.jpg
尾脚も同じ構造のようだ。

原色日本蛾類幼虫図鑑』(保育社)で、腹脚についての記載を見ると、毛のようなものは “鉤爪” と言うらしい。
イモムシを扱うときに腹脚の意外な力に驚かされるが、なるほど鉤爪なら力強いはずだ。
同図鑑によると、グループによって鉤爪の位置と配列が異なり、識別のポイントとなっているようだ。例えば潜葉性の蛾は腹脚がないとか、イラガの仲間は吸盤だけでナメクジのように歩く… と解説されている。うーむ。観てみたい。

余談ですが…

原色日本蛾類幼虫図鑑』 は概説が充実している。今回の腹脚を例にとると、名称と構造が検索の手引きとなるだけでなく “形とくらし” にまで解説が及んでいる。食草や生活史の一覧表もあり、至れり尽くせりである。ネット上の 『みんなで作る日本産蛾類図鑑』 とは別の、代えがたい価値があると思う。
本書は昨年復刊され話題になった。上下2巻で19,950円とやや高価だが、オンデマンド出版という小ロット印刷のため、いたしかたないだろう。
当時、復刻された実物を見る機会があり、手元のオリジナル版と比べてみた。かなり高品質で、見かたによってはオリジナルよりもきれいな写真もある。
現在も復刊ドットコムから購入できるので、虫好きの方にはおすすめである。
http://www.fukkan.com/fk/CartSearchDetail?i_no=68313799
なお、蛾類のみのイサギヨイ図鑑で、チョウであるアオスジアゲハはもちろん掲載されていない。


訃 報

12月26日の朝、残念ながら青太は息絶えていた。
18日の室内講習会のとき、りりねこさんとミルフイユさんに会っていただいたのだが、その少し前から全く動かない静止状態が続いていた。
d0163696_19494886.jpg
上の遺影は12月21日のもの。
やはりこのところの本格的な寒さによるものだろう。
まわりからは事務所内での飼育を勧められたのだが、そうすればよかったかと悔やまれる。

…合掌…

2011年12月27日、報告:自然観察大学 事務局O
[PR]



by sizenkansatu | 2011-12-27 19:53 | 昆虫など | Comments(4)

アオスジアゲハの観察-3 青太の食生活

食べ痕を観る

青太の食べるシーンを見ることはなかったが、食べた痕は目立つ。
d0163696_22293536.jpg
若いときの食痕はハキリバチに似ている。
d0163696_2230642.jpg
成長すると、食べ方も少しダイナミック。

d0163696_22304568.jpg
これは夏に観た食痕だが、アオスジアゲハの老熟幼虫によるもので、葉柄まで残さずきれいに食べていた。
青太はまだこんな食べ方はできない。

ついに、食事シーンに遭遇

はじめて食事に遭遇したのは、11月半ば過ぎだ。

ある日の夕刻、青太は日暮れとともに行動を開始した。
いつもの祈りのポーズから、頭を左右に振って周囲を見まわし、“右ヨシ、左ヨシ、後方ヨシ” 安全を確認して体を反転して梢上を移動する。ちょっと興奮した…
d0163696_2231424.jpg

その後の観察で、青太はいつも日暮れ時に行動することがわかってきたのだが、警戒心が強く、撮影しようとすると摂食をやめてしまう。ときにはツノを出してアゲハ特有の刺激臭を出したこともあった。

ところがこの日(11月24日)はよほど腹が減っていたのか、懐中電灯やストロボの閃光でも動じなかった。
d0163696_22321998.jpg
いつもちがって、のびのびと首(?)を伸ばしている。
d0163696_2232454.jpg
やっと食事シーンを撮ることができた。
d0163696_22331464.jpg
角度を変えてさらに撮る。
d0163696_223333100.jpg
思いきって接写しても、食べ続ける青太。
こうしてみると、強力なあごと筋肉だ。頭部全体が食べるためだけにあるように見える。

【上の写真で、青太の眼はどれか?】
○ わかったあなた … このブログの愛読者です。ありがとうございます。
○ わからないキミ … ちょっと修行が足りません。正解は前回の記事からバックナンバーをご覧ください。

それにしても、クスノキは防虫剤の樟脳の原料となっているくらいなのに、どうして平気なのだろう。サクサクと美味しそうに食べる。
まさにタデ食う虫も好きずき、である。
樟脳は医薬用のカンフル剤のもとにもなったらしいので、食べると元気が出るのかもしれない。

ところで…

農林有害動物・昆虫名鑑 増補改訂版2006』(日本応用動物昆虫学会)をみると、クスノキを食害する虫には、クスサンなどの蛾の仲間やゾウムシ、カミキリムシ、アブラムシ、カイガラムシ、キジラミ、グンバイムシ、アザミウマ、ハダニなど合計16種がリストアップされている。各界から多様な顔ぶれが名を連ねている。
意外にクスノキを食べる虫が多いのだと思ったが、肝心のアオスジアゲハが載っていない。
このリストは植物別に食害する虫を調べることのできる便利なもので、作成に当たってはたいへんな苦労があったはずだし、イチャモンをつけるつもりはない。
そもそも応用昆虫学の根っこは農林業だから、クスノキのような樹木については適当なところで妥協しているのだろう。しかたのないことである。

体勢を変える

12月5日。青太の体勢が反転していた。
d0163696_22351670.jpg
これまでは葉の基部に尾脚をはりつかせ、葉先に向かっていたのだが、この日は反対向きだ。たぶん葉が垂れ下がるほど体重が重くなったためだと思う。体長は4-5cmほどになっている。

上の写真と下の写真を見比べていただきたい。
d0163696_2235421.jpg
葉先が食べられている。
前の写真が12時で、次が14時。この2時間のあいだに食べたことになる。これまで規則正しく夕暮れに食事をしていたのだが、生活に乱れが出てきたようだ。
しかも、住居にしている葉を食べてしまっている。

d0163696_22362218.jpg
こちらは3日後の12月8日。この日も同じ葉だが、食べてまた小さくなった。
寒い日が続くので移動がめんどうになったのだろうか。
小さい葉の上で、精一杯尾脚を踏ん張っている。

それにしても、もう年末というこの時期にアオスジアゲハが活動しているとは知らなかった。あるいは青太だけが特別なのだろうか。

青太は10月末に孵化し、それから1箇月半が経過している。成長速度はかなり遅いと思われるが、ちゃんと蛹化して越冬できるかどうか心配である。このところ生活パターンも乱れてきたようだ。
不良にならなければいいのだが…

2011年12月14日、報告:自然観察大学 事務局O
[PR]



by sizenkansatu | 2011-12-14 22:41 | 昆虫など | Comments(0)

植物、虫、鳥など自然を楽しむ  ★写真の無断転載はお断りいたします★
by sizenkansatu
プロフィールを見る
画像一覧
S M T W T F S
1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31

最新のコメント

> チョコさん コメン..
by sizenkansatu at 12:44
こんな感じの本が欲しかっ..
by チョコ at 14:10
鈴木裕子さん、コメントあ..
by sizenkansatu at 15:19
日経新聞で冬の雑草の記事..
by 鈴木裕子 at 19:35
アレチヌスビトハギ 最悪..
by EVIS at 15:16

検索

ブログジャンル

画像一覧